知ればもっと楽しめる! ビール&テキーラの世界(前編)

ざっくり言うと
もう「とりあえずビール」なんて言えない ビールの種類は100以上
「テキーラは塩とライムで」から卒業しよう
2019/12/22 ちきゅうラジオ 特別企画「ビール&テキーラ 知ればもっと楽しめる!」 ゲスト:富江弘幸さん、サマンサ・カリアスさん

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2019/12/22

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一口にビールと言っても100種類以上あるそうです。またメキシコのテキーラは塩とライムでというイメージですが、それだけじゃないんですって。それぞれのつくり方や味わい方を、知ればもっと楽しめる!

【出演者】
吾妻キャスター:吾妻謙キャスター
堀口キャスター:堀ロミイナキャスター
富江さん:富江弘幸さん(日本ビアジャーナリスト協会所属、ライター)
サマンサさん:サマンサ・カリアスさん(テキーラメーカー宣伝担当、バー店長)


もう、「とりあえずビール」なんて言えない

吾妻キャスター: ラグビーワールドカップでは、ビール、注目されましたね。
富江さん: ラグビーの発祥はイギリスということで、ビールもイギリス発祥のものがたくさんあるんですよね。イギリスはかつて植民地や関連のあった国々にラグビー文化やビール文化も持ち込んで、そういう国々でも楽しまれるようになったという背景があるんだと思います。
吾妻キャスター: ラグビーのワールドカップで優勝した南アフリカ、それからイングランド、ニュージーランド、ウエールズというベスト4全てがいわば“大英帝国”。
堀口キャスター: 「イギリス」という共通の背景がある国々ばかりでしたね。実際、こんなデータがあります。大手ビールメーカー各社のビールや発泡酒の2019年9月の販売数量が、前年の9月と比べて10%を超える高い伸び率となったんですね。
吾妻キャスター: ラグビーワールドカップの効果と消費税率引き上げ前の駆け込み需要ということですね。
札幌ドームは、オーストラリア対フィジー、イングランド対トンガの試合会場になりましたが、ここで消費されたビールの量は、観客数がほぼ同じサッカーの試合に比べて4倍以上だったということが札幌市の調べで分かっています。「ラグビーはビールを飲みながら観戦する」ことを裏付ける結果となりました。
富江さん: ビールは、原料としては麦芽・ホップ・酵母・水、基本的にはこの4つからつくられるお酒です。歴史をさかのぼると、紀元前3000年ぐらいからエジプトやメソポタミアでつくられていたお酒の1つです。

大きく分けてラガーとエール、大体この2つに分類されます。おもに酵母の種類で違って来ます。酵母はいわゆる菌の種類の1つですけれども、発酵のしかたによってビールが分類されます。
「エール」は比較的古くから作られているもので、発酵の温度はちょっと高めの20何℃くらい。特徴としてはちょっとフルーティーな香りがあります。
低い温度で発酵するのが「ラガー」です。ラガーには「貯蔵する」という意味があるんですけども、エールに比べて貯蔵期間がちょっと長いんです。19世紀ぐらいにできて発展して、今、日本も含めて世界中で飲まれているビールの大部分がラガーだといわれています。エールと比べるとすっきりしたのどごしが特徴です。

それから、ビールのつくり方によって分類方法がありまして、それをビールの世界では「スタイル」、あるいは「ビアスタイル」といいます。
例えば、ラガーに分類されるものに「ピルスナー」があります。チェコ発祥、淡い色合いでホップの苦みをちょっと感じるような、一般的に「ビール」といわれて想像するものがこれにあたります。日本の大手メーカーがつくっているビールの大部分が、ピルスナーですね。
「エール」に関しては、特徴的なものでいうとイギリス発祥の「ペールエール」ですとか、最近人気なのはペールエールから発展した「IPA(インディア・ペールエール)」、あとドイツの小麦麦芽を使った「ヴァイツェン」という白いビールがあります。逆に黒いビール、黒くなるまで麦芽をローストすることによってビール自体も黒くなるというもの、これが「スタウト」です。
こういった「スタイル」という分類方法が、100以上あるといわれています。
吾妻キャスター: 100以上! 「とりあえずビール」とは言えないくらい奥が深いことが分かりました。

