【みんなの子育て☆深夜便】子育てリアルトーク「子育て事件簿」

23/10/07まで

ラジオ深夜便

放送日:2023/08/24・2023/08/25

#子育て#家族#コミュニケーション#お悩み

8月のテーマは、「子育て事件簿 第7弾」。
子育て中に起きた思いがけない出来事、子どもたちのかわいいエピソードはもちろん、愚痴、後悔、胸にしまっていた思いなど、皆さんからお寄せいただいたつぶやき、ひとり言を集めて紹介。(聞き手・村上里和アンカー)
*放送の一部をこちらでお読みいただけます。全体は「聴き逃し」からどうぞ!

【出演者】
工藤:工藤直子さん(詩人・児童文学作家)
新沢:新沢としひこさん(シンガーソングライター)

自分だけの“おまじない”

――お楽しみタイムの中のさらにお楽しみタイム、音楽の時間にまいりましょう!

新沢:
じゃあ、『おまじない』を、ぜひみなさんに聴いてもらおうと思うんですけど…。

工藤:
『おまじない』っていう詩は、直子が『のはらうた』に書いておりまして、これは、みみずくんのことを「みみずくんの気持ちになって、歌ってみようかな」と思ったら、「俺って、クネクネした長いひもみたいなもんだな」って何かぼやいているみみずになっちゃってさ…。

新沢:
ふふふふふ。

工藤:
それでさ、何か、寂しいなあと思って。そういう寂しいみみずくんになった時には、こう言って頑張ろうと思って書いた詩です。で、実はこれは私が小さい頃、自分に向かって言ってたことなんです。それをみみずくんに託しました。聴いてください。

『おまじない みみずみつお』

こわいとき となえる
おまじないがある
じぶんにむかって
こういうんだ
「おい、ぼくよ
ぼくがいるから
だいじょうぶ
ぼくがいるから
だいじょうぶ」

すると
ぼくがふたりいるみたいで
げんきになる

♪~
新沢:
こわいとき となえる おまじないがある じぶんにむかってこういうんだ
「おい ぼくよ ぼくがいるから だいじょうぶ ぼくがいるから だいじょうぶ」
すると ぼくがふたりいるみたいで げんきになる

さびしいとき ささやく こえがきこえる かくれんぼうをしてる もうひとりのぼく
「おい ぼくよ ぼくがいるから だいじょうぶ ぼくがいるから だいじょうぶ」
すると ぼくがふたりいるみたいで げんきになる

――良い詩だし、良い曲ですね~。

新沢:
これ、とてもしみる詩で。でもさっき工藤さんが、この詩を書いた時にね、「みみずみつおくんは、俺は何かひもみたいなもんで・・・」って言ったから、本当に「おいらはひもさ」みたいな詩じゃなくて良かったねって(笑)。みみずみつおくんも素晴らしい詩を書いてもらって良かったねって思いました。

工藤:
はははは。あの、何かやっぱり詩を書く時って、自分の中のこっそりしまっているやつをさ、出すでしょ。新ちゃんもそうじゃん?

新沢:
うん、そうね。そうです。

工藤:
私ね、あの~チビの時から多分みんなもそういう自分用のおまじないがあったと思うんだけど、私ちょっと泣きそうになったり、怖かったり、困ったり、ひとりぼっちでさみしかったり、いろんなときに実は鏡の前に行くの。チビの頃から、小学校…、中学校くらいまでかな。自分のつまんない顔を見ながらさ。「直子、私がついている。直子、私がついている」と声に出してさ、言うの。

新沢:
声に出すんだ。

工藤:
声に出すの。それしないとおまじないね、届かないんだよ。

新沢:
なるほど!

工藤:
それでね。顔を見ながら「私がいる。大丈夫」って言うと、ちょっと元気になるの。

新沢:
この詩、そのままじゃん!

工藤:
そうなの。そういうのをいろいろ詩に書いちゃうわけね。みんな、怖いとき、寂しいとき何かした? 私、他にもあんのよ。なんか今の状態が切ないときね。大体そういうふうに切なく思っちゃうのって、寝ようとしているときなの。そしたらね。「水金地火木、水金地火木」って言うの。

新沢:
何それ?

