登山を趣味とし、山を愛する石丸謙二郎さんが「山」をテーマに、さまざまな企画をお届けする<石丸謙二郎の山カフェ>。今回のテーマは「地図の楽しみ」。お笑いコンビ「火災報知器」の小林知之さんがご来店。小林さんは、芸人活動の一方で地図会社に勤務するほどの地図マニア。地図からみて「この山たまらん!」と思った3つの山を教えてもらいました。
【出演者】
石丸:石丸謙二郎(俳優・ナレーター)
山本:山本志保(NHKアナウンサー)
小林:小林知之さん(お笑い芸人)
登山を趣味とし、山を愛する石丸謙二郎さんが「山」をテーマに、さまざまな企画をお届けする<石丸謙二郎の山カフェ>。今回のテーマは「地図の楽しみ」。お笑いコンビ「火災報知器」の小林知之さんがご来店。小林さんは、芸人活動の一方で地図会社に勤務するほどの地図マニア。地図からみて「この山たまらん!」と思った3つの山を教えてもらいました。
【出演者】
石丸:石丸謙二郎(俳優・ナレーター)
山本:山本志保(NHKアナウンサー)
小林:小林知之さん(お笑い芸人)
石丸:
石丸謙二郎の山カフェ。けさのテーマは「地図の楽しみ」。地図地理に詳しい、お笑いコンビ「火災報知器」の小林知之さんが地図を眺めていて発見した「この山たまらん!」の3つを教えてもらいましょう。
小林:
地図を見ると「こんなところがあるんだ!」と思って、ワクワクしたところをご紹介できたらなと思います。
1つ目は「盲腸みたいになっている場所」です。
山本:
どういうことですか?
小林:
ぴょこっと横に広がってるイメージなんですけど、飯豊山(いいでさん)という山形県と福島県と新潟県にまたがる山です。
石丸:
「飯豊連峰」と言って、皆さん縦走して楽しんでいるとてもいい山なんだけど、それが盲腸? どういうことだろう?
小林:
山は県境にあるところが多いのですが、この飯豊山は地図で見ると、新潟県と山形県に挟まれているんですけど、その“挟まれた部分”が福島県なんです。
山本:
福島県が挟まれているというのはどんな感じなんですか?
小林:
飯豊山の山頂付近が細長く福島県になっているのですが、両サイドは新潟県と山形県なんです。
石丸:
つまり、福島県の領地なのね。
小林:
そうです。道が福島県みたいなものです。
石丸:
飯豊山から福島県三国岳(みくにだけ)のほうに連なる山のりょう線がある。その幅でいうと50メートルぐらい?
小林:
特に狭いところだと1メートルぐらい。
石丸:
1メートルぐらい!
小林:
そうなんです。もともと神社に向かう登山道のところが福島県として残されているので、実際現場に行くと、左足は新潟県、右足は山形県、股の下が福島県というのができるんですね。
石丸:
本当に?!(笑)。
知らなかったな~!
小林:
知らないまま歩いていると、なんてことないただの細い道なんですけど、地図上で見ると「ここが福島県なんだ」というのがわかります。地図で見ないとわからない。
山本:
なぜ細いところだけ福島県?
小林:
神社に向かうための道で、神社が福島県のものなので、飛び地にしないで道も福島県のものとして制定されたという形ですね。
石丸:
2番目は?
小林:
2番目は、「九州の開聞岳(かいもんだけ)」です。開聞岳は富士山のように独立峰なんですけど、等高線が人工で作ったようなきれいな等高線でして、バームクーヘンみたいな形をしているんですね。実際、横から見てもきれいな形なんだなと思いますが、地形図を見ると、「こんな丸なことあるか?」というぐらい“丸”なんですね。
石丸:
ほんとだ! 開聞岳を地図でまじまじと見たことなかったな。等高線いくつある?
小林:
きれいに数えられる。きれいに1個ずつをぐるぐるぐるぐる回っているところはなかなかないので。
山本:
等間隔に等高線があるって美しいですね。
小林:
人工で作ったら「やりすぎだろ」ってたぶん思っちゃうようなものが自然にできているというのが。
石丸:
開聞岳は登りました?
小林:
僕は登ってないです……! 見る専門なので(笑)。
石丸:
きれいな同心円に見えるでしょう? 実際に見てみると、微妙に形が違う。この山は確か、2回にわけて噴火してできた山で、ほんのちょっとだけ“肩”みたいなところがある。
小林:
地図にもちょこっとだけ“肩”みたいなところが……。
石丸:
そうそうそう。この左側のところ。ここに“肩”があるんですよ。
小林:
こういうところを見ると、山は生き物というか、成長しているんだなという。
石丸:
地図にもちゃんと出てるね。
小林:
探偵みたいな気持ちになるんですよ(笑)。
山本:
こうして天然の山を改めて確認するというか、答え合わせ占いみたいなおもしろさがあります。
小林:
登って帰ってきて、もう一回地形図見ると、「あそこ、こうなってたんだ!」というのが。これが楽しいのですよ。
石丸:
小さなものに気づくのよ。例えば登山道も途中でほんの小さな曲がりが表現されていたりする。「そういえばここでストックを踏み外したんだ」とか、そういうことを思い出すんだよ。
小林:
僕も少ししか登ったことないですけど、下山したときにちょっとお酒を飲みながら地図を見返すと、登った時間の倍ぐらいたってますね。低山なんですけど、「ここは険しかったな」って(笑)。
石丸:
楽しいでしょう?
