『喜』「大当たり!」舞台で聞いたうれしい言葉

23/09/27まで

大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”

放送日:2023/09/20

#ライフスタイル#舞台

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最近この番組を聞き始めた、リスナーさんからのメッセージが…。<番組を聞いて驚いたのが、“ゴミ捨てする女優さん”あのしのぶさんがゴミを捨てるなんて…!>。<この番組でのしのぶさんは大女優とは思えない生活感あふれる母の顔をお話しされていて、好感度と親近感が爆上がり中です>。また11歳から<いつも塾の帰りに聞いています。しのぶさんの声で勉強の疲れが吹き飛びます>。「フレー!フレー!みんな!」としのぶさんの応援の声からスタート


大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”
毎週水曜日 R1・ラジオ第1 午後9時05分~9時55分

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30年前と変わらないお二人の姿

大竹しのぶ、今週の「喜or怒or哀or楽」。うれしい、楽しい、悲しい、腹が立った。人はそんな感情が揺さぶられるような経験をすると、その話を誰かに伝えたくなるものです。今週は四つの中からこのお話、「喜」。

今やっている舞台(『ふるあめりかに袖はぬらさじ』)が、残り8ステージになったという話をしたんですけども、やっぱり毎日楽しいです。11時開演なので、朝はすごく早くてそれが本当死ぬほどつらいんですけども(笑)。じゃあどっちなんだよってね、楽しいのかよ、つらいのかよって言ったら、やっぱりこのお芝居に出会えて、こうみんなで一緒に何か1つのものを作る喜びっていうのが、すごく毎日感じることができて、幸せだなと思います。

先週もちょっとお話ししたんですけれども、中央区(東京都)が主催して敬老の日にちなんでということで、70歳以上の住民の方を(舞台に)招待するという貸し切りの日が何日かあったんですね。さすがですね、中央区と思うんですけども。その数日前にですね。これ私のコラムがあるんですけども、そこでもちょっと書いたんですけれども…。

お手紙が来まして、中央区に住む、見慣れた文字の…仮にOさんとしますね。その方は30年以上前に家の近くに住んでいまして、ご夫妻なんですけれども。娘がまだ赤ん坊で、ベビーカーに乗せて、息子が幼稚園のときに、いつも毎日行くスーパーで、帰りにそのスーパーの裏に小さな公園があって、そこでいつも何分間か30分ぐらい遊ばせるっていうコースだったんですね、買い物のあとに。

でもそのころ私は、仕事を休んでいて、まあ、育児疲れっていうんですか…。ぼーっとしていたと思うし「あぁ~、夕飯どうしようかなー、また作るの、面倒くさいな~」とかいろいろね、ハッピーな日じゃないこともあるわけじゃないですか、毎日主婦っていうのは…。そこで知り合ったご夫妻だったんですね。「まぁIMALUちゃん、二千翔(にちか)くん」っていつも話しかけれくれて、すぐそばに住んでいて、私が公園でぼーっとブランコを押していると、いつも話して…。それがきっかけで、ご夫妻が私の舞台にも来て下さるようになって、本当に優しいご夫婦だったんですけれども。

お引っ越しされたっていうのは聞いていて、ここそうですね、10年近くかな? お会いできなくて…。「どうしてらっしゃるかな」とは思っていたんですけども。そのOさんからのお手紙で<96歳と95歳になりました>という。で、<中央区に今住んでいて、中央区から(舞台に)招待されたと…。でしのぶちゃんに会える最後のチャンスかもしれない。しのぶちゃんの舞台を見られる最後のチャンスかもしれないと思って応募して、今度見に行くことになりました>っていうお手紙だったんですよ。

で、ご主人が96歳でちょっともう目が不自由になって、主人はしのぶさんの姿は見ることはできませんけれども、つえをついてお声だけでも聞きに行きますねって…。90代の方が一番前なんですよ、だから、その方は、奥様もご主人も一番1列目の真ん中に座るってお手紙に書いてあって、「えっ、すごいうれしいなぁ」と思って、電話番号も書いてあったので連絡を取って「じゃあ、カーテンコールでちゃんと見ますね」って言って…。

で、実際にその日が来まして、カーテンコールで、お芝居しているときは全然客席を私は見ることはないし、お客様の顔を見ることはないんですけれども。見たら、本当にそのときのままのご主人とやさしい奥様のお姿があって…。本当に何か優しい顔で私を見て、私も思い切り手を振って、すごく幸せなひとときでした。

そのあと違うところで、ちょっとだけお会いする機会を作って、お話をしたんですけれども。すごく何だろう、私の中で、あー、30年前と変わらないお二人の姿、そして96歳になっても私に会いに行こうって思ってくださったことが、本当にありがたいなって思って…。「最後なんて言わないでね、また、また絶対会いましょうね!」ってお約束して、さよならしたんですけども、すごくうれしい出来事でしたね。だからOさんがいつまでもいつまでも元気で、ご夫婦、本当に仲良く支え合って生きていらっしゃる姿は美しいなって思いました。いい思い出が私にとってもできた公演でした。

本当に中央区の日は70歳以上の人ばかりなんですけども、うれしかったのが、何か掛け声をかけて下さる方が何人かいらして、その言葉が「日本一!!!」とか(笑)。あともっと面白かったのが、違う日に一番前のおばあちゃまが「大当たり!!!」って言って…。「ああ、いい言葉だな」って思いまして、もちろん歌舞伎とかね、その大向(おおむこ)うさんっていうのが、なかなかいなくなってしまったんですけども。その「大当たり」ってすごくうれしい。私たち役者にとっては大当たりっていう「この芝居は、大当たりだね」って言われるのは、すごくうれしい日でしたね。そのOさんにも出会えたし、年を重ねていく人たちがたくさん集まって、なんだかとても幸せな貸し切り公演だった思い出の日になりました。


あなたが小さなハッピーを感じたことやカチンときたことや悲しいことや楽しいこと、喜怒哀楽をメッセージでお待ちしています♪

大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”

毎週水曜日 R1・ラジオ第1
午後9時5分~9時55分

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【放送】
2023/09/20 「大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”」

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