6月のテーマは、「子どもの睡眠」。
生活リズムが夜型になっている。子どもがなかなか寝てくれず、寝かしつけに苦労している。寝起きが悪い・・・など、子どもの睡眠に関する悩みについて、一緒に考えます。(聞き手・村上里和アンカー)
*放送の一部をこちらでお読みいただけます。全体は「聴き逃し」からどうぞ!
【出演者】
小林:小林よしひささん(タレント)
清水:清水悦子さん(茨城キリスト教大学准教授・「赤ちゃんの眠り研究所」代表理事)
6月のテーマは、「子どもの睡眠」。
生活リズムが夜型になっている。子どもがなかなか寝てくれず、寝かしつけに苦労している。寝起きが悪い・・・など、子どもの睡眠に関する悩みについて、一緒に考えます。(聞き手・村上里和アンカー)
*放送の一部をこちらでお読みいただけます。全体は「聴き逃し」からどうぞ!
【出演者】
小林:小林よしひささん(タレント)
清水:清水悦子さん(茨城キリスト教大学准教授・「赤ちゃんの眠り研究所」代表理事)
――皆さんからいただいたメールをご紹介します。
岐阜県30代男性
<わたしたち夫婦は、両親に助けられていて、とても感謝です。夜泣きで泣きじゃくる娘を、両親は簡単に泣きやませてくれます。両親は「子どもの気持ちを考えてごらん」と言いますが、なかなかうまくいかないものですね>
――このご両親すごいですね! 「子どもの気持ちを考えてごらん」というところが、すごく何かグッときますね。
清水:
すごいです。
――「子どもをよく見る、気持ちを考えてみる、想像してみる」っていう、何か大事なヒントがあるような気がします。
石川県50代女性
<3人の娘はすでに成人ですが、長女は夜泣きが尋常ではない子でした。本格的に眠る前の1時間。何をしても泣きやみませんでした。長女を出産後に、隣の県にある夫の家で同居。24時間すべてのことに気を遣い、果てしなく孤独でした。虐待と言われても、言い返せないことも記憶にあります。子どもとともに、その母を孤独にしてはいけない。母が安定できる環境は絶対に必要です>
――清水さんも、「本当に大変でつらいときには、助けを求めてください」っておっしゃっていましたね。
清水:
そうですね、本当にそのとおりだと思っています。
――番組の前半では、夜泣きの原因の1つが“体内時計の乱れにあるよ、(昼夜の)リズムをつけていきましょう”というお話をしましたが、皆さんから「お昼寝について悩んでいる」というメールが多く届いているので、ここでいくつかご紹介したいと思います。
青森県女性
<5歳の娘が保育園で昼寝するため、夜なかなか寝てくれません。保育園では、午後に2時間半くらいの昼寝の時間があります。保育園のない休日は、昼寝はしないため、夜はすぐに眠りますが、昼寝する平日はなかなか夜眠らず、困っています。朝は7時ぐらいに起きますが、夜は22時から22時半ぐらいに眠ります。23時ぐらいまで眠らないこともあります。卒園までのあと1年半、体力のついてくる娘が昼寝を続けたら、夜にますます眠れなくなるのではと心配です。どのようにしたら、夜に早く寝かせることができるか、もしよいアイデアがあれば、教えていただきたいです>
東京都40代女性
<3歳の子どもは、保育園での昼寝が、2日に1回くらいしかできていないようです。土日はお昼寝をしてくれません。親の帰宅時間の関係で、寝る時間も遅くなっています。朝は自分で起きてきますが、眠そうにしていることが多いのです。適切な睡眠時間というのはあるのでしょうか。成長に影響するのではないかと不安です>
――というお2人からです。小林さんも、お昼寝に関して聞いてみたいことがあるそうですね。
小林:
うちの娘も4歳なんですけれども、幼稚園では、昼寝の時間がないんですよね。帰ってきてから、そこから昼寝をする子もいると思うんですけれども、うちの娘は、以前からあまり昼寝をしない子で。「昼寝というのは、あったほうがいいものなのか、別に要らないものなのか」、その辺がちょっと気になるなと思っていて、お聞きしてもいいですか?
