汐見稔幸さんはこのコロナ禍を、夫婦や家族などでおしゃべりする時間にしようと語りかけます。そしていつか、「コロナの前とは確実に何かが変わったね」と言い合えたなら……。(聞き手:村上里和アンカー)


5月のおりーぶさん、その後

――5月の「ママ☆深夜便」、「ワンオペ育児」の回で取り上げたメールには、たくさんのお便りが寄せられました。ここで改めて抜粋してご紹介します。

福島県30代女性 おりーぶさん
<8か月の息子を育てるママです。自分の心の中の黒い気持ちに悩んでいます。主人の仕事で外国にいたときに妊娠が分かって、私だけが帰国して日本で出産。産後、入院中に主人が一時帰国し、親子3人水入らずで過ごしたいと思っていましたが、主人は面会するときに毎回、義理の両親と入室、退室。なぜ私たちのことを一番に考えてくれないのかと寂しくてつらくて悲しくて、大事にされていないと思いました>

その後、ご主人は帰任して一緒に暮らし始めたということですが、「今、全然幸せと思えません」「そういう主人が許せません」「心から笑えません」という、“黒い気持ち”を話してくださいました。それに対して、たくさんのメールやツイートをいただきました。

愛知県30代女性
<おりーぶさん、「数年前の私だ!」って思って、思わずメッセージを送りました。当時の私は余裕がなく、毎日必死でとにかくイライラしていました。第1子のときは“初孫フィーバー”で、義理の家族がずっといて本当に嫌でした。今は落ち着いて言葉を選んで、夫に感情的にならないように、「私はあのとき、寂しかった。つらかった。こうしてほしかった」と訴えるようにしていますよ。おりーぶさんも吐き出していってくださいね。楽しい毎日が送れますように>

東京都70代女性
<ママのほうが1歩リードで、親になっていくようですね。どうやって新米両親になっていけばいいのか、男性はなかなか知る機会が少ないのかもしれません。新米パパは産後すぐのママとの向き合い方には全く思いが至らなかっただけと思いますよ。おふたりがゆっくりとそのことを語り合えると感じています。大丈夫! それにしても、夜中に新米ママの本気の悩みを伺うとは、びっくり。思わず反応してしまいました>

汐見さん: おりーぶさんの悩みっていうのは、日本独特の悩みかもしれませんよね。私も似た体験があります。
息子からしたら、自分を育ててくれた親っていうのはありがたい存在なんですね。でも、妻からしたら自分の夫と義理の親がいるときに、「夫が私のことを第一に考えてくれるのは当然」と思うんですね。ところが夫は、例えば久しぶりに来た自分の両親をちゃんと迎え入れていることを示すのが俺の仕事だと思っちゃうから、結果として、「私のことを分かってないんじゃないか。2人でいたいのに」と。

僕も、足の悪い母親が遠くから出て来たときに、車の助手席に乗せたことがあるんです。それで僕の妻は後ろに乗ったんです。しかし妻は、「夫婦が前に乗るのは当たり前じゃないの?」って思ったらしいのね。後で聞いたら、それがすごく頭にきたっていうんです。僕、そんなところで、ものすごい機嫌が悪くなると思ってなかったんです。でも僕はなるほどと思って、妻の気持ちも分かるので、母親に「今度から後ろに乗ってね」ってはっきり言って、それからはずいぶん変わりました。

やっぱり、そこはすーごく、男は分かってないんだと思うんです。だから、しゃべり合うしかないんじゃないかなあ。そうしたら妻のほうも、夫の配慮やそういう気持ちも、少し分かってくるんですよね。そうしたら、以降、いい関係にもなっていく。そこを黙ってしまうと「あの人、分かってくれない!」っていう恨みの感情のほうが強くなってしまうから、とにかくしゃべり合ったほうがいい。

――5月の「ワンオペ育児」や、6月の「パパの子育て」というテーマの回でも浮かび上がってきたのが、夫婦の間のコミュニケーションの問題でした。きょうは汐見さんのお話を聞いて、男性の気持ちを聞くのも大事だなと思いました。

