村上里和アンカー

毎月1回<ラジオ深夜便>がお送りしている、真夜中の子育て応援団「ママ☆深夜便」。10月22日放送にされた回では、ゲストに「よしお兄さん」こと小林よしひささん、発達教育心理学者の外山紀子さんを迎え、「子どもと食」がテーマのトークをお届けしました。
子育ての中でも、とりわけ悩んでしまうのが食事。離乳食は、いつ食べさせ始めたらいい? 食べてくれないときは、どうしたらいい? 番組に寄せられたメッセージを中心に、食に関するさまざまな悩みが紹介されました。
(聞き手・村上里和アンカー)

【出演者】
小林さん:小林よしひささん(タレント)
外山さん:外山紀子さん(早稲田大学教授)


“イクメン オブ ザ イヤー”よしお兄さん、再び!

―――ゲストをご紹介しましょう。<おかあさんといっしょ>11代目たいそうのおにいさん、タレントの小林よしひささんです。よろしくお願いします。

小林さん: よろしくお願いします。皆さん、こんばんは。小林よしひさ、よしお兄さんです。

―――メールをいただいています。
和歌山県40代女性
<よしお兄さん、「イクメン オブ ザ イヤー」イクメン芸能部門受賞おめでとうございます。>

東京都30代女性
<よしお兄さん、大好き。どう育てたらよしお兄さんのように育つのか、知りたい。>

―――ファンの方からのメールも届いています。

小林さん: うれしいです。ありがとうございます。

―――改めて、「イクメン オブ ザ イヤー 2020」受賞おめでとうございます。

小林さん: ありがとうございます。

―――これは、その年に最も育児を楽しんだ、頑張ったお父さんがもらえる賞なんですよね。受賞したときはどうですか?

小林さん: こうやって賞をいただけるのは率直にうれしいですね。でも逆に、身の引き締まる思いというか、「ちゃんとしていかなきゃ」という気持ちも出ましたね。

―――ブログで拝見したんですが、蝶(ちょう)ネクタイでチェックのダブルのスーツで。娘さんも一緒に授賞式に行かれたんですね。

小林さん: ちょうど一緒に来ることができたので。

―――ほかにも何人か受賞されているんですけれど、よしお兄さんご自身は、自分のどんなところが賞に結びついたと思われますか。

小林さん: たぶん、私はことばで子育てについて発信しているので。実際もっと頑張っていらっしゃる方もいらっしゃると思いますし、「パパにはもっともっと頑張ってほしい」と思っているお母さんたちもきっといるとは思うので、今後も頑張っていきたいと思います。

―――前回は6月、「パパの子育て」の回にご出演いただきました。あれから4か月がたちまして、娘さんももうすぐ2歳に。最近の娘さんはいかがですか?

小林さん: ことばも増えてきて、そこに伴ってイヤイヤ期のようなものも出てきましたね。
でも、その姿ですらかわいい。「『イヤ』と言っている…(喜)!」みたいな。

―――困っちゃったことはないですか?

小林さん: 困りはしますけれど、そこはゆっくりと向き合っていけばいいかな。

―――イヤイヤ期の姿も「かわいい」と思えるのは大事なことですね。

食育のエキスパートの悩みとは…?

―――改めて、小林よしひささんのプロフィールをご紹介します。
1981年生まれで39歳。14年間お務めになったEテレ<おかあさんといっしょ>の11代目たいそうのおにいさんを去年3月に卒業されてからは、タレントとして幅広く活動中です。そして、娘さんの子育てに奮闘する様子をブログでつづっていらっしゃいます。ブログを見てくださったファンの方との交流もあるんですか?

小林さん: <おかあさんといっしょ>時代はSNSをやっていなかったので、実際に始めて自分のことばを直接皆さんに届けることにドキドキしていたんですけれど、悩みを載せるとアドバイスが来たり、アドバイスでなくても「私たちもそんな経験がありましたよ」「今まさにそうですよ」なんていうことばを聞くだけでも心強く、うれしい気持ちになりますね。

―――「1人じゃないんだな」「みんな頑張っているんだな」と思うと、元気が出てきますね。
きょうのテーマは「子どもと食」ですが、小林さんは離乳食インストラクター・食育アドバイザーという資格もお持ちで、きょうは専門分野とも言えるかもしれません。

小林さん: 言えるんでしょうか…(笑)。まあ、関心の高いところですね。
もともと母の影響で料理をするようになって。好き嫌いがなかったのも、母の影響が大きいと思っています。「自分に子どもができたときには、食育をしたい」と思っていたので、妊娠が分かったときに、この資格を取りつつ勉強していこうと。
離乳食がスタートですね。「離乳食」ということばは知っていたけれど、実際どんなものかは、はっきり分かっていなかったので、勉強しながら資格も取れればいいかと思ったんです。

