子どもとあたたかい関係をつくる 「1日5分のほっこり声かけ」①

21/07/20まで

ラジオ深夜便

放送日:2021/05/27

#子育て#家族#コミュニケーション#コロナウイルス

小さな命を育てる親は不安でいっぱい。自分の気持ちを見つめたり、同じ悩みのママ・パパの話を聞いたり、<深夜便>のリスナーが世代を超えて寄り添います。今回の「子育てリアルトーク」のテーマは「コロナ禍での子育て」。特に家庭内でのモヤモヤを、子どもと関わる大人のための心理教育プログラム「CARE(ケア)プログラム」を日本に導入した福丸由佳さん、作家の山崎ナオコーラさんと考えます。(聞き手・村上里和アンカー)

【出演者】
福丸:福丸由佳さん(白梅学園大学子ども学部教授)
山崎:山崎ナオコーラさん(作家)

「家族」は血縁のみならず

♪「マァマ、しんやびん」

――ゲストはEテレ<すくすく子育て>にもご出演になっている福丸由佳さん。「ママ深夜便」には初登場です。1968年生まれで、2009年から白梅学園大学子ども学部教授でいらっしゃいます。2005年からアメリカのシンシナティ子ども病院で研修を受け、子どもと大人の関係を強める「CAREプログラム」に出会い、のちに日本に導入されています。ご専門は家族心理学、臨床心理学。臨床心理士、家族心理士でもいらっしゃいます。23歳と16歳になる2人のお子さんがいらっしゃいます。
「家族心理学」という分野は、どんなことをテーマに扱っているのですか。

福丸: 「家族」ってとても身近な存在で、多くの人が自分も体験していて、その意味もわかった気になっていますけれども、気持ちが近い分、親密な関係だからこそ、わかってもらえないとがっかりしたり、葛藤を感じたりいろいろなことが起きますよね。でもその中で、お互いが一生懸命頑張って生きている。それぞれの立場やお互いの関係にも焦点を当てていく学問です。家族のありようも多様化してきて、両親がいるご家族もあれば、おひとりで子育てをされているご家庭もあったり、必ずしも血のつながりがある親子ばかりでもない。いろいろな形やありようも含めて、いろんな視点から考えていきます。

――なぜその分野に興味を持たれたのでしょう。

福丸: ずいぶん昔ですけれども、心理学、特に子どもの発達などを勉強したいなと思って会社勤めから大学に戻ったんです。当時は母子関係の研究はたくさんありましたが父親と子どもの研究は少なくて。でも、企業に勤めていたとき、結構上司から家庭の話、特に、お父さんなりの仕事と子育ての大変な話などを伺っていたんですけれども、心理学の分野ではそういう研究は少なくて。そういう疑問から家族、家族関係に関心が向くようになりました。

――2005年から3年間、ご主人の仕事でお子さんを連れてアメリカへ行かれて、ご自身も子ども病院で研修を受けたということですが、当時、お子さんは?

福丸: 上の子が7歳、小学1年で、下の子が生後3か月でした。

――小さいお子さんを2人連れてのアメリカ生活は、思い切りが必要だったのではないですか。

福丸: そうですね、無我夢中だったので当時のことはあまり覚えていないんです。船便の荷物を夜中に作っていたとかは覚えているんですけど。異文化での子育ては、しばらくは慣れるのに精いっぱいでしたね。

――そこで出会ったのが「CAREプログラム」。これは、子どもと関わる大人のための心理教育プログラムだそうですね。

福丸: はい。周りに日本人がほとんどいなくて、日中は孤独な子育てというか、ストレスを感じながらという中で、このプログラムに出会って、私自身がおもしろいというか肩の力が抜けたというか、それでママ友にも伝えたいなと思ったのが最初です。

