【もっと、どうする家康】演出 川上剛ディレクター

23/12/31まで

ラジオ深夜便

放送日:2023/09/17

#大河ドラマ#映画・ドラマ

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大河ドラマ『どうする家康』をもっと、楽しむためのコーナーが「ラジオ深夜便」で放送中の「もっと、どうする家康」。キャストやスタッフが、ドラマの現場から制作チームのこだわりをお伝えします。案内役は、ドラマの芸能シーンに携わる、芸能考証・指導の友吉鶴心(ともよし・かくしん)さんです。

【出演者】
友吉:友吉鶴心さん(薩摩琵琶奏者・『どうする家康』芸能考証・指導)
川上:川上剛ディレクター(演出)

目でも耳でも楽しめる大河ドラマを目指して

友吉:
案内役の友吉鶴心です。
きょうは、川上剛ディレクターとご一緒にお送りします。
大河ドラマの演出は、複数のディレクターさんが担当しているんですが、川上さんは、三河の一向一揆(第8回 一向一揆でどうする!)や伊賀越え(第29回 伊賀を越えろ!)などの回を演出なさっていたと思うんですが、川上さんと私が一緒に作ったシーンなど、いくつかありますね。

川上:
ありますね、思い出深いものが。

友吉:
13話、風流っぽい、風流踊りっぽい…。

川上:
大河ドラマは映像にも、とことんこだわっているんですけども、やっぱり耳でも楽しめるっていうものを目指しておりまして。
例えば、第13回(家康、都へゆく)は、京都に家康が初めての上洛ということで、修学旅行みたいなものですよね。三河の片田舎から、まばゆいばかりの京都に行って、そこで目にするものは何もかも新鮮なはずで、きっと耳でも相当楽しかったんじゃないのかなと思って。
もしかしたら、こんな小歌や踊りが、京都では、はやっていたんじゃないのかな…っていうような妄想をたくましくして。あとは洛中洛外図屏風(らくちゅうらくがいずびょうぶ)とか、絵なんかを参考に、「(絵の中に)こういう人たちがいたので、この人たちが歌っていそうなのは、どんな歌ですかね?」っていうふうに、先生(友吉さん)にご相談して。

友吉:
というか、川上さんがお作りになるんですよね(笑)。

川上:
歌詞は、ない知恵を絞って、ちょっと恥ずかしいんですけれども、昔読んだ本なんかを参考にしながら、先生にご指導いただきながら、一丁前に書いたりしております。

友吉:
特に印象的だったのは、一向一揆でしたね。
あの歌詞が面白い、「1枚2枚3枚…何枚だ」みたいな。

川上:
一向一揆の回は、民衆の蜂起といいますか、宗教的な側面ばかりで語られる事が多い事件だと思うんですけども、取材を進めてみて、一番取材先で思ったのが、単なる信仰の戦いだけじゃなくて、為政者に対する民衆の叫びといいますか、年貢ばっかりとりたてて、自分たちのことを顧みない為政者に対しての蜂起だったんだと、今回のドラマでは捉え直していまして。

お念仏も、もちろん大事なんですけれども、それ以外にも、例えば「民衆のブルース」じゃないんですけれども、ハートを歌にして託したらどうかなと思って、今回、創作してみました。
よーく聞くと、家康のことを暗に皮肉っているというような歌詞を作ったりしたんですね。

友吉:
ギャグっぽいところがありましたよね?

川上:
せっかくの古沢良太さんの本の持ち味を生かすということで、こういった歌詞なんですよね。

「蓮の池で 花咲いた 花が咲いたら転んだ」
転んだのは、家康を暗示しております。
「転んだのは 誰だ あほか たわけか 殿さんか」
これ、家康のことを言っているんですね。
「替えの着物が欲しいのか 一枚二枚 何枚だ」
「何枚だ」と「なんまいだ」を実はこっそりかけてみている。気付く方がいればいいかなと(笑)。

友吉:
民衆の心の発散ですよね。

川上:
そうですよね、一方的にお米を強奪された民衆ですけれども、多分こういったような歌が爆発的にはやって、その歌を歌いながら、お寺に集まると、ミュージカルじゃないですけれども、すてきだなと。
やっぱり時代劇って、遠い昔の出来事のように捉えられるといけないなと思っていて、同じ生身の人間ですし、令和の今にも通じるところがたくさんあると思いますので、そういった令和の方にも共感できる装置として、こういう流行歌ですね、ヒットソングが絶対当時もあっただろうし、それを表現できるのがドラマのいいところなんじゃないかな、なんて思っております。

友吉:
ありがたいですね、芸能を活用していただいて。本当にありがたい限りでございます。
川上さんは、斬新なんだけど、斬新な中にもきっちりと方向性が見えているから、とてもご一緒していて楽しいなと思っております。

川上:
ありがとうございます。

友吉:
今後の、見どころは?

川上:
家康も年を重ねるにつれ、時代も移り変わってきて、どんどん円熟味を増していきます。
家康たちの人となりもそうですし、衣装だったり、合戦のしかただったり、装束、甲冑(かっちゅう)、そして、もちろん音曲の方も、どんどん豊かになってきて、安土桃山時代の熟成期といいますか。そういったものが、どんどん増していきますので、そこを楽しんでいただければと思っていますね。
やっぱり、時代劇は減っていますし、今どき見られないような、言葉だったり、音楽だったり、装束だったり…そのすべてを映像と音に託していけるのが、だいご味と思っていて。
ある意味、日本史の中でも一番華やかな時代といいますか、戦乱の時代ではありますけども、光り輝いている部分もたくさんあったと思うので、そういったものをドラマに込めて、みなさんにお伝えしていきたいなと。そういうところが使命といいますか、見どころだと感じております。

友吉:
きょうは、演出の川上剛ディレクターとご一緒にお送りしました。


【もっと、どうする家康】芸能考証・指導 友吉鶴心さん(2023/08/06放送)

【もっと、どうする家康】持ち道具 古川朋美さん(2023/08/20放送)

【もっと、どうする家康】本多正信役 松山ケンイチさん(2023/09/03放送)

どうする家康

日曜日 総合 午後8時/BSP BS4K 午後6時

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【放送】
2023/09/17 「ラジオ深夜便」

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