大河ドラマ『どうする家康』をもっと、楽しむためのコーナーが「ラジオ深夜便」で放送中の「もっと、どうする家康」。キャストやスタッフが、ドラマの現場から制作チームのこだわりをお伝えします。案内役は、ドラマの芸能シーンに携わる、芸能考証・指導の友吉鶴心(ともよし・かくしん)さんです。
【出演者】
友吉:友吉鶴心さん(薩摩琵琶奏者・『どうする家康』芸能考証・指導)
島津:島津楽貴さん(音響統括)
大河ドラマ『どうする家康』をもっと、楽しむためのコーナーが「ラジオ深夜便」で放送中の「もっと、どうする家康」。キャストやスタッフが、ドラマの現場から制作チームのこだわりをお伝えします。案内役は、ドラマの芸能シーンに携わる、芸能考証・指導の友吉鶴心(ともよし・かくしん)さんです。
【出演者】
友吉:友吉鶴心さん(薩摩琵琶奏者・『どうする家康』芸能考証・指導)
島津:島津楽貴さん(音響統括)
友吉:
案内役の友吉鶴心です。
きょうは、音響統括の島津楽貴(しまづ・やすたか)さんとご一緒にお送りします。
島津さんたちのお仕事の「音響効果」というのは、具体的にはどんなお仕事でしょうか。
島津:
ひとつに言えば、「音で番組を演出していく、もしくは、構成していく」というような仕事だと思うんですが、分かりやすく言えば、音楽をこの番組中どこで流そうかとか、ここは効果音でいこうかとか、あるいは何もなくしていこうといったことを選定したり、具現化していったりっていうような仕事です。
友吉:
鳥が鳴く、夜中になると「キェ キェ」みたいな声が聞こえたり…。
島津:
季節感であったり、時間であったり、場所であったりっていう事を指示することもあります。
友吉:
今回の『どうする家康』では、テーマ曲の作曲は稲本響さん。このテーマ曲にも島津さんが関わってらっしゃるんですね?
島津:
コンセプトとして、どういう番組、どういう顔にしていこうかということを、私一人ではありませんけども、文書化してお伝えするという事は中心としてさせていただいています。
実際に稲本さんにお渡した資料をちょっと読み上げますと、「夜が明け、山々のりょう線が輝き、曙光(しょこう)がさす。次第に現れる日本の大自然。幼少期に誰もが経験したような、ひと夏の思い出。吹き抜けていく風と一緒に走っていく」みたいなことを。
具体的ではありませんけど、そういったイメージを文書化して伝えて、それに沿って稲本さんが作り上げてきたものを協議して、何度もやり取りしながら今の形になっていったということです。
友吉:
テーマ曲には、タイトルっていうのがあるんですか?
島津:
あったりなかったりですけど、今回については、僕のほうからサブタイトルとして、『暁の空』っていうものをあてさせていただいたんですよ。
友吉:
すてきですね、ロマンティックな。
島津:
実はあの、家康さんの辞世の句の1つといわれているものから、ピックアップして。
暁といったのは、「ある山間や自然の中から、曙光、太陽が上がってきて、やがてそれが彼の中で熱となり、走り出していく」っていうような、イメージ。少年の遊びのような心から、やがてそれが大きなものになっていき、国をつくっていくっていうような、ひとつのストーリー。あどけなさの心であったり、そういったものが込められたなと思いました。ピュアな曲が欲しい、というところに尽きるかもしれませんけど。
友吉:
ドラマの中で使う音楽、劇伴(げきばん)って、どのぐらいの数を作るんですか?
島津:
最後の録音を終えたところで、トータルすると100は超えてますね。
台本を先々、読ませていただきながら、今までにないシーン、そういった局面、局面を照らしあわせて、「ここは新しい曲が必要だな」っていうところを、次の録音に向けて文書化する。「淀が出てくるよ」とか、「そろそろ秀吉が闇の顔を持ち始めたぞ」とか。権力を極めていく曲、それはやっぱり最初の頃、猿と言われて道化をしていた頃の曲とは、また違っていく。
読める限り、展開も含めて、お願いして作っていくということになりますね。
友吉:
これから関ヶ原の戦いがありますが、合戦シーンの中で、新しく作る音みたいなものはあるんでしょうか?
島津:
そうですね、「殺陣音(たておと)」って言えば、もうほんとに我々で言うと花形の音だったりするんですね。
友吉:
刀と刀がぶつかり合う音ですね。
島津:
そうですね、チャンバラの音ですね。
恐らく、50年以上前から我々に伝わっている音っていうのが実はあったりして、それはもう、元をたどると何でこれを作ったかっていうのは、分からないものもいっぱいあるんです。そういうような“大河ドラマのカラーとして使い続けている音”っていうのはあるんですが、それを超えたいと、定期的に音を録ったり、いろんなアイデアを使って作り直したりしているんです。
友吉:
何かその中の1つ、ちょっと特別に教えていただけたら。
島津:
今回は…「鉄道のレール」ですかね。
3m級のものをゲットしまして、それをつり下げて、そこにいろんなものをぶつけつつ、剣げきといわれる、剣と剣がぶつかる反響だけをそこから録れないか、ということをひとつやっております。
友吉:
じゃあ、それはこの関ヶ原にも活用されるわけですか?
島津:
もちろん、ちょっとやってみたいですね。決め打ちのところであるとか、印象づけたいところっていうのがね。
友吉:
皆さん、「レールの音」だそうです(笑)。
そういうような研究も重ねながら音をつくっていく、生み出していくんですね。
この仕事で、島津さんが一番大切にしていることは?
島津:
それはやはり、見ている方が夢中になれる43分間。見終わって、「ああ、面白かったな」っていうものを届けられるっていうのは、至上の目的としています。ですので、音がどうこうとか、音楽がよかったというのは、最終的にはうれしいことではあるんですけど、それと感じさせないような、とにかく頭から始まって終わった時に、「入り込んじゃったよ」ということができれば、それは大成功ですね。
友吉:
きょうは、音響統括の島津楽貴さんとご一緒にお送りしました。
【もっと、どうする家康】持ち道具 古川朋美さん(2023/08/20放送)
【もっと、どうする家康】本多正信役 松山ケンイチさん(2023/09/03放送)
【もっと、どうする家康】演出 川上剛ディレクター(2023/09/17放送)
【放送】
2023/10/01 「ラジオ深夜便」
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