大河ドラマ『鎌倉殿の13人』をもっと楽しむためのコーナーが、「ラジオ深夜便」で放送中の「もっと、鎌倉殿の13人」。キャストやスタッフが、ドラマの現場から制作チームのこだわりを紹介します。案内役は、ドラマの芸能シーンに携わる、芸能指導の友吉鶴心さんです。
【出演者】
友吉:友吉鶴心さん(薩摩琵琶奏者、『鎌倉殿の13人』芸能指導)
峯岸:峯岸伸行さん(『鎌倉殿の13人』美術進行)
三谷脚本の群像劇ならではの悩みと楽しみ
友吉: | ドラマの「美術」って、さまざまありますよね。セットとか、小道具、衣装とかメイクとか、食べ物……私たち、食べたりしてなくなるから“消え物”とか言いますけど、それもすべて美術に入っているんですか。 |
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峯岸: | そうですね。映像に映っているもの、ほぼすべてですね。建物とか植木とか、吹いている風とかスモークなんかも、やったりします。 |
友吉: | 峯岸さんは「美術進行」ということは、美術のプロデューサー的な存在? |
峯岸: | そうです。私は、美術の各セクションのいろいろな分野をまとめて、1つに束ねていくような係です。 |
友吉: | 『鎌倉殿の13人』で、特にこだわっているというようなお話を聞かせていただければ。 |
峯岸: | 『鎌倉殿の13人』もそうなんですけど、私は三谷幸喜さんの脚本の仕事が多くて、大河ドラマでいうと『新選組!』(2004年)、『真田丸』(2016年)もやらせていただいていて、三谷さんの作品に関わるときは、いつも「出てくる人物」に一番こだわって作ってます。 |
友吉: | 作る、というのは? |
峯岸: | 群像劇で、たくさんのキャラクターがいっぱい集まっている作品なので、例えば衣装のかたちとか、この人のかつらはこんな感じとか、この人って日焼けしてたほうがいいよね、とか。人間が埋没しないようにというか、一人一人、かぶらないようにというのが、一番ですね。 |
友吉: | そして、その一人一人のキャラクターを、ピックアップできるような、表現できるような。役者さん、キャラクターでいうと? |
峯岸: | 一番、ちょっといいかなと思ってたのは、安達盛長という役の方を、ちょびひげにしたんですよ。史実では残ってないんですけど、かわいらしいかなと思って。どちらかというと安達盛長さんはいつも困らされてるキャラクターで、頼朝さんがいろいろ決断していく中ですごく困るんですけど、頼朝さんに寄り添っていくみたいな方なので、そのときにちょっと芝居でひげを触っていただいたりするお手伝いになったなと思っていまして。晩年になっても、ちょびひげを継続したんですけどね。 |
峯岸: | あと、武田信義さんですかね。(演じている)八嶋智人さんはそんなに大きい方じゃないので、立烏帽子(たてえぼし)をやたら長いものにして、ちょっとコミカルになるかなとか。 あと、和田義盛さんに、監督が「おひげをいっぱいつけたい」とおっしゃっていたので、だったら全身に、腕にも毛が生えてるような、そんなのもいいかなとか。 |
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友吉: | そうすると、その腕に生える毛も、峯岸さんが? |
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峯岸: | 監督の意見も大きかったですけど、みんなで「いいですね」って言って、かつらで使う毛をちょっと加工してつけさせてもらったりしています。そういうのを考えているときが一番楽しいですけどね。 |
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友吉: | 峯岸さんが思う、これからの見どころとか注目ポイントは? |
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峯岸: | 撮り終わって出演が終わってしまう方もいっぱいいるんですが、どんどん新しい人物が出てくると思うので、その人物たちが、コミカルな人だったりちょっとダークな人だったり、たくさん出てくるので、その方たちの装束の変化とかを見てもらえると、僕はうれしいなと思っています。 『鎌倉殿の13人』というタイトルなんですけど、やってることは平安時代の終わりの話なので、大河ドラマだと結構、戦国時代とか幕末とかやるんですけど、この時代があまりなくて。この時代特有のというか、素材にしても、みんなが着てるものとかも、ほとんど麻で作っているんですけど、それをわざと日焼けさせたりとかしています。そういう着ているものとか時代特有の装束を、楽しんでもらえればなと思いますね。 |
【放送】
2022/06/05 ラジオ深夜便 「もっと、鎌倉殿の13人」
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