高橋一生の「止まらない」音楽の話①

ざっくり言うと
メロコア・スカ・ボカロ・クラシック…ジャンルレスな音楽体験
ヘッドフォンでガンガン聴く「家派」
2019/06/24 ミュージックライン 【ゲスト】高橋一生

音楽

エンタメ

2019/06/24

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【出演者】
南波:南波志帆さん(MC)
高橋:高橋一生さん


NHK-FMの音楽番組「ミュージックライン」に高橋一生さん登場! 主演を務めたドラマ主題歌だけでなく、敬愛するエレファントカシマシの楽曲のカバーも発表している高橋さんの音楽的バックボーンをとことん掘り下げました。

突然のオファーも即決で挑戦

南波: 数々の映像作品や舞台と幅広くご活躍の高橋一生さん。主演ドラマの主題歌を担当され、先日「きみに会いたい-Dance with you-」をリリース。アーティスト・デビューされました。きょうは、作品の話もさることながら、どんな音楽を聴いてこられたかなど、音楽的なバックグラウンドについてもたくさんお伺いさせていただきたいと思います。
まずは高橋さんが敬愛するエレファントカシマシのデビュー30周年を記念して制作されたトリビュート・アルバム、『エレファントカシマシ カヴァーアルバム3 ~A Tribute to The Elephant Kashimashi~』収録の、東京スカパラダイスオーケストラとともに参加したナンバー「俺たちの明日」について伺いたいと思います。
もともとエレファントカシマシの大ファンだったという高橋さんですが、このトリビュートに参加されることになった経緯は?
高橋: 経緯は…降って湧いたような話ですね。突然スカパラの谷中(敦)さんから連絡があったそうで…その前に広告でスカパラさんとご一緒することがあって、そのときのつながりだったと思います。
「エレファントカシマシのトリビュート・アルバムに参加することになったんだけれど、高橋くん、ちょっと『俺たちの明日』を歌ってくれないですか?」と。
南波: 突然ですね。
高橋: 突然声をかけてくださったので、驚いて…「はい」って言いました(笑)。
南波: ふたつ返事だったんですか?
高橋: 自分の範疇(はんちゅう)外のことが起きているときは、基本的に「イエス」をしようと思っているんです。なので、「ぜひ。どこまでできるかわからないですけど」と言ったら、スカパラさんはもう収録されていて。原曲のキーだったんです。
南波: …なかなかシビれますよね。
高橋: 「これはおもしろいことになってきたぞ…!」と思って、歌わせていただいたのが最初でした。
南波: そういうケースをおもしろいと思えるのって、すごい男気ですね。
高橋: 基本的に全部、起きていることをおもしろがっちゃう方なんで。
南波: かっこいい…。
高橋: 「なんだかおもしろいな」「何でこんなふうにつながるんだろう?」ということに意識を持っていかれました。
南波: 今お話にも出ましたが、スカパラの皆さんとはテレビCMでコラボされたことでも話題になりました。「俺たちの明日」をレコーディングするにあたって、スカパラの皆さんとは、どんなお話を?
高橋: なかったんです。スカパラさんの曲はもうでき上がっていたんです。「あとは僕が歌うだけ」という状態。
南波: よりシビれませんか?
高橋: 谷中さんもいらっしゃらない。そんな中で…。
南波: 孤独な作業…?
高橋: でも、孤独じゃなかったですよ。もちろんディレクションしてくださる方がいたので、その方と一緒に2人でノリノリで歌っていました。すごく楽しかったです。そのあと、谷中さんから連絡をいただいて。
南波: 何て言ってました?
高橋: 「すごいよかった。ありがとう」と。
「大丈夫ですか? レコーディングにそんなに時間かけていないんですけれど」
たしか2時間か3時間ぐらいで…。
南波: 早いですね。
高橋: 何度か歌って終わってしまったんです。
南波: ちょっと不安になりますよね?
高橋: 「本当に大丈夫です。よかったです」って言っていただいたので、「ありがとうございます」という状態でした。
南波: リスペクトするアーティストの曲をカバーするって、結構なプレッシャーじゃないですか?
高橋: 僕、その辺の回路が切れているんです。だから多分、後々になって「とんでもないことが起きてしまった…!」と気づく。今も、まだ夢うつつなんじゃないでしょうか。
南波: あまり実感としてはないんですか?
高橋: 実感は…伴っているとは思うんです。「とてつもなく大それたことだ」と思うんですけれど、どこか感覚が…「うわ。恐縮しちゃう」というようなところが断線しちゃっているのかな…よくわからない状態になっています。今も。
南波: 最初からそうだったんですか?
高橋: もともとそうですね。緊張とか、あんまりない方なので。
南波: 強い!
高橋: なんだか「そこの線が切れちゃっているんだな」としか言いようがないんですけれど。
南波: でも、怖いものがないって、めちゃくちゃ無敵じゃないですか?
高橋: …でも、怖いものがあった方がいいと思います。怖いものがあるから、怖くないものもわかってくるのであって。「怖いもの知らずって、怖い」って思います。そこはいつも自戒しています。
南波: でも、こっちからすると「かっこいいな」と思いますけど。
高橋: いや、何もかっこよくないですよ。あとで大慌てするのは僕なので。ただ1人で慌てふためいているだけなんです。

