百名山を20座登頂! 俳優・井之脇海さん 登山をしながら考えていること

22/07/02まで

石丸謙二郎の山カフェ

放送日:2022/06/25

#インタビュー#登山#ネイチャー

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登山を趣味とし、山を愛する石丸謙二郎さんが「山」をテーマに、さまざまな企画をお届けする<石丸謙二郎の山カフェ>。今回は注目の若手俳優、井之脇海さんがご来店。高校生のころから登山に魅せられた井之脇さん。山を登りながら考えていることとは……?

【出演者】
石丸:石丸謙二郎(俳優・ナレーター)
山本:山本志保(NHKアナウンサー)
井之脇:井之脇海(俳優)

天気が悪いときこそ登山日和? 俳優ならではの理由

石丸: いま写真を見ていますが、これは頂上かな?

山本: これは富士見岳ですか?
井之脇: 富士見岳(ふじみだけ)で乗鞍(のりくら)のほうですね。
山本: これは何歳のときですか?
井之脇: 17歳ぐらいで、富士山(ふじさん)に登る直前に、「富士山を見に行こう」と父親が言い始めて、連れて行かれました。
石丸: 空気薄かったでしょう?
井之脇: そうですね。そのときは車で登っちゃったんですが、体もあんまり慣れてない状態で。でもその経験が初めてだったのと、しかも富士山が見えて、目の前に広がった山の景色に圧倒されて……最高の思い出ですかね。
山本: 何か大変だったことはありましたか?
井之脇: 乗鞍はそんなに歩く距離が長いわけでもないので、逆にはしゃいでしまって、空気の薄さとか、山での歩き方がわからなかったので、父親に「もっとゆっくり歩きなさい」って言われたり……とかぐらいですかね(笑)。
石丸: そこにいたと‎き、ペットボトルが膨れたり、ぺちゃんこになったりしたでしょう?
井之脇: そうなりました! おかしの袋を持っていって、それがパンパンになっているのを初めてちゃんと見て、「こんなんになるんだ!」と思って(笑)。
石丸: 大学も行ったんだね?
井之脇: 大学も行きました。僕、日芸です(日本大学芸術学部)。
石丸: そうなの!? 後輩だ! ずいぶん離れているけどね。
山本: あら! 先輩・後輩なんですね。
井之脇: 僕は映画学科なんですけどね。
石丸: 僕は演劇学科。あそこは楽しいでしょう?
井之脇: 楽しかったですね。また山とは違いますけど、映画好きの仲間がたくさん集まって、みんなで朝まで語り合って……。
山本: 青春!
井之脇: 青春でしたね。
山本: いいですね!
大学のときも山に登っていたそうですね。
井之脇: 大学のときに仲良くなった子がもともと山岳部で、その子と出会って本格的に山に登り始めたんですよね。丹沢(たんざわ)とかによく行ってたんですけど。

学生時代の井之脇さん(左)

