惜別!近鉄特急12200系スナックカー 「彼」と歩んだ鉄道マン人生

21/03/08まで

鉄旅・音旅 出発進行!~音で楽しむ鉄道旅~

放送日:2021/03/01

#のりもの#鉄道#トラベル#ローカル

ざっくりいうと

  • 鉄道好きの芸能人・著名人たちが、
  • みんなに聴いてほしい“究極のてつおと”をセレクト!
  • 今回は近畿日本鉄道の名物広報・福原稔浩さん!

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21/03/08まで

音で鉄道の楽しさや、鉄道の旅の魅力を伝える、ラジオならではの鉄道番組「鉄旅・音旅 出発進行!~音で楽しむ鉄道旅~」。

鉄道好きの芸能人・著名人たちが、みなさんに聴いてほしい“究極のてつおと”をセレクト! その音と“こだわりっぷり”を、リレー形式でお届け! 今回は近畿日本鉄道の広報 福原稔浩(ふくはら・としひろ)さん! 今年2月に定期運用を終了した特急車両12200系について、過去に乗務した経験などを振り返りながら語っていただきました!

12200系とともに歩んだ鉄道マン人生!

近畿日本鉄道・広報の福原稔浩さん

福原さん: みなさん、こんにちは! 近鉄・広報の福原稔浩です。
今は広報を担当していますが、1975(昭和50)年の入社時は駅員をし翌年から約14年間、乗務員も経験しました。

他形式とも連結が可能で、2両から10両まで編成を組むことができる

橿原神宮前へ向かう12200系。終点で吉野線の特急と連絡するため、「吉野特急」の看板が掲げられている

福原さん: 新入社員のときは大阪難波駅で勤務していましたが、当時は名古屋から大阪をノンストップで走る特急に2両編成が使用されていました。行楽シーズンには車両数を増やし、通勤ラッシュ時には奈良線で最大で10両編成を組むなど、状況に応じて活躍しました。

12200系には車掌時代に乗務したことがあります。当初は普通や急行の一般列車を担当する業務が中心でしたが、車庫に止まっている姿を見て「いつか乗務したい」と思っていました。そして特急担当になったときに乗務したのがこの車両です。乗務員時代は二人三脚で歩んできたと言っても過言ではありません。

桜舞う中を行く12200系

福原さん: 12200系は1969(昭和44)年に登場。翌年の1970(昭和45)年に大阪万博開催を控え、同時に近鉄では難波線・鳥羽線の開業と志摩線の改軌(=線路幅を広げる)という、特急網を走らせるための整備が行なわれました。
2両編成から最大で10両編成を組んで約半世紀にわたって走り、近鉄特急を支えてきたと言っても過言ではない存在です。

この車両には“スナックカー”という愛称があります。これは車内にスナックカウンターを設けて、アテンダントの方がお客様に温かい食べ物を提供していたことが由来です。振り返ると、現在日本各地で活躍している観光列車の先駆けでした。

走り去る姿は旅愁を誘う(近鉄四日市駅にて)

福原さん: 12200系…「彼」と呼ばせてください。
彼がデビューした当時は、新線開業も重なり、各地で大きなセレモニーが開催されました。
たくさんの鉄道関係者やファンに囲まれながらテープカットをして、盛大な拍手の中、彼が颯爽と出発していった記録が残っています。
ラストランは、本来なら皆様に来ていただき、引退セレモニーをして祝っていただきたかったのですが、このご時世の中、寂しい終わりになってしまいました。せめて最後の雄姿を記録しようとレコーダーを手に持ち、彼を追いかけ、今回放送していただくことになりました。ありがとうございます。

この日常も思い出に…。近鉄名古屋駅に入線する12200系の音!

近鉄名古屋駅5番線に停車中の鳥羽行き(別日に撮影)

福原さん: 私がセレクトしたのは、
先月引退した近鉄特急12200系、通称スナックカーの最後の雄姿。自ら私が録音してきました。
まずは引退前日の2月11日。近鉄名古屋駅・朝9時10分発の鳥羽行き特急として走りましたので、その様子を是非お聴きください。

~近鉄名古屋駅構内・特急案内アナウンスの音~

福原さん: 間もなく5番線に12200系が到着します。あっ、12200系のヘッドライトの灯りが見えました!

~12200系が入線~


福原さん: 近鉄名古屋駅に入線するスナックカー・12200系の音。いかがでしたか?
この駅は地下にある終端駅でくし形になっています。特急専用ホームの5番線に入線するときに「まもなく鳥羽行き特急が…」という自動放送が流れるんですけど、それを聴いたら、「あ、この車両も近鉄名古屋駅に入るのがわずかになったのかな」とジーンと来ました。

走る音が「まだまだ走れるんだよ」と言っているような気がした…

モーター音を唸らせて力走する12200系

福原さんが撮影した車内の様子。内装は更新され間接照明の落ち着いた雰囲気になっている

近鉄名古屋駅を出発する12200系(別日に撮影)

福原さん: 先程お送りした鳥羽行き特急に私も乗車してきました。
鳥羽駅までおよそ1時間40分、ずっと録音していました。その中でも私がお勧めしたい所をピックアップしましたので、解説も交えてお送りします。
では、名古屋発・鳥羽行き特急の音です!