工藤:
あのさ、今いる直ちゃんがいる所は、地球っていう所の日本という所の、その当時は滋賀県だったけども、そこのちっちゃい布団の中にいるけど、寝ている上を、ずっと空を見ると、お月さんもいてね、宇宙…惑星がね、いるじゃん! 「水金地火木土天海冥」までいったら、こんな切なさ、悩みってなんぼのもんじゃいって…思えた。

新沢:
なるほど、すごい! わ~っとワープしていく感じ!

工藤:
あんまりうまくワープし過ぎるとね、ひとりぼっちすぎて怖くなるけどね(笑)。

新沢:
なるほど。

工藤:
でも、つらいときに、こんなのもう天王星くらいから見りゃなんぼのもんじゃいって思うために、それをだんだん、水星行って金星行ってってやるのを省略できるの、おまじないで「水金地火木」って言っただけで。

新沢:
早いし。素晴らしい!

工藤:
そういうおまじない、いっぱいあるよ。今度、いつか他のもこっそり教えてあげるよ。

新沢:
教えてもらいたい。工藤直子のおまじない集作ってくださいよ!

工藤:
あるよ、あのね、もう1個だけ。三日坊主も。三日坊主って、嫌でしょ? 「10回やれば30日」。

新沢:
そうね。

――一か月経つ!

工藤:
30回もやれたら三日とは言わないでしょ? 「三日坊主も10回やれば30日」って言ったら、なんとなく安心しない?

――「結構やったじゃん、自分」って思います。

新沢:
ポジティブ!

工藤:
高校時代から二十歳ぐらいに一番よく使っていたのは、「やったことはやりたかったこと。やらないことはやりたくなかったこと」。そう決めたの。そしたら、後悔しない。

新沢:
それ、素晴らしいよね。前に聞いて、そのとおりと思いました。本当そうなんだなって思った。

工藤:
そういうおまじないを自分用にたくさん作るのよ。だってそれ、人によって違うじゃん。

――どれが一番しっくりくるか・・・。

工藤:
そう、どれがしっくりくるか。自分がいるから大丈夫とかさ、何かいろいろあるじゃん。そんなの見つけると楽しいよ。もうグズグズ言うてる暇もなくなったりして…と思いました。

新沢:
素晴らしい!

工藤:
「三日坊主の10回やれば30日」なんていまだに思っているもん(笑)。

新沢:
けっこう飽きっぽいしね。三日坊主だしね。

工藤:
そうそう、すぐに飽きるから。

語るも涙、聞くも涙。だけど笑える子育て事件簿

――続いてのはがきです。

長野県77歳
<30年前、築80年の古い家での出来事です。2階の天井裏にはハクビシンが住み、1階の天井裏では毎晩ネズミの運動会。粘着紙捕獲作戦で1度に子ネズミ3匹を親とともに捕獲したこともあります。ある日、脱衣場の壁際に粘着紙を仕掛けたところ、翌朝かかっていたのは、当時小学1年生の末娘。粘着紙は剥がしたものの、ねとねとは取れず。とっさにその上に靴下をはかせて急いで登校させました。大笑いのひと騒動でした>

新沢:
ほんとー? 引っかかっちゃったの? あらららら…。

――きっと呼ばれたんじゃないんですか? 「お父さん助けて―!」って。

工藤:
ははははは。

新沢:
とりもちみたいな感じで、捕まっちゃって…。これは、大笑いですね。

――続いていきます。

兵庫県女性
<私の子育て時代は、語るも涙、聞くも涙の出来事ばかり。息子が仙台で入園した幼稚園は歩いて30分ほどかかる丘の上にある幼稚園でした。体も大きく元気な息子は走るように向かいましたが、私のほうは疲れてしまって、毎日の送り迎えが大変でした。初めての遠足の日のこと。年少さんは園庭での遠足でした。前の日から楽しみにしていた息子は喜々としてリュックサックを背負い、朝食を食べていたのですが、うっかり者の私は、食卓の上にあったいつもの登園バッグに今朝作った栗ごはん弁当を当然のように入れてしまい、そのまま気が付かずに、空のリュックを背負った息子とルンルン楽し気に幼稚園に向かったのです。

