どう解決? 子育て世代間ギャップ ②

ラジオ深夜便

放送日:2020/11/26

#子育て#家族#コミュニケーション#ココロのハナシ#落語

ざっくりいうと

  • この30〜40年で子育ての常識は大きく変わった
  • 「感謝、そして聞き流す」一之輔さん流の極意
  • 2020/11/26 ラジオ深夜便 ママ☆深夜便「子育てリアルトーク」大日向雅美さん(恵泉女学園大学学長)、春風亭一之輔さん(落語家)

子育て世代にとって祖父母世代は強い味方ですが、お互いの思いや行動がすれ違ってしまうこともあるようです。リスナーからのお便りをもとに、どのようなときに世代間ギャップを感じるのか、どうしたらより良い関係が作れるのか、お二人のゲストと考えます。
(聞き手:村上里和アンカー)


【出演者】
大日向さん:大日向雅美さん(恵泉女学園大学学長)
一之輔さん:春風亭一之輔さん(落語家)

常識激変。「違いがある」を前提に

――子育ての常識に関する世代間ギャップについてのお便りです。

秋田県50代女性
<夫の母と同居しています。予防接種をした夜の入浴をどうするかでもめました。「患部をこすらなければ入っても大丈夫だと看護師から言われた」といくら話しても、「入ったらいけない」と止められます。入浴しようとするととても嫌な顔をされます>

東京都30代女性
<赤ちゃんがぐずったり、眠りに入る前にだっこをしていたら、母から「抱きぐせがつくよ」と言われました。泣く子は泣かせておけば、そのうち、ぐずったり泣かなくなる子になるのだそうです。母はよかれと思ってアドバイスしたのでしょうが、赤ちゃんを泣かせっぱなしになんてできないよー。「抱きぐせ」ってなんなんでしょう>

東京都30代女性
<産後すぐ実母に自宅に来てもらい、世話をしてもらいました。「母乳を飲ませると赤ちゃんは風邪をひきにくい」など、母乳がなによりもいいという発言がすごく多かったです。私は産後すぐにの慣れない母乳育児でつらかったんですが、母の前では粉ミルクを使うことをちゅうちょして、よけいなストレスを抱えていました。後日、私のときの母子手帳を見たら「母乳が一番」というアドバイスが書かれていて、母自身のこだわりだけではなく、時代の影響もあったのかなと思いました>

ほかにも、やたら厚着をさせたがるとか、「お風呂上がりに白湯(さゆ)を飲ませたほうがいい」とか、1歳過ぎてもおむつをしていると「まだ外さないの? 早く外しなさい」と言われたとか……。産院や保健師さんから言われたケアの方法や育児法と親世代から言われるアドバイスが違って、モヤモヤする方も多いのではないでしょうか。子育ての常識に関する世代間ギャップというのは、大日向さん、よく聞かれますか?

大日向さん: 聞きますねえ。不思議なんですよ。同じ人間、同じ赤ちゃんを育てるのに、30〜40年で、こんなに違っていいの?って。
そこには二つ、原因があります。一つは、医学の進歩とか赤ちゃんの発達に関する科学的な進歩によって、昔と違う、よりよい方法が提案されていることです。その一方で、私たちはそのときどきの時代に生きているので、その時代の中で培う価値観が一番いいと思い込みがちなので、そこにとらわれすぎる弊害がありますかしらね。

――その価値観を超えていくには、どうしたらいいのでしょう。

大日向さん: 「違いがある」という前提で入ったほうがいいと思うんです。私、ばぁばで、孫がいるんですけど、そういう葛藤が今はないんです。それは私が立派だからとかいうのでは全然なくて、二人の娘が海外で子育てしていて、しかも国際結婚なので文化が全然違うんです。「違う」というところからスタートしているから、うかつに口出しできないところがありましてね。これが日本の身近なところにいたら、いっぱい口出ししちゃうかもしれない。
「人は違うんだ」というところから入るのが、理想かもしれないけれど、基本、ですかねえ。