~山田線・小俣(おばた)駅付近を走行中~

福原さん: 列車はしばらくすると山田線の宮川橋梁を渡ります。この橋梁を渡ると徐々に速度を落として伊勢市駅に到着します。ファンにも人気のある場所で当日は写真撮影を楽しんでいる姿も見かけました。
間もなく宮川橋梁を渡りますのでお聞きください。

~宮川橋梁を通過中~

福原さん: 橋梁を渡りきると徐々に速度を落とすのですが、このときの電気制動の音もお聴きください。
そして緩やかに曲線を描きながら伊勢市駅に近づいてまいります。

~減速をしながら伊勢市駅に向かう~


~伊勢市駅を出発・車内チャイムとアナウンス~

福原さん: 伊勢市駅を出発するとすぐに宇治山田駅に到着します。

~徐々に減速をし、宇治山田駅に到着~


鳥羽へ向かう12200系(別日に撮影)

福原さん: 名古屋発・鳥羽行き特急の車内音を聴いていただきました。
この音を録りながら耳を澄ましていると、12200系が私に「まだまだ走れるんだよ」と言っているような気がしました。モーター音も快適な音を鳴らしながら、揺れも少なく、あっという間に鳥羽駅に着いてしまいました。ずっとずっと乗っていたかったですね。

勇退する姿に思わず男泣き。惜別のラストラン!

ラストランを写真に収めるファンの姿

福原さん: 今から聴いていただくのは、本当に最後…ラストランである2月12日。橿原神宮前駅を夜11時21分に出発する大和西大寺行き特急の音です。
じつは私、京都線・橿原線の乗務が一番多くて、このラストランと同じ時間の特急も何度か乗務した経験があります。たくさんの路線がある中、私の思い出の路線でのラストランということで、万感の思いです。
始発駅の橿原神宮前駅を出発するシーンから、最後の力走をする音をお届けします。近鉄特急スナックカー、最後の列車です。どうぞ。

~橿原神宮前駅を出発するラストラン・車内の音~

福原さん: 普段のこの列車はお客さんがとても少ないのですが、この日は何人かの方が乗車されて最後の光景を心に刻んでいました。始発から終点までたったの20分ですが、もっと長い時間、乗っていたいと思いました。
大和西大寺駅の手前には西大寺車庫があります。その横をゆっくりと花道を通っているかのように、徐々にブレーキをかけながら走行しているとき、先に車庫に入った車両たちが「お疲れさん。ご苦労さん。」と、最後の雄姿を見ているような気がしました。
また明日も走るかのように到着し、名残惜しむお客様はゆっくりとホームに降りて行かれました。

~ラストランを終え、大和西大寺駅を出発する音~

ホームいる乗客: お疲れ様~。ありがとう~。(拍手)

ラストランを終え、車庫に向かう様子。多くのファンが別れを惜しんだ

福原さん: 12200系が車庫に入る、最後の音を聴いていただきました。運転士が鳴らした電気笛ホイッスルがいつもより長くて、ファンに対して「ありがとう。本当にありがとう。」と言っているように聞こえました。

偶然ホームにいたファンからポンと背中を叩かれ、「福原さんお疲れさん。12200系良かったよ。ありがとう。」と言っていただいたとき、我慢をしていた涙腺が切れてしまって、ホームで男泣きをしてしまいました。半世紀にわたり12200系を愛していただいた大勢のファンの皆様に、心より御礼を申し上げます。

車庫で感慨深そうに12200系を見つめる福原さん。近鉄で長く親しまれていたオレンジと青のツートンカラーも、塗装変更などにより、この車両が最後になった

福原さん: 「僕の私のてつおとセレクション」。今回は近畿日本鉄道・広報 福原稔浩が運転業務を担当させていただきました。入換信号機で12200系は車庫に入りましたので、最後の締めは「入れ換えよし!」と言いたいと思います。

では…「入れ換えよし!」
ありがとうございました。

スタジオトークよりひと言

左から土屋礼央さん、野月貴弘さん(リモート)、久野知美さん

土屋さん: 鉄道車両の引退式と聞いて、ファンではない人ではピンと来ないかもしれませんが、アイドルの引退式などを思い浮かべてもらえれば分かるかと思います。12200系の引退式ができなくて寂しいですが、みなさんの心にいつまでも刻んでいただければと思います!
久野さん: 私は大阪出身なので大好きな車両です。いつも明るくコメントしている普段の福原さんではなく、惜別をする口調で語っているのを聞いていたら、涙が出そうになりました。
野月さん: ラストランを終え、車庫に向かうときに長く警笛を鳴らしているのが、車両が別れの挨拶を言っているかのように聞こえてグッときました。

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