子どものしつけは難しい ①

21/11/19まで

ラジオ深夜便

放送日:2021/09/23

#子育て#家族#コミュニケーション#写真#コロナウイルス

子育て中の親を悩ませるしつけの問題。できるだけ優しく教え諭したいけれど、子どもたちは言うことを聞いてくれない――「ママ☆深夜便」に寄せられたリスナーからの相談について、ゲストの大日向雅美さん、4人のお子さんのいる写真家の加瀬健太郎さんと一緒に考えていきました。(聞き手・村上里和アンカー)

【出演者】
大日向:大日向雅美さん(恵泉女学園大学学長)
加瀬:加瀬健太郎さん(写真家)

4人の子どもたちの瞬間瞬間を捉える日々

――「子育てリアルトーク」のコーナーです。
1人目のゲストをご紹介しましょう。感染予防対策を取ってスタジオにお越しいただきました、写真家の加瀬健太郎さんです。加瀬さん、こんばんは。

加瀬: こんばんは。よろしくお願いします。

――よろしくお願いいたします。
『お父さん、だいじょうぶ?日記』、そしてその続きの『お父さん、まだだいじょうぶ?日記』を――「?」が付いていますね――出版されて、大変楽しく読ませていただきました。
その中にも登場するお子さんは、現在4人。11歳、8歳、4歳、そしてまもなく1歳。皆さん男の子ということですが、きょうお子さんたちはどんな様子で過ごされていましたか?

加瀬: きょうは、長男は友達と遊びに行って、次男は竹を切っていかだを作って。

――いかだを?

加瀬: ひもで結んで。海に行ったら全然浮かばなかったという。「浮かばないよ、パパ」と言っていました。

――それに自分が乗ろうと?

加瀬: ええ。

――そうですか。かなり大きいのを作ったんですね。

加瀬: 全然小さかったんですよ。見るからに浮かばなかったんですけれど、やっぱり浮かばなかった。

――「浮かばないよ、パパ」とがっかりしていましたか。

加瀬: すぐ捨てて泳いでいました。

――加瀬さんは、ご自宅が海からすぐ近いところに。

加瀬: そうですね。まあまあ近いので。

――そして、3男の4歳の子は?

加瀬: 一緒に連れてきました。

――一緒に海へ。

加瀬: 朝のうちは公園で野球して、連れていきました。

――1歳の子は?

加瀬: ママと一緒に家にいました。

――さすがにもうぐっすり寝ていることでしょうね。

加瀬健太郎さんのプロフィールを皆さんにご紹介します。
1974年大阪生まれ。東京の写真スタジオに勤務した後、イギリスに留学されています。ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーションで学ばれました。
現在は東京を拠点に、フリーランスのカメラマンとして本や雑誌などで活動。新聞に育児エッセイも連載中。

そして、先ほど話した『お父さん、だいじょうぶ?日記』を出版されています。
みんな写真を撮るというと、いまはケータイを向けられるとすぐポーズを取ったりしますけれど、日常のひとコマを切り取っています。パンツ姿だったり、寝ている姿だったり、すごくかわいらしい写真が多くて、表情も自然体。それでまた加瀬さんの文章がとてもリズミカルで、読んでいて楽しくてクスッと笑わされていたんです。
これは加瀬家の日常の記録かと思われますが、どんな思いで書いたり写真を撮ったりされているんですか?

加瀬: すぐ忘れちゃうので、残しておこうかなと思いました。

――「忘れちゃう」というのは?

加瀬: いろんなことですね。子どもの成長みたいな。すぐ大きくなってしまうので。

――そうですよね。

加瀬: 1年で全然変わってくるんです。だから「覚えておきたいな」と思いました。

――写真の雰囲気が、私が小さかったころの昭和の時代のにおいがするというか。「昭和の子ども?」というような感じの写真だなんて思うんですが、どうやって撮っていらっしゃるんですか?

加瀬: フィルムで撮っているのもたぶん大きいんです。
ちょっと濁ったような。それと…ちょっと昭和の顔に生まれてしまったんではないでしょうかね(笑)。

――髪の毛も、マッシュルームカットをしていたりとかね。

加瀬: あれが一番簡単なので。

――あれはお父さんが切っているんですか?