インディア・ペールエールが苦いわけ

富江さん: 国によって、「こういうビールが特徴的で、発祥で」っていうのがあるんですが、例えば先ほど話したIPAは、とても苦いビールです。それにはちょっとわけがありまして。
イギリスは大航海時代のころから世界中に植民地があり、インドもその1つでした。当然インドにイギリス人がいっぱいいて、「ビールが飲みたい」と。そこでイギリスからビールを運ぶことになるんですけれども、船で南下して、アフリカ大陸を回ってインド洋に入ってインドに行くわけです。
赤道を2回通りますから暑いんです。ビールが傷まないようにするにはどうするかということで、ホップを大量に入れました。ホップは殺菌効果があるんです。また香りと苦みのもとでもあるので、香りと苦みがすごく強いビールになった。それがIPAというものなんです。
堀口キャスター: 海洋国家イギリスのビールらしい誕生ですね。ドイツのほうはいかがですか。
富江さん: ドイツビールは実直なイメージがあります。500年ぐらい前にドイツの南のほうのバイエルンで、「ビール純粋令」という法律が作られました。麦芽・ホップ・酵母・水を原料とし、それ以外は使っちゃいけないという法律です。それによって、混ぜものを入れることなく質の高いビールが出来たといわれています。
ドイツ発祥の「ヴァイツェン」という白いビールは、小麦麦芽を50%以上使っているビールです。小麦ってパンに使われますよね。パンのために確保しておくべきものを使って、特権階級がビールをつくったということがあります。フルーティーでバナナのような香りが特徴です。
ドイツと逆でおもしろいのがベルギーです。おいしければ何でもいい。何入れてもいいだろう、と。
あと、寒いところではワインに適したぶどうが栽培されないので、ベルギーやドイツの北の方、イギリスなどでは、ワインではなく麦から作るビールが発展したといわれています。
吾妻キャスター: ベルギーのビールって本当に多様ですよね。
富江さん: フルーツを使ったものや、何年も熟成させたものもあります。
吾妻キャスター: アメリカはどうですか。
富江さん: アメリカは今、ビールの最先端といっても過言ではありません。大手メーカーが作るビールに対抗、じゃないですけれども、ビールの多様性を伝えるための「クラフトビール」という言葉がアメリカで生まれました。それが一番進んでいるのがアメリカで、日本と違って自宅とかでもアルコールをつくっていいんですよね。
日本では1%以上のアルコールをつくると違法になりますが、アメリカでは自分でビールなどをつくることができるので、自分たちで工夫してプロの醸造家になる人もいます。今ではアメリカ全体のビール消費の約20%がクラフトビールといわれています。アメリカも比較的自由で、ウイスキーの樽(たる)で熟成させたビールですとか、おもしろいものがどんどん生まれています。

飲酒年齢最年少国はどこ?

吾妻キャスター: アメリカは州にもよるんですけれども、お酒飲んでいいのが21歳から。だからアメリカで日本人の20歳の子が飲んじゃうと捕まっちゃう可能性もあるので気を付けなきゃいけません。逆に日本より早く飲めるところもあって、イギリスは18歳。16歳でも大人が同伴してれば食事でビールやワインは飲んでもいいんですね。18歳が世界ではメジャーなんですかね。
堀口キャスター: そういうイメージはあります。一番早くからお酒が飲める国って、どこなんだろう。
吾妻キャスター: 調べてみました。インターネット上では、「最年少はアンティグア・バーブーダ。10歳」って出てくる。キューバの西側にある種子島くらいの大きさの島国ですけど、アンティグア・バーブーダには日本大使館がなくて、管轄しているのが700キロ離れたトリニダード・トバゴの日本大使館でした。電話したら、アンティグア・バーブーダの政府関係者に聞いてくれたんですね。正しくは16歳だそうです。10歳じゃなかった。
でもね、ドイツがどうも一番早く飲み始めるみたい。同伴者がいれば、ビール・ワイン・リンゴ酒などは14歳から飲めるっていうことが分かったんです。富江さん、知ってました?
富江さん: ドイツのことは聞いたことがあるんですけど、アンティグア・バーブーダは知りませんでした。
吾妻キャスター: トルコは何歳から?
堀口キャスター: 18歳。スタンダードだと思いますね。
吾妻キャスター: アルコールは自分で管理できるようになってから味わうのがいいので、あまり早すぎても心配ってことはあるかもしれませんけれども、日本の20歳っていうのがスタンダードじゃないっていうことが、世界を見ると分かりますね。

