庄司智春パパ・大日向雅美先生と考える 「子どもたちと過ごすコロナ禍」②

21/06/21まで

ラジオ深夜便

放送日:2021/04/22

#子育て#家族#コミュニケーション#コロナウイルス

2020年8月に、新型コロナウイルスへの感染が判明した庄司智春さん。愛する妻と3人の幼い子どもたちを危険にさらさないよう、細心の注意を払ったといいます。庄司さんの体験談から、私たちが学べることとは。
(聞き手・村上里和アンカー)


【出演者】
庄司:庄司智春さん(お笑いコンビ「品川庄司」)
大日向:大日向雅美さん(恵泉女学園大学 学長)

感染症陽性…そのとき、どうする?

――リスナーの皆さんのおたより、声を紹介していきます。
こちらは去年の4月にいただいたおたよりなんですが…。

山形県20代女性
先月、2人目を出産しました。授乳をしながら<深夜便>を楽しく聞かせてもらっています。
今、世界がコロナウイルスと闘っています。私の住んでいる地域でも、「感染した」というニュースが連日流れているので、家にこもる毎日です。
「もし自分や主人が感染してしまったら、子どもたちは誰が見るのか?」というのが一番の不安です。

――感染者数がどっと増えてきた今、不安がまた押し寄せてきているのではないかと思います。感染したら外出はできないし、家事や育児も難しくなっていきますよね。
そこで庄司さんの話を、きっとリスナーの皆さんも聞きたいと思います。突然庄司さんの体調が悪くなった。そのとき、どう対応したんですか?

庄司: コロナウイルスに関係なく、ふだんから、家族の誰かが体調が悪かったり熱が出て、自分もうつってしまったら仕事現場に行くことができないので、かぜっぽかったら別の部屋で寝たりする、という習慣があったんですよ。

今回、僕に症状が――熱が出て、肺に響くようなせきが出てきたとき、「あれ? これ、もしかして…」というのを夫婦間で話したんです。
その日からすぐに僕は違う部屋で生活するようにして、そこから病院へ行ったり、病院から帰ってきてもその部屋へ…ということだったんです。
ふだんのやり方をそのまま導入してやっていたから、家族感染につながらなかったと思います。

――奥様にもお子さんにも、うつらなかった。

庄司: はい。
義理のお母さんが頻繁に子どもたちの世話を見てくれるので、うちに来てくれるんですよ。高齢なので心配だったんですけど、お義母さまも感染せずに陰性だったのでよかったです。

――新型コロナウイルスに感染していたとわかったときは、やはり動揺しませんでしたか?

庄司: 動揺しましたね。「まさか!」って思いましたね。
リアルな話をすると、「陽性だった」と言われたときは、「こんなのに負けてたまるか!」みたいな、変なスイッチが入ったんですけど、これがね…どんどんウイルスとともに迫ってくるというか。心身ともにやられてしまうんですよ。
最初は「負けてたまるか!」「絶対すぐ治って帰ってくるぞ!」と思うんですけど、症状が悪化すると同時に、気持ちもどんどんやられてしまって…そこが怖かったですね。

子どもたちにも説明しました。一番上の子は小学校3年生でしたけど、彼はなんとなくコロナの危機感みたいなのは感じていたので、理解していました。だけど、上の子は理解できたぶん、泣いたりもしていましたね。
下の子はまだわからなかったようで、そこまでは…「大丈夫なの?」「体調悪いの?」ぐらいの感じでしたね。

――泣いてしまったお子さんには、どんなケアをされたんですか?

庄司: そのときは距離を取らないといけなかったので、抱き締めることもできないですし…。
奥さんが徹底してくれていたので、そのときは全員マスクして、僕はフェイスガードやビニールの手袋もしながら隔離生活をしていたんです。
そんな中、部屋の端っこと端っこで「今、保健所から連絡があって、お父さんは陽性ということになったよ」と説明して、そこで上の子は泣いてしまって…みたいな感じでしたね。
「あんまり経験させたくなかったな」というのはありますね。

緊急時に生きる、ふだんの備え

――入院するまでは、コロナだとわかっていても一緒に生活をするんですよね。

庄司: そうです。
うちはトイレが2つあったので、家族が使う分と僕が使うものとトイレは別々に使う。僕が脱いだ衣類は、「このゴミ袋に入れてください」って妻から渡されたビニール袋に入れる。シャワー、お風呂は入院するまで入らない――といったことは徹底されていました。僕が触ったであろうところは全部、妻がアルコール消毒。
僕が入院したあとも、僕が隔離生活をしていた部屋は、子どもたちが不意に入ったりしないようにガムテープでバッテンにして「絶対入っちゃだめ!」と対応していました。