――子どもへの接し方や声のかけ方に悩んでいる方も多いので、CAREプログラムについてはのちほどゆっくり伺います。

地図の絵本で想像旅行

――2人目のゲストをご紹介しましょう。リモートでつながっています。作家の山崎ナオコーラさんです。こんばんは。

山崎: こんばんは。よろしくお願いします。

――去年6月以来のご出演です。ナオコーラさんにメールが届いています。

福岡県40代女性
<ナオコーラさんのゲストの回は、特にいつも楽しみにしています。お子さまのエピソードが聞きたいです>

――お子さんは1歳と5歳になられたということですが、きょうは元気に過ごしましたか。

山崎: はい。今はもうスヤスヤ寝ています。でも年下の子のほうはときどき起きるので、これから起きたらどうしようとドキドキしてるんですけど。夫も今は寝てるから……。

――「ママ~」って起きてきちゃったら福丸さんとゆっくり話していますので、ご対応いただければと思います。

山崎: ありがとうございます。

――山崎ナオコーラさんのプロフィールをご紹介します。1978年福岡県生まれ、埼玉県育ち。2004年に作家デビュー。以降、小説やエッセーを通じて、社会と人との関わり、社会の価値観を問う作品を多数発表。ポリシーは、誰でもわかることばで誰にも書けない文章を書くこと。最新刊は、毎日の家事時間で考えたことをつづった『むしろ、考える家事』。そして小説集『肉体のジェンダーを笑うな』は、多くの書評にも取り上げられて話題になりました。

前回ご出演いただいたときは、“これまでは外交的な人を基準に世の中が回ってきたのではないか、コロナの自粛生活は、内向的な人にとっては過ごしやすいということもある”とお話してくださいました。あれから1年、どんなことを考えてこられましたか。

山崎: 家にいることをほめられるなんてこれまでになかったので、これがほめられるなんてちょっといいなっていうのが去年はあったんです。
でもさすがにこんなに長引いてくると、旅行に行きたい気持ちもわいてきましたね。「オンライン旅行」ということばも聞くから、映画や地図の絵本を見たりして旅行気分を味わっています。

――地図の絵本で、お子さんと旅行気分を?

山崎: そうですね。地図を見て「ここ、行きたいね」とか。でも、コロナ禍でなくても、乳幼児を連れての旅行は大変だしお金もかかるから、実際はそんなに行かなかったと思うんです。だから今、想像力で旅行できることをみんな知り始めたから、逆に旅行できてるなって、負け惜しみみたいに思うようになりました。想像力で、火星にも行けるじゃないですか。宇宙の図鑑とか見ながら、子どもが大人になるころには、「ここ、人も行けるぐらいになる場所じゃない?」みたいなことを言ったりして。

――お子さんが恐竜の名前をすごく覚えてるっていう話も以前お聞きしましたが、恐竜時代にも飛ぶことができますものね。

山崎: そうですよね。過去にも行けますもんね。

コロナ禍でつのる孤独感

――ナオコーラさんの下のお子さんもだんだん歩き回るようになって、上のお子さんとの関係もできてきたんじゃないですか。

山崎: 「赤ちゃんは手がかかるから、年上の子を優先するようにやったほうがいい」とアドバイスを聞いていたから、去年は年上の子を全部優先してやってたんです。でも年下の子も自我が芽生えていわゆるイヤイヤ期になってきたので、平等に接しなきゃと最近思うようになって、そこが悩みです。

――福丸さんもおふたり育てられて、そういうご苦労も乗り越えてこられたんですよね。

福丸: 私もいつも手探りしながら、「ちょっと上の子ばっかりになってるな」とか、「今、下の子、甘えたいんだな」とかありましたよ。今も時に思うことがあったりします。
山崎: ああ、そうなんですか!

――きょうのトークテーマは「コロナ禍での子育て」です。前回もこのテーマで、子育て支援の専門家、大日向雅美さんと、お笑いコンビ「品川庄司」の庄司智春さんにご出演いただきました。

<庄司智春パパ・大日向雅美先生と考える 「子どもたちと過ごすコロナ禍」(2021/04/22放送)>

――その感想をいくつかご紹介します。

宮城県60代女性
<この番組を知ったのは2年ほど前ですが、もっと早くから聞きたかったなと思っています。娘は2児の母親となり、日々奮闘しています。せめて明るい声がけをと、ラジオなどから知り得た情報を交えて娘に話すようにしています>

東京都80代女性
<5月27日は、私83歳、一番下の孫7歳の誕生日です。早くに両親兄弟を失った私が、子ども5人、孫7人、ひ孫1人に恵まれ、この新型コロナの中、元気に誕生日を迎えることができました。折しもワクチン接種も午前中に終えました。1966年9月、長女を出産して以来さまざまなことがありました。身内がいない分、多くの周りの方に助けていただきました。コロナ禍は経済的困難に陥る方も多いと聞いております。どうぞ諦めないで頑張ってほしいと、常に願っております>

――ご苦労されたんでしょうね。だから今、苦しんでいる人のことを想像して優しいことばをかけてくださって、ありがとうございます。

埼玉県30代女性
<ことし、息子が1年生になりました。家を出る姿が頼もしく見えます。コロナ、コロナといわれますが、私は子どもが元気に過ごしていることがなによりです>

