若者たちが語る「アフターコロナ」6回シリーズ ①資本主義とは

22/01/09まで

新春トーク 若者たちが語る「アフターコロナ」

放送日:2022/01/02

#インタビュー#コロナウイルス#政治#経済

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新型コロナウイルスの流行をきっかけに、これまでの常識が覆り、先の見通しが困難な中で迎えた2022年。女優の松本穂香さんがナビゲーターとなって、社会と向き合い活動を続ける同世代の三人が、「アフターコロナ」を生きるヒントを6つのテーマで語ります。

【出演者】
能條:能條桃子さん(大学院生、「NO YOUTH NO JAPAN」代表)
斎藤:斎藤幸平さん(大阪市立大学准教授、『人新世の「資本論」』著者)
安部:安部敏樹さん(社会起業家、「リディラバ」代表)
松本:松本穂香さん(女優)

アフターコロナ、どんな未来を築いていこうか

松本:
皆さん、あけましておめでとうございます。松本穂香です。

皆さんは今年、どんな年にしたいですか? 私はさらにいろんな経験を積んで、仕事においても一人の人間としても、成長できる年にしたいと思っています。と、前向きに考える一方で、漠然とした不安もあります。新型コロナウイルスの流行をきっかけに、いままでの常識が覆ってさまざまな変化がありました。先が見通せないこの時代、若い世代の私たちはどんな未来を築いていけばいいのでしょうか。

きょうは、私と同じ世代で、それぞれの分野で活躍しているお三方に、NHKのスタジオにお集まりいただきました。

能條桃子さん(23歳)

大学院に通いながら、若者の政治参加を呼びかける「NO YOUTH NO JAPAN」という団体を立ち上げ、昨年の衆議院選挙では若者と立候補者との対談の場を設けたり、各政党の公約をSNSでわかりやすく比較・解説したりして注目を集めました。

NHKジャーナル 若者に政治参加を(2021/12/24放送)

斎藤幸平さん(34歳)

大阪市立大学の准教授で、著書『人新世の「資本論」』が40万部以上のベストセラーとなり、昨年の新書大賞、アジア・ブックアワード最優秀図書賞を受賞しました。

NHKジャーナル 新書大賞2021『人新世の「資本論」』著者、斎藤幸平さんに聞く(2021/11/26放送)

安部敏樹さん(34歳)

社会問題を現場で学ぶスタディツアーなどを行う団体を21歳のときに立ち上げ、貧困・フードロス・労働問題・児童虐待など、400ほどのテーマを取り上げてきました。

松本: 日本が抱える課題や、未来のこと。私たちが、いま社会のためにできることは何か。三人のお話を聞いて、私も考えてみたいと思います。新春トーク、若者たちが語る「アフターコロナ」、それではお聞きください。

資本主義を当たり前にしてきたけれど

斎藤: 私はドイツの思想家であるカール・マルクスという人を専門にやってるんですが、その根幹にある私の関心は、このまま資本主義を続けていていいのかということです。格差の問題とか、安部さんも関心があると思うのですが。あと最近深刻になっているのが、気候変動に代表される環境破壊の問題だと思うのですが、そうした矛盾がいまコロナ禍で浮かび上がってきている中で、格差と環境破壊という問題を、人類は本当に短い時間の中で、特に気候変動は解決しないといけないとなったときに、資本主義じゃない社会になったほうが実はうまく解決できるんじゃないか。そういうことを、僕らは資本主義を当たり前にしてきちゃっているけれど、そうじゃないような発想をもっともっとみんなで出したほうが自由で豊かで平等な社会を作れるんじゃないか。そういう想像力を広げるような作業を研究しています。マルクスとか、読まれたことあります?
安部: 結構好きです、『資本論』。おじいちゃんとかが昔のバージョンを持ってて、そのバージョンを学校入ったときにもらったりしたので読んだりします。
斎藤: でもマルクスとかって、最近本当に“死んだ犬”みたいな扱いを受けてて。
安部: いいこと言ってますけどね。
斎藤: そうそう。いまの問題を考えるときにマルクスの視点から考えてみると、実は違った視点でものごとが言えるんじゃないのかということを、できるだけ多くの人にもう一回考えてもらいたい。ソ連が終わったあと、こういう問題って考えてもしょうがないし、資本主義の中でどうやって、お金もうけとかにも社会問題と環境問題を接合していくことでこそ解決できるみたいな感じが主流になってるんですけど、それも大事だけど、同時にいまの社会の在り方をもう少し大胆に変えることができないかな、なんていうことを。もっと言えるんですけど、実際にはなかなか難しいんですよね。

安部: けんかする気はないんだけど、僕はマルクスの話とか……。偉人の遺作を読むの、すてきじゃないですか。好きなんですけど、僕のいた分野は、構成論的手法っていうのが大事にされる手法の分野で、構成論的手法というのはつまり、「言ってないで作ってみる」という世界なんです。作って、そこで見たフィードバックをもとに、改めてよりデータが集まってきて得ていくものがある。

