【みんなの子育て☆深夜便】子育てリアルトーク「子育てと防災」

22/10/28まで

ラジオ深夜便

放送日:2022/09/22・2022/09/23

#子育て#家族#コミュニケーション#お悩み#防災・減災

9月のテーマは、「子育てと防災」です。
毎年のように災害が発生する日本。子どもの命を守り、家族で生き抜くために必要な対策はできていますか?
あらためて皆さんと一緒に見直していきたいと思います。
ゲストは作家の山崎ナオコーラさんと防災アドバイザーの高荷智也さんです。(聞き手・村上里和アンカー)
*放送の一部をこちらでお読みいただけます。全体は「聴き逃し」からどうぞ!


【出演者】
山崎:山崎ナオコーラさん(作家)
高荷:高荷智也さん(防災アドバイザー)
奥村:奥村奈津美さん(防災アナウンサー)

防災リュックの作り方

――(前半の内容を受けて…)防災について、どんなふうに感じられましたか?

山崎: とても勉強になりました。子どもといってもそれぞれ個性があって、私もお家にいる子どもも特性がいろいろあったりするので。アレルギーがあるお子さんだとかそれぞれいろんな個性があるから、親は「自分で判断しなきゃ」と思うとすごく責任も重大に感じちゃって…。すごいずっしりくるところがあるんですけど、「ちょっとずつ知っていくしかないんだな」とか、やっぱり「自分で決めていかなきゃいけないんだな」とか、いろいろ勉強になりました。

――高荷さんは最初に「楽しく、楽に…」とおっしゃっていましたが、11時台の最後にアレルギーのあるお子さんのリポートを奥村さんが紹介してくださいましたが、やはり一人一人状況というのは違って、家族にどんな状態の人がいるかっていうのもそれぞれの家族で違ってくる中、やっぱり自分で判断というのは求められるところなのでしょうね。

高荷: そうですね。防災対策というのは「どこに住んでいるのか」、そこに「誰が住んでいるのか」ということで、やることが変わってきますので、これをやっておけばいいという100点満点の回答というのは無いのですね。
「我が家だったらどうするのか」、やっぱりお家をちゃんと安全な場所にしておくということは皆さんやっていただいて、そしてお家の中で使ういわゆる防災備蓄とかですね、リュックサックの準備とか物を準備するところについては、少し楽しい要素、ライフスタイルにする要素なども入れていただけるといいなと思いますね。

愛知県30代女性
<月に1度、園での避難訓練に参加しているだけあって、私以上にアップデートされた防災知識を身につけている5歳の息子。「防災袋にはラジオや、お水を入れるだけでできるごはんや、懐中電灯を入れるんだよ」と教えてくれ、「うちも用意しなきゃ」って思いましたが、いざ用意しようとすると、紙おむつや離乳食はどれくらい必要か分からなかったり、あれもこれもいるような気がして、袋に入りきらなかったり。乳幼児のいる家庭の防災袋に入れておくべきものについて、教えていただけるとうれしいです>

――5歳の息子さんの下に小さいお子さんもいらっしゃるんですね。非常時に持ち出す袋、それぞれ用意したいところですが。高荷さん、アドバイスありますか?

高荷: そうですね。例えば小さなお子様がいらっしゃるとか、もしくはアレルギーを持っているお子様がいらっしゃるとか、そういった家庭の場合には、いわゆる防災リュック、非常持ち出し袋を作ることももちろん重要なのですが、それ以上にふだん持ち歩いているものをいつでも持ち出せるようにしていただきたいんですね。例えば赤ちゃんがいらっしゃるご家庭ですと、いわゆるマザーズバッグといいますか、赤ちゃんセットをだいたいお母さん、お父さんが用意されていますよね。

――そうですね。出かける時は、「これとこれを持っていかなきゃ」っていうのはありますよね。

高荷: 必ず1セットありますよね。それをぜひ、いつでも持ち出せるような状態にキープをしていただきたいですね。

――お出かけする時じゃなくても、セットしておくっていうイメージでしょうか?