誤解だらけ! テキーラの世界

吾妻キャスター: 続いてはメキシコの酒テキーラにまいりましょう。ミイナさんは、ワインエキスパートのほかにテキーラ・マエストロの資格も持っているという。本当にお酒好きなんですね。
堀口キャスター: 大好きですね~。お酒好きの私がいうんだから間違いないんですけど、テキーラは本当においしいのにそれが一番伝わってないお酒だと思うんです。私、4、5年前にテキーラにハマって、「テキーラ・マエストロ」の資格も取るぐらい好きになりました。これはテキーラのつくり方や味わい方の知識を身につけて新たなテキーラの魅力を発見して楽しみ方の幅を広げるための資格で、日本でも誰でもとることができます。でも私だけでは伝えきれないと思いまして、スタジオにもう1人、テキーラの専門家をお迎えしました。大手テキーラメーカーのPR担当、東京・目黒でテキーラ専門バーの店主もしているサマンサ・カリアスさんです。ようこそ!
サマンサさん: オラ(こんにちは)! メキシコの隣の隣・ホンジュラス生まれ、メキシコ育ちです。テキーラのこと、何でも聞いてください。
吾妻キャスター: 私はテキーラ、ほとんど飲んだことがないんですよ。若いころはお酒の強さをアピールするために、ショットグラスでぐいっと飲んで「どうだ!」みたいな、若気の至りの飲み方をしたことがありますけど。
サマンサさん: 吾妻さん、ちょっとその飲み方、違ってますよ。
吾妻キャスター: サマンサさんの目が、こわ~い。アルコールの摂取のしかたとしても、テキーラの飲み方としても違うってこと?
サマンサさん: そうです。せっかくですので、飲み比べをしたいと思います。きょうは3種類のテキーラを持ってきました。熟成の時間がそれぞれ違うので、香りと味が全く違います。「ブランコ(Blanco)」と「レポサド(Reposdo)」と「アニェホ(Anejo)」。

吾妻キャスター: 熟成期間の違いで、呼び名が違う? 今、もう、スタジオ内にテキーラの甘い香りが漂っていて。香りだけで酔っ払っちゃうんじゃないかっていうくらい。アルコール度数はどれぐらいですか。
サマンサさん: テキーラは35度から55度が決まりになってます。
堀口キャスター: 同じ蒸留酒でいうと、ウイスキーやジン、ウォッカと同じくらいの度数です。
サマンサさん: 最初は「ブランコ」。熟成してないので、いちばんピュアですね。色は透明になります、クリスタルみたいな。アガヴェの香りと味、そのものが分かります。
堀口キャスター: この植物っぽい味や香りが、アガヴェなんですね。
吾妻キャスター: こんなに舌の上で味わったことなかったけど、テキーラって甘いんですね。
サマンサさん: 100%のものだったら、もうほんとに甘いです。熟成期間が60日以内なので、初心者の方にもおすすめです。

次は「レポサド」。これは2か月以上、樽の中に休めます。「レポサド」の意味は「休ませた」。少し色がついていますが、樽に少し触れているので色が入ってきます。
きょう持ってきたのは、フレンチオーク、アメリカンオーク、メキシカンオーク、3種類のオークの樽でつくったものですので、すごくおいしい味になりますね。
吾妻キャスター: 違うもんですね。熟成2か月でこんな変わるんだ。
堀口キャスター: 味が深まりますよね。熟成期間が長くて手間もかかるので、ブランコに比べると値段も高くなりやすいです。
サマンサさん: 3つ目は「アニェホ」。1年以上熟成したもので、香りも濃くなります。
私は「アニェホ」が一番お気に入りです。メープルとバニラの味と香りがしますね。樽の中を焦がしているので、最後にスモーキーな香りと味が残ってとってもおいしいです。

原料はサボテンではない!

吾妻キャスター: テキーラって、原料はサボテン、という記憶があるんですけど、何で出来ているんでしたっけ?
サマンサさん: ノー、ノー、ノー、ノー。違いますよ~。テキーラの原料は「アガヴェ」という植物です。日本語で「リュウゼツラン」。アロエの仲間で、サボテンとは違いますね。アガヴェのまん中にある球根を使ってテキーラをつくります。アガヴェ使ってメキシコの伝統的なお酒「メスカル」もつくられてます。
堀口キャスター: メスカルの中でさらに条件を満たしたものだけが、テキーラと呼ばれるんです。
吾妻キャスター: ワインの中でシャンパーニュ地方のものがシャンパンと呼ばれるのと一緒みたいな感じ?
堀口キャスター: そうです。シャンパーニュ地方でつくられたものしかシャンパンと言わないように、メスカルの中でもテキーラ地方でつくられた、しかも決められた製法でつくられたものしか、テキーラっていえないんです。
吾妻キャスター: アガヴェっていうのは、メキシコにたくさん植えられてるもの?
サマンサさん: そうです。でも原産地呼称なので、メキシコの5か所だけに決まっています。それ例外のものからつくったらテキーラとはいえないんです。そして成長するのに6年から10年かかります。大きくなると、「ヒマドール」と呼ばれる職人が長い棒がついてる刃物で切ります。
堀口キャスター: 収穫風景も結構おもしろいんですけれども、この作業の様子やメキシコのアガヴェ農園の美しさが、「リュウゼツランの景観とテキーラ村の古式産業施設群」といって世界遺産にもなってるんです。