加瀬: 僕が切っているんですよ。もう長男は嫌がって、美容院に行っています。「もう嫌だ」と言いだして。

――もう切らせてもらえなくなってきましたか。

加瀬: そうですね。

――子どもとの瞬間瞬間、どんどん変わっていってしまうから、楽しかったこと、大変だったことも含めて、「文章で書き残しておくといいよ」という話は「ママ☆深夜便」でも何度か話してきたんですけれど、写真家として、写真で残していくときにどんなところに気を付けて撮っていらっしゃるんですか?

加瀬: 子どもが言うことを聞かんかったり道で寝たりしたら、「チャンスやな」と。失敗をチャンスに変えてくれるのが写真じゃないかな。

――いまヒントがあったような気がします。つまり、例えばだだをこねて「もう嫌だ」って言ってそこにゴロンと寝たら、ふつうだったらイラッと来て「早くしなさい」「起きなさい」と怒りそうですが、チャンスだと?

加瀬: チャンス。「もう1個何か起こってくれ!」ぐらいに思います。「よだれこぼすとか、何かしてくれ」「もっと来い、もっと来い」という感じ。

――じゃあ、いい子で何のハプニングもなく時が過ぎると、「つまんないな…」みたいな感じ?

加瀬: そうですね。いいときも悪いときも、全部ですね。

――カメラを持っている写真家の視点でいうと、子どもが何かをしても怒ったりイライラすることはないと?

加瀬: …そんなうまいことはいかないですけれど(笑)、そうありたいとは思っております。

――4人のお子さん、簡単にそれぞれどんなお子さんなんでしょうか。最近のエピソードを教えてもらえますか。

加瀬: 長男はぽっちゃりしていてかわいいんですけれど、やっぱり長男はしっかりしているんです。頼りがいがあって、いろいろ助けてもらってやっております。

――いま6年生?

加瀬: いま小学校5年生です。

――8歳の次男くんは?

加瀬: 次男はちょっと大変なんです。漫画を読んだら、何も聞こえていないんですよ。

――漫画に集中している?

加瀬: すごい集中力があって、「ごはんやで」と言っても全然動かないです。
大変なんですけれど、全然言うことを聞かないんですけれど、妻は「あんたに似てるから」「あんたの血や」みたいなことを言うんです。
まあ、だから「手に職」みたいなほうに進んでくれたらな、と思っています。

――そして3男、4歳。

加瀬: 3男はかわいいんですよ。みんなかわいいんですけれど。頭のハチが、うちの家族にしては小さくて、目が二重なんです。
かわいいんですけれど、ちょっと生意気なところも出てきて…そんな感じです。

――そして、まもなく1歳になる4人目の男の子。

加瀬: 僕のことが大好きなんですよ。今までになく。今までの上の3人にないぐらい僕のことが好きで、いつも引っついてきてくれる。

――上のお子さんたちはママが大好き?

加瀬: 「ママ!」「ママ!」みたいになっていますけれど、(4男は)朝からワーッと引っついてきますので。

――そういうとき、パパはどんな気持ちになるんですか?

加瀬: 気持ちはいいですよね。でも寝不足になりますね。きょうも朝6時に起こされていますので。

――頑張ってください! 1時までよろしくお願いいたします。

ママたちのニーズはいつでも“必要・緊急”

――では、2人目のゲストをご紹介します。子育て支援の専門家、「ママ☆深夜便」にもたびたびご出演いただいています、恵泉女学園大学学長の大日向雅美さんです。
大日向さんは、今夜はご自宅からリモート出演です。こんばんは。

大日向: こんばんは。よろしくお願いいたします。

――よろしくお願いいたします。大日向さん、きょうはスタジオに4人のお子さんのいる加瀬さんがいらっしゃいます。いまお話を聞いていて、何か思われましたか?