―――実際に楽しんで離乳食作りに取り組んでいらっしゃいましたね。

小林さん: 離乳食が始まる前から試作品を作りまくってました! 番組のスタッフさんから「出産祝いは何がいいですか?」なんて言われたときに、迷わず「ブレンダーをください!」と。「離乳食はブレンダーで混ぜるのが便利だ」と聞いていたので、お願いしたんです。
実際に始まると、最初が10倍がゆ、次が7倍…と変わっていく段階も踏めて楽しかったですね。

―――「手がかかってイヤだ」とは思わず、楽しまれたんですね。お仕事もあって不規則だし、お忙しいと思うんですけれど、楽しむコツは何ですか?

小林さん: 子どもが食べている姿であったり、「きょう食べたよ」と言ってもらえることだったり、それだけでうれしかったですね。

―――じゃあ、もう娘さんの食に関して悩みはない?

小林さん: 真逆で、むしろ悩みだらけですね。

―――ええっ? 悩みだらけですか? どんなところが?

小林さん: 今は食べムラが多いんです。食べるときはしっかり食べてくれるんですけれど、食べないときはなかなか量を食べないので、「大丈夫かな?」なんて思ってしまうこともありますね。
好き嫌いは比較的少ないかな。お野菜も食べますし、お肉、お魚、ごはんと…ただ、豆腐とゼリーみたいなものが苦手みたいです。

―――固さがあまりない、モヤッとした感じ…。

小林さん: なぜかいまだに嫌がるんです。
もともと歯応えのあるものが好きなので、「その逆のものだからなのかな?」と思っているんですけれど。

―――まだ恐る恐る…ということなんでしょうか。
資格を持っていらっしゃるよしお兄さんでも悩むことがあるという「子どもと食」のテーマです。きょうはリアル子育て世代代表として、お話をたっぷりと聞かせていただきたいと思います。

子どもにとっても「誰と一緒に食べるのか」は大事

―――お2人目のゲストをご紹介しましょう。
Eテレ<すくすく子育て>にも出演なさっています、親子の食事を研究されている早稲田大学教授の外山紀子さんです。外山さんとは電話がつながっています。外山さん、こんばんは。

外山さん: はい、こんばんは。どうぞお願いします。

―――外山さんのプロフィールをご紹介いたします。1965年、長野県のお生まれです。お茶の水女子大学家政学部児童学科を卒業後、大学院に進まれました。ご専門は発達心理学。特に親子の食事を長年研究テーマにされているという外山さんですが、研究テーマにしている「親子の食事」は一体どんな研究なんでしょうか。

外山さん: 私は専門が発達心理学でありまして、栄養の専門家ではないので、養育者(お母さん、保育園や幼稚園の先生も含まれます)と子ども(乳幼児が多いです)が、「何を食べるのか」ではなくて「どのように食べるのか」ということを研究しています。
例えば、大学生でも「ランチメイト症候群」という現象があります。それは、一緒に食べる相手が見つからなくて不安になること。「便所飯」なんていうことばもありました。
幼児でも「誰と一緒に食べるのか」は大事なことのようです。前の日の夕方ぐらいから「一緒に食べよう」と約束したり、食事の前になると30~40分ぐらいかけて席取りをするんです。そういったところをビデオに撮って分析するとか。

―――それは、保育園などみんなで食べる場所で、ということですね。

外山さん: 保育園や幼稚園にお邪魔させていただいて、映像を撮って行動分析するなどしています。
最近では、お母さんと赤ちゃんが離乳食を食べる場面、離乳食の初日から撮影をお願いして、半年間ぐらいずっと撮っています。離乳食を食べさせるとき、お母さんは口を開けちゃいますよね。

―――確かにそうですね。「食べて、あーん」と言いながら、自分も「あーん」と口を開けますね。

外山さん: でも、実は口を開けていることに気付いてないお母さん方が多いんです。赤ちゃんが口を開ける回数のうち、 90%ぐらい、口を開けるお母さんもいます。そういったことも研究しています。

―――「お母さん方は赤ちゃんと一緒に開けている。それはなぜか?」というところを深めていく。そういう研究なんですか?

