大河ドラマ『どうする家康』をもっと、楽しむためのコーナーが「ラジオ深夜便」で放送中の「もっと、どうする家康」。キャストやスタッフが、ドラマの現場から制作チームのこだわりをお伝えします。案内役は、ドラマの芸能シーンに携わる、芸能考証・指導の友吉鶴心(ともよし・かくしん)さんです。
【出演者】
友吉:友吉鶴心さん(薩摩琵琶奏者・『どうする家康』芸能考証・指導)
加藤:加藤拓さん(演出統括)
大河ドラマ『どうする家康』をもっと、楽しむためのコーナーが「ラジオ深夜便」で放送中の「もっと、どうする家康」。キャストやスタッフが、ドラマの現場から制作チームのこだわりをお伝えします。案内役は、ドラマの芸能シーンに携わる、芸能考証・指導の友吉鶴心(ともよし・かくしん)さんです。
【出演者】
友吉:友吉鶴心さん(薩摩琵琶奏者・『どうする家康』芸能考証・指導)
加藤:加藤拓さん(演出統括)
友吉:
案内役の友吉鶴心です。
きょうは、演出統括の加藤拓さんとお送りします。
『どうする家康』、今回は古沢良太(こさわ・りょうた)さんが脚本を担当されていますが、古沢さんの脚本のどんなところに魅力を感じていますか?
加藤:
古沢さんの脚本って、人物が愛らしいですよね。
「歴史の知識によって人が生かされている」っていうよりは「その人間が生きている感じ」がすごく楽しくて。
最初…僕は関西出身なので、徳川家康ってそんなに好きじゃないっていうのがあって。それを古沢良太さんは、今川領で人質になっている少年が、いろいろな運命の中で天下を取っていくっていう話にしていくわけですけど、キャラクターが魅力的じゃないと、彼を追いたくなる気持ちは生じないと思うんですね。やっぱり古沢さんの描く、家康や三河家臣団という人たちが何ともいとおしくて、それでどんどん話が進んでいく。
歴史を見ているっていうよりは、その人たちがどうなるかというのを見ているっていう感じがあって。
たぶん、それが古沢さんの脚本の最も魅力的なところだと思いますね。
第19回「お手付きしてどうする!」
友吉:
実はこのあと、「そもそも大河ドラマって?」というのを聞こうかなと思っていたんですが、まさしく、ひとりの人物を1年かけてたっぷり表現するっていうことが、大河ドラマの本質に近い?
加藤:
本質に近いと思いますし、それはあらかじめ規定されたものじゃなくて、例えば「秀吉を描く」って言っても、いろいろな描き方がありますよね。ひとりの人物の生涯を描く時に、どういう人間像だったのかっていうのは、それは歴史のどこにもある種、正確には残ってなくて。
むしろ、それが見たいというよりは「こういう秀吉を見たいんだ」って、やっぱり時代の要求があって、描いてくと思うんですよね。
僕が初めて大河ドラマを担当したのは、1996年の大河ドラマ『秀吉』。あれなんかはまさに、バブルが崩壊して、日本がものすごく元気がなくなった時期に、秀吉という成り上がり者の「彼の勢い、エネルギー、原動力っていうのを日本社会にぶつけたい」という思いで作られた大河ドラマですし、だから、僕たちはその『秀吉』ってものを、当時夢中になって作ったし、見た、ということだと思うんですよね。
だから家康も、あるリーダー像として描く時もあれば、今回のように「今川領で育った、本当はぬくぬくとしていた少年にいろいろな運命が襲いかかるんだけれど、それを1つずつ乗り越えていくんだ。乗り越えていく時にポジティブさを失わないんだ」っていう描き方でやっているので、時代が変われば、家康の描き方も当然違ってくると思いますし、それは「今見たい家康像というのは、こういうことなんだろう」と、思ってやっている。ただ、ひとりの人間を描くと言いながらも「ひとりの人間を、この時代にどう見せたいか」ということで、作っているドラマなんですよね。
友吉:
今後の見どころは? たくさんあると思うんですけど(笑)。
加藤:
たくさんありますね(笑)。ここから、家康の正妻である築山殿という、希代の悪女として今までは語られていますけれど、今回は有村架純さんが演じる瀬名と家康はどうなるのかってことがあり、さらに秀吉との対決があり、天下統一っていうことがあるので、ここからが実は本番。よく知られている家康の人生としては、ここからが本番っていうことですよね。
友吉:
見どころ満載ですね?
加藤:
満載です。面白いなと思ったのが、このあと教科書にも載っているような、そこで日本の合戦のあり方が変わったという「長篠の戦い」が起こるんですけれど、長篠の戦いが起きて、徳川と武田の仲が決定的になり、最終的には武田が滅ぶ。武田を滅ぼしたその足で安土に帰った、信長。そこに招かれた、家康。実は、その直後に本能寺っていう、天正10年。いろいろなことが大きく動くんですけれど、それはもう歴史のストーリーの中にあって、それを今回、信長を演じる岡田准一(おかだ・じゅんいち)さんであるとか、明智光秀の酒向芳(さこう・よし)さん、秀吉のムロツヨシさんが、歴史的な一番面白いところをどう表現するのかっていうのが、見どころじゃないかなと思います。
友吉:
きょうは、演出統括の加藤拓さんとお送りいたしました。
ありがとうございました。
加藤:
ありがとうございました。
【もっと、どうする家康】「えびすくい」を振付け 所作指導 花柳寿楽さん(2023/04/30放送)
【もっと、どうする家康】美術統括 山田崇臣さん(2023/05/07放送)
【もっと、どうする家康】加藤拓 演出統括(前編)(2023/05/21放送)
【放送】
2023/06/04 「ラジオ深夜便」
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