大日向: ほのぼのとした、いいお父様でいらっしゃいますね。すぐ大きくなっちゃうから、すぐ忘れちゃうから、もったいないというのは共感しますし、それから、お子さんが道でだだをこねてひっくり返ったら、チャンスだって被写体にしちゃうなんて、すばらしいですね。
被写体になっちゃうと、子どもっていい子になっちゃったりしますものね。そんなことないかしら。ひっくり返って泣いていたのに、いい子にフッと変わってくれたりなんかして。
写真家さんって、見る目が私たちと違いますね。ゆとりもあるし、シャープだし。
きょうは楽しみです。
加瀬: (照)よろしくお願いします。

――大日向さんのご専門は発達心理学。2003年よりNPO法人あい・ぽーとステーション代表理事、そして子育てひろば「あい・ぽーと」の施設長として、地域や社会で子育てを支援する活動に力を注いでいらっしゃいます。

先日は、その活動についてまとめられた『共生社会をひらく シニア世代の子育て支援』という本を出版されました。この本で最初に取り上げられているのが、コロナ禍での育てひろば「あい・ぽーと」の動きについてでした。
「あい・ぽーと」では2003年の開設以来、理由を問わない一時保育を受け入れることを実施されてきましたが、不要不急の外出を避けなければいけないという緊急事態宣言下において、一時保育をどうすべきか、どう対応すべきか、というところを大変悩まれていたそうですね。

大日向: そうですね。昨年の春は「自粛」「自粛」で、行政からも「不要不急の一時保育は、なるべく控えてください」と。当時としては当たり前のご指示だったと思います。

それで、お電話で一時保育の申し込みを受けるときに、スタッフが一応マニュアルどおりに、「不要不急のお預けではないですよね?」とお聞きしていました。
ところが、1~2週間ぐらいしたら、スタッフから「聞かなくてはいけないのでしょうか?とてもつらいんです」と訴えられて。「どうして?」と聞いたら…。

「不要不急のお預けではないですよね?」と聞くと、電話の向こうで一瞬ことばが切れちゃう。お母さんは「ええ、そうです」とおっしゃらないで、息をのむような気配が伝わってくるというのです。
世の中全体が「本当に必要なことだけをしましょう」という雰囲気でしたでしょ。病院の方々も大変な思いをしていらっしゃる。そういう中で、おうちの中で子どもが駆けずり回っていて、夫はテレワーク。本当につらくて預けたい。だけど、「これは私のわがままじゃないかしら」という思いで電話をかけてくるママたちもたくさんいらしたと思う。
そのときに、「不要不急のお預けではないですよね?」とマニュアルどおりに聞くと、「はい、そうです」とは言えなくなっちゃいますね。

その気持ちを察したスタッフが「つらい」と言ってくれたので、私たちは「不要不急かどうか聞くのはやめましょう」「ママたちのニーズは、どんなときも、どんなことも、必要・緊急だと受け止めましょう」と話し合ったのです。

――本の中でもその場面が詳しく書かれていて、「親のニーズは命に関わることだから、基本的に必要・緊急だとして受け止めた」という決断がカッコいいなと。
お母さんたち・お父さんたちのことを考えてくださっている決断だなと思って、感動しながら読みました。

大日向: ありがとうございます。

息苦しいときでも孤立しないで子育てを

――コロナ禍での生活がまだまだ先の見えない状況で、このようなおたよりも来ています。

東京都30代女性
3歳半の娘がいます。
児童館も人数制限、時間制限があり、区内のじゃぶじゃぶ池は水が出ていません。近所の保育園で「陽性者が出た」「濃厚接触者が出た」と連絡があるたびに不安になります。
ママ友とは、「子どもがコロナにかかったら、狭い東京の家でどうやって幼い子を隔離したらいいのか」など、ネガティブな話題がメインです。
妊娠中のママさんは、「ワクチン打っても大丈夫なのか」「授乳中でワクチンを打ったけど、おっぱいあげていいのかな」など心配しています。
最近は、子育ての悩みの種が増えていると感じています。早く収束してほしいです。

――加瀬さんのところも4人お子さんがいらっしゃって、コロナ禍での子育てはどんなことに苦労されていますか?

加瀬: うちは田舎のほうなので、周りは結構川や海があるんです。緊急事態宣言で学校がないときも、(子どもたちは)毎日釣りに行ったりして真っ黒になって帰ってくる…、みたいな。元気に過ごしていましたね。
学校って「勉強するところ」みたいなイメージしかなかったんですけれど、「子どもを預かってくれてたんやな」「それって結構でかいな」と思って。ずっと家におられると、こっちもあれなので…。そんなことに気付きましたね。

――大事な子どもたちの居場所だったということに気付かれた、ということですね。
大日向さんはこの方の声をどんなふうに受け止められましたか?

