子どもとあたたかい関係をつくる 「1日5分のほっこり声かけ」②

21/06/30まで

ラジオ深夜便

放送日:2021/05/27

#子育て#家族#コミュニケーション#コロナウイルス

福丸由佳さんが米国で学んだ「CARE(ケア)プログラム」の中心となるスキルは、「具体的にほめる・繰り返す・行動をことばにする」の3つです。これを「1日5分、意識しましょう」とのアドバイスに、山崎ナオコーラさんは「私もできそう」。続けることが大事だそうです。(聞き手・村上里和アンカー)

【出演者】
福丸:福丸由佳さん(白梅学園大学子ども学部教授)
山崎:山崎ナオコーラさん(作家)

困ったときに声を上げる勇気

神奈川県40代女性
<私は児童館で子育て支援を担当しています。コロナ禍で遊びに制限があったり食事ができなかったりする中でも遊びに来てくださる子どもたちや親御さんに、私が毎日元気をいただいています。ほんの少しでもリフレッシュしていただけたらいいな、また遊びに来ようって思っていただけたらいいなと願いながら、いつも児童館で待っていまーす♪>

――頼りがいのある優しいメールをいただきました。ナオコーラさんは、そういうところに頼って、ちょっと自分を楽にしたことはありますか。

山崎: 私、頭がかたかったのか、あんまり「助けてほしい」って言ったことがなかったんですけど、今お話を聞いていたら、家族とか血のつながりとか関係なく、「助けたい」って思ってくださる方が世の中に結構いらっしゃるのかなと思って、困ったときはもっと声を上げる勇気を持たなきゃいけないなっていうのを反省しました。

――そうですね。いきなり「あなたのお子さん、面倒みましょう」なんて声をかける方はいないと思いますけれど、「いつでも助けたい」と思ってくださってる方って、意外と身近にいるのかもしれませんよね。

福丸: 児童館をはじめ、地域の施設もいろいろとありますよね。それと、先ほどの家の中でのサポートは、私もいいご縁があったんですけど、最初は家に誰かが入るって、「散らかってるのに」とか、ちょっと勇気がいりますよね。「子育て中は忙しいんだから、いいのよ~」って言ってくださる方ってありがたいですよね。そういう方に出会えるとホッとしますよね。きれいにしてからその方を呼ぶ、みたいなのは長続きしませんし。そういうことに目をつぶってくださる方に、ありがたいなと思いながらお願いしちゃってました。

――ぐちゃぐちゃでも、それでいいと。

福丸: 生活してたらそうなっちゃうし、子育て中はそんなものだと……。

(うえ~ん)

――あらっ、ナオコーラさんのお子さんが起きてしまったかもしれませんね。どうぞどうぞ、行ってあげてください。

山崎: すみません、ありがとうございます。

――もちろんです。お子さんがいつ起きるかなんて、わからないです。

福丸: ほんとですよね。計画立てたって全然そのとおりにいかない連続ですものね。

――ナオコーラさんが戻ってこられたんですけど、お子さんの「やだー」っていう声が……。大丈夫でしょうか。

山崎: はい。夫がだっこしてくれたので。ありがとうございます。

――ナオコーラさんは、もう家をきれいにシンプルにしようとか思わないで、「ぐちゃぐちゃのままで、これが私だと思おう」みたいなことをエッセーに書いてらっしゃいましたね。

山崎: 本当に家がぐちゃぐちゃで…。私、掃除が苦手なんですけど、先ほどのお話を聞いて救われた気がします。完璧に家の掃除ができている人のほうが少ないですよね。
福丸: 少ないと思いますよ。大きくうなずいちゃいます。

――あれっ、ナオコーラさんのおひざの上に小さな頭が見えました。

山崎: ははは。だっこしつつなんですけど……。

――お母さんがふだんと違う気配でなにかしてるぞっていうのは、お子さんに通じてしまいますよね。

山崎: そうなのかもしれないです。
福丸: 寝てほしいと思うときに限ってなにか伝わるのかな…というのは、私も本当に何度もありまし。

――それはほんと、子育て「あるある」ですね。

「上の子に厳しくしちゃう」

東京都30代女性
<あっという間に下の子が11か月です。ハイハイをしてあと追いがすごいのと、主張がしっかりしてきてグングン成長しています。お兄ちゃんは4月から2年生で、ますます生意気に。口答えはするし反発はするしで手を焼いています。下がまだ小さいので、上の子には厳しくなりすぎているのも感じてはいるのですが、ダメですね……。私と息子がけん怠期の夫婦みたいな、そんな日もあったりします。
コロナだから子育てしにくいってことはあまり感じていなくて、ただただ、上の子にイライラしてしまう時間が増えてしまいました。パパの仕事は元のように忙しくなり、土日もいない日が増えているので、最近はよけいに余裕がない。北海道の両親にヘルプも頼めず、ひとりで抱え込むしかなく、つらいです。春休みはなんとかやり過ごせたので、課題は夏休み。今から憂鬱です>