清水:
そうですね。お昼寝をしてくれないっていうので、やはりたくさんの方が悩んでらっしゃるんですけれども、睡眠学っていうような学問の世界では、夜の睡眠がすごく大切で、夜にしっかり眠れていることっていうのが大切で、お昼寝というのは、だんだんと成長とともになくなっていくものなので、そんなに眠れていなくても、成長発達に影響があるようなことは少ないんじゃないかというふうには考えられています。
なので、いかに夜を寝かせるか、っていうことからいうと、お昼寝も寝すぎてしまうと、メールのご紹介でもありましたが、5歳のお子さんが保育園でお昼寝をたくさんしてしまうと夜寝られなくなるっていう場合には、やはり少しずつ、お昼寝を短くしていく方が子どもの成長には好ましいですね。
今、保育士の養成校にいますので、保育業界のお話をさせていただくと、だんだんと保育士の世界も、4、5歳あたりから、お昼寝はなかなか寝ない子が増えてくるので、少しずつ時間を短くしていったり、なくしていくっていうような対応をしていきましょう、という過渡期なんですね。まだちょっと大変だと思いますけれども、そういう流れになっているので、あと数年後には「4、5歳あたりはお昼寝がない」っていうのがスタンダードになるんじゃないかなって思っています。
――そうすると「少しお昼寝の時間を短くしていただけませんか?」って園に相談してみたり、「みんなより早く起きたらちょっと静かに過ごせる?」って子どもにも親から話してみたり。少しお昼寝の時間を短くする相談をしてみるっていうのが、もしかしたら親ができる第一歩かな?って思うんですけれども。
清水:
そうですね。まず、お昼寝の時間の相談の前に、1つだけ、ご自宅でご確認いただきたいなと思うのが、寝る前の環境です。やはり「光環境」っていうのが、子どもには強く影響していまして、このお昼寝をなくせば、夜早く寝てくれるかっていうと、意外とそうでもないお子さんも中にいらっしゃって、そうすると、ただただ子どもが寝不足になっていくっていうだけになってしまうことがあるので、まずはちょっとこう…寝る前のテレビですとか、寝る前の明かりの環境を落ち着いたものにして、「夜、寝られる環境を作っているのに、寝てくれないんです」っていう形で、保育所にご相談に行くといいかと思います。実は、けっこう保育士さんと言い合いになるっていうのもよく聞くので、なかなか難しいんですけれども…。
――まずは、先ほど前半でお話しした、朝の光を浴びる、そして、夜はだんだん眠る時間に向かうにしたがって、光を弱くしていって、子どもの寝る部屋は暗くして…。これは、赤ちゃんであっても幼児であっても、変わらず一緒ということですね?
清水:
そうですね。寝つきが悪い子ほど、明るさというのは気をつけてあげた方がいいかなと思いますね。
――だいたいどのくらい寝ていれば、まずまず大丈夫ですよというような、そういう数字っていうのは、あまり数字にはとらわれたくないとは思うんですが、安心材料としてありますか?
清水:
そうですね。必要な睡眠時間というのは、非常に個性はあるんですけれども、だいたい夜に睡眠がまとまってくる生後3か月から小学校低学年ぐらいまでは、9時間から11時間ぐらいの夜の睡眠時間っていうのが適正じゃないかということは言われていますね。ただ、すごく短くていいタイプのお子さんもいれば、すごく長く必要な子もいるので、毎日同じぐらいの時間眠っていて、日中しっかり活動できていれば心配ないっていうふうに考えていいかなと思います。
――この9時間から11時間って、ぐっすり寝ている時間って考えるんですか? それとも寝かしつけを始めて、まどろみ始めてお布団に入っている時間でいいというふうに考えればいいですか?
清水:
そうですね。まず第1歩としては、お布団に入っている時間っていうところで、9時間から11時間確保するっていうふうに考えていただいて。リズムが取れてくると、だんだん寝つきがよくなって、スッと寝てくれるようになると、しっかり寝てくれるかと思いますね。
――そしてまた、先ほどお話にあったように、昼間にしっかり体を動かすっていうことが大切ですか?
清水:
はい、大切ですね。特に午前中は、光を浴びながら活動的な生活ができるといいのかなと思いますね。
――体を動かすといえば、小林さんの専門分野ですよね! 何かいい体の動かし方、アイデアを教えていただいてもいいでしょうか?