大日向: 胸が痛みますよね。おうちの中に閉じこもっておとなしくしていないのが子どもじゃないですか。でも、公園に行きたくても、公園で遊ばせていると「なんでいま公園で遊ばせているんだ!」みたいな冷たい目が向けられるという声もよく聞かれました。

当初は全部一斉休校・休園でした。でも、地域によってはそんなにしなくていいところもあったかもしれませんし、いま加瀬さんがおっしゃったみたいに、何より保育園や幼稚園や学校は子どもにとってライフラインです。お勉強も大事だけれど、とにかく子どもの居場所で、それで、親も親の時間ができる。
そういう発見もできましたね。

――そうですね。また、この方はママ友とワクチンのことなどでも話しているということでしたが、ワクチンについては厚生労働省の「新型コロナワクチンQ&A」というページですとか、国立成育医療研究センターの「妊娠・授乳中の新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種について」というページなどにも詳しく説明されていますので、こうしたところで正しい情報をよく読んで安心してほしいなと思います。

不安がいろいろ、悩むことがいろいろ。決断することが多いのが子育てですから、いまのママたちは大変だと思います。でも、1人じゃないです。
大日向さんのところの施設もありますが、全国各地に子育て支援をしている方々、そしてそうしたNPO施設がたくさんありまして、そうした方からのおたよりも最近「ママ☆深夜便」は増えています。
1つご紹介します。北海道の方からです。

北海道十勝地方の帯広で、支え合って、共感しあえる多世代の子育てほっとステーション「ぷれいおん・とかち」というNPOを運営しています。
「ママ☆深夜便」が伝えたいことと、私たちの活動のねっこがつながっている、共通していることを感じています。
私たちは、たて・よこ・ななめ、ゆるやかに「みんなで子育て」を呼びかけています。
人とつながることは、時として面倒な一面もあります。でも、子どもが育つときに親自身の「人とのつながり」は避けて通れません。子どもを育てるということは、「親自身の人間関係を育てる」ということでもあるのです。1人で子育てしない、つながろうとよびかけています。
幅広い世代でつながって、大きな家族のような存在になりたいと思っています。

――おたより、どうもありがとうございます。
加瀬さんは、「4人で手が足りない」というときは、どんなふうにしてヘルプを求めているんですか?

加瀬: 妻は結構友達が多いほうなので、いろんな友達が手伝ってくれたり。
僕も、高校のときの友達が、たまたまいま僕が住んでいる逗子に住んでいて、そこの奥さんと妻が、僕の友達と僕よりも仲よくなっているので、子どもを送り迎えしてくれたり預かってくれたりして、助けてもらったりしています。

――そういう気軽に信頼して頼める方がいると、助かりますよね。
そして大日向さん、「近くにお友達がいなくても、孤立させないよ」という動きはいま広がっていますよね。

大日向: 広がっていますね。
先ほどご紹介くださった「ぷれいおん・とかち」さんもそうですけど、こういう活動がいま全国に増えてきていますので、点から線、線から面へつながるといいなと思います。
それは何もグループの活動だけに限らないとも思います。番組冒頭で村上さんがご紹介くださった、町を歩いていて、赤ちゃんと3歳のお子さんを抱えて歩いている若いご夫婦に、老夫婦がすれ違うときに「お疲れ様」と声をかけたというお話、素敵ですね。それもまた支援ですね。
何気なく町を歩いていたときに、そういうまなざしと声をかけられたら、若いご夫婦はどんなにハッピーだったかと思うんですよ。ママがベビーカーを押していると、「ママ、すてきよ」という声を投げかけていただいて、その日1日とても幸せだったという声も聞いたことありますし。

町中がそういう声をかけ合えるような関係であってほしいなということを、コロナ禍で改めて気付かされたかなと思います。

真夜中の子育て応援団
ママ☆深夜便

毎月第4木曜日
[R1] 午後11時05分~翌午前5時00分
[FM] 午前1時05分~午前5時

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【放送】
2021/09/23 ラジオ深夜便 ママ☆深夜便「子育てリアルトーク 前半 ~子どものしつけ」


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