「ママ☆深夜便」にメッセージを寄せてくれるリスナーには、子育て現役世代だけではなく、子育てのOB・OGもいらっしゃいます。「子育て真っ最中は忙しくて、いつも満足に食事を与えられていなかったけれど、子どもは問題なく大きくなりました」といったメッセージも。身近にあふれる情報に惑わされず、おおらかに構えることも必要なのかもしれません。(聞き手・村上里和アンカー)

【出演者】
小林さん:小林よしひささん(タレント)
外山さん:外山紀子さん(早稲田大学教授)


みんな食事で悩んでる

―――皆さんからいただいたおたよりをご紹介します。

東京都40代女性
<今から10年前、息子が3歳くらいになるまではあまりに仕事が忙しくて、いつも朝ご飯は菓子パンでした。牛乳も嫌いな子で、麦茶。夜も、何を食べさせたか覚えていません。
それでも極端に太ることもなく背も伸びてホッとしています。いつも「こんな食生活でいいのだろうか」と罪悪感ばかりでした。保育園で栄養のあるものを食べていたから大丈夫だったのかも。子どもを育てるって衣・食・住、勉強も入ってきていろいろ気を遣って、本当に大変後悔ばかりです。>


東京都50代女性
<娘は小さいころから食が細く、生後4か月でアレルギーが分かり、食べるものも限られていたので、「これでちゃんと成長できるのか」と心配していました。
1歳の終わりに相談した小児科で「このままだと栄養失調になりますよ」と言われ、「どうしよう。大きくなれなかったら私のせいだ」と心臓がバクバクしたのを今でも覚えています。
そのあと、あれこれ食べさせようと躍起になるのではなく、「1回で栄養がとれる食べ物はないか?」と考え、豚ひき肉、いろいろな野菜を細かく切ったものをたくさん、煮干し粉をたくさん入れて、だしとおしょうゆとお砂糖で味付けしてコトコト煮込んだそぼろを作ったところ、ごはんと一緒にパクパク食べてくれるようになりました。「やった!」と思って、たくさん作って小分けにして冷凍し、いつでも食べられるようにしていたのを覚えています。
そのそぼろは、今でもわが家の週末のお昼ごはんに丼にして時々登場するメニューです。>


―――頑張りましたね。アレルギーのあるお子さんは大変ですからね。そういう中で、母の味をみずから開発した。尊敬です。お母さん方は頑張っていますね、よしお兄さん。

小林さん: これはすごいことですよね。

―――これまで見てきたとおり、食に関する悩みは尽きません。
ちょっと固い話になりますが、厚生労働省が2019年にまとめた「授乳・離乳の支援ガイド」によりますと、「授乳・離乳について、困ったこと、悩んだことがある」と回答した人は7割以上。7割以上の人が悩みを抱えている。よしお兄さん、どう思われますか?

小林さん: 食が健康に直結していることもあるでしょうし、食事は「なんとか自分でコントロールできるんじゃないか」というものだからこそ、悩みが出るんだと思います。

―――「なんとかしなくちゃ」と思う気持ちがあるからこそ、悩んでしまう、ということですね。外山さん、どう見てらっしゃいますか。

外山さん: 「母子手帳にもある発育曲線の範囲の中に収まるように、体重を増やしていかなくちゃ」「そのためには食べさせなくちゃ」「次の健診で叱られちゃうから…」と、親にとっては強迫観念があるのかもしれないですよね。
それだけではなくて、「マナーに沿って食べさせなくていけない」「手づかみじゃなくて、スプーンで」「できればきれいに、バランスよく」など、親の要求は際限ないぐらいたくさんあります。
でも、子どもは子どもで、食べることはとても生物学的な行為なので、自分の欲求や気持ちのまま好き勝手に食べたいんですよ。ですので、子どもと親の間の対立や葛藤をそもそも含んでいるのが食事の場面なので、親の思うようにはいかない。
さっき「子どもの食行動は体に正直だ」と申しましたけれど、子ども自身も自分でコントロールしにくいことがあるので、長い目で見る、おおらかに構えることが大事なんだと思いますね。

―――食べる行為って、いろんなものが絡み合っているものなんですね。だからこそ悩むポイントもたくさんあって、多くの人に悩みが尽きない、ということになるんでしょうか。
外山さんは30年にわたって親子の食事の研究をされているわけですが、今の時代ならではの悩みはどんなことだと感じますか?