高荷: 「これがあれば、とりあえずお出かけ先で何とかなる」、そういうものを恐らくふだんも準備されていると思いますので、まずはそれをいつでも持ち出せるようにしておく。「ちょっとうちの子はこれがなきゃ困る」とか、赤ちゃんがいたらだいたいそうですけれども、まずこれが重要なんですね。その上で、防災リュックというものを作る時には、ふだん当たり前に使えているものが使えない状態になる、または屋外が危険な状態になっている中で安全に移動する、そういう時に必要なものを持ち出していただくことになるのですけれども。

まずは基本的なところを言いますと、例えば、ホームセンターとかネット通販などで防災リュックなどがよく売られています。そういったものを買われるのもいいかと思います。最近はよく考えられたものが売られています。
リュックなどを買いますと、よくやりがちなのですが、結構まだ余裕があって、いろいろ詰め込めるスペースが空いている。そうすると、「まだ入るな」ということで、「じゃあもっとお水入れていこう」とか「着替えをもっと詰め込もう」とかやりたくなるのですけれども、防災リュックの役割というのは“安全な場所まで、素早く移動するための準備”ですので、重くしすぎないでいただきたいですね。

女性でも男性でも特に体格が小柄な方、高齢者の方もそうなのですが、リュックが重すぎて持ち上がらなかったり、持ち上がったけど避難所までたどり着けなかったり、途中で走らなきゃいけない時に走れなかったりする。これでは困ってしまいますので、リュックサックを準備するときには、必ず背負った時に走れる重さにとどめていただく。
「もっとたくさん持っていきたい」、例えば家が津波が来るエリアにあるので、「大きな地震が来たら、しばらく家に帰れないかもしれない…」というところにお住まいの場合や、もしくは「アレルギー用の食べ物をちゃんと持っていきたい」といった場合には、全部リュックサックに詰め込むのではなくて、カバンを分けていただきたいですね。

別のカバンに大事なものが、特に消耗品ですね。水、食べ物、追加のお着替え、そういったものを別のカバンに入れていただいて、例えば台風、大雨で事前避難をするならば、全部持っていってください。まだ余裕がありますし、車を使って移動することもできます。一方、大地震が突発的に起きた時には、持ち出せるならば全部持っていく。でも、走って逃げないと命が危ない、そういう場合には最小限のリュックだけを背負って、子どもといっしょに避難場所までいく。大きな荷物は何なら途中で捨てていく、ということができるように分けていただきたいです。

――なるほど…。ナオコーラさん。突発的に持ち出すリュックと、しっかりとこう日常生活する道具を入れるバッグとを分けるっていう話がありましたが…

山崎: そうですね、それは考えてなかったです。サッと行く時と非常時に過ごす場合のものと、全部1つのリュックに入れていたので、2つに分けるっていうのは気が付いていなかったことです。

――これ、どうやって分けたらいいんでしょうか? 突発的に持ち出す用から教えてもらっていいですか?

高荷: まず、リュックサックに入れていただきたいのが一番大事なもの、「これがないと、そもそも生活ができない」というもの。例えばお薬とか、アレルギー対応の食べ物とか、もしくは医療器具とか。そういったものを持ち出さなければいけない場合には、それ本体及びその予備やスペアですね、そういうものをリュックに入れていただく。
そして、素早く安全に避難場所までたどりつくための道具、身を守るための装備品ということで、一番重要なのは雨具です。雨にぬれてしまうと、冬場などは凍死してしまう恐れもあります。避難するときは、できるだけ安全のために両手をあけるということをやっていただきたいのです。

――傘をさすのではない。

高荷: そうですね。できれば上下が別々にセパレートになっているレインウエア、大人用と子ども用。着替えにもなりますし、防寒着としても使えますので、雨具は重要です。その他、いわゆるヘルメットとか安全用のグローブとかですね、いわゆる軍手のようなもの。笛(ホイッスル)ですとかヘッドライト、身の安全を守るための道具。

