【大竹しのぶ サイコロ回顧録】劇場の大道具さんを優しく導いた? 2019年

23/10/04まで

大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”

放送日:2023/09/27

#ライフスタイル#舞台

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23/10/04まで

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『ふるあめりかに袖はぬらさじ』大千秋楽の翌日、“スピーカーズコーナー”は生放送。
「サイコロ回顧録」は「2019年」。舞台にて、三幕のどんちょうが開くまで1分ほどのちょっとおしゃべり。あんまり楽しいことがないからお酒を飲み過ぎる、という大道具担当の若者にしのぶさんは……。


大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”
毎週水曜日 R1・ラジオ第1 午後9時05分~9時55分

詳しくはこちら

がんばれよぉヨウスケ、だった2019年

2023年は、私のデビュー作のドラマ『ボクは女学生』の放送開始から50年(笑)という節目の年。……50年なんて言いたくないわ……。この秋でしたねえ……、50年なんて(苦笑)。
その節目を迎えるにあたって、これまでの活動を振り返りつつ、お世話になったみなさんに感謝を伝えていこうというのがこのコーナーでございますが。
今、スタジオにはですね、年代別に私の出演作などをまとめたリスト。すごいリストがあるんですよ、作ってくれた。……と、サイコロが2つ用意されてて、サイコロは、1つが、私がデビューした1970年代の“197”から2020年代の“202”の、数字が書かれた六面体、もう1つが、0から9までの数字が書かれた十面体。この2つのサイコロを振って、出た目の年代の作品について振り返っていきたいと思います。

おもしろいんですよ、これ、なかなか。このコーナー、私、自分では好きなんですけど、みなさんはどうですか? 好きでいてくれますか? 結構忘れていた作品もあったりして……あっ、きょうは生放送だからこんなベラベラしゃべっちゃいけませんね。ちゃんとコーナーごとの時間が決まってるんですよ。
じゃあ、サイコロ振りますね。
カラカラカラ~♫
うるさかった? 大丈夫?
……えっ? 何これ。……これ、どっち?

……2019年?

これ、「9」でいいんだよね? 9だよね?
2019年って、えっ? たった5年前? 4年前? 計算もできなくなっちゃった(笑)。どうしよう。
2019年。えーっと、『(大河ドラマ)いだてん(~東京オリムピック噺~)』というドラマに出て、『影踏み』これは山崎まさよしさん(主演の映画)ですね。『LIFE LIFE LIFE(~人生の3つのヴァージョン~)』と『三婆(さんばば)』、舞台がありまして、ピアフのコンサートがありまして、えー、なんか受賞していますね。「菊田一夫演劇大賞」だって。すごいですね。
えーっと、どうしようか。えっ? 令和元年か、そうか。何を話そうかな。……えーっと、舞台2本。いだてん、(中村)勘九郎くんとこのNHKで……大河ドラマ、勘九郎くんが主演して、やりましたね。あと、三婆っていうのは渡辺えりさんとキムラ緑子さんと私の3人の。そして、『SHINOBU avec PIAF』コンサート。
……そうですね、何について話そうかなあ……。何について……何がいいかなあ。難しいなあ。……ううん、大丈夫。どうしようかな。

じゃあねえ、『三婆』。三婆について。別に一つのことじゃなくてもいいんだけど。
三婆をやったのは、きのう(9月26日)まで立ってた新橋演舞場……えーっと、初めて? 久しぶりに出た劇場だったのかな。
で、そのときに、前にも話したことがあるかもしれないんですけども、三幕が始まるときに、大道具さんがセットを動かすために“どんちょう”は閉まってて、始まる直前に私はそこにいて。
大道具の若い男の子が、私の目の前に、その大道具を動かすためにいるわけですよ。どんちょうが開くまでの1分ぐらい、その子とちょっと話をするわけですよ。
私は役になるとかじゃなくて、始まる前にもうふん装してて。
三幕始まります、っていうときに、大道具の子、「ヨウスケ」っていうんですけど、「あー、きのうも飲んじゃいましたよ」とか言って。
「何時まで?」って聞いたら「遅くまで。またやっちゃいましたよ」って。
「ダメだよ、そんなに飲んじゃあ」って言ったら、「だって楽しいことがあんまりないんです」みたいなことを言ってね。
で、「何で? まだ若いんだから。えっ、お仕事がきついの?」「いやあ、ぜんぜんみんな優しいし、いい人たちです」って言うから、「じゃあなんかさ、もっと目標持ちなよ」とかって言って。
毎日のたった1分間だったんですけども、「えー……」とか言ってたんですけれども。
で、最後に千秋楽で「ねえ、私さあ、来年もたぶんまたこの劇場に来るからさあ、その時までにさあ、頑張ってさあ、そんな飲んでばっかりいちゃダメだよ」って言ったんですよ。ちょっとかわいい子だったから、っていうのもあったんですけど(笑)。がんばれよぉヨウスケ、みたいな感じで。

それから1年ぐらいたって、また同じ新橋演舞場に行ったら、その子が私を見つけるなりバーッて走ってきて。顔が全然違ったんですよ。すっごいいい顔になってて。「ああ、久しぶり!」って言ったら、「しのぶさん、俺、約束守ったんです」って。
「俺、上手(かみて)任されるようになったんです」って言って。「あれから、次に会うまでに絶対ちょっとだけ偉くなろうって思って、仕事頑張ったんです」って。
顔が全然違って、すごいすてきな青年になっていて。
で、もちろん今回も一緒に仕事したんですけれども、どんどんどんどんいい仕事を任されるようになって。「えらい。えらいねー」って言いました。
1人の少年がちゃんと大人になったな、っていうのを見守ることができた、ほんとにほんの1分もないぐらいの、何十秒の会話から生まれたすてきな出来事でしたね。
その出会いがあったのが『三婆』という舞台でした。そんな私の2019年でございました。

今回のサイコロ回顧録、2019年を振り返ってみました。

大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”

毎週水曜日 R1・ラジオ第1
午後9時5分~9時55分

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【放送】
2023/09/27 「大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”」

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