潮風とみかんの香り漂う、風の山 「嵩山」

23/05/27まで

石丸謙二郎の山カフェ

放送日:2023/05/20

#登山#ネイチャー#ローカル

午前8時台を聴く
23/05/27まで

午前8時台を聴く
23/05/27まで

午前9時台を聴く
23/05/27まで

午前9時台を聴く
23/05/27まで

登山を趣味とし、山を愛する石丸謙二郎さんが「山」をテーマに、さまざまな企画をお届けする<石丸謙二郎の山カフェ>。今回は山口県、周防大島(すおうおおしま)にある嵩山(だけさん)。絶景や山の名物などについて、周防大島観光協会の事務局長、江良正和さんに教えていただきました。

【出演者】
石丸:石丸謙二郎(俳優・ナレーター)
山本:山本志保(NHKアナウンサー)
江良:江良正和さん(周防大島観光協会 事務局長)

四国の山と瀬戸内の島々が見渡せる

石丸: 日本には、およそ1万4000の島があります。その中から毎回、1つの島の山をピックアップする「アイランドピークス」。そこに住む方や、ガイドの方などに、魅力や自然の楽しみ方、絶景や山の名物などについて教えていただきます。
山本: このアイランドピークスで扱う島山は、日本離島センターが2016年に選定した、「しま山100選」から選んでいます。さて、マスター今回は……?
石丸: 山口県、周防大島にある嵩山です。
山本: 行ったことあります?
石丸: ないですね。いつも九州に向かうときに飛行機に乗って、一番左側の席でガラスに顔をピタッとつけていると、瀬戸内海の島が見えるんです、その中にひときわ大きな島がある。そこが周防大島。
山本: では、嵩山がある周防大島についてご紹介しましょう。山口県東部にある、瀬戸内海で3番目に大きい島です。島と周囲に浮かぶ5つの有人島と25の無人島からなりまして、本島の海岸線で測るとおよそ100キロ。人口は1万4000人ほどです。周防大島には600メートル級の山が4座あります。その中で東に位置しているのが今回ご紹介する嵩山です。

石丸: 写真見みると、こんもりとした、おまんじゅうをぎゅっと持ち上げたような……形がとてもいい!
山本: その嵩山、どんな山かうかがいましょう。
周防大島観光協会に勤めて15年、事務局長の江良正和さんとお電話がつながっています。
石丸: 江良さん~おはようございます!
江良: おはようございます。江良です。
石丸: お元気そうな声が聴こえてきたぞ。いつも「山カフェ」をお聴きくださっているみたいで。
江良: はい、毎週土曜日の朝の楽しみです。
石丸: うれしいですね!
まずはこの周防大島について教えてください。
江良: この時期は非常に海も穏やか。まさにベタなぎといった感じで、鏡のように美しい海がぱっと広がってます。
石丸: さすが瀬戸内海。
江良: 気温も天気がいいと25度くらいまで上がります。
山本: 特産はあるんですか?
江良: 周防大島は「みかんの島」として親しまれていて、みかんをはじめとしたかんきつ類の産地として、特に山口県内では親しまれております。
石丸: 瀬戸内といえば、みかんとレモン。
江良: 山口県のみかん生産量の8割をこの島が担っています。
石丸: そうなんだ!
江良: ちょうど大型連休ごろから、2センチくらいのみかんの白いかれんな花が咲いて、嵩山のふもとにもみかん畑が広がってまして、今も甘酸っぱいさわやかな香りが漂っています。
石丸: 周防大島は海外とも何か関係があるんですって?
江良: 実はハワイと非常に縁が深い島でして、さかのぼること明治時代に、約4000人もの方々がハワイへ移り住んだことから、カウアイ島と姉妹縁組を締結してことしで60周年を迎えます。夏になれば、アロハシャツを正装として衣がえをします。
石丸: 皆さん着ているんですか?
江良: そうなんですよ。夏になるとアロハシャツが正装でドレスコードです。
石丸: ということは役場の方たちも?
江良: はい。今では高校生が制服として着用するまでになっています。
いろんな団体であったり、お店の店主さんであったり、みんなアロハシャツに着替えてます。
石丸: いいな!
さて、その中で嵩山ですよ。どんな山ですか?
江良: 嵩山は標高が619メートルで、山容が美しいことから「大島富士」。ご当地富士として愛されています。
石丸: 確かに写真を拝見すると富士山型ですね。
江良: 山頂付近まで県道が続いてますので、車でアクセスも可能なんですが、岩屋権現(いわやごんげん)という、大きな奇岩(きがん)があるところに登山口があります。この登山口から山頂までの標高差はおよそ200メートル程度で、約40分で山頂に到着できますので、われわれとしてはぜひ軽ハイキングで山頂を目指していただければと思います。
山本: 今回、嵩山をより身近に皆さんに感じていただこうと、江良さんが嵩山で取れた音を送ってくださいました。どんな音なのか聴いてみましょう。

