親の憂うつ① ママになるとなぜ落ち込むの?

21/08/02まで

ラジオ深夜便

放送日:2021/06/24

#子育て#家族#音楽#コミュニケーション#ココロのハナシ

自分の気持ちを見つめたり、同じ悩みのママ・パパの話を聞いたり。今回の子育てリアルトークは「親の憂うつ」がテーマです。「子どもがかわいいと思えない」「こんなにつらいのは私だけ?」など、表に出せない憂うつな気分に、ゲストのおふたりと寄り添います。(聞き手・村上里和アンカー)

【出演者】
木山:木山裕策さん(歌手)
柴田:柴田愛子さん(保育施設代表)

客席で寝ていた四男も大きくなって

――まずはこちらをお聞きください。

♪ 木山裕策 「home」

――優しくて伸びやかな歌声……。ご紹介します。家族への愛を歌ったこの曲「home」でデビューし、2008年の<紅白歌合戦>に出場された、歌手の木山裕策さんです。感染防止対策をとったスタジオに来ていただきました。よろしくお願いします。

木山裕策さんと村上里和アンカー

木山: よろしくお願いします。

――深夜にラジオの生放送に参加というのは?

木山: この時間帯は初めてですね。僕の声は眠くなるみたいなので、皆さん寝てしまわないか、心配です(笑)。

――木山裕策さんのプロフィールをご紹介します。1968年生まれ、大阪府のご出身です。2005年に甲状腺がんの手術を行う際、医師から「手術後に声が出なくなる危険がある」と告げられ、長年の夢だった歌手への挑戦を決意。民放のオーディション番組を経て、2008年、39歳のときに「home」で歌手デビューを果たします。デビュー後も会社員と歌手の二足のわらじの生活を続けましたが、2019年、50歳を機に歌手活動に専念。現在は歌手活動と講演活動が中心の生活を送っていらっしゃいます。
プライベートでは4人の男の子のお父さん。<紅白>に出場されたときに客席で一番年下のお子さんが寝てしまっていたのを覚えている方もいらっしゃると思います。お子さんたち、おいくつになられましたか。

木山: 長男は25歳で昨年結婚したんです。次男が23歳でことし就職しまして、大阪で頑張っております。3番目が大学2年生。今ご紹介いただいた4番目の男の子は、当時2歳だったかな、中学3年生になりました。

――男性率が高い(笑)。奥さまが紅1点で、仲のいい家族でいらっしゃると聞いています。

木山: ちょうど独立したタイミングが、コロナが始まるタイミングとくしくも重なってしまいまして、家にいる時間がとても多くなったんですね。ただうちは兄弟仲がとてもよくて、長男は去年から家を出て、次男は大阪に行っちゃったんですけど、このあいだも3番目の誕生日にリモートで参加してくれて、ハッピーバースデーをみんなで歌ったり。今はコロナで大変なんですけれども家族の時間はとても増えて、会話する時間も増えましたね。去年は2番目が就職活動をしていましたので、「社会人ってさ……」みたいな相談にもちょっとのったりして。それはそれで良いこともあったのかなと思ったりします。

――木山さん自身、いろんな仕事を経験されて、50歳を機に歌手活動に専念されました。そこにはどんな思いがあったのですか。

木山: 会社員の時代が長かったんですけれども、僕は転職がとても多くて、それまでも定期的に自分の人生を振り返る、と言ったら大げさですけれども、「このままでいいんだろうか」と考える時間を作っていたんです。その結果、会社は7社ほど経験しまして、そのときのライフスタイルに合った働き方をしたいなと思ってきました。

30代は残業も多くてがむしゃらに働いて、とにかく子どもたちがいてお金も稼ぎたいから忙しく働いていたんです。でも子どもと過ごす時間を大切にしたくて、比較的時間調整がつきやすい会社に転職したり、そんなこともやりながらずっと2足のわらじという生活だったんですけれども、「残りの人生、もう少し自分にしかできないことはないだろうか」と考えて、やっぱりどうしても歌をもう少し…、いつまで歌えるかわかんないけれども、ちゃんと歌えるときに歌でいろんなことを伝えていきたい、そういうことを仕事にしようと思ったのが50歳でした。

――2月に「ママ深夜便」にご出演いただいた、シンガーソングライターの新沢としひこさんと、木山さんが「CHOPSTICKS」というユニットを組んで動画でライブ配信もされています。私も拝見したんですが双子みたいなんですよね。

木山: インパクト、すごいでしょう(笑)。

――カワおじユニット。「カワイイおじさん」で、「カワおじ」。

木山: 自分で言うのはおこがましいんですけれども(笑)、カワイイおじさんを目指しましてね、はい。昨年アルバムのレコーディングをさせていただいたときに新沢さんと運命的な出会いがありまして、見た目がそっくり、声もそっくり、好きな音楽もそっくりということで、2人が並んで立つとお箸みたいなんで「CHOPSTICKS」というユニットを組みまして、いろんなことをやっていこうと計画をたてているところです。

コロナ禍の工夫も「おもしろいね」

――2人目のゲストをご紹介します。感染防止対策のため、すぐそばですが別のスタジオからご出演いただきます。Eテレ<すくすく子育て>でもおなじみ、子育て中のママ・パパが絶大なる信頼を寄せている保育の専門家、柴田愛子さんです。柴田さ~ん。

柴田愛子さん

柴田: こんばんはー。

すくすく子育て

Eテレ 毎週土曜 午後9時~

詳しくはこちら

――私と木山さんの間の大きなモニターに、柴田さんのはじける笑顔が!