小林:
楽しいですね~!
山本:
地図でこの山を見るとたまらん! 3つ目は?
小林:
3つ目は「とんでもなく長いものがあった」、というものです。山って登ったりすると最後、階段だったりするじゃないですか? 階段も地図記号としてあるんですけど、地図記号の階段が“日本一長い”ところがありまして。
石丸:
それはどこにある?
小林:
熊本県の八代市にある寺院なんですけど、大行寺山(だいぎょうじやま)というところにある遊歩道ですね。
石丸:
標高でいうと?
小林:
山自体は957メートルですね。
石丸:
1000メートル満たない。そこにある石段? 何段あるんだろう?
小林:
3333段ありまして。
石丸:
金比羅山(こんぴらさん)でも1368段。そんなに?!
小林:
それが地図にはあらわれてるんです。
石丸:
地図を見ましょう……ええ~?!
小林:
こんなに階段を上らなきゃいけないのかいって思うと、行くのが……。
山本:
ファスナーのようにチチチチッと……長いですね。
小林:
僕はこれを見て登りたいとは思わないんですけど(笑)、チャレンジはしてみたいなと。
石丸:
ここに高校があって野球部があったら……。
小林:
いや~大変でしょうね(笑)。往復だと6キロですからね。
石丸:
ここも行っていない?
小林:
行ってないですね。でも地図をもし見てなかったら、「50メートルぐらいで終わるだろう」と思いながら登り始めるじゃないですか? まさか3キロも階段が続いてると思わないで登っちゃうと思うんですよ。
石丸:
この間、僕の田舎の大分県に400段ある山を登ったのよね。400段でも息がしんどかったよ。それを3333段!
これは尾根に階段がついているの?
小林:
見るとそうですね。なので景色はいいかもしれないですね(笑)。
石丸:
さらされて怖いよ? でも針葉樹と広葉樹が生えているな。植林地なのかな?
小林:
植林地かもしれないですね。だから花粉症の方は要注意ですね。
山本:
これを見て小林さん的にはどうですか? 恐怖に打ち震えつつか、感動しつつかわかりませんが。
小林:
今みたいに「これ尾根だね」という話をされると、ただ階段だけの景色から、ぱっと両わきが開けた感じになり、「針葉樹と広葉樹が生えてる」というので、急に横に何にもない景色にポンポンポンと木が生えてくるので、階段を登っていても、もしかしたら楽しいかもなと、想像の景色に色づいていく感じですね。
山本:
なるほど!
石丸:
楽しみが出てきた。
地図を見て尾根なのがわかったり、周りを見て村があったり、湖みたいなのがあるとか、こういうことを見るのが地図の楽しみなんだよな。
小林:
地図からそうやって読み解くというか、自分で見つけていく楽しさが。
石丸:
昔、山登り始めたときに鉛筆を持って影をつけていった。例えば朝の光だったら、「この山どういう影がつくだろう?」ってずっと塗っていくんだよね。そうすると立体的になる。崖もわかるし、谷なのか尾根なのかもわかるし、実際それを持って山の中に行って照らし合わせるとほぼ合ってたりする。これはやりました?
小林:
スイスの登山マップにそのような作り方の登山マップがあるのですが、マスターはそれを自身で作った。
影がつくと立体になるのはわかってはいるんですけど、実際そうやって自分でやっていこうとはなかなか。
石丸:
今度やってみよう。
小林:
等高線をただひたすらなぞるのはやるんですけど、影をつけるのはちょっとやってみたいですね。
石丸:
「地図ってこんなにすばらしいものだよ」と伝えるために何かしたいことあります?
小林:
地図があんまり興味ない方にも、ワークショップなどで地図って楽しいんだよと。マスターみたいに地図が好きな方とか、実際に登っている方と一緒におしゃべりして、「地図って楽しいんだ。おもしろいものなんだ」というのを知ってもらう活動をしたいです。
そもそも地図が好きとか嫌いというジャンルに入ってない方がたくさんいらっしゃるので、地図を知ることで楽しみが増えるんだよ、わくわくするんだよというのを伝えることをしていきたいなと思っています。
石丸:
次回は山に2人でどっさり地図を持っていきますか。
小林:
ぜひ地図持参で。僕は山の上で地図を見る機会がなかなかないので、山の上で見てみたいです。
石丸:
ありがとうございました。
番組では、写真や番組へのメッセージ投稿お待ちしております。また、最新の放送回は「らじる★らじる」の聴き逃しサービスでお楽しみいただけます。ぜひ、ご利用ください。
【放送】
2023/06/03 「石丸謙二郎の山カフェ」
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