1か月ぶりの生放送。たくさんメッセージが届いているので、しのぶさん、たくさん読みます。
近くの低山に6年も登り続けている、というリスナーからの、50歳になった記念に夫婦で富士山へ登って御来光を見ようと計画しているというメッセージに、「いいな~、夫婦って。そんな仲のいい夫婦が、いるんだなあ!? すてきだなあ!」。
大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”
毎週水曜日 R1・ラジオ第1 午後9時05分~9時55分
1か月ぶりの生放送。たくさんメッセージが届いているので、しのぶさん、たくさん読みます。
近くの低山に6年も登り続けている、というリスナーからの、50歳になった記念に夫婦で富士山へ登って御来光を見ようと計画しているというメッセージに、「いいな~、夫婦って。そんな仲のいい夫婦が、いるんだなあ!? すてきだなあ!」。
大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”
毎週水曜日 R1・ラジオ第1 午後9時05分~9時55分
大竹しのぶ、今週の「喜or怒or哀or楽」。うれしい、楽しい、悲しい、腹が立った。人はそんな感情が揺さぶられるような経験をすると、その話を誰かに伝えたくなるものです。今週は四つの中からこのお話、「喜」。
さっきのメール、ほんとにおもしろかったね。朝から夜の8時までラジオ聴いてるのに、私のこの声でもうやだ、と思って(※番組の宣伝で流れるしのぶさんの熱唱)。ん~、でも今夜も聴いてくれてると信じて、ちょっと私の話をしたいと思います。
あの、ひとりでやってるんですよ、このラジオ。誰も、アナウンサーの方とかヘルプしてくださる方がいらっしゃらないので、ずっとひとりで、ずっとただただしゃべったり歌ったりしてるんですけども、あの~、ちょっとお水飲ませてください(笑)。
……ん、ん、……ごめんね。あのね、コマーシャルもないからね、お水はね、曲が流れないと飲めないわけよ。でもこれから私は自分の話を、今週の「喜」っていうのを話したいから、ちょっとお聞き苦しい声ではいけないかなあと思ってお水を飲ませていただきました。
私の今週の「喜」でございます。なぜならばですね、オープニングでも申し上げましたように『ヴィクトリア』が大千秋楽を迎えることができたんです! ほんとにありがとうございました。
思えば6月の頭から稽古が始まって、スウェーデンの映画監督でありますベルイマンがラジオドラマ用に書いた戯曲をですね、日本初ですね、お芝居にして。一人芝居です。相手は誰もいません。
浮気しちゃう夫とか、私のずっとそばにいてくれる、身の回りの世話をしてくれるアンナさんとか、浮気相手のマリアンヌとか想像の人物は出てくるんですけれども、それは姿は見えなくて、全部ひとりでやる一人芝居です。(上演時間は)1時間6分ぐらいかな。
ほんとに稽古も楽しくて難しいけども楽しい、まるで深い海の底に潜っていくような毎日でした。もっと、もっとすてきな景色が見られるんじゃないか、なんてきれいなんだろう、でももっと、もっと行けばもっと頑張れば、もっとすてきな世界が待っている、っていうような感じで、それの毎日でした。
ほんとに、これはどう? この道具はどう? こうしたらどう? って子どもが遊びに熱中するように毎日稽古に熱中して、本番が始まってからも、この音をもうちょっと、1テンポ遅れてから出したらどう? と音響の子と話したり、照明さんと、このきっかけでこうしたらどう? とかほんとに追求していく毎日でしたね。
公演回数は少なかったんですけれども、大変濃密な時間を過ごしました。そして東京では200人という空間の中でやった一人芝居が、西宮、京都……豊橋では約800人という、4倍近い会場でほんとにお客様に伝わるかどうかとても不安だったんですけれども、お客様がもうじーっと集中してるのがわかって、集中する……なんて言うんですか……空気はバーッて私に来るわけですよ。たったひとりに。
だって他に見るもんないんだもん、私しかねぇ(笑)。
私もそれに応えなくちゃって思うから、もうほんとに、なんだろう、緊張感っていうのかな、すごーく、お芝居っていうのはやっぱり劇場でお客様とともに作っていくものなんだな、っていうのをひしひしと感じました。
地方に行くんだからおいしいものを食べたりとかできるんじゃないの、ってSNSとかでコメントをいただいたりするんですけれども、やっぱり着いてその日はもう1度稽古をするんですね、最初から最後まで。空間が違うことによって声の響きも違うし、スピーカーから流れる音響の音も違うと「この音がちょっと違うと思う」とか言ったりして1つ1つチェックするので、夜やっぱり9時ぐらいまでは……10時ぐらいまでのときもあったかな、お稽古をして、次の日本番なんですね。そうすると私はやっぱり、次の日本番があると思うとどこにも行けないんです。この生活は何年も、芝居を始めてからずーっとそんな感じで生きてきましたね。
だから、そうすると私は、芝居をやってるときは芝居の中の人の人生しかないんじゃないかって時々悲しい……? こんな人生でいいのか(笑)って思うんですけれども、だからこそお客様から拍手をいただけるんだと思って、たぶん頑張れるんだなあって思います。
で、帰ってきたら帰ってきたで植木にお水をあげて、キッチンを片づけてという日常がまたすぐ始まってしまいました。
そこでまあバランスがとれてていいのかな、なんて思ってます。
ヴィクトリアという、不思議な魅力の、悲しくもあり美しくもあり、切ない女性の一生をひとりで演じられたこと、すごく私にとっては大きな大きな経験でした。
そして、やっぱりオープニングでも言ったんですけども、私が実際にありがとうも言えずにさよならをした劇場のスタッフの皆様、お世話になりました。
そしてなによりも来て下さったお客様、ありがとうございました。
また私は頑張って、いきますよ!
あなたが小さなハッピーを感じたことやカチンときたことや悲しいことや楽しいこと、喜怒哀楽をメッセージでお待ちしています♪
【放送】
2023/07/12 「大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”」
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