木山: 目の前におられる感じですよね。
柴田: そっちに行きたいわと思いながら今話してますけど、でも大丈夫。ひとりでも寂しくないのよ(笑)。私、新沢としひこさんとは古いつきあいなんです。彼が24歳くらいから知っているから。それで動画サイトを見たら彼とそっくりな人が出てきて、その方ときょうご一緒できるのをとても楽しみにしてきました。ちょうど20歳違うのよね、私たち。よろしくお願いします。
木山: お願いいたします。

――柴田愛子さんのプロフィール、改めてご紹介します。1982年に設立された「りんごの木子どもクラブ」の代表でいらっしゃいます。40年以上にわたり子どもたちを見守ってこられた保育の専門家。子どもの心に寄り添う保育をモットーとして、親たちや保育者に向けた講演会や著書で、その思いを、たくさんの悩める親たちに伝えていらっしゃいます。
「ママ深夜便」にもたびたびご出演いただいて、そのたびに印象に残るすてきなことばをいただいてきました。去年の7月には、「もう、あらん限りの工夫で、コロナ禍の中、保育を始めたのよ」と。そして「保育者も親も、個人差があるけど、それぞれ覚悟がいるわね」という話をしてくださいました。その後、いかがですか。

柴田: つくづく思うのはね、やっぱり子どもは遊ぶことで生きてるんですよね。だから子どもから「群れ」と「遊び」を取ってしまうと、心がコロナになっちゃいそうなのね。はじけるように遊んでる子どもたちを見ると、私たちも元気をいただくじゃないですか。

結局子どもは「密」がわかんないから、密にならないような工夫を保育者がして、本当に少人数のグループと保育者で、半分は“流浪の民”で雨の日も風の日も外をほっつき歩いて、半分は建物の中にいて……みたいなね。農業用のハウスを買って庭に建てたり、いろんなことをやってます。でもやったことのないことを考え出すのはこれまた1つの楽しみでもあって、その楽しみに子どもがカチッとくっついてきてくれるわけです。「やだね」っていうことばはなくて、「これもおもしろいね」って。今はもうひたすらザリガニとりに日々通っています。

――親の様子で気になっていることはありますか。

柴田: コロナが始まったころは、得体が知れなくてわかんなくておびえていたと思うんです。今だってわからないんですけど、でも今は情報がありすぎてどれを自分が信じて選んでいくのかっていうところで、前よりも多様な親の態度、っていうのかしら。自分がとるスタンスに戸惑っているようにも思えるんですね。

それとコロナが長くなってきたので、みんなやっぱりちょっと耐えられなくて。でも親もたいしたもので、リモートで夜、子ども寝かしてから集まりをやったりね。それから例えば今までは、しゃべりながらお昼を食べてたのよー。あれでだいぶストレスを吐き出していたんだけど、それを今、「りんごの木」でもしないのでね。そうしたら、きのう、お母さんたち。公園のベンチで食べてましたよ、しゃべりながら。だからやっぱり居心地のいい隙間を見つけて、とにかくつぶされない日々を作るという気持ちには、みんな、なれているのかなとは思います。

――できないことを見ていると悲しくなっちゃうから、できることを見つけて工夫して楽しくやろうという、「りんごの木」の様子が伝わってきます。

人生も子どももコントロールなんてできない

――きょうのトークテーマは「親の憂うつ」です。メールをご紹介してまいります。

神奈川県40代女性
<3人の子の母です。一番下がやっと小学生になり、少し楽になりました。初めてお便りしています。
子育てって、生まれるまでの準備は自分のペースで丁寧にできるし、どう産むかという選択肢もあって心の準備ができますが、産んだあとに思ったのは、「こんなに大変だって、なんで誰も教えてくれなかったのー」ということです。眠れないし、おっぱい出ないし、夜泣きとか、やってみないとこの大変さはわからない。自分の子なのにイライラ。かわいいのにイライラ。普通に子育てできて当然みたいなプレッシャーが周りにあって、さらにモヤモヤ。のほほんとして見えるパパにイライラ……。
だから「ママ深夜便」で、「大変だよね。乗り越えるの、必死だよね」と専門家の先生まで言っているのを聞くと、「これを最初の子育てのときに聞きたかったよ……」と思うのでした>


静岡県30代女性
<初めての子育て、モヤモヤだらけです。不安だし、子どもの寝顔を見ているとかわいいなと思うのですが、自分はダメなママだなと泣けてきます。よいママ・ダメなママって、なんでしょうか。だって仕事では、こんな気持ちで落ち込むことはなかったから。ママになるとどうして落ち込んでしまうのでしょうか>

