【もっと、鎌倉殿の13人】演出 吉田照幸(後編)『鎌倉殿の13人』での挑戦

22/12/31まで

ラジオ深夜便

放送日:2022/12/04

#大河ドラマ#映画・ドラマ

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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』をもっと、楽しむためのコーナーが「ラジオ深夜便」で放送中の「もっと、鎌倉殿の13人」。キャストやスタッフがドラマの現場から制作チームのこだわりをお伝えします。案内役はドラマの芸能シーンに携わる、芸能指導の友吉鶴心さんです。

【出演者】
友吉:友吉鶴心さん(薩摩琵琶奏者・『鎌倉殿の13人』芸能指導)
吉田:吉田照幸(演出)

初めての時代劇の演出

友吉: きょうも、チーフ演出の吉田照幸ディレクターとご一緒にお送りします。
私が一番印象に残ったのは、1回目の大宴会(のシーン)。
全然カットをされずに、カメラをずっとつけっぱなしで撮影されて。
吉田: 1回目は、チーフとして、「このドラマをどういうトーンにするか」とか「どういうことに挑戦していくか」とか、そういうことをやらなきゃいけないと思っているんですよね。
例えば、時代劇といっても、セリフ回しが『鎌倉殿の13人』の場合は、現代に近いと思うんですけど、それは現代に寄せてるっていうよりも、「昔の人は、あんなふうにかしこまってしゃべってたのか」っていうのは、僕は時代劇を1回もやったことがないので、経験がないんで、そこはやっぱり、そんなに変わらないんじゃないかなと。もしくは、海外ドラマの『ゲーム・オブ・スローンズ』とか、時代物を見ていても、普通にしゃべってることも多いので、それをやってみたかった。
そういう中で、ワンシーン、ワンカットで人物を捉えながらやっていくっていうのは、時代劇では見ないカットなんですよね。まず、それがやってみたかったということ。

それから、カットを割ると、誰が誰だか分からなくなっていくんですね。
カットを割るっていうことは、自分が見てる人を、強制的に、誰かに視線を向けさせるってことなんですよね。
でも、ワンカットで撮っていると、義時の目線で、人物で追っているから、義時を見ていると、自然にその人が入ってくるわけです。そうすると切れ目がないんで、「あっ、この人は義時とこういう関係なんだ」っていうのが分かりやすくなるんで、一番最初は、あのシーンをワンカットでやるって決めていましたね。

あともうひとつは、あれが成功すると結構、一体感が出るんですよね、スタッフに。すっごい複雑なんですよね、カメラワークも含めて。照明っていうのも、普通はいっぱいたいてますから、それが逃げ惑っているんですよね、実際は。人物のかわしとかを録音部さんだって、かわさなきゃいけないし。
友吉: 動かないといけないですもんね。
吉田: そういうのが、すべてピタッと合わなきゃいけないというのを最初にやることで、チームの一体感とか、目指すところの方向とかをやりたかったんで、ワンシーンを入れました。ワンカットを。

第1回「大いなる小競り合い」から、2分以上にも及ぶワンカットシーンの一部。このあと、仁田忠常、北条時政、源頼朝、安達盛長が、次々とワンカットの中に登場。

友吉: 吉田さんは、『サラリーマンNEO』に始まって、『あまちゃん』、『エール』と、たくさん演出されていらっしゃいますが、何か新しく挑戦されたってことは、今、おっしゃったようなことに近い?
吉田: 僕の中では、時代劇をまったく経験しないで、大河ドラマのチーフをやるってことは、挑戦なんですよね。
それと、もうひとつは、ふだんは台本を書くことが多くて、自分で。で、撮っていることが多いんですけど、三谷幸喜さんっていう、日本で一番有名な脚本家の方の物語なんで、どう解釈するかということが、すごく自分の中では挑戦でした。

最初に、善児(梶原善さん)が千鶴丸を殺す、っていうシーンがあるんですけど、ああいうのも、自分だったら、ここの間を描くなと思うんですけど、ポーンっと亡くなっているんですよね。ってことは、どうやって義時が発見したら、一番印象があるんだろうっていうことを踏まえて、ロケハン(ロケの下見)に行った時に、一番遠くに置いてもらって、すっごい引きの映像ですよね。ただ、服だけは絶対に分かるように、風景に染まらない水色の目立つやつにして、それで、ただ持ってくれと。

吉田: 善児さんには、(義時に)見られたからといって変な反応もせずに、当たり前のように去ってくれと。すごく映像的な表現だと思います。衝撃的に見せずに、あえて、風景の中で虚無感を見せて。
『鎌倉殿の13人』では、ルーズショットで長く見せていることも多いんですけど、それはやっぱり、その人が、「この人はどう思っているんだろう」っていうふうに、積極的に、能動的に見ていただけるような形で、映像を撮ったり、編集したり、音楽でも「あえて、盛り上がるところで音楽をかけず」とか「あえて、盛り上がる前に音楽かけて絞る」とか、つまり、かえれるようにしてるんですよね。
そのことが、ある意味、Twitterとかで発信してもらうっていうように、積極的な視聴者を生んでいるんじゃないかと思うし、それは、自分の中で挑戦したかったことですね。
友吉: 残すところ、あとわずかですが、ラストへ向けての見どころを、皆様にお伝えできる範囲で。
吉田: どうしても長いドラマって、何となく最後が、ふわっと終わってしまうというか…そういうものだと思うんですよね。何かフェードアウトしていくような、もしくは、未来に希望を託すみたいなことで。
でも、『鎌倉殿の13人』は、ちゃんと、終わります。
友吉: ちゃんと、終わる?
吉田: ちゃんと、終わります。
ちゃんと、48回の意味があります。
友吉: 乞うご期待でございます。
きょうは、チーフ演出の吉田照幸ディレクターとご一緒にお送りしました。

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鎌倉殿の13人

日曜日 総合 午後8時/BSP BS4K 午後6時

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【放送】
2022/12/04 ラジオ深夜便 「もっと、鎌倉殿の13人」

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