登山を趣味とし、山を愛する石丸謙二郎さんが「山」をテーマに、さまざまな企画をお届けする<石丸謙二郎の山カフェ>。今回の「山からおはよう」は、北アルプス、乗鞍岳(のりくらだけ)にある乗鞍 白雲荘(はくうんそう)から。高山の花々やライチョウ、絶景の眺めなど、乗鞍岳と小屋の魅力をうかがいます。
【出演者】
石丸:石丸謙二郎さん(俳優・ナレーター)
山本:山本志保アナウンサー
小林:小林正直さん(乗鞍 白雲荘 支配人)
登山を趣味とし、山を愛する石丸謙二郎さんが「山」をテーマに、さまざまな企画をお届けする<石丸謙二郎の山カフェ>。今回の「山からおはよう」は、北アルプス、乗鞍岳(のりくらだけ)にある乗鞍 白雲荘(はくうんそう)から。高山の花々やライチョウ、絶景の眺めなど、乗鞍岳と小屋の魅力をうかがいます。
【出演者】
石丸:石丸謙二郎さん(俳優・ナレーター)
山本:山本志保アナウンサー
小林:小林正直さん(乗鞍 白雲荘 支配人)
石丸:
日本各地の山と電話をつないで朝の空気をお伝えする「山からおはよう~!」。
山本:
けさは、北アルプスの南部、長野県と岐阜県にまたがる山、乗鞍岳からの「おはよう」です。乗鞍岳は、23の山の総称で、最高峰は剣ヶ峰(けんがみね)。標高は3,026メートルです。山岳道路が上のほうまで通っていて、ライチョウや高山植物の花々といった、雲の上の世界を手軽に楽しめる山として知られています。
石丸:
僕も3年前の夏に行きましたよ。マイカーでは行けなくて、シャトルバスに乗って、畳平という標高2,700メートルのところまでバスで行くのですが、岐阜県側は通行止めになっちゃっているんだよね。
山本:
今シーズンは、長野県側のエコーラインのバスは運行中ですが、岐阜県側のスカイラインは、道路が一部崩落したため、通行止めですので、お気をつけください。
今回、お電話をつなぐのは、バスの終点、登山拠点の畳平に立つ山小屋「乗鞍 白雲荘」です。70年以上の歴史のある小屋で、50人ほどが宿泊可能です。けさは、支配人の小林正直さんに、お電話がつながっています。
石丸:
小林さ~ん! おはようございます。
小林:
おはようございます。
石丸:
そちらは、たしか、池のほとりでしたよね?
小林:
鶴ヶ池という池があるのですが、それから見渡せる小屋の前のテラスからお話をしています。
石丸:
お天気はいかがですか?
小林:
見事な快晴となっております。
石丸:
気温はどれぐらいでしょう?
小林:
けさは9度ほどだったのですが、今は日ざしが当たって12度となっております。
石丸:
涼しい~!
小林:
標高が2,700メートルを超えますので、澄み渡った見事な青空となっておりますね。
山本:
どんな山々が見えるのですか?
小林:
小屋の周りは、乗鞍火山となっておりまして、富士見岳・不動岳・大黒岳といった外輪山に囲まれておりますので、山々が目の前に迫る迫力で見られるようになっております。
石丸:
バスで一気に2,700メートルまで上がると、「空気薄い!」と思うんですよ。小林さんは、ずっとおられるとあまり感じないですか?
小林:
空気は平地に比べて3分の2程度で、高山病になられる方は多いのですが、われわれ何十年もここにいると、順応して変わっておりますので、むしろ、山の上じゃないと調子が悪くなります(笑)。
石丸:
下界に下りるとつらい?
小林:
この時期は、下りると数秒で倒れそうになります(笑)。
山本:
気温も違いますもんね。
乗鞍には、どんな花がありますか?
小林:
植物に非常に恵まれておりまして、その中でもこの周辺は、コマクサやミヤマクロユリの大群落。本州屈指の規模になっておりまして、見事です。あとは、ハイマツの大海原、おそらく本州一番ですね。
石丸:
ということは、例の鳥はいますか?
小林:
ライチョウもたくさんいますし、この時期は、松ぼっくりがなっていますので、ホシガラスが、見渡す限り飛び回っているような時期となっておりますね。
山本:
松ぼっくりが好きなのですか?
小林:
この時期、高山帯に訪れる動物は、松ぼっくりをより所としていますので、松ぼっくりを運ぶ鳥や食べている鳥を一日中見ることができて、おもしろいですよ。
山本:
観察ガイドの養成の講習会も、そちらの小屋でやっていらっしゃるそうですね。
小林:
自然環境豊かで、野生生物も多い場所ですので、野生生物にストレスを極力与えないような観察方法のレクチャーですとか、サステナブルの観点で、動物福祉の講習会も、こちらの小屋で行っています。
石丸:
今、目の前に鶴ヶ池が見えるんですよね? 水深はどれぐらいなんですか?
