登山道を整備して山に恩返し! ~トムラウシ山より~

23/09/23まで

石丸謙二郎の山カフェ

放送日:2023/09/16

#登山#ネイチャー

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登山を趣味とし、山を愛する石丸謙二郎さんが「山」をテーマに、さまざまな企画をお届けする<石丸謙二郎の山カフェ>。今回の「山からおはよう」は、北海道の中央にそびえるトムラウシ山です。この日は、登山道整備のイベントが開催されました。イベントを企画したきっかけを、主催者の岡崎哲三さんにうかがいました。

【出演者】
石丸:石丸謙二郎さん(俳優・ナレーター)
山本:山本志保アナウンサー
岡崎:岡崎哲三さん(大雪山山守隊 代表)

登山道の整備=植生の保護

石丸:
日本各地の山と電話をつないで、朝の空気をお伝えする「山からおはよう~!」。

山本:
けさは、日本百名山の一つ、北海道の中央にそびえるトムラウシ山(標高2,141メートル)です。大雪山(だいせつざん)国立公園のほぼ中央に位置していて、「大雪の奥座敷」ともいわれている、北海道屈指の名峰です。

石丸:
去年、ふもとで1週間、天気待ちをしたの。

山本:
登りたくて。

石丸:
登りたくて、トムラウシ山の計画を立てたけれど、最終的にダメだった。天気は難しいね。

山本:
きょうは、「たまには山へ恩返し」という、登山道を整備するイベントが行われます。参加の皆さんが、まさに今、登山口に集まっているようですよ。このイベントを企画した、北海道で登山道を守る活動をしている団体、「大雪山山守隊」の代表、岡崎哲三さんにお電話がつながっています。

石丸:
岡崎さん~おはようございます。

岡崎:
岡崎です。おはようございます。

石丸:
今は、どちらにおられるのですか?

岡崎:
今は、トムラウシ山の登山口です。樹林帯の中にある駐車場に車が止まっていて、目の前に参加者がいる状態です。

石丸:
まさに出発しようとしている時なんですね。

岡崎:
準備完了して「さあ、行くぞ!」というところですね。

石丸:
じゃあ、ちょっと手短に。今の天気と気温を教えてください。

岡崎:
天気は曇りだったのですが、だんだん晴れ間が出てきたので、きょうは晴れると思います。「半袖がちょっと肌寒いけれど」という荷揚げ日和になっています。

石丸:
荷揚げ日和?

岡崎:
きょうは木道を作るために、木材の荷揚げをします。全部で数百㎏の荷物をあげるので、一人、何十㎏かを持ちながら、山を登る日になります。

石丸:
皆さん、ザックというよりは、背負子(しょいこ)みたいなもので。

岡崎:
そうですね。

石丸:
その作業を詳しく教えてください。

岡崎:
トムラウシのルートは、ちょっと道が切り替わったところがあって、「カムイ天上」と呼ばれるところなんですけれど、この上のササ原を、新しく道にしました。この20年間で、道がドロドロになって、土がどんどん流れるようになってしまいました。今、岩盤が見えるようになってしまったところもあって、登山者も泥を嫌って、道ののり面を歩いて、また、それを水が流してしまう状態が大きくなったものですから、ちゃんと歩ける場所を作って、木も傷つけないようにするイベントをしようと思いました。

石丸:
登山者が歩きやすい=植生の保護、ということですかね?

岡崎:
そうですね。正直言って、登山道を崩してしまっているのは、私たち登山者ですから、できるだけ私たちが「登山道を傷つけないように」ということと、傷つけてなくなってしまった植物を戻したいんですよね。ちゃんとした場所に木道があって、土がたまってくると、植物が戻ってきてくれるので、直していきたいなと。山でいろいろ恩恵を受けている私たちは、”たまには山へ恩返し”をしたほうがいいのかなと考えています。

石丸:
今回は、何日間で、どれぐらいの距離ですか?

岡崎:
3日間で、200メートルぐらいの木道は整備できるかなと思っております。

石丸:
1日60メートルちょっと。

山本:
標高は、どれくらいの場所なんですか?

岡崎:
登山口が1,000メートルぐらいのところなんですけれど、だいたい1,200~1,300メートルぐらいのところをやろうかなと思っています。

山本:
何人ぐらいの方が集まっていらっしゃるのでしょう?

岡崎:
きょうは21人なんですけれど、3日間だいたい20人ずつ来てくれるので、トータル60人くらいでできるかなと思っています。

石丸:
それぞれが皆さん違う方。その方たちは、どういう方たちなのですか?

岡崎:
地元の山岳会の方もいらっしゃいますし、地元の山が好きな方もいます。あと、こういうイベントを目的に、札幌や旭川から来てくれる方もいます。

山本:
周りの皆さんの意気込みはいかがでしょうか?

