中澤佑二さん トップアスリート第二の人生
- ミスター・ストイックの自己管理
- 人生に立ちはだかった3つの壁
- 2020/04/15 武内陶子のごごカフェ 「カフェトーク」 ゲスト:中澤佑二さん(元プロサッカー選手)
スポーツ
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2020/04/15
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2020年4月15日(水)放送より
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ゲストは、元プロサッカー選手の中澤佑二さん。去年1月、惜しまれつつも引退しました。40歳までトッププロとして現役生活を送ることができた背景には、徹底した自己管理、数々の壁を乗り越える中で磨いてきた独自の哲学、支えとなった音楽がありました。第二の人生を歩み始めた中澤さんに、お話を伺いました。
【出演者】
武内アナ:武内陶子アナウンサー
中澤さん:中澤佑二さん(元プロサッカー選手)
<中澤佑二さん プロフィール>
1978年埼玉県出身。1999年にヴェルディ川崎(現在の東京ヴェルディ)でプロデビュー。2002年以降は、横浜F・マリノスでプレーし、2度のリーグ優勝、天皇杯優勝などに貢献。2000年のシドニーオリンピック、2006年、2010年のFIFAワールドカップサッカーでは、日本代表として活躍。去年1月、40歳で現役を引退するまで、Jリーグ歴代3位となる593試合に出場。日本代表としても110試合出場を誇る。
ミスター・ストイック
武内アナ: | 中澤さんは、ミスター・ストイック、鉄人という異名を持つほど、自分を徹底的に管理されていたそうですが、現役時代は、どんなルールを自分に課していたのですか。 |
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中澤さん: | 食事面では、揚げ物は一切取らない。タバコは吸わない。酒は飲まない。夜10時就寝、朝6時起床、夜の六本木にあこがれていたけど、足を踏み入れたこともないです。「ギロッポンで、シースー」言いたかったな(笑)。 |
武内アナ: | なぜ、そこまでストイックに自分を節制したのですか。 |
中澤さん: | サッカー選手は全員ライバルなので、24時間をサッカーのために費やさないとライバルに勝てないと思っていました。すべてはサッカーがうまくなりたいという思いのためです。 |
武内アナ: | すごいですね。今、改めてそのストイックな日々を振り返っていかがですか。 |
中澤さん: | よくやっていたなと思います。もう少し気をゆるめてもよかったのかも(笑)。 |
武内アナ: | 引退後、ご自身の中で大きく変わったと思われることはなんですか。 |
中澤さん: | 現役のときは、ONとOFFがあり、OFFのときは愛想が悪かったです。今はそのときよりはピリピリ感がなくなって笑顔が増えました。 |
武内アナ: | 電話出演なのが残念だわ(笑)。 |
安室ちゃん、そしてラクロス
武内アナ: | 安室奈美恵さんがお好きなのね。 |
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中澤さん: | 実は、きょうはこの話をしたかったんです! 同世代のプロとして安室さんをリスペクトしていました。つらく苦しいときも、安室さんの歌を聞いてがんばってきました。「Don't wanna cry」という曲は、ブラジルにサッカー留学中に、友人がカセットテープに入れて送ってくれた思い出の1曲で、テープが擦り切れるほどよく聴きました。 |
武内アナ: | 中澤さんは現在、各方面で活躍なさっていますね。 |
中澤さん: | サッカーしかやってこなかったので、今やらせていただいている仕事は本当に楽しいです。特に、学生たちのラクロスの指導を楽しんでいます。 |
武内アナ: | なぜラクロスの指導を? サッカーと似ているから? |
中澤さん: | うちの子どもがラクロスをやっていたのがきっかけです。ラクロスは、ゴールのうしろも使えるので、サッカーと違った戦術がとれておもしろいです。ミスしても「もっと思い切ってやれよ、ミスしたっていい」と、ほめて背中を押して指導しています。スポーツは、真剣に向き合えば必ず成長します。 |
人生に立ちはだかった3つの壁
武内アナ: | ディフェンダーとして鉄壁の守備を誇った中澤さんですが、サッカー人生をふりかえって。 |
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中澤さん: | 常に高い壁がやってきて、それを乗り越えてきました。 |
武内アナ: | その中でも、強大だった壁は何ですか。 |
中澤さん: | ブラジル時代、2004年アジアカップ、そして、2010年ワールドカップ南アフリカ大会、この3つです。 |
武内アナ: | ブラジル時代の壁って? |
中澤さん: | 単身でブラジルに渡ったのは、18歳のとき。どうしてもプロになりたいという思いで、周囲の反対を押し切って留学しました。精神的にも肉体的にも苦しかった時期ですね。言葉の壁があって、チームメイトとはコミュニケーションが取れないので、近所の子どもたちにポルトガル語を教わりました。ベッドの脇に安室さんのポスターをはって、絶対プロになると思っていました。 |
武内アナ: | 続いての強大な壁が、2004年のアジアカップ。 |
中澤さん: | 中国で行われた、完全アウェーの中で連覇を達成できた大会です。現地サポーターたちの大ブーイングの中、準々決勝、準決勝と劇的な勝利をおさめ、決勝では中国を3対1で下し見事に連覇を達成しました。 |
武内アナ: | アウェーでの闘いの中で、最高のパフォーマンスを維持するメンタルの強さは。 |
中澤さん: | 実は、アジアカップだけでなく、Jリーグでも、アウェー戦が好きでした。相手への声援が大きければ大きいほど燃えます。自分たちがホームでやられて嫌だなと思うことをやるだけです。押せ押せムードの流れが変わったときに、敵地の大観衆が押し黙る瞬間がきます。これが気持ちよかったですね。 |
武内アナ: | そのメンタルはどうやって鍛えたの。 |
中澤さん: | メンタルは鍛えるものではなく、悟るもの、開き直ることだと思います。どんなに練習をつんで自信をつけたとしても、不安な気持ちや弱気を完全に消すことはできません。弱い自分を受け入れ、受け入れた上で、どう対処するかを考えるしかありません。自分の場合は、開き直るといいプレーができました。 |
武内アナ: | そして2010年のワールドカップ南アフリカ大会。 |
中澤さん: | 直前の親善試合で全く勝てず、代表チームとしてかつてないほどの不調に陥っていました。 |
武内アナ: | それなのに、勝利に向けて全力を傾けることができたのは。 |
中澤さん: | 苦境のときこそ視野を広げようと思いました。前向きになるスイッチは必ず見つかります。結果として、自国開催以外で初のベスト16に進出できました。 |
中澤さんからメッセージ
武内アナ: | 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、放送を聴いている子どもたちに。自宅でできるサッカーの練習法、アドバイスはありますか。 |
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中澤さん: | とにかくボールに触ることです。家のものを壊さないように、リフティングをやってください。 |
武内アナ: | ありがとうございました。次回はぜひスタジオで安室ちゃん特集ご一緒に(笑)。 |
中澤さん: | 待っています! |
聴き逃しは1週間です。前向きスイッチがいっぱいです。