そして災害時に重要なのは、情報収集や安否確認です。ご自宅周りの紙のハザードマップとか、スマートフォンの充電器と充電コード、予備の電池。そして災害時、スマホも使えないという状態になった時に最後まで使える情報源は、何といってもラジオです。ラジオは必ず持っていっていただきたいなと思いますね。

――今、スマホでラジオを聴いている方も多いと思いますが、別にラジオというのをちゃんとリュックに入れておく。

高荷: スマホのラジオはインターネットが途切れると、聴こえなくなっちゃいますので。小型のラジオなら1,000円、2,000円で売られていますので、ぜひそれをご準備いただきたい。そして、途中何があるか分かりませんので、不測の事態に備えるという意味で、応急手当の道具ですね。三角巾と包帯、傷パットや絆創膏、あとは十徳ナイフ、いわゆるマルチツールのようなものですね。こういったもので応急手当てをする道具をご準備いただく。

プラス、雨具とあわせて、やっぱり水にぬれてしまいますと季節によっては命に関わりますので、1回分の着替え。特にタオルと肌着はぜひ1回分入れていただきたい。あとは、季節用品ということで、夏であれば、うちわとかスポーツ飲料の粉が熱中症対策になります。冬であれば、プラスもう1枚の防寒着とカイロとか。こういった、まずは体を守る道具を、リュックサックの中にひと通り入れていただくというのが重要ですね。

――緊急に突発的に持ち出すものですから、着替えは何日分も必要というわけではないということですよね?

高荷: はい。1回分の着替えがあれば、避難所にたどりついた時に最低限の環境を整えることができます。持ち出せる重さと量で、まず1回分というのを入れていただききたいなと思います。

お子さんがいる家庭は在宅避難の準備を

――こんなおたよりも来ていました。

愛知県20代女性
<2歳と6歳の姪(めい)っ子がいます。姉が防災グッズについて、「ヘルメットのサイズもないし、大人用とは別で園児用に何を用意したらいいのか分からない」と言っていました。園児用におすすめの防災グッズ教えていただきたいです>

高荷: 小さなお子様向けですと、雨具とヘルメットなどをご準備される場合は、防災用というよりは自転車用がおすすめですね。最近小さな子ども用に、かわいいてんとう虫ヘルメットとかがありますが、自転車用品などがそのまま防災ヘルメットにもなりますので、そういう物をプレゼントすると、かわいくて喜ばれます。子ども用の雨具は、やっぱり雨が降っている時にも重要ですし、避難先での防寒具、お着替え、そういう用途でも使えますので、身につけるものをまず最低限ご準備いただくのがよろしいかなと思います。

――次に、がっつり持ち出す方の荷物は、何が必要でしょうか?

高荷: 生活用品なんですけれども、例えば衛生管理ということで、生理用品、ウエットティッシュ、ペーパー歯磨き。それから非常用トイレ。避難所は寝るための道具がない可能性がありますので、レジャーシートとか、可能であれば空気を入れるタイプのエアマットと寝袋、難しければアルミブランケット(エマージェンシーブランケット)を1枚。そして現地での生活用品ということで、おすすめなのは各サイズのゴミ袋。袋は万能ですので、おすすめです。あとは避難所で使う折りたたみのスリッパ、屋内用のLEDランタンとかですね。そして飲料水と食べ物ということで、最低限のお水、ゼリー飲料とか、それから栄養補助食品いわゆる非常食。余裕があればサプリ、ビタミン&ミネラルなども入れておくとよろしいかなと思います。こういったものを少し大きめのカバンに入れていただくと、分けられていいかなと。

――何日分ぐらい?

高荷: 持っていく道具としては、持ち出せるだけということになるんですが、もしご自宅での生活をお考えになる場合には最低3日分の自助で生活できる非常食や消耗品。できれば1週間分の消耗品を。特に都会でマンションなどにお住まいの場合は、避難が長期化する可能性がありますので、最低3日できれば7日で。

――家にいるとき?