汐見さん: ふだん育児をしていない男親が、日曜日に「俺、みてるから、買い物でも行っといでよ」と言って、それで帰ってみたら家の中がカップラーメンのからか何かでいっぱいで「頭にきた」というおかあさんがいらっしゃいました(笑)。要するに、ふだんやったことのない父親にとっては、子どもが何が好きで何を食べるのか、それさえも分かっていない。それでも必死にやったにもかかわらず、カチンとされてしまったっていう、そういうディスコミュニケーションは実はたくさんあります。
そのときにね、それをなじり合う会話じゃなくて、ワインでも飲みながら、もう1回、家庭の夢を語り合おうというふうにすると、ずいぶん変わってきますよね。そういうのもぜひやっていただきたいなと思います。

子育て事件簿#07  冷蔵庫を接着剤で封印

――「子育て事件簿」の続きへとまいりましょう。

和歌山県40代女性
<「やれるだけやってみるわ」という力強い言葉で、スーパーのカートを元の場所へ戻しに行った5歳の息子。小さな体で一生懸命運んでいました。他のお客さんにあてないかひやひやしましたが、成長を感じた瞬間でした>

神奈川県40代男性
<我が家では毎日の朝ごはんを父である私が作っています。在宅勤務のときは昼も夜も! 子どもから、“ノーベル賞”をもらいました~>

神奈川県60代女性
<娘が幼稚園生だったころ、冷蔵庫の卵ケースの脇に瞬間接着剤を置いていました。ある日、冷蔵庫が押しても引いても開きません。冷蔵庫の中で化学変化が起きているのかしら? ゴムが溶けた? しばらく冷蔵庫と奮闘する私を下から見上げる娘の様子を見て、もしかして瞬間接着剤!? ゆっくりカッターナイフを使って開けてみると、やはり瞬間接着剤で貼り付けて、いたずらをしていたのでした。怒る気にもなれず、子どもは大人のやることをよく見てるんだなあと思いました。冷蔵庫事件、ときどき思い出してクスッと笑っています>

汐見さん: 叱らなかったっていうのは偉いなあ……。

――兵庫県60代女性
<子どもがまだ幼かったころ、スーパーへ一緒に買い物に行きました。レジへ行って支払いをするのに1万円札しかなくて、お札を1枚出しました。そしておつりをもらいました。見ていた子どもが、「おかあちゃん、お金がいっぱい増えてよかったね」と言いました。この言葉は今も忘れられません>

東京都の女性
<息子が幼いころ、「ママは夜になると、夜空に輝く女王さまになるんだよ」と何気なく言った言葉はよく覚えています>

コロナを機会に見直す時間を

――汐見さん、きょうは「ママ☆深夜便」に初めてご出演いただきましたが、ご感想はいかがでしょうか。

汐見さん: こういう番組があるっていうことが、まあ本当に、子育てを一生懸命やっている方にとって救いだなあって、僕は思いました。それでいろいろ重ねていくうちに、いろんなことが分かってくるんじゃないかな。例えばさっき、子どもがカートを戻してくれたという話がありましたが、子どもって、強制されると嫌だけれども、役に立ちたいという気持ちがすごくあるんです。だからそれを評価すると、どんどんやってくれます。上の子は下の子の世話をしたいとか、そういうのを上手にほほ笑ましく思って感謝していれば、子どもを育てるっていうのに、楽しいエピソードが増えると思いますね。

――今は外で思いっきり遊んだり、人と集まって何かやるのが難しい「ウイズコロナ」の時代ですが、そういう中で子育てをしているおとうさん、おかあさんに、メッセージをいただけたらと思います。

汐見さん: しばらくこれは続くと思いますけれど、生活や家庭だとかを見直す時間でもあると僕は思っているんです。今だからこそ、もう1回、自分だとか家族だとか人生だとかっていうことを、家族でも夫婦でもちょっと語り合うような時間にしていただきたいなっていう思いは強くあります。コロナのあとは、コロナの前にそのまま戻るんじゃなくて、確実に何か変わったよねっていう、それを目指してほしいなって思います。

■【ママ☆深夜便】子育て事件簿~子育てっていろいろあるよね~ おわり

<【ママ☆深夜便】子育て事件簿~子育てっていろいろあるよね~ ③>

<【ママ☆深夜便】子育て事件簿~子育てっていろいろあるよね~ ①>