――わかりやすくお子さんに伝えたんですね。
奥様の藤本美貴さんは、いろいろ調べて「感染者と一緒に暮らすためにはどうしたらいいか」を徹底してやっていらっしゃったと思うんですが、厚生労働省のホームページに「新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項」という8か条なども載っています。
皆さんも、万が一そういうことがあったときのために、事前に見ておくと、すぐ対応が取れるかもしれません。
藤本さんも大変だったでしょうね。

庄司: そうですね。共働きですし、濃厚接触者に該当させてしまったので、妻の仕事もすべてキャンセルです。子どもたちのこともありますし、彼女のお母さんのこともありました。
僕は入院先で、ずっと「みんなが陰性でありますように」と毎日祈るように病院のベッドで思っていました。
子どもたちもPCR検査をしましたけど、「させることの恐怖」というか、そういうことをさせてしまった罪悪感みたいなものもありました。

――庄司さんの新型コロナに感染したときの家族のリアルな様子を聞かせていただきました。子どもが泣いてしまったという話もありましたけれど、子どもも含めた家族でどうやって、どんな気持ちで乗り越えていったらいいと思われますか?

大日向: 庄司さんのお話を伺って、リアルにその場が目に浮かぶようです。感心しました。
ふだんの備えがどれだけ大切か、ということですよね。私たちは、防災グッズやハザードマップなどいろいろな災害対策はやっていますけども、それと同じですよね。
共働きで両方が仕事を持っている場合に、子どもを育てながら片方が病気になったときはどうしたらいいかということを、日頃から連携を取ってやっていらっしゃることが、今回を乗り越えることにつながったんでしょうね。
大変だったと思いますが、伺っていて「なるほど、こういう備えがあれば大丈夫なんだ」と勉強になりますね。

――「感染したら…」と思うと怖いことですけれど、ちゃんと「そのときどう行動するか」は知っておいたほうが安心かもしれません。

コロナ禍で際立つ「考え方の違い」

――続いてのおたよりをご紹介します。

神奈川県30代女性
わが子は5歳で友達を求めている年齢なので、できるだけ友達と遊ばせてあげたいと思うけれど、感染症に対する考え方に家庭差があることがストレスです。
外遊びでも、子どももマスクはする? 手洗いはどのぐらいの頻度でする? 外でなら、おにぎりなど何人かで食べてもいい? 何人までなら集まる? おやつのやりとりはあり? 個別の包装なら、どう?
…など、考えが異なる場合、各家庭の方針を否定せず、誰も我慢せず、尊重し合うためには、相手やわが子にどういうことばをかけたらいいか、とても悩みます。

――夫婦間でも、祖父母との世代間でも、友達の間でも、コロナに対する考え方の違いは絶対にありますよね。それを持ちながらもうまくやっていくためには、どうしたらいいのでしょうか。

庄司: 難しいですよね。
ただ、僕の場合は「コロナに感染してしまった」というのがあるので、話は聞いてくれるんですよ。なので、多少「こうしたほうがいいよ」というのは言いやすいんですね。
たとえば、妻が子どもたちを連れて、ママ友たちと公園で遊んだあとランチの場所に行くという話を聞いたときに、「人数とか、大丈夫?」と気になってきます。「子どもたちはどうやってごはんを食べてるの?」とか、僕でさえも敏感になったので。
そこをあまり気にし過ぎて、ほかのご家庭にプレッシャーを与えるのもどうなのかな? とも思いながら…頃合いが難しいところですね。

――「コロナについての考え方の違いでストレスを感じている」というママの声がありましたが、違う価値観を持つ人とうまくお互いにうまくつきあっていくために大事なこと、心に置いておいたほうがいいこととはどんなことでしょうか。

大日向: 子育てって、そもそも違いがあるのが普通なんですね。「違いを認めて否定せず」、これが基本なんです。
ただ、コロナは問題が違うと思うんですよ。命にかかわることですよね。「価値観の違い」で認め合えることと、許容できないことがあると思うんです。
今、庄司さんが「経験者だから言えるんだ、聞いてもらえる」とおっしゃった。ここがヒントだと思うんです。
命を守る、感染させないためのエビデンス、科学的根拠といったことは、「価値観の違い」じゃないと思うんです。守らなきゃいけないものはみんなで守らないと、相手のことも自分も守れない。これは、「お稽古事をどうするか」といったそれぞれのご家庭の子育ての方針や価値観とはフェーズが違うと思います。

庄司さんがご自分の体験から「ここは危ないんじゃないか」とおっしゃることを、お連れ合いも周りの方も聞いてくださる。ここがポイントだと思います。
そうみんな思わなきゃいけないわけです。「それは庄司さんの体験よね」じゃなくて、そこには庄司さんが経験されたつらいことに基づいている根拠がある、「これは価値観の違いじゃないんだ」「皆さんも守らなきゃいけないことなんだ」ということを、身をもって示していただいていたように、私は庄司さんのお話を聞きました。
庄司: ありがとうございます。

