大河ドラマ『鎌倉殿の13人』をもっと、楽しむためのコーナーが「ラジオ深夜便」で放送中の「もっと、鎌倉殿の13人」。キャストやスタッフがドラマの現場から制作チームのこだわりをお伝えします。案内役はドラマの芸能シーンに携わる、芸能指導の友吉鶴心さんです。
【出演者】
友吉:友吉鶴心さん(薩摩琵琶奏者・『鎌倉殿の13人』芸能指導)
大角:大角啓太郎さん(『鎌倉殿の13人』装飾)
キャラクターを表す“道具”
友吉: | きょうはドラマの小道具などを担当してくださっています、大角啓太郎さんとご一緒にお送りします。 よろしくお願いします。 |
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大角: | よろしくお願いします。装飾・持ち道具を担当しています、大角啓太郎です。 |
友吉: | 小道具ではないんですか? |
大角: | 小道具とイコールなんですけど、「大道具と小道具」と現場で呼ばれる時にちょっと分かりづらくなるので。 |
友吉: | 現場、大勢人がいますからね。 |
大角: | そうですね、「装飾さん」って呼んでもらえると、気持ちよく返事できるかなと。 |
友吉: | 装飾さんっていうのは、具体的には? |
大角: | 背景を飾る仕事なんですけども、室内の調度品だったりとか、生活に関するものだったりとか、その人を表すものだったりとか。 |
友吉: | 例えば『鎌倉殿の13人』のセットの中でいうと、どんなものが? |
大角: | そうですね、御簾(みす)だったりは、今までの大河ドラマでもやってたりするんですけども。 |
友吉: | 御簾って、すだれみたいな? |
大角: | そうですね、垂らしたり巻き上げたりする装飾品の一部なんですけども。いつも普通の御簾を使ってたんですけど、今回『鎌倉殿の13人』でいうと、すだれの部分が、細い木の棒でできているような「萩すだれ」みたいな素材で御簾を作っていて。それを坂東の田舎の方で暮らしてる侍の館のところに使ってみたりして、京都との差を出して“田舎である”というのを表現したりしています。 |
友吉: | 京都のお公家さんとか、御所みたいな所ではなく… |
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大角: | 田舎の方の素朴な感じの館を表すために、ちょっと荒々しいというか、茶色い枝を使ったみたいな。 |
友吉: | 何か役者さんが持っているものでは? |
大角: | 義時さんが最初の頃、竹でできた矢立(やたて)、筆を入れる物とかも最初に作って。腰にずっと下げてたり。 |
友吉: | あれは大角さんが作った? |
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大角: | 私が手作りで作らせてもらって。 義時が「戦するよりも、蔵で米数えてる方が俺は好きだな」みたいなセリフがあったんで、いつでもメモをとれるようなっていうつもりで、筆とメモ帳を携帯していて。 |
友吉: | それは、脚本を読んで、台本を読んで? |
大角: | そうですね、こういう物が欲しいな…っていっても実際、物は無かったりもするんで。無いなら、じゃあ作ろうか…と。(美術)デザイナーのプランの中にも矢立みたいなのを付けていたいっていう、共通認識だったんだと思うんですけど、言われる前に、もう自分で作ってたんで「もう動いています!」みたいな感じで。 |
友吉: | その矢立は、墨は付いているんですか? |
大角: | 実際は墨は仕込まなかったんですけども、墨がふたのほうに仕込めるようにという作りで。筆も、普通の筆よりも、ちょっと細めの筆を選びまして。まぁ、使うこともなかったんですけども、義時の腰刀の横の所にいつも差してたっていう。 |
友吉: | 最近では、もう出てこないですね? |
大角: | そうですね、義時もやることが違う方向に向いてきたので。それを外して、今は扇が差さってます。 |
友吉: | この仕事、どんなところに魅力を一番感じて? |
大角: | 今、特に何やってても、この仕事が楽しいんですけど。自分が思い描いたものを自分の手作りだったり、それを撮影で使ってもらったりとか、監督とかに見せて「ああ、いいね」とか言ってもらえたりすると、うれしいなっていうのもありますし、それが実際テレビの放送で見て、「これ、自分で作ったんだなって、ひとりでニヤニヤしちゃう」みたいなところが…(笑)。やっぱり面白いですよね。 |
左:(装飾)大角啓太郎さん 右:(芸能指導)友吉鶴心さん
友吉さんいわく、「大角さんは、わらじ作りの名人!」黙々とスタジオ横でわらじを編んでいることもあるんだそう。(もちろん、役者さんが履く小道具です)
友吉: | いやいや、すてきでございます。 実は30話以降ですね、私、友吉鶴心も大角さんに発注してしまいました。 リハが終わったあと、もう(撮影まで)1週間ぐらいしかなかったですね。 こんなのがあったら、この芸能はさらにすてきな場面になるんじゃないかなって勝手に思いまして、かぶるものなんですけども…「笠(かさ)」ですね。 それをデコレーションできないだろうかということを大角さんにご相談しましたら、大角さんは時間がないので…何で作ってくださったんですか? |
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大角: | 調理器具というか、そばを湯切りする「ざる」を使って(笑)。笠のベースも、実は「ざる」で、ざるに紙を張って、色を塗ってですね。 |
友吉: | きれいにお花を、紙で全部お花を作ってくださったり、それ以外にも笠にはいろんな装飾がしてあるという。 |
大角: | そうですね、キラキラ光るように。 |
友吉: | なぜかキラキラ光るという。 ぜひ、今後そんなすてきな場面が出てまいりますので、お聴きくださった皆様、「あ、あの大角さんが作ってくれたんだな」と思っていただけると幸いでございます。 |
大角: | はい(笑)。 |
友吉: | きょうはドラマの装飾を担当する大角啓太郎さんにおこしいただき、ご一緒にお届けしてまいりました。 ありがとうございました。 |
大角: | ありがとうございました。 |
【放送】
2022/07/03 ラジオ深夜便 「もっと、鎌倉殿の13人」
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