送り届けて自宅に戻った私は、テーブルの上に栗ごはん弁当を発見! お弁当を抱え必死に今来た道をかけ上りました。すでに早いお昼が始まっていて、しょげた息子は先生のお弁当を一緒に食べさせてもらっていました。今思い出しても子どもに申し訳なく、遠足の風景を目にする度に、我が身の情けなさを恥じて子どもにわびております>

工藤:
はははは。

新沢:
わはははは。かわいい! すてきですよ、このお母さん! 子ども大好きだと思うよ、こういうお母さん。

工藤:
そうだよ。

――この方、お手紙でいただいたんですけど、エピソードがこれだけじゃなくて…、小学校の授業参観日にはよその教室にスタンバイして、同じマンションのお母さんに「お宅の子は、隣の教室よ」と教えてもらったり…。

新沢:
あら! あらららら。チャーミング!

工藤:
愛すべき!

――まだあるんですよ。転校先の学校に子どもを送っていったら、帰り道が分からなくなって、うろうろしているところを息子さんに発見されたり…。情けない思い出がたくさんあると書いて下さったんです。

工藤:
はははは。かわいいね!

新沢:
これ、他人事じゃないわ。いいねえ。すてき! すごくチャーミングだと思うな。

工藤:
そういう時ほど、思い出になるんだよね。普通にやっていたら普通の日々だからね。

新沢:
そんなパーフェクトなお母さんなんて、子どもが息苦しいかもしれないもん。

工藤:
ふふふふ。

――ちなみに、この息子さん。小学校3年生から海外に1人旅に行くほど、しっかり者に育ったとのこと。

新沢:
さすが! そうよ、そうなんですよ。本当にしっかり者のお母さん、お父さんの子どもってぼんやりしがちっていうかね、ぬけがちだったり。

工藤:
そう、ドジなパパ、ママの方がね、子どもはしっかりしなきゃってなる。

新沢:
もうね、工藤さんの息子さんなんて、しっかりしているから! 本当に。

工藤:
そうなの・・・。

――しっかりされている?

工藤:
中学生になった息子がね、うちは友達がいっぱい遊びに来て、ワイワイやってることが多かったんだけど、「母さん、にぎやかで良かったね!」って前の日の話をしてて、「うん、にぎやかだったね」って言ったら、「でも、母さん、まるで司会者みたいだったよ」って言われたのよ。

新沢:
何それ?

工藤:
こっちの人があんまり話してなかったら、話を引き出したりなんかして、「それは周りの人は、楽しいかもしれないけどさ。俺、母さんそういうことやる気質じゃないと思うんだ」って言われたの。

新沢:
え~! ちょっと、すごすぎる! 何それ?

工藤:
そうなのよ、だから私、ハハ~ッってさ。「君のこと中学生の年下だと思ってたけど、これからはタメをはっておくれ」って…。

――いや、もうね、息子さん。お母さんのことが大好きなんですね。

新沢:
え? どういう立ち位置で見ているの? すごいね。

工藤:
うん、あの、つまり、親子とか上下とかっていうのが、うちには無かったんですよ。チビの頃から。お互いタメはって。
だからその…「死ぬのが怖い」っていうのが両方で出てきたときも、真面目に、真面目に相談したもんね。