一之輔さん流対処法「感謝。そして聞き流す」

――お便りにあった「抱きぐせ」については、どう考えたらいいのでしょう。

大日向さん: 赤ちゃんは愛されることで、人を信じたり愛を育めるんですね。だから「抱っこして」って泣いたときは、抱っこしてあげたほうがいいんです。
これはすごくおもしろい歴史的な変化があって、例えばアメリカの開拓時代は「泣いても放っておけ」。我慢をしてつらいことに耐えて生活を築いていかなければならない時代だった。ところがのちに豊かな時代になると、生活を楽しむ人間を育てるのが大事だと、人生をエンジョイできるように「泣いたらすぐ抱っこしてミルクをあげて」って、180度変わっちゃうわけです。
ですからそこだけを切り取って考えるのではなくて、どういう時代に親が生き、どういう未来を生きる子どもたちを育てようとしていたのか、政治や経済、ものすごく影響があるんです。パパ・ママと、おじいちゃま・おばあちゃまの違いというのは、「葛藤」ではなくて「時代の違い」と見ていくと、それは広く社会・文化的な違いであって、まさに落語の世界を見るようにおもしろいと思うんですよね。

――「抱きぐせ」については、今はもう、しっかり抱いてあげるのがいいんですね。

大日向さん: はい。でも親が疲れているときは、無理しなくていいんですよ。

――もう一つ、お便りにあった「母乳とミルク問題」はいかがでしょう。

大日向さん: 私の長女は今40代ですけれど、私が産んで退院するときに各社が粉ミルクをくれたんです。ところが7年後の次女のときは、「母乳100%を目指して」とかいって、粉ミルクをくれなかった。そのころ小児科学会に出たときに、小児科の先生が「ネコもネズミもみんな母乳をあげている。人間だけだ、ミルクを与えるのは」って言われてね。私が「母性神話の呪縛」なんてことを言ってましたので、「そういうふうにしたのは、あなたのせいもあるんだ」なんて言われて。そのとき私、「ネコもネズミもミルクを作れないからじゃないですか」って言ったら、さらにすっごく怒られてしまって(笑)。
ミルクの歴史には人類の悲願があるんです。昔は母乳で育てたくても母乳があげられなかったり、もらい乳ができなかったりした場合には、赤ちゃんが育たなかったんです。それでいろいろな工夫をしてミルクができたんです。だから両方あっていいわけです。母乳をあげられるのにバストラインがどうこう言ってあげないのはもったいないと思うけど、ミルクでもちゃんと赤ちゃんは育ちますし、ミルクならパパもあげられるでしょう?
一之輔さん: ぼくももちろんあげました、冷ましたりしてね。
でも、どうなんでしょう、世代間ギャップの話。譲れないところは向き合うとして、「でもここは、おじいちゃん・おばあちゃんの意見を聞いてうまく流す」というところがあっても、いいんじゃないですかねえ。例えば「注射したらお風呂入れちゃダメよ」って言われたら、「ひと晩くらい、いっか……。はい、分かりました」みたいな柔軟なかたちで応対すれば、半分くらい、気持ちが和らぐような気がするんですけどねえ。聞き流すのも、結構「手」ですよ。
大日向さん: 「感謝」の次は「聞き流す」。一之輔さん、すてきねえ。
一之輔さん: はっ……。僕、先輩から小言言われるとほとんど聞き流してますから。へっへっへ。

――落語の世界は世代が広いですものね。

一之輔さん: そうそう。上の世代の人、言いたいんですよ。自分のやってきたようにやってもらいたいって思うのは、よく分かります。
大日向さん: 「おばあちゃまがお菓子を与えるのは、子どもの体に悪い」って言うけど、「そのときぐらい、いいかな? ちょっとだけでしたら、それで子どもの体が壊れるわけじゃない……」と大目に見て、そのときは「ありがとう」で済ませる。そういう緩急は必要かもしれませんね。

真夜中の子育て応援団
ママ☆深夜便

毎月第4木曜日
[R1] 午後11時05分~翌午前5時00分
[FM] 午前1時05分~午前5時

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<どう解決? 子育て世代間ギャップ ①>

<どう解決? 子育て世代間ギャップ ③>

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