石丸: 丹沢のどこに?
井之脇: 丹沢は、鍋割山(なべわりやま)以外の、塔ノ岳(とうのだけ)、丹沢山、蛭ヶ岳(ひるがたけ)の3つを1日でピストンしました。
石丸: なんだって!? 丹沢ってなめたもんじゃない。最初の登りだけでも3時間くらいの急坂だったりするから……1日で行く所ではない。しかも3山行って……ということは蛭ヶ岳まで行って帰ってきたり?
井之脇: はい、蛭ヶ岳まで行って戻りました(笑)。
石丸: ときどきそういう人います。いますけど……9時間近くかかるでしょう?
井之脇: そうですね……、一応日が落ちる前に帰りましたけど。
石丸: いま僕だったら、2泊しますよ。えらい!(笑)。
井之脇: 18~19歳の若さもありましたし、いまは僕もキツイかもしれないです。
山本: 当時はガシガシガシって登って、スピード重視派だったんですか?
井之脇: スピード重視というか、そのころは立ち止まって景色を見る楽しみとかよりは、登ることに意味があるという考え方が強かったので、結構ガシガシ行けるとこまで……。最初は丹沢山まで行って戻るかな……ぐらいな感じだったんですけど、時間的に行けそうだから蛭ヶ岳まで行っちゃえと。
石丸: 若いと登っても息が上がらないからね。息が上がったとしてもすぐに整うから。18歳の僕と同じよ、ガシガシ派! 「どこにでも行っちゃえ!」って。
丹沢は山小屋があるから、いざというときはなんとかなる、という安心感はある。飛び込みでは行けないけどね。
山本: 若いってそういうことなんですね!
でもガシガシ登って、キツイのが嫌じゃないってことは、雨の日・風の日もガシガシ行っちゃうタイプですか?
井之脇: 山にいろいろ登るようになって、自分でもどれぐらいが危険かわかるようになってきたんで、自分の判断でやめとこうってときはやめますけど、雨でも危険じゃないと判断したら……。むしろ僕、役者をやらせてもらってるんで、日焼けとかあんまりできないじゃないですか?
山本: マスターいかがですか?
石丸: 耳が痛いです……(笑)。
井之脇: 日焼けできないから、雨のほうが意外と都合がよかったり(笑)。
山本: 普通、雨の日は「山はやめておこう」と思っちゃうけど、逆に「日焼けしないチャンスだ」ということですね。
井之脇: もちろん天気をちゃんと見て判断しますけど、小雨程度だったら行っちゃいますね。
石丸: 曇った日や雨の日は「チャンス!」って思っちゃう。そういうときって山の上は晴れたりするじゃない?
井之脇: そうですね、意外と。
石丸: そうしたら、すっごくうれしいよね。そのときに初めて日焼け止めを取り出して。
山本: 確かに役者さんはシーンがつながらないくらい日焼けしちゃったら、大変なことになりますよね。
石丸: 今は山に登る俳優さんやテレビに出てる人はたくさんいるけど、いまから15年以上前は今ほどではなかった。山は日焼けもあるけど、「危険だ」というイメージが強くて。だから登っちゃいけないって、直接言われることもあった。海で遊ぶ、山で遊ぶとか、スキー・スノボをはじめね……。いまはそんなこと言われないでしょう?
井之脇: そうですね。もちろんケガしないようにとは言われますけど、友達や仕事の方も理解ある方が多いですね。「気をつけて行っておいで」という。
石丸: 僕はナイショで登っていたんですよ。誰にも言わないで……だからリュックで仕事場にいくときに、駅のコインロッカーに預けたりして。
井之脇: なおさら日焼けできないですよね。
石丸: できない! 日焼けするなら全面ならいいけど、首の所に輪っかができていると……例えば時代劇はできないでしょう?(笑)。
井之脇: そうですよね(笑)。着物の襟元に赤い輪っか……。ダメですね。
山本: 「山、行っただろ!」って言われちゃう(笑)。
石丸: いまだったら「ゴルフしてきたろ!」ってなっちゃう。