自分を責めずに、子どもと寄り添う

――では、続いてのおたよりです。

愛知県40代女性
私はシングルマザーで、小学生の子ども2人と暮らしています。
医療職であるため、職場から感染対策の指導があり、旅行はもちろん外食もずっとしていません。子どもたちは、友達から旅行に行ってきた話や外食した話などを聞いては羨ましそうにしています。
ただでさえ我慢させているのにさらに我慢を強いており、子どもたちにはいつも申し訳ない思いでいます。
私が「ごめんね」と言うと、特に長女は気を遣っているのか、「いいよ。仕事でだめなんだもんね」と言ってくれるので、よけいにかわいそうになります。

――医療職で忙しく頑張っていらっしゃるんでしょうね。本当にありがとうございます。
この方は、お子さんたちに「申し訳ない」という思いも抱いてしまっている。大日向さんは、どう声をかけてあげたいですか。

大日向: この方の「ごめんね」という気持ちは痛いほどわかります。でも、お子さんが「いいよ」と言ってくれるんですね。
「いいよ」ということばには、万感の思いがこめられている、「うちのママはみんなのために頑張っているんだ」という誇らしさが入っているというように、どうか聞いてあげてほしいと思いますよ。
単に「我慢させてもいいよ」と言っているんじゃない。子どもって、小さくてもわかるんですよ。「うちのママは、みんなのために頑張ってくれている。だから私は寂しくなんかないもん。誇らしいよ」と言っている「いいよ」だと思いますね。

――「我慢している、かわいそうな子」だと思わずに、「誇りを持ってくれているんだ」と。その子の強さ、尊厳、頑張りようをお互いに認め合えたら、気持ちが少し楽になるかな。

大日向: でも、子どもは、やっぱりママが「ごめんね」と言ってくれることにも癒やされるんだと思いますよ。
小さな胸を一生懸命張り詰めて「いいよ」と言うときに、「そうでしょ!」と済ませてしまうのではなくて、「でも、本当はママもあなたのために、一緒にごはんを食べたいのよ。一緒にどこかへ行きたいのよ」と言ってくれるママだから、「いいよ」と言えるのではないでしょうか。
お互いさまの関係ね。
庄司: わかりますよね。つらい気持ちはわかります。
でも…楽観的なことばになってしまうかもしれないですけど、お子さんが成長したあとに一緒にお酒を飲む仲になったときは、このころを振り返って、いいお酒を飲めるんじゃないですか。
お互いがつらい思いをしたぶん、お子さんたちもママの頑張りの気持ちはわかってくれていると思います。自分を責めないで、頑張ってほしいですね。
大日向: 「同志」ですもんね。一緒に暮らしている「同志」。

どこかへ出かけなくても大丈夫

――おたよりご紹介します。

東京都30代女性
本当はいろんなところに連れていって、いろんな景色を見せてあげたいけれど、行動範囲が徒歩圏内になっている。川原でピクニックして、サッカーして、夕焼けを見て帰るという休日の過ごし方になってしまって、これでいいのかな? 子どもたちは楽しいのかな? 思い出に残るのかなって考えます。

奈良県40代男性
保育園のイベントなども中止になったり、日常での制限がさまざまにあって、子どもたちへのストレスが気になります。情緒が不安定になっているときもあるようです。
家族旅行を計画していてもご破算になってしまい、落胆の連続。

――子どもの気持ちが不安定で心配だという声もありました。
子どもたちが抱えるストレスの現れ方や考え方、対処の仕方については、以前「ここのリーフレットが参考になりますよ」というメールをいただきました。改めてご紹介しますね。
「国立成育医療研究センター」のホームページに行きますと、さまざまなテーマでリーフレットが読めるようになっています。
「子どもたちがこんな様子だったら、こう対処しましょうね」ということや、年齢別の「こんなことに気をつけてあげましょう」、「子どもには正しいことを、しっかりと感染症について話をして、一緒に頑張っていく」ことや、「こんなサインが出たときは頑張り過ぎに要注意ですよ」「そういうときには、地域の精神保健窓口、保健センターや児童相談所や子ども家庭支援センター、クリニック、病院などに相談してくださいね」というところまで書いてあります。
こういうリーフレットを親子で一緒に読んだりするのも、気持ちが落ち着くために必要な時間かもしれないと思いました。
大日向さん、どうでしょうか。

大日向: そのとおりですね。基本的な情報を取得しておくことも大事ですね。
ただ、「イベントがなくなってかわいそう」「どこへも連れていってあげられない」と悩んでいる方がいらっしゃいましたが、逆に子どもからしてみると、イベントだけが楽しいとはかぎらないと思うんですね。親と日常の暮らしを丁寧にやっていくことも楽しい。子どもの気持ちとして、これも知っておくといいですね。

真夜中の子育て応援団
ママ☆深夜便

毎月第4木曜日
[R1] 午後11時05分~翌午前5時00分
[FM] 午前1時05分~午前5時

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【放送】
2021/04/22 ママ☆深夜便「子育てリアルトーク ~コロナ禍での子育て」


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