新沢:
なるほど。

工藤:
だから、人の組み合わせでしょ? それがいいっていうわけじゃないんだよ。

新沢:
でも、すごすぎて、参考にならない話だよ(笑)。

工藤:
いや、それは彼の問題で。

新沢:
いやいや、お母さんもすごいですよ。

工藤:
いやあ、私も「ハハ~ッ」って思っちゃったよ、その時。

新沢:
母だから(笑)。

――その「ハハ~ッ」って思える直子さんがすてきですよね。もう親だからとかそういうのもとっぱらっちゃって。人と人っていう…。

工藤:
でも、白状をすると生まれた時からそんな気でいたんです。でもそれがいいかどうかは分からない。人それぞれだからさ。

言葉にするって、とても大事

――では、最後の音楽コーナーです。

新沢:
最後の歌も工藤直子さんの詩を歌いたいと思います。

『なみだのちにじ  あおぞら よしあき』
~♪
いつも なみだはみせないぼくです
はればれと あおいむねをはって
おおぞらを ささえています
でも ときどき
とても さびしくなる
どんなに さびしいかというと
でかすぎて
はかれないくらいです
そんなとき ポケットから
あまぐものハンカチを とりだして
いっぱい なきます
しくしく…しとしと…ざあざあざあ!

そのあとは すっきりからり
おおぞらに にじをかけて
あっはっはっはと わらいます
すると みんな
そらをみあげて ほっとします

――(拍手)

工藤:
あおぞらくんだねぇ。

新沢:
いや~、もうこれも本当にこういう人いるよなって、思っちゃう。さっきの息子さんの、友だちが来た時に工藤さんが心を働かせて司会のようにやった…みたいな人だって本当は(違う一面がある)、みたいな感じが。工藤さんって、そういうところを詩にするんだなってすごく思います。

工藤:
あおぞらくん。

新沢:
あおぞらくんは、雨雲のハンカチでちょっと泣いちゃったりする…、でもみんなの前ではハハハッて笑っている。で、それを見てみんなもホッとしているっていうのがすごくいい詩だなと思います。

工藤:
ありがとうございます。うれしいっす。

――工藤さん、どうしてこんなにすてきな詩が生まれるんでしょう? 本当に…。

工藤:
言葉、文字が好きだから。単純にそうだよ。だからここへ投稿されている方もそういう意味で言葉が好きなわけで。

新沢:
ああ、そうかもね。言葉にしてみるってさ、すごく大事なことだったりするよね。

工藤:
そうだよ。だから投稿した時には、ついでに自分のちょっとうれしいこと、ちょっと寂しいこと、ちょっと暗くなっちゃったこととかね、ちょっと切ないこと、何でもいいから、言葉でさ、こっそり出してみるといいと思います。

――そこにテクニックとは全然必要ないんですね。

工藤:
いらないです。テクニックなんていうのは、3番目か4番目か5番目くらいに考えりゃよくて、一番に最初に思うのは、「ね、自分。ね、直子」とかさ、そんなふうに自分に聞きながら。「こうだよね」ってこっそり、しこしこ書くといいと思うよ。

新沢:
そうね、自分と出会うきっかけになるっていうか、何か書いてみるって、この投稿を書いている人たちの気持ちっていうのは、すごくいいですよね。

工藤:
いいと思う。だって、大変だもん。わざわざ言葉を探して、わざわざ文章にまとめて、わざわざ送るっていうさ、面倒な事をおやりになるだけの興味と生き生きしたお気持ちがあるから。

新沢:
そうですよね~。

工藤:
ついでにもうちょっと小指までくいっと働かせてさ(笑)。

新沢:
しかもこの事件簿が、すごいささいな出来事とかじゃない? ものすごいドラマチックなことっていうよりは、日常の何でもないことを書いてくれているのがとてもいいと思うんですけど。だってそういうことの積み重ねが生活っていうか、人生なわけなんだもんね。家族との暮らしっていうか。本当に何でもないことだけど、ちょっとクスッて笑ったりとか、ちょっと失敗したら、ちょっと落ち込んだりとかそういうことが寄せ集まって、人生ってできているから。そういうことも感じられますね。皆さんのお便りを見ていると。

工藤:
そうだよね。楽しみです。皆さんの投稿。

新沢:
きょうも、すてきなお便りがいっぱいありました。

工藤:
「いっぱい言葉で遊んで!」と思います。また出会うのを楽しみにしています。


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2023/08/24・2023/08/25 「ラジオ深夜便」

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