ヒヤリハットした瞬間

山本: 山に登っていて、ピンチになったことはありますか?
井之脇: あんまりないんですけど1回だけ……NHKの番組で行ったんですけど、谷川岳(たにがわだけ)のほうで4泊5日の比較的長い行程で沢登りをしていたことがあって。下山は登山道を下りたんですけど、帰りはカメラを回していなくてちょっと油断していて……。岩だと思っていたら浮石(うきいし)で、踏んだ瞬間に左足が持っていかれて、気付いたら崖に下半身が投げ出されるような……一瞬のことで、踏んだ瞬間に記憶が一瞬飛んでいて、次の瞬間ちゃんと道にしがみついていたんですけど、あれはヒヤリとしました。
山本: ええ……! よかったですね、助かって……。
井之脇: 本当に怖いなと思いましたし、こんなにもあっさり……恐らく1秒もない時間ですけど、「危険なときって、一瞬で来るんだな」っていう怖さみたいなのは感じましたね。
石丸: 落ちたら結構なものだったね……?
井之脇: 崖といっても斜面みたいな感じでしたけど、ふだん浮石はめちゃめちゃ注意して歩いているので、そのときは疲れからかちょっと油断していて危なかったですね。
石丸: そういうことが、ときどき危なくない範囲であったほうが、大きな事故を起こさないで済むよね。ヒヤリハットだね。
井之脇: そうですね。石丸さんは何かありましたか?
石丸: あまり大きな声では言えないけど、僕は年中あるんだけど(笑)。海さんは自分のこと無謀だと思う?
井之脇: あんまり無謀だとは思わないですね。
石丸: やっぱり用意周到?
井之脇: そうですね。
石丸: 僕ね、どちらかというとちょっと無謀なほうなんだよ(笑)。だから隊長になれないタイプなのよ。ただ大きな事故はないし、ケガしたこともないし……だからその辺は慎重なんだと思うんですよ。
井之脇: ちょっとした危ないことがあったら気をつけますしね。
石丸: そうそう。だから僕はリュックにすぐにくわえて吹けるような笛を付けているよ。落っこちちゃって手をあまり動かせなくても、ピーッと吹けるような。そういえばあれ、山本さんにプレゼントしてもらったやつだ!
山本: そうでーす!
井之脇: すてきなプレゼント!

♪ピーッ!(マスターが笛を吹く)

山本: マスターそれを付けてくださっていたんですね。うれしい!
井之脇: 災害時や有事にも使えますからね。もっと広まってほしいですね。

山ではゆっくり仕事のことを考える

石丸: 山に行く苦労は何かありますか?
井之脇: ありがたいことにお仕事を忙しくさせてもらっているんで、山には1~2日の休みを見つけて行くのですが、さすがにお仕事の場で疲れた感じは出せないんで、めっちゃ筋肉痛でも平気な顔して行くことですかね(笑)。
石丸: そうだね、眠いのにね(笑)。
山本: セリフ飛んだりしませんか?
井之脇: 僕は山登っているとき、考えごとをしながら黙々と歩くのが好きだったりするので、山で仕事のこととか、考えるんですよ。
石丸: えっ! 考えるの!?
井之脇: 役のことで煮詰まったときとか、山に行って考えると、結構違った角度からひらめいたりして。
石丸: セリフも山の上で覚えたりする?
井之脇: 覚えているセリフを山で精査したりって感じですかね。さすがに台本を持って登りはしないので。ブツブツ言ったり、どうしようかな、と考えたり……。
山本: どういうふうに役を精査するんですか?
井之脇: 家の中で台本を覚えたり理解を深めるときは、机の前に座ったり、家の中でブツブツ言いながら歩くくらいですけど、山の広い空の下で台本も持っていない状態でブツブツ言いながら歩いていると、鳥の声が聞こえてきて、振り向いたときに“新しい間”が生まれたりとか。
あとは感覚的な話になっちゃうんですけど、新鮮な空気を吸いながらだとちょっと何か違う気がするんですよね。解放した気分の中で役を捉えられるというか。
石丸: いつも部屋の中でやっていると、そこから発想が出ていかないからね。
井之脇: いろんな役の台本を読んでいると、もちろん役と台本は違うんですけど、台本以外の景色は一緒なので、それが毎回変わるのはおもしろいかなと。
石丸: 家の中でずっとセリフを覚えて現場に行くと、現場ってセット全然違うわけじゃん? オープンエアの野原でやったりすることもあるわけで、そうすると覚えたものが、「これ違う……」って、「なぜこんなふうに覚えちゃったんだろう?」と、思うときがある。
井之脇: ありますね。
石丸: だから環境を変えるっていうのは大事かも……。しかも家の中と山の中は正反対だから。でも僕はね、山の中でセリフ覚えるのはできない。覚えられないの(笑)。
井之脇: 僕も山で覚えようとしているわけじゃないです(笑)。覚えたことだったり、役の内容をちょっと考え直すことですかね。
石丸: あ、そうかそうか。
山本: タイプはそれぞれですね。完全にお仕事と山を切り離すマスターのような人もいれば、海さんみたいに、役柄を考えながら登ってまた新たな切り口を見つける人もいる。
井之脇: 日常でちょっと嫌なことあったりするじゃないですか? それ山に行ってそのことを考え直すと、「まあいっか!」って思えてきたりとか、僕にとって山はいろんな考えごとをする場でもあります。
山本: リセット?
井之脇: リセットだったり、違った視点から……みたいな。