高荷: 家にいるときです。

――持ち出す時は持ち出せる分だけですね?

高荷: 量は持ち出せる分だけです。体格によって変わってくるかなと思います。

――ナオコーラさんいかがでしょうか?

山崎: そうですね。なかなか難しいなっていうのは思いました。

――どういうところが難しいなって思いましたか?

山崎: 持ち出せる分と自分の体力とを考えるとか。これがないと生きられないっていうのが、子どもの個性によってすごく違うって思うと、自分で判断しなきゃいけないこととかいっぱいあるなって、ちょっと思っちゃいました。

――それに、お子さんの人数が多ければ多いほど、その子たちの分が入るわけですし…大変ですよね。

高荷: そうなんです。避難用のリュックというのは確かに非常に重要なんですけれども、できるだけ避難しないための準備ということも、特にお子様がいらっしゃるご家庭はお考えいただきたいんですね。逃げずに自宅で生活をする。いわゆる“在宅避難”といわれていますが、家にとどまるための準備。家にいれば家にあるもの全部使うことができますので、そういったご準備を合わせてお考えいただくのがよろしいかなと思います。

――非常持ち出し袋に入れるものについてこんなおたよりも。

神奈川県40代男性
<東日本大震災のあと、非常持ち出し品にトランプやボールなど子どもが遊べるものを入れるようになりました。やっぱりお子さんの心を元気にするものも必要だなと思いました>

高荷: すばらしいですね。いいと思います。やっぱり子どものメンタルケアというのは、すごく非常時には重要になりますので、子どもが好きなおやつ、おもちゃ、こういったものはぜひ積極的にリュックに入れておいていただきたいなと思います。

――東京都30代女性
<高荷さんはそれぞれ年の離れたお子さんがいらっしゃいますが、お子さんの通学かばんに入れている防災グッズがあったら教えてほしい>

高荷: そうですね。我が家の場合は、全員徒歩圏内で通学が完結していますので、特別なものというのは持たせていないんですね。いわゆる防災用のブザーなどはぶら下げさせているんですけれども、基本的に歩いて帰る圏内にいる場合には、大きなものを持たせるということはしなくてもよいかなと、私自身は思っているんです。ただ、私は静岡に住んでいるのですが、小さな子どもたちはヘルメットをかぶって通学するというルールがあるので、我が家の三男はヘルメットをかぶって、毎朝小学校まで行っています。まさに身を守る道具は、最低限身につけさせるというようなことを地域でやっているということでもありますね。

――先ほど話に出た、在宅避難を考えるという話ですが、お子さんが多ければ多いほど、その子たちを連れて避難するというのは本当に大変。一人一人個性もあるということになってきます。「なるだけ自宅にとどまって、避難生活をしましょう」ということを、高荷さん、おっしゃっているわけですよね。

高荷: これはもう、最近は国や行政なども積極的に言うようになっているのですけれども、避難所に行くのは最後の手段なのですね。やっぱり避難所というのは、非常に生活するのが大変ですので。命に危険がなければ、極力自宅にとどまって生活するための準備をしていただきたいんです。だからこそ、家の場所とか室内の地震対策は、重要なのですが。家が無事であれば、自宅で生活できますので、電気、ガス、水道、ゴミ回収、トイレ、こういうものが使えなくなったとしても1週間ぐらいお家で生活ができるような準備ですね。非常用トイレですとか、カセットコンロと予備のガスとか。あとはゴミの回収が止まっちゃいますので、ふだん買っているごみ袋は多めに。無くなってから買うんじゃなくて、多めに手元に置いておく。こういうやり方で、できるだけ家にとどまるためのご準備、在宅避難の準備をしていただくのがおすすめですね。

ラクする備蓄“コンテナストック”

――子育て世代向けにおすすめの備蓄テクニックっていうのはありますか?