小林:
元々は外輪山の火口だったんですけれども、かなり埋まってきております。特にことしは渇水でして、例年よりも(池が)小さくて、3~4メートルぐらいの水深になっていますね。
真ん中にあるのが「鶴ヶ池」
例年ですと雪どけも遅くまで残っているのですが、ことしはかなり雪どけが早くて、今は水たまりみたいな感じになっていますね。
山本:
元々はどれぐらいの大きさなんですか?
小林:
かつては噴火口の跡地で、周りからの侵食で埋まってくるのですが、「鶴ヶ池」と名付けたころは、ツルの形が見えるぐらいでした。最近はツルの首の部分が現れることがないくらい、周りの浸食で埋まってきていますね。今は直径で20~30メートルくらいの池となっていますね。
石丸:
でも美しさは。
小林:
きれいです。小屋の前から星も見えますし。
石丸:
星! そちらに泊まると、夜はどんな感じですか?
小林:
先ほどもお話ししましたが、外輪山に囲まれているので、市街地の光害をほとんど受けないんですね。空に広がる星空、天の川もそうなんですけれども、真っ暗な空に浮かぶ星が見事に見えます。
山本:
乗鞍の最高峰、剣ヶ峰までは、そちらの小屋からどれくらいで行けるのでしょうか?
小林:
片道1時間半~2時間ぐらいとご案内しております。
山本:
3,000メートル峰の剣ヶ峰を片道1時間半~2時間というのは、いい感じの時間ですね。
小林:
植物など自然が豊かですので、時間に余裕を持って、ゆっくり登られる方が多いですね。
山本:
動物の生態などを知らせる掲示物っていうんでしょうかね? お手製で作っていらっしゃるそうで。
小林:
ツキノワグマの解説や、ライチョウの生態解説なんかもあります。自然観察というのが、自然公園の価値として大事なことであると考えていますので、毎年、スタッフたちと研究しながら、実際に調べた知見をバージョンアップしながら作って貼っていくという、ビジターセンターのような取り組みになっていますね。
石丸:
クマも出るんですね。
小林:
クマは出るというよりも、生息地になっておりますので、夏の間は探して歩けば見つけられるほど観察しやすい場所となっております。
石丸:
さて、小屋と言えば夜の食事ですね。何がいただけるのですか?
小林:
好評いただいておりますのは、名物、「飛騨牛のすき焼き」ですね。
山本:
え! 高級な料理が出るんですね。
小林:
道路がありますので、食材を上げるのは、他の山小屋よりも優位でして、「地元の食材をふんだんに」ということをやっております。
石丸:
すき焼きともなれば、ちょっとクイッと一杯やりたいものなんですけど、そういうのもあるんですか?(笑)。
小林:
こちらで「越冬酒(えっとうしゅ)」を造っております。
石丸:
「越冬酒」って何でしょう?
小林:
低温熟成で寝かせて作るお酒ですね。こちらでは標高2,700メートルの場所で、秋に仕込んでひと冬寝かせて蔵出ししております。
石丸:
そちらで越冬させているんですか?
小林:
そうです。
石丸:
それって凍らないんですか?
小林:
お酒自体、アルコール度数も高くて糖度も高いので、かなりの低温でなければ凍らないんですけれど、この辺ですと、マイナス30度ぐらいまで下がってはいますが、急激な温度変化がないように、保温箱に入れて、春に蔵出しをしております。
石丸:
それはうまそうだな!
山本:
やはり、寝かせると味は違うのですか?
小林:
そうですね。越冬させることによって、まろやかになって、おいしく仕上がります。
山本:
地元のものを大事にしていらっしゃるそうですが、お米も、天日干し米を使っているとうかがいました。
小林:
乗鞍のふもとで育てたお米を、昔ながらの天日干しで提供させてもらっております。
山本:
ますます行きたくなりました!
これから、乗鞍の秋の楽しみはどんなことがあるのでしょうか?
小林:
9月は紅葉が見ごろを迎えてくる時期となっていますので、ゆっくりと紅葉を見ながら楽しんでいただければなと思います。
石丸:
秋の乗鞍、しびれますね!
最後に、白雲荘をどんな場所にしていきたいですか?
小林:
私たちは、この山の文化の発信、ビジターセンターのような存在を目指していきたいと思っております。
山本:
ライチョウの観察のハンドブックも作っていらっしゃるそうで、積極的に取り組んでいらっしゃいますよね。
石丸:
「宿泊できなくても、ちょっと立ち寄ってね」というお話ですよね。
小林:
ぜひお待ちしております。
石丸:
小林さん、ありがとうございました!
小林:
ありがとうございました。
山本:
乗鞍岳の登山拠点、畳平までは、岐阜県側の道路は今シーズン、閉鎖中です。長野県乗鞍高原からシャトルバスが運行しております。秋にお出かけの計画がある方、ご注意ください。けさは北アルプス乗鞍岳にある山小屋、乗鞍 白雲荘からの「おはよう」でした。
番組では、写真や番組へのメッセージの投稿をお待ちしております。また、最新の放送回は「らじる★らじる」の聴き逃しサービスでお聴きいただけます。ぜひ、ご利用ください。
【放送】
2023/08/26 「石丸謙二郎の山カフェ」
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