思い出に残る山小屋

山本: 思い出に残る山小屋はあります?
井之脇: 「黒百合ヒュッテ」という、八ヶ岳(やつがたけ)の天狗岳(てんぐだけ)辺りにあるんですけど、そこのご主人の米川さんにすごくよくしてもらって。一番最初、雑誌の取材でうかがわせていただいて、そのときに夜までお酒を飲んでいろんな話をしたんです。山であった怪事件から、どんな人が来たかって話とか、いろんな山の話をうかがって、それがおもしろくて、プライベートでもそのあと何度か行きました。
石丸: 季節をいろいろ?
井之脇: 雪がある年越しとかも行きましたし、夏にも行きました。
石丸: 小屋から天狗岳の頂上まで1時間。標高差で300メートルぐらいかな。標高で言うと2400メートルぐらいの所にある山小屋で、すてきな小屋なんですよ。

あ、待って! ピアノを弾くんだよね。ピアノあったでしょう?
井之脇: あれは触ってないですね。ときどき演奏会をしていますし、僕もあそこでちょっと弾けたらいいですね。
石丸: 実は僕、ちょっと前からピアノを覚えようとしていて、あそこで弾くために一生懸命やって、山小屋に行って弾いたの。へたくそだからなるべく人がいないときに(笑)。
山本: マスターと海さんでセッションしたらどうです?
井之脇: 黒百合でやるのいいですね。
石丸: ピアノは何歳から始めたって?
井之脇: 5~6歳ぐらい。
石丸: じゃあ普通に弾けるじゃない! 僕、楽譜もわかんないんだよ?
井之脇: 譜読みは慣れないと大変ですからね。
石丸: しかも僕の場合1曲しか弾けないから……。
井之脇: じゃあ僕も山で弾きたい曲を持ってくので、1曲ずつ弾きましょうよ。
山本: すばらしい! きっとお客さんも喜ぶと思います。
石丸: ちなみにテント泊もしていた?
井之脇: テント泊は去年からちゃんと始めて、ようやくマイテントを買いました。
山本: どんなテントですか?
井之脇: ULというウルトラライトのを。軽量化の意識が強くて、スリーポールテントで、2.5人が入れるサイズなのに、なんと重さが1.6キロぐらいなんですよ。
石丸: いま軽いんですよ。
山本: スリーポールって何ですか?
井之脇: テントを組み立てる支柱になるポール棒があるんですけど、基本はだいたい2本のポールをしならせて4支点にするんですけど、スリーポールで6個支点を作れるので、風にも強くて頑丈。
山本: なのに軽い?
井之脇: なのに軽い!
石丸: いま。1.6キロって言ったでしょう? その大きさだと昔は、7~8キロあったの。
山本: 全然違うんですね! それを去年買ったんですね。
井之脇: 去年買ってデビューして、さすがに冬は怖くて行けてないので、夏に練習して、ことしの冬に行きたいな~と。
山本: テント泊の良さって何ですかね?
井之脇: 自然の中で鳥の声とか聞きながら、星を眺めたりしながら寝られることじゃないですかね。
石丸: 薄~い幕1枚で、向こう側は自然……あれ不思議だよね。
井之脇: 不思議ですね……!

登る時は演じる役について考えることが多いという井之脇さん。一方で“役のことは考えない”というマスター。俳優ならではの会話で大変盛り上がりました。

番組では、写真や番組へのメッセージ投稿お待ちしております。また、最新の放送回は「らじる★らじる」の聴き逃しサービスでお楽しみいただけます。ぜひ、ご利用ください。


【放送】
2022/06/25 <石丸謙二郎の山カフェ>

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