小林:
特に雨が降ったり、お外に行けないときって、体を動かしづらいところが多いと思うので…。
――そうですね。天気がいいと、ちょっと公園に行ったりとか、保育園でも外でたくさん遊んできたりしますけれども、そうじゃない時もありますものね。
小林:
新型コロナのときも、室内での運動みたいなものを考える機会が多かったのですが、“よしリンピック”、“家リンピック”みたいな、ゲーム性を持たせて、どの家庭でもあるようなものを使って遊ぶっていうのをちょっと考えたりしていました。例えば、ティッシュペーパーを上からひらひらと落としてキャッチできるかとか。それを進化させていって、顔の上にのせて、ふっと吹くと飛びますよね。それを今度は、箸でキャッチできるかとかやってみたり…。どんどんアレンジを加えていくと楽しくなってきますし、ある程度の年齢になってくると、自分でそのアイデアなんかも出てくることが多いので、体だけでなく頭も使えるっていうのはあるので、こういった遊び方をしてみると、意外に睡眠に近づけるんじゃないかなと思いますね。
――そうですね、子どもって、遊びを作り出す天才ですよね。ちゃんと親(や大人)が見ているところで、安全を確保してぶつからないようにして、いろいろなアイデアで遊んでみる、家の中で体を動かしてみると楽しそうですね。
――さて、寝かしつけの習慣で、夜泣きをしていることがある。それを直していくと、夜泣きも解決できる方向に向かいますよという話が最初にありました。で、この寝かしつけの習慣ですが、これは皆さんいろいろあるでしょうね。小林さんはスクワットでしたね。
小林:
スクワットもやっていましたし…、赤ちゃんのころから、暑がりだなと印象があったので、扇子で。扇風機とかエアコンもいいんですけれども、何かこう、あおぐ風が好きみたいで、今も寝るときに、特に最近暑いので、あおいであげると寝てくれる、赤ちゃんの頃からそうでしたね。
清水:
(笑顔)
――寝かしつけについては、過去にいただいたおたよりでも、たくさんお寄せいただいてます。皆さん、いろいろな寝かしつけの方法を試されていまして…
三重県60代女性
<娘が2歳のころ、寝つかず泣きやまず、ベビーカーに乗せて家の周りをぐるぐる。疲れた体で「早く寝ろ~」と思いながら、夜中歩いていました>
ほかにも泣きやまないときは、ドライブに連れていったとか、お気に入りのビデオを見せていたという方もいらっしゃいます。
群馬県70代男性
<群馬県太田市の大光院の夜泣き封じは、効果がありますよ>
お守りなんでしょうかね。“子育て呑龍(どんりゅう)”と呼ばれている大光院は、子どもの健やかな成長を願う人々の信仰を集めているそうです。
そして去年、番組にインタビューでご出演いただいた、Eテレ『すくすく子育て』のMCの古坂大魔王さんは、こんなことおっしゃっていました。「縦だき抱っこで、バランスボールでピョンピョンピョンピョン」「縦だき抱っこをしながら家の中を一定の速度で歩き回る」「ベランダにいって風をあてる」。これ、よしおにいさんと似ているところもあるかな。いろいろな方法を試されていたとのことでした。まだまだたくさんあるんです。
山形県70代男性
<子どもを寝かすときに『竹田の子守唄』を小声で歌いました。方言のやわらかさと眠くなるテンポで、ゆったりした気持ちが子どもに伝わった感じがする>
東京都30代女性
<保育士をしています。0歳児の担任です。毎日子どもたちの昼寝の時間があり、先輩保育士から聞いた、寝かしつけのコツを実践しています。それは子どもの眉間のあたりを指でなでながら『きらきら星』をハミングすることです。
かなりの確率で眠ってくれます。他の歌も試してみましたが、『きらきら星』が、一番効果がありました。不思議ですが引き続き自分でも研究していきたいと思います>
――みなさん、本当にいろいろな寝かしつけをされていますね。よしおにいさんが、ニコニコしながら聴いてらっしゃいました。
小林:
「眉間になでなで」は聞いたことがあって、試したことありましたね。
――そうですか、どうでしたか?
小林:
寝なかったですね(笑)。なでかたが悪いのかもしれないです。
――その子、その子でしてほしいことがあるから、「子どもの声を聞け、子どもの様子を見なさい、子どもの気持ちを考えなさい」というのは、こういうところにもありますよね。その子の個性だから、これで100%寝てくれる!という方法はありませんが、清水さん、皆さん頑張っていますね。どうでしょうか?
清水:
いや~、そうですね。すごくたくさん、いろいろな工夫をされていて、本当にどうやったら寝てくれるかっていうふうに考えるってことはすごく大事なことだなと思う一方で、けっこうこの寝かしつけの習慣が、あまり大変すぎると親にとってはつらいことになる、ということも1つあるのかなっていうふうに思いながら伺っていました。
――つまり、赤ちゃんの夜泣きが何か月も続いて、お母さんもお父さんも全然睡眠がとれていないという状況で、つらい寝かしつけの習慣をしていると、親もどんどんつらくなっていくということですね。
清水:
そうですね。
――例えば、抱っこの寝かしつけで腰も肩も痛いとか、そのような状況のことでしょうか?