山崎: ものすごくよくわかります。私も似た気持ちをいつも抱いていて、「年上の子はしっかりしているはずだから」ってつい期待が大きくなってしまって、ふと気づくと1歳の子に対する口調と5歳の子に対する口調がすごい違ってて、5歳の子に厳しく言っちゃってるなと感じて反省するときがよくあります。

――上の子にはしっかりしてほしいという気持ちが、先に立っちゃうんでしょうか。

山崎: つい、「わかってるはずなのに~」みたいなことを思っちゃうんです。

――それでお子さんとの関係がぎくしゃくすることもあるんですか。

山崎: 私のところはまだ5歳なので、小2ぐらいの子とはまた違ってそこまでの対等感はないのかもしれないんですけど。

――「いけないな」と思ったときは、どんなふうにしてるんですか。

山崎: どうしてるんだろう……。ちょっとギュッとしたりとか、反省してやわらかい声を出そうと口調を変えたりとかするくらいですかね。
福丸: すてきですよね。ギュッとしてもらえたら、うれしいだろうなあ。

――福丸さんも、おふたりの子育てで大変な時期も長かったですよね。

福丸: うちは7歳離れていたので、そういう意味ではある程度大きくなってたかなって思うんですけど…。「2人目は楽よ」って、皆さんおっしゃいますね。確かに初めての子育てに比べると慣れはあるんですけど、やりくりというか、大変は大変ですものね。2倍のエネルギーがあるわけでもないし。

上のお子さんは下にきょうだいができると、「うれしい」と言いながら、やっぱり人生最大の危機だったりする面も。お母さんも取られちゃうし、みんなの関心が下の子にいっちゃって、みたいな気持ちもあったりするのかなと思います。これは話すと怒られちゃうかもしれませんけど、息子が7歳になる年に下に妹が生まれて、「7歳のお誕生日に何が欲しい?」って聞いたら、「ママと2人だけの時間が欲しい」って。

息子の思春期に何度も話しちゃいましたけど(笑)、でもそうなんだなって私もハッとしたんです。100あったものが50、60ぐらいまで減っちゃうんだよなあ、なんて思いました。なのでそのお誕生日は、上の子のママ友が下の子を預かってくれまして、息子とふたりきりの時間を作っておすしを食べに行きました。自分とママ、ふたりだけの時間、独占できる時間がちょっとできるとうれしかったりするのかなって思ったり…。それは上の子も下の子も同じですけれど。なかなか難しいですけどね。

――上のお子さんが「ママとふたりだけの時間が欲しい」と言えたことが、またすてきですね。ちっちゃいと、ことばで言えないこともありますね。

福丸: そうですよね。ぐずったり赤ちゃん返りしたりとか…。2年生の息子さん、ママには「反発」に見えるような感じでも、なにか関心を向けてほしいというのがあるのかもしれないですね。なかなかことばで素直に表現するっていうのは難しいことも多いんですよね。

――お便りくださった方の上のお子さんも、もしかしたらそういう気持ちでいるかもしれませんから、ギュッとして、ふたりの時間を作ってみてくださいね。コロナ禍で子どもたちも知らず知らずのうちにストレスを抱えているかもしれません。「どうしたの?」って、声をかけてみてほしいなと思います。

1日5分、いいところ、普通にできていることに注目!

――福丸さんをご紹介したときに、「CARE(ケア)プログラム」というものを日本に導入したのが福丸さんだという話をしましたが、これがどういうものなのか、教えていただけますか。

福丸: アメリカで生まれたプログラムですけれども、子どもとよりよい関係、あたたかい関係を築くことを大事にしながら、そんなときに大人からのコミュニケーションはどんなことが大事になるかを体験的に学ぶことができる、ペアレンティングのプログラムです。このプログラムの特徴は、2歳ぐらいから思春期ぐらいのお子さんを育てている親御さん、それから、子どもと関わる全ての大人が対象であることです。親だけに任せるのではなく、大人みんながそういう気持ちで接するのが大事だよねということで、例えば先ほどの児童館の方とか、保育士さんとか養護施設の職員さんとか、そんな方たちも対象です。遊びを中心としたロールプレイを通して、子どもとの関わりを身につけていきます。