♪山頂付近で吹いている風と鳥の鳴き声

山本: これは風の音?
石丸: ウグイスも聞こえてきましたね。
江良: 嵩山の山頂は風が強くて、ハンググライダーやパラグライダーのフライトポイントが設置されています。まさに風の山といった感じですね。600メートル峰の中でも、嵩山は特に風がよく通る山です。
石丸: パラグライダーはそこで飛んでいるんですか?
江良: そうですね。昨今、スカイスポーツを楽しまれる方が減ってきましたが、盛んな時期もございまして、「スカイカップ」という大会が開催されてきました。
石丸: 晴れた日の展望台からはどんな景色が見えます?
江良: 360度、瀬戸内ならではの多島海のパノラマが広がっています。瀬戸内海は大きな島から小さな島まで、ひょっこりひょうたん島みたいにありまして(笑)、穏やかな海に島が大小浮かんでいるのですが、ここに暮らす私たちからすると当たり前の景色なんですが、ほかの地域から嵩山に登った方々からは「すごい景色だね」と、ほめていただくことが多いです。
本州側も四国側も嵩山からは望めるんですが、特に南側の四国側を望んだ時ときに絶景が広がっていまして、石鎚山(いしづちさん)まで望めますね。
石丸: どんな風に見えます?
江良: 四国山地がびょうぶのように向こう側に広がって、手前には瀬戸内海の大小の小島が浮かんで……という独特の風景が広がっています。

石丸: そうか、瀬戸内の水平線のところに壁が並んでるんだ。
江良: そうですね。
石丸: しかも1900メートルクラスの壁が。
江良: なので壮観ですね。
石丸: その景色って日本にあまりないですよね。
江良: あまりお目にかかることがないと思います。
山本: 見にいきたい!
空気が澄んでいると、その景色が見られるんですか?
江良: 春は結構かすんでしまうことが多いのですが、空気の透明度が上がってきて、特に冬の空だったりすると、くっきり四国の山が見える日がありますね。
石丸: 見てみたい。
江良: ぜひご覧いただきたいです。

4つの山のりょう線を楽しめるトレイル「瀬戸内アルプス」

石丸: 山に登りたいのですが、600メートルの山が4つあるようで?
江良: 実は嵩山のほかに、約600メートル級の4つの山のりょう線を楽しめるトレイルがございまして、これが「瀬戸内アルプス」という愛称で呼ばれています。
石丸: どれぐらいの感じですか?
江良: 16キロ4座を踏破いただくと、総距離16キロぐらいで、トレイルを楽しむには最適な距離じゃないかと思います。
石丸: いい感じの日帰りで。
江良: 東の嵩山を起点にしていただいたり、西に文殊山(もんじゅさん)という山があって、どちらかを起点にしてT字型のトレイルになっておりますので、ピストン縦走楽しんでいただくというコースになってます。
石丸: 嵩山が一番高いんですか?
江良: 実は嵩山はこの中では低いです。ただ、姿がとても美しいし、一番地元の皆さんが親しんでいるということで、いかにも主峰のように思われがちなんですけど、この4座の中では一番低い山なんです。
石丸: あら、おもしろいですね。
山本: 江良さんにとって嵩山はどんな場所ですか?
江良: 僕は周防大島の高等専門学校に通っていたのですが、卒業後に会社員として横浜で11年間過ごして、ネットを活用した地域づくりというものに興味を持って、2004年に家族とともに周防大島へ帰ってきました。現在、登山を趣味にしているのですが、嵩山をはじめ、なじみ深い山が身近にあったことが趣味を始めるきっかけになっています。
石丸: 手ごろな山がぽこぽことあって。
江良: そうですね。あとは、みかん収穫の手伝いでふもとに行ったりとか、とにかく身近だったので、都会生活の中ではなかなか気づかなかったような自然に触れるということに改めてひかれていきました。本当に嵩山に感謝ですね。