高荷: そうですね。最近言われている、ナオコーラさんもされている“ローリングストック“。この考え方は、日本語では日常備蓄というふうに言われるのですが、防災を楽にするためにすごくおすすめの方法ですね。ふだん食べているものをちょっと多めに買って、無くなる前に補充する。これを繰り返すだけということになるのですが、食べ物や赤ちゃん用の粉ミルク、ベビーフード、オムツとか全部に適用できるんですね。必ず使うものを少し多めに買っておいて、そして補充しながら使うというやり方。やはり子育て世代というのは使うものが多いですので、防災専用に買うのではなくて、少し多めに買うやり方というのがおすすめですね。

――ナオコーラさん実際にローリングストックをしてらっしゃるということですが、何か困っている点、こういうこと聞いてみたいという点、ありますか?

山崎: そうですね。賞味期限をチェックし、種類ごとに「これはこれだけあって、あれはあれだけあって」と管理するのが、意外と面倒っていうのもあります。
高荷: 賞味期限、切れちゃうんですよね。

――気が付いたらものたくさん買ってしまったものがある一方で、何か無くなってしまったものがあったりしますが、高荷さんどうしたら良いでしょう?

高荷: はい、もう1つおすすめの方法がございまして、それが“コンテナストック”という方法なんですね。ローリングストックというのは、食べ物1つ1つの賞味期限を見て、古いものから食べるというやり方なのですが、やっぱり面倒です。子育て世代はいろいろなもの、少量をたくさん備蓄したくなるんですね。お子様の個性も好みもバラバラですし、いろんな種類のものをちょっとずつ備えたい。

コンテナストックというやり方は、箱で管理をする方法です。例えば、お家の中に小さな箱、ポーチとか袋でも構いません。これを10箱、10袋、空のものを用意していただきまして、それぞれにお子様あるいは家族が食べられるものを何でも詰め込んでいただきたい。この時のポイントは、賞味期限がだいたい1年ぐらいあるもの。そして1箱の中に入れる食べ物の量は、ふだん1か月間で食べきれる量を入れていただきたいんです。

それを10箱作りまして、毎月1箱ずつ開けて、中に入っている食べ物を全部食べちゃう。そして食べたら、同じようなものを入れるのはお菓子でもスープでも栄養補助食品でも何でも構いません。ふだんから食べているものを箱の中にごちゃ混ぜでいいので入れてください。毎月1箱食べて、空っぽにする。食べたらまた補充して、その箱は10か月後に開けるというやり方で、手元に10箱が常にある状態。それをぐるぐる回すことで、賞味期限は一品ずつ見ずに管理できます。そんなコンテナスストックも、1つおすすめでございます。

――でも、高荷さん。10箱も置いておく場所がないのですけど…

高荷: 箱は小さくてもいいんです。大きな箱ですとそんなに置けないよっていうことであれば、手のひらサイズの箱、10箱でもいいですね。100円ショップで売られているポーチでもいいんです。例えば、ポーチの中に缶詰を3つ。それが10袋あっても大して場所を取りませんが、手元には常に缶詰30個キープできますので、結構な量になるんですね。
備蓄できるスペースを10分割したら、どのぐらいの大きさになるかなっていうのを見ていただいて、箱の大きさ決めていただければ、無理なくいけるかなと。

――ナオコーラさん、コンテナストックというやり方どうでしょうか?

山崎: そうですね。いちいちチェックしたりするのが大変なので、カレンダーに書いちゃえば、この箱をチェックすればいいだけって決めると、脳の仕事量が減る感じでいいなと思いました。
高荷: できる方法で、とにかく楽をしていただきたい。

――「今月開けるよ~」なんて言ったら、ちょっとうれしい気持ちになったりしますよね。

高荷: 皆さんが好きな食べ物とか、ちょっとだけいいものを入れておくのがおすすめです。

幼稚園や保育園の防災対策

――ここでリポートをお送りします。
災害はいつどこで遭遇するかわからない、特に地震は突然にやって来ます。家族が離れた場所で被災したら、その子どもの命をどうやって守ったらいいだろうというふうに考える方、多いと思います。
防災アナウンサーの奥村奈津美さんです。