「胸にガツンと来た」エレカシ

南波: 先日「きみに会いたい-Dance with you-」でアーティスト・デビューされた高橋さん。この作品についてお話をする上で欠かせない存在といえば、楽曲提供とプロデュースを担当されたエレファントカシマシの宮本浩次さんです。
高橋: はい。
南波: 先ほどもお話しましたが、エレファントカシマシを敬愛されているそうです。彼らの音楽との出会いは何歳くらいだったんですか?
高橋: 中学生ぐらいから聴いていたのかな。すごくド直球というか、まっすぐ胸にガツンと来たんです。そこからどんどん…今までずっと、欠かすことなく聴いていたのかもしれないです。
南波: エレファントカシマシのどんな部分に魅力を感じて心動かされたんですか?
高橋: 表現を曲げないところです。普通はいろんなものが混じっていくのが当然だと思うんです。けれど、浩次さんの世界が曲がらないでそのまま届いているような気がするんです。あそこまでまっすぐ、パッケージングしていないのにしっかりとガツンと来る方って、あまりいないと思う。そこがすてきだと思ったんでしょうね。
南波: 確かに。
高橋: “泥まみれになって走っている”というような状態がかっこいいと思いました。

メロコアからボカロまで大好き!

南波: ほかにもどんな音楽を聴いてこられたのか、お伺いしたいです。青春時代はどんな音楽を聴いていらしたんですか?
高橋: 小学生ぐらいからTHE BLUE HEARTSを聴き始めて、中学・高校でメロコアだったり、スカだったり、KEMURIだったり、あの辺の音楽を聴いていました。御茶ノ水に行ってレコードをあさって…。OPERATION IVYとか、すごく聴いていましたし。もともとメロコアとかスカとかが好きだったんでしょうね。
南波: 周りもそんな感じでした?
高橋: いや…少なかったです(笑)。けれど、1人だけ共有できる友人がいて、休みになると彼とレコードを買いに行ったりして。
並行して、Jポップやジャパニーズ・ロックといわれる音楽も聴いていました。エレカシさんはその中の1つです。
南波: もともと音楽がすごくお好きなんですね。
高橋: 好きでした。中学時代はバンドとかもやっていましたし。
南波: 絶対モテましたよね?
高橋: いや、モテなかったんです…。
南波: モテる条件しかないと思うんですけど。
高橋: 今と同じ状態じゃないですか? 偏屈なんです。
南波: そうですか(笑)?
高橋: すぐダメになっちゃいます。嫌われちゃいますよ。
南波: そうなんですね。
高橋: どんどん離れていきますよね、女性が…。
南波: 暗い話になってきましたけど、大丈夫ですか?
高橋: 全然! 僕、今も元気にやっているんで。
南波: 本当ですか? 今、触れちゃいけない闇の部分に触れちゃったかな、って…。
高橋: 大っぴらにしている闇なんで、大丈夫です。
南波: ちなみに、最初に買ったCDって覚えてますか?
高橋: 多分THE BLUE HEARTSだったと思います。
南波: 何の曲…?
高橋: 小学生の時、多分「リンダリンダ」かな…だったと思います。
南波: 最初から好きなものがブレないんですね。
高橋: ブレていないと思います。そこからいろんなジャンルに行って。どんどん手を広げていってしまうので。
高校生の時はエレクトロニカが好きだったし、今も聴くんです。ドラムンベースとかも聴いていたしな…多岐にわたっていましたね。
南波: ディグりまくってたんですね。
高橋: ディグっていましたね。掘りまくっていたかもしれないです。
南波: 掘り出したら沼ですからね。
高橋: たまらないですよね。どんどんレコードがたまっていく(笑)。
南波: 最近はどんな音楽を聴かれてますか?
高橋: 最近は…手を広げすぎちゃっていて、自分がどの音楽が好きか…ジャンルが分けられないぐらいになって…。
南波: 垣根飛び越えすぎて?
高橋: 飛び越えすぎていますね。ボーカロイドとかも好きですから。
南波: え? 意外ですね。初音ミクさん的な?
高橋: そうですね。ピノキオピーがつくっている楽曲が好きですから。
南波: 出てくるワードがちょいちょいすごいです…!
高橋: いろんな音楽、とにかく聴いています、今もJポップも聴いているし。最近は七尾旅人さんとか好きですね。
南波: いいですよね。
高橋: 最近、アルバム出されていますもんね。
南波: 止まらないですね!
高橋: 音楽の話を始めると止まらないです。垣根を飛び越えすぎて、何を聴いているのか…。
南波: しかも守備範囲が広すぎる。「強い!」と思って…。
高橋: (笑)。そうなんですよ。中学のころはThe Bandのコピーとかやっていたので。洋楽もいろんなものを聴いてました。
南波: 果てしないですね…!
高橋: 音楽好きなんです。ジャンルとかわからないので、いいと思ったら好きな曲ばっかり聴いていました。