外山さん: 先ほどのそぼろ、すごくいいお話でしたよね。
アレルギーの悩みもありますけれど、情報が多すぎることがこの時代の特徴です。例えば「母乳がいい」「離乳はどう進めたらいいのか」といった食のことだけではなくて、しつけや勉強のことをネット検索すると、いかにも正しそうな情報があふれているわけですよね。
以前調査したことがあるんですけれど、ネットで子育てに関する相談を頻繁に検索して利用する人は、意外と不安が高い傾向にあるんです。だから、情報があり過ぎることが――因果関係は分かりませんけれど――かえって不安を高めることがあるのかもしれない。
あふれる情報の中で、自分で判断していく。そういった基準を作っていくことが――でも、これはとても難しいことなんですけれど――必要になってくる。今の時代で子育てするのには、そういう大変さがあるのかと思います。

―――自分の基準を作る。確かに、初めてのお子さんだと、自分に自信がなかったり、「これが合っているのかな?」なんて思ってしまうと思うんです。
よしお兄さんがおおらかに、思い詰めないで子どもを見て、楽しむような気持ちで接するのは、どういうところからそうなったんですか?

小林さん: 食事、食べることが好き、というのがおおもとにあって、「好きって何だろう? それは遊びだな」と思ったんです。
食事と遊びって、近い部分もあるんじゃないか、という感覚なんです。楽しめるものを1度ふかんで見ると、そこまで遊びはキチキチするものでもないし、自分のやりたいこと、楽しいことするのが遊びだと思うので、食事もそこに近いものなんじゃないかな。そういう感覚でやっていますね。

―――「食事は楽しいもの」「この子と楽しく過ごすのが一番大事」という気持ちを思い出してみるといいかもしれませんよね。
先ほどの外山さんの「1回の1回食事にキリキリしなくていい。もっと長いスパンで見ていいんだよ」ということばが気持ちを楽にしてくれる気もするので、そんな中で自分を取り戻していけたらいいですね。

1回ぐらい食事に失敗したって大丈夫

―――きょうは「子どもと食」と題してお送りしてきました。よしお兄さん、いかがでしたか。

小林さん: 先ほどお話があったように、情報があふれているので悩んでしまいがちだと思うんですけれど、大事なことは楽しい時間にすることだと思うんです。出来合いのものやファストフードをたまに食べたとしても、そんなに影響はないと思うんです。
むしろ、必死になって「頑張ってきょう作ったんだから食べて!」という顔よりも、「一緒にリラックスして食べようね」という表情のほうが大事だと思うんです。お互い悩みは尽きませんけれど、リラックスしていったらいいのかなと、きょうつくづく思いました。

―――皆さん、よしお兄さんがそうおっしゃっていますよ。ママの笑顔が一番だと思いますね。
外山さんには、きょうはおもしろいお話、視点がガラッと変わるようなお話をたくさん聞かせていただきました。

外山さん: ありがとうございます。
「皆さん、頑張っているな」と感じました。今おっしゃったように、ごはんを食べることは楽しいですよね。そういう自分の身体感覚というものを取り戻すこと――情報も食べ物もいっぱいある時代だからこそ、「原点に返る」といったことが大事なんだと思います。ありがとうございました。

■よしお兄さんも奮闘中! 食事は親子の“二人羽織” 終わり


モヤモヤした気持ち、一人で抱え込まないで

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よしお兄さんも奮闘中! 食事は親子の“二人羽織” ③

よしお兄さんも奮闘中! 食事は親子の“二人羽織” ①