奥村: やはりどうしても防災って後回し、「考えたくない、面倒くさい…」といろいろと思ってしまうのですが、やはり起きてしまってからでは手遅れなので、ぜひきょうは考えていただきたいなと思うんですけれども。特に乳幼児は、災害時に自分の判断で安全な場所に避難することができないんですよね。自分一人で命を守ることはできないので、だからこそ保護者ですとか、幼稚園の先生や保育園の保育士の防災力が求められます。

東日本大震災では、19歳以下の子どもたちが、岩手・宮城・福島の3県で895人亡くなりました。その中で、宮城県石巻市にある日和幼稚園では園児5人が亡くなりました。この幼稚園は、園自体は高台にあるので、園にとどまっていれば命を守れたのですが、子どもたちを乗せた通園バスが津波に巻き込まれ、その後に起きた火災によって、命を奪われました。

私はご遺族の1人、6歳の娘さんを失った佐藤美香さんとずっと交流させていただいているのですけれども、佐藤さんは「2度とこういうことが起きてほしくない」という一心で、現在も語り部として活動を続けていらっしゃいます。佐藤さんのお話の中で、一番心に残っているのが「知らないということが、いちばん怖いことです」という言葉でして、しかもやはり園の防災体制について、保護者としてきちんと知っておくべきだったと話していました。

――確かに…。自分の子どもが通っている幼稚園、保育園、そして小学校の防災体制がどうなっているのかっていうところは、なかなかチェックしていない、しないできたなって感じます。
奥村さん、東日本大震災のあと、幼稚園や保育園の防災体制というのは見直されたのでしょうか?

奥村: 正直、園によって防災意識が異なるという現状がありまして、保育園では毎月1回、避難訓練の実施が義務づけられています。幼稚園では毎年2回以上行うように決められているのですが、何をどこまでどうやって行うかっていうのは園に任されているのですね。園の意識によって異なってきているかなと思います。

例えば、施設内で訓練をやっていても、その施設自体が被災することもありますので、その施設の外に避難をする訓練やっているかとか。あとは地震、火災だけではなくって、台風や水害、津波、土砂災害など、園のある地域のリスクによってさまざまに変わってくるんですが、その災害の対応ができているかどうかっていうのは、やはり確認しないと分からないという状況です。

取材する中で、「保育士の資格や幼稚園の教諭免許を取る時に、何時間ぐらいの防災教育を受けているのか」っていうのを問い合わせてみたんですけれども、保育園を管轄しているのは厚生労働省で、幼稚園は文部科学省なので、それぞれ問い合わせてみたのですが、「特に規定はない」ということだったんですね。なのでやっぱり、園や先生によって防災対策が異なるのかなと思います。

――こんなおたよりも届いています。

神奈川県40代の女性
<小規模保育園を運営しています。子どもたちの安全のために、職員の配置を多くし、さまざまな防災備蓄品を用意して日ごろから備えています。認可されている保育園なんだから、安全なのは当たり前と思われているのかもしれません。でも現実には、認可されている保育園で、子どもの事故が起こってしまっています。これから保育園にお子さんを預ける方、今預けている方は、自分の大切なわが子を預ける場所が災害にきちんと備えているのか、しっかり確かめてほしいというふうに思います>

このお方は園を運営している方ですが、ちゃんとした安全対策をやっているからこそ、こういうメールを下さったのでしょうね。

奥村: 中には、アプリなどを導入して保護者との連絡手段を電話以外の選択肢でも用意している園ですとか、子どもたち自身が考える時間を設けている保育園とか、独自の防災対策を取っている園もあるんですね。なので、自分が子どもを預けている園がどうなのかっていうのを、まず確認するのが大事なのかなって思います。

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みんなの子育て☆深夜便

毎月第4木曜日
[R1] 午後11時05分~翌午前5時00分
[FM] 午前1時05分~午前5時

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【放送】
2022/09/22・2022/09/23 ラジオ深夜便 「みんなの子育て☆深夜便」 子育てリアルトーク

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