外山さん: 離乳食を食べる・食べさせるというのは、二人羽織をやっているようなものです。
二人羽織と違って、羽織の中にいる人、「手」の役割はお母さんなど養育者が担っていますよね。子どもは「口」の役割を担っていて、いわば「手」と「口」の分業をやっているわけです。子どもが口を開けるタイミングに合わせて手を持っていく、食べたら手を引く、というタイミングの調整が必要になるんです。
子どもの口の動きをお母さんが自分の体で実現していると、タイミングを合わせやすくなるのではないか、と考えています。

―――小林さんも「なるほど」と声が出ていました。そういうことなんですか。おもしろい研究ですね。
どうやって食べるか、どのように親と子で食べるか。「二人羽織」ということばも新鮮でした。そう考えると、うまく離乳食を食べさせるのが進まなくても、「二人羽織なんだからしょうがない」なんて思えたりもしますね。

食事する子どもの観察にひと苦労

―――研究のうえでのご苦労は、どんな点があるんでしょうか。

外山さん: 食事はとてもプライベートなことです。小さいお子さんのいるお母さん・お父さん方はお分かりかと思うんですけれど、乳幼児の食事は平和的に終わらないことが多いですよね。最後に子どもが泣いちゃったり、険悪な感じになっちゃったり。「そういうところはあまり見せたくない」ということもあります。
あとは、誰かがいると、子どもは食べてくれないんですよ。緊張して、気になっちゃって、ムッと口を閉じてしまう。食べているところを撮影に行っているんだけれど、食べてくれない。
なので、最近はカメラをお渡しして、「ご都合のよいときに撮ってください」とお願いするといった工夫もしています。

―――どうですか、よしお兄さん? もし「撮らせてください」と言われたらプレッシャーがかかります?

小林さん: ドキッとしますよね。

―――ふだんあまり見せないところですもんね。
研究を続けてこられて親子の食事はどう変化してきたと外山先生は思っていらっしゃいますか?

外山さん: 二極化がますます進んできたかと思います。「無農薬の野菜を使って、全部手作りで、アレルギーにも気を付けて…」という方もいらっしゃいますけれど、「あまり余裕がなくて…」という方もいらっしゃる。
厚生労働省が10年に1度実施している「乳幼児栄養調査」というものがあるんですけれど、平成27年に初めて「社会経済的な要因」と「乳幼児期の子どもの食事」との関連性を調べて発表しています。経済的にゆとりのある人とない人で、子どもが食べているものが違う。それは経済的な要因だけではない。
例えば豆腐などの大豆食品は安く手に入りますけれど、そういったものの摂取量がゆとりのない層で少ない、といったことも分かりました。つまり、お金だけの問題ではなくて、栄養に関する知識や調理の技術といったものが家庭内で伝承されていくところに、格差が出ているのではないか。
社会経済的な格差だけではなく、「何を大事にするのか」「何を重要と考えるのか」など、コロナ禍の中で価値観の違いが顕在化していることも言われますけれど、そういった個人差が大きくなっているように思います。

離乳食、いつ始める?

―――では、今日のテーマ「子どもと食」、最初のおたよりをご紹介しましょう。

東京都30代女性
<母乳から離乳食へ移行するタイミングに悩みました。
母子手帳などでは「生後6か月ごろ、首が据わってイスに座れるようになってからスタートとしましょう」と教えられているので、「いざ離乳食を」と与えましたが、本人はちっとも口に入れようとせず。「このまま進まなかったらどうしよう?」と悩みました。
が、結局「この子はまだ離乳のタイミングではないのだろう」と思うことにしてスタートを先延ばしにしました。>


離乳食を始めるタイミングに悩むという声は、厚生労働省の行ったアンケートなどでもあるようです。そのアンケートでは、離乳食開始時期は「6か月」「5か月」という方が多いようです。小林さんのところは何か月に?

小林さん: たぶん6か月ごろだったと思います。
時期は知識としてあったんです。でも、食事の時間にごはんを食べていると娘が口をパクパクしたり、「マネをしてるな」という雰囲気が見えてきたのが6か月ぐらいだったんですよね。なので、「そろそろかな」と思ってスタートした、という感じでしたね。

―――そうなんですね。外山さんもお子さんが2人いらっしゃいますが、どういうタイミングで始められましたか?

外山さん: 目安のような「この月齢になったら始めてください」といったものがありますけれど、小林さんが今おっしゃったみたいに、保育園の先生が「食べていてよだれを出すようになったら、あげたらいいよ」とおっしゃっていたので…あまり昔のことで思い出せないんですけれど、そんな感じで、割といいかげんにやっていたんじゃないのかな。

―――「きっちり5か月・6か月から始めなきゃ」ということじゃなく、子どもの様子を観察して「食べたそうだな」というサインを見極めるのが大事かもしれません。そういう意味で、この方が先延ばしにしたのは、子どもの気持ちや成長に合わせていてとてもいいことなのかな、と思います。


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よしお兄さんも奮闘中! 食事は親子の“二人羽織” ②