僕は自分の仕事が、ある種、資本主義の外側ですよね。外部不経済が起きている現場をずっと仕事の現場にしてきているので、当然ながら疑問があるという意味でいうと、資本主義に対しては強く疑問がある。一方で、マルクスの主張に共感するところが多い一方で、結局彼は理論と実践において、実践をその他の人に委ねてしまった。実践を委ねると、その実践が本当に理論を100%インストールしていない場合のほうが可能性としては高くて、そうなってくると、その実践が失敗したときに理論もともについえる。

そういう意味で言うと、現代の科学というかある種の問題提起も含めたアカデミックというのは、常に理論と実践というものの相互作用というか、往来を一人の問題提起をする人間がやっていかないといけないと思っていて、そこがマルクスに対して、僕の中での一番の「そうすればよかったのに」というところの認識として持っているものですね。

行き過ぎたいまと違う形の社会のために

能條: 私は斎藤さんの本を読んだりする中で、なるほどそういう考え方があるのかと思う一方で、一気にすべてを変えることは難しいから何から考えたらいいのかと思っていたのですが、ただ自分が生活している時間を考えても、すべてが資本主義の中で生きている時間ではなくて。例えば育っている過程の中でも、学校に居る時間があって、塾に通っている時間は資本主義のサービスの中にいたけど、地域の自治会のイベントに出たときは、きっと資本主義じゃないんだろうし。というので、その時間の割合を、いまは確かに資本主義のほうが長いから、少しずつそれが昔と同じか、形は違うけど変わっていくのはいいなと思っていて、私は何ができるかなって考えたりしています。
斎藤: 僕は「人新世」と呼んでいるのですが、地球全体を資本主義が覆ってしまった時代みたいな意味で考えていただければわかりやすいのですが、私たちの時間を全部、何でもかんでも商品であるとか、もっと言えば、お金がどうやって稼げるかみたいな話に左右されるようになってきてしまった。だけど、いま能條さんがおっしゃったみたいに、僕らの人生が完全に100%お金と資本の論理で動くようになっているかというと、実はそんなことはなくて、むしろそこから漏れたことがどんどん見捨てられたり、あたかも劣っているように扱われたりすることが増えていくと、さっき安部さんがおっしゃったような、外部不経済みたいなものが生まれてきてしまうということが重大だと思うんです。環境問題がその最たるものだと思っていて、本当にこの2年くらいわれわれが振り回されているコロナというのは、ある種の最後通告で、これだけ格差が広がって地球環境もボロボロになっている中で、単にもう1回、もっと経済復興させて技術とお金もうけの論理で乗り越えていこうみたいになってしまうと、あと10年で二酸化炭素を半分に減らしていかないといけないとか、そういう目標を達成できないのではないか。そして、そのツケを結局払わされるのが、僕たちの世代、あるいは僕らよりもっと若い能條さんの世代とかになっていくと、本当になんとかしなきゃいけないとは思っていて。

僕はフィールドがおもに理論なので、今日はぜひ安部さんにも、どういう試みをしていくともっと多くの人たちに、いまの社会、このままではダメだということはみんな一致できると思うんですが、そのゴールが、私が言うような脱成長・コミュニズムなのかというと「いや、コミュニズムは言い過ぎじゃね?」という方が、リスナーもそのほうが大多数だと思うんですけど、でもそうじゃない、いまの行き過ぎた社会と違う形の社会を作っていくための一歩みたいなものは、ぜひ安部さんに教えていただきたいなと思いました。

安部: そんな丁寧に、ありがとうございます。僕が答えを持っているかわからないですけど。結構いまの話はすごい……。「コミュニズム」ということばは手あかがつき過ぎているものの、本質は、人類におけるガバナンスの仕組みはどういうのがいいかという話だと思うんです。(ガバナンスはダメなんだ・・・)人が人の群れをどのように統治していくのか。そのルールメイキングはどういうふうにあるべきなのか。(またルールメイキングって言っちゃった)その法則作りというか、法というか、ルール作りはどういうふうにやるのかみたいなのが、コミュニズムの本来提示した問題提起だと思うんですよね。そのときに、資本主義がすごく強くなって、労働者というものに対する権利があらゆるところではく奪されていた実績がある、というのをどう転換できるかというのが、今日の議論の中心になるかなと。
松本: 実は収録前に、「なるべくカタカナのことばは使わないでくださいね」とお願いしていたんです。でもやっぱりちょっと難しかったみたいで、安部さん、多用されていましたね(笑)。新春トーク、若者たちが語る「アフターコロナ」、まだまだここからが本番ですよ!

②に続く

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若者たちが語る「アフターコロナ」②

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