――どんなロールプレイをされているのですか。

福丸: ベースとなる考え方は、子どもさんのいいところや普通のときにこそ、肯定的な注目を向けるということです。大人は、できていないときやよくない行動に、「ダメでしょ」って注目しがちですけれども、「いいな」っていうときに目を向けてことばをかけることを大切にしています。

「こうしなさい。ああしなさい」「こんなことしちゃダメよ」といった、命令や批判的なメッセージはできるだけ控えめにして、その分、何がいいと思ったかを伝えながら具体的にほめるとか、お子さんが言ったことばを繰り返すんです。「タワー作ったよ」って言ったら、「本当だ。タワー作ったんだね」と、聞いてるよというのを伝え返したり。

それから、「ちゃんと靴、そろえて脱げたね」というように、できたことをそのままことばにする。できていないときに「そろえて脱ぎなさい」と言うよりも、やったときにこちらが気づいてことばにしたほうが、ちゃんと見てくれている、聞いてくれているというのが子どもに伝わりますし、いい行動を学習できるチャンスにもなる、という考え方ですね。

――「ほめて育てたいけれども、ほめるところが見つからない」みたいなお便りを以前いただいたことがあります。そういう場合はどうしたらいいんですか。

福丸: そうですね、ほめるのって結構難しいですよね。ほめるのが苦手という方もいますよね。肯定的な注目というのが大事なので、そういう場合は、子どものことばを繰り返す。「そうなんだね」と1回受け止めるとか、やってることをそのままことばにして、見てるよとか関心を向けてるよっていうことを示すことでもいいんです。それで、いいなとか「それってすてきだね」と思ったら「ママにおもちゃ貸してくれたんだね。ありがとう」とかそんな感じで、うれしい気持ちをそえてみる。そうなると具体的にほめるということになりますね。最初はなかなか難しいかもしれません。でも、お互いにあたたかい気持ちになれるかなと。

――それは、ずっとやってなくちゃいけないんですか。

福丸: いえいえ、それは大変(笑)。このプログラムでは、3つのスキル(具体的にほめる・繰り返す・行動をことばにする)を意識するのは、1日5分でいいとされています。

――5分! 5分でいいんですか?

福丸: そうなんです。1日に5分、あたたかいほっこりした時間を持とう、と。できるだけそれを続けていこうということで。だから1日30分やろうとか、ずっと考えて言いましょうではなくて、この5分の時間は子どもと楽しく遊べるといいな、そしてその時間の中では、いいところや普通にできていることに注目して声をかける。小さい子どもとは、特に遊びの中でこれを意識するといいと思います。楽しく遊びながらあたたかい時間を持とうというのを大切にしています。

――ナオコーラさん、どうですか、このCAREプログラム。

山崎: 1日5分でいいんだなと思うと、できそうと思ったんですけど、でも確かにこれまで1日に5分も、そんなことを意識してなかったなあっていうのを、ちょっと反省しました。
福丸: 5分って、やってみると結構大変なんですよね。真剣に子どもと遊ぶというのも、楽しく遊べているとあっという間かもしれないんですけれども、そういう意識を持つのは、5分でも長いと感じるかもしれないですね。

――これで変わってきますか、関係が。

福丸: これで全てがチチンプイではないんですけどね。ちゃんと言うことを聞いてもらうのも大事ですから、プログラムの後半では、伝わりやすい指示の出し方なども出てきます。たとえば、「走っちゃダメ!」というより「ゆっくり歩いてね」と肯定文で伝えたほうが子どもも従いやすくなるとか。子どもは親や大人との関係がより安心できたり落ち着いていると、こういった指示も入っていきやすいので、まずは土台作りを大事にするという感じでしょうかね。

――心を通わせ合う、そこが土台なんですね。

真夜中の子育て応援団
ママ☆深夜便

毎月第4木曜日
[R1] 午後11時05分~翌午前5時00分
[FM] 午前1時05分~午前5時

詳しくはこちら


【放送】
2021/05/27 ラジオ深夜便「ママ深夜便」子育てリアルトーク


<子どもとあたたかい関係をつくる 「1日5分のほっこり声かけ」①>へ

<子どもとあたたかい関係をつくる 「1日5分のほっこり声かけ」③>へ

この記事をシェアする