東京都20代女性
<はじめてお便りしています。2歳の男の子がいます。子育てが大変でつらくて、そのことに罪悪感があり、この世からいなくなりたいと思っていました。新型コロナになってからより孤独を感じてきました。でもほかのママたちもいっぱいいっぱいなんだとわかって、泣きました。泣いて少しすっきりしました。
そして内田鱗太郎さんの書かれた『ともだちや』は私の大好きな絵本なので、初めて聴き逃しを使ってインタビューを聞きました。感動し、目が覚める思いでした。母親がいなくなってはいけない。生きていかなくちゃと、しっかり思えました。そして私も庄司さんのように、もっとあれこれ夫婦で話をしようと思います>

――“子育てがつらいと思うことに罪悪感があった”という、このママからのお便り、どんなふうにお聞きになりましたか。

山崎: やっぱり「つらい」っていうことを言えない空気が確かに社会にはあって、仕事だったら「やだな」とか「疲れるから行きたくないな」って言えるのに、育児だと疲れるって言えない空気は変えていかなきゃなって思います。「疲れるけど頑張りたいんだ」という本音が、ちゃんと伝わっている社会にしていきたいなと思いました。
福丸: そうですね。子育てって思いどおりにいかないことがたくさんありますよね。そこにコロナが加わって、先は見えないし当たり前のこともできないみたいな日常の中で、子育てされている方々は本当に大変だろうなって思います。

自分も振り返ると、「つらいと思わなかった」なんて言ったら、うそですね。かわいいけれど、つらいときもやっぱりあるし。息子がなかなか寝ない、寝つかせるのが大変で、夜中にも結構起きる子で、朝まで一気に寝られることが本当になくて。3歳過ぎたある日、「あ、私、初めて寝られた」って朝起きて気づいたことを覚えています。そういう体力的なつらさもあれば、自分に余裕がなくて、つい言い過ぎたり。寝顔見て「ごめんね」なんて思ったことも結構ありましたので、皆さんそれぞれの「つらい」があるんだろうなって思います。

――眠れない。お風呂にゆっくり入れない。お茶をひととき飲むなんて夢のまた夢……。そんな毎日を過ごしてらっしゃるママ、本当にたくさんいらっしゃると思います。

2人になったら2倍以上だった……

――ナオコーラさんの本を読ませていただいたら、「2人目の子どもが誕生したあと、目が回った。2人の面倒をみる大変さは1人育児の2倍ではなかった。数倍に感じられる」というような部分がありましたね。

山崎: 予想外に大変でした。思ったとおりにいかないのかつらいんですよね。予想ができないというか、スケジュールが組めないというか。
子どもってイレギュラーなことしかしないから、親のほうは計画も予想もあったもんじゃない。どうしたってストレスはたまりますよね。

――そういうとき、どうしてらっしゃいますか。

山崎: いや、もう、爆発して(笑)。どうしていいのかわかんない。
福丸: 本当に大変ですよね~。私、結構、夫にあたったりしてたような気がします(笑)。あと、上の子を妊娠して7か月のときに母を亡くしたので、母に頼ることができなくて。その分、ファミリーサポートさんとか、シルバーさんには育児や家事の部分を担っていただいたり、食事作りをやってもらったりしてきました。夫婦で分担できればいいけれど、夫も限界がありますし、それでけんかするくらいだったら、ちょっとお金は出ていくけれども、行政のありがたいサポートなど外の手を借りてきました。今も借りています。

――私は下の娘が1歳のころから旭川放送局に単身赴任したんですけど、娘とふたりでしたから、365日、ファミリーサポートで知り合った女性にいつもサポートしてもらって、もうほんとにその方には感謝しかないんです。今でもとっても大事な方です。

福丸: わかります! 私も何人もの方にお世話になったなって思います。今はコロナでなかなかおうちに来ていただくのが難しいかもしれないんですけれども、かなうのであれば、ちょっと誰かの手を借りてっていうことができるといいなって思います。子育ての中でおばあちゃん的な存在の方にいていただくと、なにか子どもも落ち着けたりしますよね。私の場合は、気の合う方を見つけるまで何人かにお願いするなんてこともありましたけれども、そういう形でお世話になってきましたね。

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2021/05/27 ラジオ深夜便「ママ深夜便」子育てリアルトーク


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