みかんを皮ごと鍋に! 名産「みかん鍋」

山本: 嵩山界わいで名産の食べ物はありますか?
江良: 先ほどからみかんの話をさせていただいてますが、実はこの周防大島、みかんの島ならではのご当地鍋「みかん鍋」というものがございます。
石丸: みかん鍋?
江良: 直径5センチぐらいの本当に小さな2Sサイズのみかん、これを鍋用みかんということで、安心安全面に留意して、なおかつ「これは鍋用ですよ」ということで、「鍋奉行御用達」という焼き印を一つずつ押して、それを瀬戸内の海鮮鍋にプカプカ浮かべてます。
石丸: 一つだけ?
江良: 人数分で。4名のよせ鍋であれば、4つ食べます。
石丸: ということはみかんを食べるんですか?
江良: 「大丈夫かよ」って思われるのですが、実は皮ごと召し上がれます。皮がとてもうすいので、キンカンみたいな風味ですね。すごく熱くなっているので一回冷まして、雑炊に行く前にお口直し的な感じで食べます。お寿司のガリみたいな感じですね。
石丸: みかんのだしが出ますよね?
江良: 香りぐらいですね。皮をむいてないので。
特徴的なのが、柚子こしょうならぬ、みかんこしょうというものが薬味にあります。これがだしの特徴になっています。
山本: インパクトがある!
江良: 鍋とかんきつは相性抜群です。安心して召し上がっていただけます。
山本: 山の上でも鍋をいただくことができます?
江良: テイクアウトも可能なので、クッカーを持ってお鍋にして、山頂で召し上がっていただいたり、それこそお元気な方は、土鍋を担いで上がっていただくのもよろしいかと思います。
石丸: そんなに有名なんだ。
江良: そうなんです。おかげさまで。
石丸: インパクトがあったな。初めて聞いたね、みかん鍋。
江良: みかん鍋、嵩山ともどもご愛好いただけましたら幸いです。
石丸: 最後に江良さんが嵩山にキャッチフレーズをつけるとしたら何でしょう?
江良: 潮風とみかんの香り漂う、風の山「嵩山」。
……ということで、皆さんにお見知りおきいただけたらと思います。
石丸: その心は?
江良: 瀬戸内海、潮風が心地よい島だと思いますので、登るたびにさわやかな気持ちにさせてくれます。
石丸: みかんならではのね。しかも潮風を味方につけて。
江良さん、ありがとうございます。みかん鍋だけでも行きたくなりました(笑)。
江良: みかん鍋にすべて持っていかれた感じがしますが(笑)、嵩山も瀬戸内アルプスもすばらしい山です。ぜひ皆さんお楽しみいただければと思います。
石丸: ありがとうございました。
山本: 周防大島へのアクセスをご紹介しましょう。大島大橋を渡って車で行くことができます。または愛媛県の三津浜港からフェリーで90分ほどで島に着くことができます。
「アイランドピークス」、きょうは、山口県周防大島の嵩山をご紹介しました。

番組では、写真や番組へのメッセージ投稿お待ちしております。また、最新の放送回は「らじる★らじる」の聴き逃しサービスでお楽しみいただけます。ぜひ、ご利用ください。


【放送】
2023/05/20 <石丸謙二郎の山カフェ>

午前8時台を聴く
23/05/27まで

午前8時台を聴く
23/05/27まで

午前9時台を聴く
23/05/27まで

午前9時台を聴く
23/05/27まで

この記事をシェアする

※別ウィンドウで開きます