趣味だから楽しめている「音楽」

南波: 「学ぶ」みたいな聴き方なんですか? そういうわけじゃなくて、好きで純粋にどんどん広がっちゃってる…?
高橋: 純粋に…多分、根底に流れている音楽性って、そんなに変わらないんじゃないでしょうか。ジャンルを分けたい人たちは「定義づけたい人たち」だと思う。音楽って楽しいものだから、いちいち批評する側に回っちゃうとつまらなくなりそうで。
南波: 確かに。
高橋: 「この音楽聴いてると楽しいんだけど」って思ったら、そのまま聴いていましたね。当時も今も。
南波: ずっと音楽にわくわくできているんですね。
高橋: それは多分もしかしたら、「音楽をやってなかったから」かもしれないです。プロとして音楽をやっていなかったから、楽しめていた部分というのはすごく多分にあったような気がします。
というのは、お芝居をやっていると、お芝居を見られなくなっていくんですね。
南波: やっぱりそうなんですね。
高橋: 映画が見られなくなる時期がよくあったんです。今はそんなこと、全然ないですけれど。
音楽だった場合、離れてしまう時期が僕にはきっと耐えられなかっただろうと思います。だから、自然といいルート取りができたんだろうと思っています。
南波: 好きだからこそ。ちなみに、今気になるミュージシャンを挙げるとすると?
高橋: 今気になるミュージシャン…? 今気になるミュージシャン…変わらないんですよね。
小沢健二さんが最近また出されるようになったじゃないですか。興味津々です。次、どんなふうになるんだろう? 楽しみです。小沢健二さんはアルバムの『LIFE』とか聴いていたので、大好きなんです。
南波: 本当に守備範囲が広い…すごすぎる。
高橋: そうですか? 好きな曲はとにかく好きで、ずっと聴き続けちゃうので。
南波: 本当好きなものがどんどん増えていっちゃうから…。
高橋: 増えていっちゃうんです。
南波: 困りましたね。
高橋: そうですね。洋楽もすごく聴くし。オールディーズから聴きます。家はずっと音楽が流れています。
南波: おうちでも、ですか?
高橋: 音楽を絶やさないですね。
南波: 台本を読まれる時も聴いてますか?
高橋: 聴いています。インストとか聴いています。
南波: やっぱりインストの方が集中しやすい?
高橋: 集中しやすいです。最近クラシックとかも聴くようになったけれど…インストとかもいいかもしれないですね。
南波: クラシックを聴きながら台本を読む高橋一生さんって、めちゃくちゃ絵になりますね。
高橋: そうですか? 突然『モルダウ』とか流れ始めちゃって、そっちに気が持っていかれたりとかしますけれど(笑)。
南波: おもしろいセットリスト。「家でじっくり聴きたい派」ですか?
高橋: そうなんです。それってわかりますか?
南波: わかります。
高橋: 「家派」なんです。うちでとにかく聴く。ライブよりも「家派」です。
南波: 在宅…?
高橋: 在宅…在宅視聴です。
南波: ライブ会場に足を運んだりは…?
高橋: あまりないです。家で聴いている方が咀嚼(そしゃく)ができるというか、自分の体に通していける感じがあって。
南波: 世界に入り込みたいとか、集中して聴きたいんですね。
高橋: そうですね。ヘッドフォンつけて、ガンガンに聴いている感じです。
南波: 音楽が演技に及ぼす影響ってあると思いますか?
高橋: あると思います。1作品ごとにテーマ曲になっているものがあると思います。洋楽・邦楽問わずに…「このテーマ、こういう曲だよね」と、テーマを無意識に決めちゃっているかもしれないです。
南波: その作品のときは、その曲を繰り返し聴いたりとか…?
高橋: 繰り返し聴くことが多いかもしれないです。
南波: 確かに、どの音楽にも、密接に思い出がからみつくというよさもありますもんね。
高橋: 音楽は常にありますね。舞台でも、演出家の人から「どういう音楽使ったらいいと思う?」と聞かれて、「これとこれとこれ」って言ったら採用されたりしたことも前はありました。
南波: すごい。名プロデューサーですね。活動が多岐にわたっている。
高橋: ありがたいことにちゃんと聞いてくださるので、ちょこちょこって言ったりしていました。
南波: 音楽のお話されてるときの目の輝きがハンパなくて…。
高橋: そうですか? 音楽は大好きですね。

<高橋一生の「止まらない」音楽の話②>につづく

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