サマンサさん: 球根を切ったところがパイナップルみたいになっているから、スペイン語で「ピニャ」と呼ばれています。そのピニャの皮をむくんですが、深くむくか浅くむくかで味が変わります。深くむけば癖のないまろやかでスムースな味、浅くむくとグリーンな苦みや刺激、パンチのあるのが楽しめるんですよね。
吾妻キャスター: 日本酒をつくるときにお米をどこまで磨くかっていうのと似ていて、吟醸酒の精米歩合って60%以下とか、大吟醸は50%以下だから半分も削って雑味をなくすなんていいますけど、テキーラも皮を深くむいたほうが、まろやかでスムースになるってことなんですね。
堀口キャスター: いわゆる大吟醸的にまろやかな味わいのテキーラにするためには深くむいたほうがいい、ってことなんですよね。
サマンサさん: 私はスムースすぎると物足りなくって、ハーブ感があってパンチがあるほうが好きです。

一番おいしい飲み方は「ストレート」

吾妻キャスター: 今すごいチビチビ飲んでいるのに、こんなに違いが分かって、驚きました。
サマンサさん: それが正しい飲み方です。テキーラはすごい上品な飲み物です。原産地メキシコでは有名ですけれども、世界の中でもポピュラーになってきていますね。有名なテキーラのブランドになると85か国で販売していて、日本でもそろそろブームが起こるんじゃないかな。
吾妻キャスター: 「テキーラはショットグラスで一気飲み」、何でみんなこんなふうに飲むようになっちゃったのかしら。チビチビ飲んでもおいしいんだけど、ほかにもおいしい飲み方を教えてください。
サマンサさん: ライムと塩で飲むイメージがあると思うんですけど、実はそれも間違ってるんです。100%のものは本当にすごくおいしいので、ストレートが一番おいしい飲み方。あとはメキシコでの飲み方なんですけど、「サングリータ」という味がついているトマトジュースがあって、それをテキーラのチェイサーにします。代わりばんこに飲むんです。すごく飲みやすくなります。「サングリータ」にはトマトジュースのほかにオレンジジュース、ホットソース、メキシコのソース、塩、ライム……、いろいろ入ってます。
吾妻キャスター: 好みでアレンジするのもありかもしれない。じゃあ、ライムと塩はいらないってことですか。
堀口キャスター: 蒸留所の中には、「うちのテキーラはストレートで飲んでほしい」っていうところもあるくらいです。
吾妻キャスター: でも、アルコール度数35%から55%でしょ。もうちょっと割ってもいいかなって感じがしますけど。
サマンサさん: メキシコで有名な「パロマ=鳩」というカクテルがあります。グレープフルーツジュースとソーダで割る、さっぱり系ですね。あとはもちろん「マルガリータ」。テキーラ、コアントロー、ライム汁も入って、私はアガヴェ・シロップも入れますのでちょっと甘みが出て大人気ですよ。
吾妻キャスター: 冬の季節、日本だと日本酒や焼酎を、おかんにしたり、お湯で割ったりしますが。
サマンサさん: メキシコは日本みたいに寒くないけど、ホットコーヒーにちょっとテキーラを入れるとすごくおいしいです。体も温まります。

「踊れるお酒」テキーラ

吾妻キャスター: 料理は何に合うのかも気になってきます。
サマンサさん: もちろんメキシコ料理ですが、和食にも合います。食前食後でもOK、肉料理もいいし、魚料理もいいし、タコス、ナチョス……、何にでも合います。テキーラはテンションが上がる飲みものなので、パーティーにおすすめです。
堀口キャスター: パーティーのときはやっぱりテキーラ。ウイスキーって、しっぽり飲んで深~く語り合うイメージがあると思うんですけど、テキーラはみんなで盛り上がるときにぴったりで、「踊れるお酒」なんていったりします。
サマンサさん: メキシコではいっぱいパーティーがあるので、みんな盛り上がりながらテキーラを飲みまくってます。ただし、一気飲みじゃないでーす。

<知ればもっと楽しめる! ビール&テキーラの世界(後編)>

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