清水:
そうですね。寝かしつけって、寝るときに1回だけであれば、「どれだけ大変でも、まあやってあげようかな」っていう気持ちになれるんですけれども。前半のところで、人間の眠りには、レム睡眠、ノンレム睡眠というリズムがあって、浅い眠り(レム睡眠)が何のためにあるかっていうと、起きられるためにあるっていう話をしましたよね。その起きたときに、赤ちゃんは何を求めるのかっていうと、寝るっていうのは、やっぱり不安なんですよね、赤ちゃんにとっては。非常に不安なことなので、「安心して寝かせてほしい」っていうふうに願っているんですね。だから、この無意識に親が教えてきた寝かしつけの習慣が、その子どもにとっての安心のサインっていうんですかね。合図になっているっていう形なんですね。
例えば、よしおにいさんが“スクワットで寝かせる”っておっしゃっていましたが…、よしおにいさんは、絶対大丈夫な人だと思うんですけれども(笑)、それが例えば夜中に3回、4回起こされたときに、同じ安心感を作ってあげようと思うと、毎回やらないといけなくなる。「(いつも)同じようにスクワットをしてほしい」って子どもが要求するかもしれないわけなんですね。そのときにスクワットが大変な人は、スクワットはやっぱりやめたほうがいいっていうような考え方です。
――よしおにいさんがいるときはいいですけれど、ママしかいないときにスクワット求められたら、大変ですもんね。
清水:
そうですね、赤ちゃんってすごく頭が良くて、よしおにいさんがいるときはスクワットで、ママしかいないときはママなりの寝かせ方をちゃんと理解して「この人のときはこう」ってわかっていたりするんですよ。
――赤ちゃんはとても頭がいいということは、今、(親にとって)つらい寝かしつけ方をしてしまっているけれども、それを変えたいなっていうときは、協力してくれる可能性もあるということでしょうか?
清水:
おっしゃるとおりです。本当に協力してくれますね。それまでもやはり学習で、その寝かしつけで、これが安心なんだっていうのを学んできたので、同じように新しい習慣を教えていってあげると、最初はもちろん泣きますけれども、だんだんとこう「ああ、これが新しい安心の習慣なんだな」っていうのを覚えていってくれるようになるので、決してその(親にとってつらい寝かしつけの)習慣がずっと続くことはないですね。
――例えば、赤ちゃんにもお父さんお母さんにも優しい寝かしつけの方法って、どんな方法があるんでしょうか?
清水:
そうですね。泣かずに寝てくれるっていうような方法はないんですよね。ないので、そのご家庭、ご家庭で「こういうやり方で寝てくれると、こちらも楽だな」って、親の方も負担が少ないなっていうのを1つ決めていただいて、それを1週間、2週間続けていくと覚えてくれるっていうのが1つあるんですけれども。
おすすめの方法としては、親が寝っ転がったままでもできるぐらいのかかわりっていうんですかね。夜中に起こされたとしても「このぐらいだったら、かかわってあげられるかな」っていうような…、先ほどの保育士さんの“眉間をなでる”っていうのもありましたけれども「このぐらいだったら、やってあげられるかな」とか「おなかに手を置くぐらいだったらやってあげられるかな」っていうぐらいの、言ってしまえば手抜きの、なるべく手を抜いた寝かしつけにされた方がいいのかなと思いますね。
――それは、赤ちゃんは寝ることが不安で泣いているから、安心させてあげるっていう方法を考えるっていうことなんですよね。
清水:
そうですね。手のかからない方法で安心感を持ってもらうということが大事かなと思います。
――ついつい、泣かれると「泣かしちゃいけない」って思って、すぐ抱き上げて揺らしたりとか、私もしていたと思うんですけれども、前半でもありましたように、寝言泣きのこともあるから、そうしないで、まずはちょっと様子を見る。「寝言で泣いているだけだから、そのまま眠りに戻ってきてくれるときもある」と考える。あとは、眉間のクルクルだったり、おなかトントンだったり…眠る時の安心感を親子で探っていくということですね。
清水:
そうですね。「これで寝てくれなかったから、次こうやってやってみよう」っていろいろ変えてしまうと、赤ちゃん自身は、何を教えられているかも分からなくなってしまうので、「これでやってみよう」と思ったら1つの方法を続けるっていうのがすごく大事なことなんですね。1週間とか、タイミングを区切ってもいいので、「この方法でやってみよう」っていうのを、続けていただけるといいのかなと思っていますね。
「子どもの睡眠」についての放送、いかがでしたか?
参考になったこと、もっと知りたかったことなど、皆さんからのご意見、ご感想をお待ちしています。
大日向雅美さん
次回の「みんなの子育て☆深夜便」は、7月27日(木)の放送です。
テーマは「子育て世代間ギャップ」。
夏の帰省は3年ぶり、という方もいらっしゃるのでは?
楽しみな気持ちの一方で、不安に思うこと、モヤモヤする思い、言われたくない言葉、子どもにしてほしくないことなど、子育て世代も、祖父母世代も、それぞれあるのではないでしょうか。
皆さんの心のつぶやきをメールでお寄せください!
また、祖父母世代に助けられたことや祖父母と孫のかわいいやりとりなど、ほのぼのエピソードもお待ちしています。
ゲストは、恵泉女学園大学学長の大日向雅美さんです。
【放送】
2023/06/22・2023/06/23 「ラジオ深夜便」
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