岡崎:
木材がちょっと重すぎて、ぼう然としている方も多いんですけれど(笑)。

石丸:
そりゃそうだ(笑)。

山本:
ご苦労様です!

岡崎:
みんな、やる気があると思います。

山本:
どなたか電話を代われそうな方はいらっしゃいますか? 一言で結構です。

岡崎:
きょう初参加の方で、一言伝えてもらいますね。

石丸:
おはようございます。

参加者:
おはようございます!

山本:
初参加の方は、どちらから?

参加者:
東大雪山の近くから来ていまして、登山の方々に泊まっていただいているので、きょうはそのお礼、ということで、登山道の整備をやりたいと思います。

石丸:
宿泊所の方ね。ありがとうございます! みんなで「行くぞー!」とか、大声でやっていただけると助かります。

参加者:
みんなで「行くぞ」って言いましょうか。
……せーの!

参加者の方々:
「行くぞー!」。

山本:
聴こえた~!

石丸:
日本中で「お願いします」って、皆さんが頭を下げていると思います。

山本:
頑張って! ありがとうございます。
皆さんの声が、元気いっぱいでした。

石丸:
岡崎さん自身が、この整備を始めようとしたきっかけは?

岡崎:
自分も、山が好きで歩き始めました。山の仕事をする中で、どう考えても「傷つけているのは自分自身だな」と気が付いたときがあったんですね。「好きだけれど、傷つけているのはどうなんだろう?」と、悶々としていましたが、そのときに、登山道整備を知りました。自分でやろうとすると、認可や場所の整備など、お金もかかることも分かってきましたが、それを乗り越えて道を整備すると、ほかの人も使ってくれるし、傷つかない。それが分かったときに、「好きなものを守れるのはいいな」と思い、会社を興しました。

石丸:
山に対する、どういう気持ちなんでしょうかね?

岡崎:
自分はピークハントも好きなんですけれど、自分が施工したところ(登山道を整備したところ)を次の年に来てみると、植物が戻っていて……そっちのほうがうれしかったりしますね。そういうのも、楽しみの一つになるのかなと。

山本:
まさに"恩返し"という言葉がしっくりきますね。

石丸:
トムラウシ山の秋の紅葉は、どんな感じになるのか教えていただけますか?

岡崎:
本当は今の時期だったら、大雪山の高山帯の紅葉は、見事な時期のはずなのですが、ことしは暑さが残っていて、まだ冷え込みが来ていません。これから色がかなり良くなり、これからが見ごろかなと思っています。
特に1,800メートルを超えてくると、高山植物の庭園みたいなところがあって、すばらしい風景が広がっているところが紅葉になると、歩くだけで幸せになれる場所だと思っています。

山本:
「歩くだけで幸せになれる」。

石丸:
すばらしいね。
(今回の放送では)「タテの紅葉」と「ヨコの紅葉」なんて、無理やり分けているんですけれど、トムラウシ山はどっち派ですかね?

岡崎:
完全に広がりがあるほうだと思います。トムラウシ山の山頂に行くと、大雪山の中央部にある山なので、いろいろな山が見渡せます。旭岳(あさひだけ)・日高連峰(ひだかれんぽう)・十勝岳(とかちだけ)が見渡せるので、広がりを見る山だと思います。

石丸:
ヨコの広がり派だ! 紅葉の海!

山本:
これからいよいよ、活動を開始されますが、これから目指される方、登山する方へのメッセージをお願いいたします。

岡崎:
登山ということで言うと、大雪山にぜひ行っていただきたいんですけれど、今の時期、天候が悪くなると、下手するとふぶくんですよ。過去に、高山帯で9月20日ごろに積雪がありました。今は猛暑の残りがありますが、フリースやダウンなどを持っていき、防寒対策をバッチリにして来ていただきたいなと思います。

山本:
今回の岡崎さんの話を聞いていて、すごく活動に興味を持ったのですが、参加してみたい方はどうすればいいのですか?

岡崎:
「登山道整備イベント」という形で調べていただくと、大雪山だけではなく、北アルプスでも南アルプスでも、いろいろな場所で整備イベントを開く方が増えてきたので、ぜひ参加していただきたいです。いろいろな登山のジャンルがある中で、自然を守ることも、一つのジャンルになると思うくらい面白いことなので、そういうことに興味を持っていただければと思います。

石丸:
「いざ出発」という直前に、本当にありがとうございました。きょうは皆さん、重いものを抱えていらっしゃるから、気をつけてくださいね。

山本:
皆さんのご活躍を期待しています。ありがとうございました。


番組では、写真や番組へのメッセージの投稿をお待ちしております。また、最新の放送回は「らじる★らじる」の聴き逃しサービスでお聴きいただけます。ぜひ、ご利用ください。


【放送】
2023/09/16 「石丸謙二郎の山カフェ」

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