木山: 僕は25年間、妻と一緒に子育てをやってきたんですけど、1人目のときって、やっぱりこうなりがちだと思うんです。僕も子育て本をすごく読んでたんです、雑誌を買って。いいことがすごく書いてあって、「こんなふうになりたい」と思っちゃうじゃないですか。

でも2人、3人、4人と育てるにつれて、そういう本を読まなくなりました。読んじゃうと、親が子どもにやってほしいことがいろいろあって、それを子どもができないとイライラしちゃうんです。4人育ててみると、子どもが思いどおりに動くなんてことは、ほぼなかったんですよね(笑)。だから目標の置き方がそもそも間違っていたんだなっていうのが、子どもを育てるにつれてわかってきました。自分でコントロールしようと思っていたのが、ちょっとまずかったのかなと。

なんでそんな思いになったかっていうと、僕は36歳のときにがんになってしまいまして、そこで痛感したんです。それまではどちらかというと自分の人生をコントロールしているつもりだったんですけれども、人生、いつ何が起こるかわかんないし、ましてや子どもを育てていると毎日予定どおりなんて進まないんですよね。

そんな中で、ゼロベースで何ができるかを考えようと切り替えてからは気が楽になったので、本に書いてあることとか、ちょっとキラキラしている子育てのイメージを取っ払って。とはいえ、子どもはかわいいじゃないですか。だから、「かわいいから、もうそれだけでいいや」ぐらいに1回気持ちをリセットしたほうが、素の自分で子育てができるのかななんて、そんなことを妻とよく話してますけどね。

――自分が「こうあってほしい」というものを子どもに押しつけちゃって、そうならないから、イライラする……。

木山: 子どもに笑ってほしいのに、そうしてしまうと、結果、笑わないですもんね。

「生きててくれればいい…」と思える日まで

――柴田さん、「(子育てが)どうしてこんなに大変だと教えてくれなかったのー」という声がありましたが。

柴田: 最近の本って、見本みたいなことばっかり書いてあるじゃないですか。見本と本音と両方が出ている本はないものかしらと思うんですよ。だからよく私、言うのね。みんな「他の人は楽しく子育てしてる」って言うけど、「あれ、外面、外面。家で子どもを怒ってる顔はみんな鬼だよ」って(笑)。うちで子どもを怒っているときの鬼の顔のお母さんの写真集を出したいと思ったくらいですよ。
木山: おもしろい!
柴田: だけど「どうやって撮るの?」って言われて、「たしかにそうだ」って。でもそんなの見たら、きっとほっとするだろうなと思うのと、「こんなに必死なのね」って、わかるでしょう?

さっきのお便りに、「仕事ではこんなに落ち込まなかった」ってあったけど、仕事には正解があるんですよね。でも子育てって正解がわかんないし、子どもはわけわかんないし汚いしうるさいしさあ……。「なんの動物、これ?」っていう感じじゃないですか(笑)。

子どものイヤイヤ期だって、みんな親は悩むじゃないですか。あのときはまだ“人間途上”っていうかね。それが5~6歳になってくるとちょっと“人間”になってくるから、「まあ、うちの子だわね」っていうのが少し出てくると思うの。4年生ぐらいになると、「うるせえナ」とか「ババア」とか言うようになるのよね。やあねえ、あんなにかわいかったのに(笑)。そのころになるとたいていのお母さん・お父さんは、「ああ、やっぱりうちの子だわ。せめてお父さんよりはよくなってほしい」なんて望みが育ってくる。思春期にもなると、よくわかんない行動が起こるじゃないですか。そうなるとたいていの親が、「まあ、生きてればいっか……」って思う。

子どもが小さいうちは、自分が責任を持って頑張らなくちゃと思うから力が入るけど、だんだん、「これ、しょうがないのかな。あまり変わらないのかな」って。木山さんみたいに4人もいらっしゃると、もうお手上げですよ。
木山: はっはっは。
柴田: 親がどうこうしたって、子どもが勝手に子ども文化を作ってると思うんですよね。
木山: そうそう。子どもの中で育ちますもんね。
柴田: そうするとまあ、「親は、ごはんあげればいいかな」ぐらいに思っちゃう。

――私、長男が26歳なんですけど、「もう、生きててくれればいいや……」って思ったとたんにすごく気持ちが楽になったんです。23歳ぐらいのときでした。それまではもう、悩んで悩んでイライラして、レールの上を歩いてほしいと思ってて。それが間違いだったってわかるまで、23年かかってしまいました。

柴田: よかったじゃないですか! 「人生100年」っていうから、まだまだあるわよ。

真夜中の子育て応援団
ママ☆深夜便

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[R1] 午後11時05分~翌午前5時00分
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【放送】
2021/06/24 ラジオ深夜便 ママ深夜便 子育てリアルトーク「親の憂うつ」

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