歴史学者・坂井孝一さん 大河ドラマの「時代考証」とは

22/01/13まで

らじるラボ

放送日:2022/01/06

#インタビュー#大河ドラマ#映画・ドラマ#お悩み

<らじるラボ>は毎週月曜日から金曜日<NHKラジオ第1>8時30分~11時50分放送中♪
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ラジオ第1 毎週月曜~金曜 午前8時30分

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1月6日 『表現者たち』では、歴史学者・創価大学文学部教授の坂井孝一さんにインタビュー! 『どうしたの?~木曜相談室~』の相談員は、フリープロデューサーの残間里江子さんです。

そもそも「時代考証」とは?

さまざまな表現に情熱を注ぐトップランナーに迫る「表現者たち」。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の時代考証を担当されている坂井孝一さんにお話を伺いました。

吾妻アナ: まず、「時代考証」というのはどういう役割なのか、ということから伺いたいんですけれども。
坂井さん: 時代考証といいますと、現代とドラマの時代が違いますから、だいぶ現代の常識が通用しないというところがございます。それから歴史的な事件で、それがどういうふうに解釈されているかという点も見ていかなければいけません。セリフ回しっていうのがまた、現代語ではないのでちょっと難しいところがございます。ただ、三谷さんは非常に優れた超一流の脚本家でいらっしゃいますから、セリフについては、ある程度は三谷さんのセンスをそのまま生かしたいという事で、時代考証陣の合意ができております。

東京大学文学部卒業後、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得。専門は日本の中世史。これまでに発表した著書は『鎌倉殿と執権北条氏 義時はいかに朝廷を乗り越えたか』『源氏将軍断絶 なぜ頼朝の血は三代で途絶えたか』など、鎌倉時代にまつわる研究を執筆。

坂井さん: この当時に使われていない言葉、例えば戦国時代とか江戸時代になってから使われ始めるような言葉っていうのも時々使われてしまいますので、それはおそらく三谷さんが今作で3作目の大河ドラマになりますから、江戸時代や戦国時代のイメージというのがだいぶ強くていらっしゃるんじゃないかと。それからまた、一般的に鎌倉時代の事ってあまりよく知られていませんよね。ですから、この鎌倉時代の言葉ってどうだったんだろうかというのが、あまり多くの方はピンとこないと思うんですよね。ですから例えば、結婚する時に「嫁にもらう」っていうふうに何となく思ってしまうんですけれども、「嫁にとる」の方なんですよね。それから、どちらかというと「婿にとる」とかっていう言い方になって、「結婚」をあらわす。
吾妻アナ: それはどういう言葉の変遷ですか。
坂井さん: 今と男女関係が違います。それから、武士団同士で安全保障のために結婚をするんですよ。ですから、相手の武士団のところに「婿に入る」とか、それから「嫁にとる」とかそういう言い方になってしまうんですね。戦国時代なんかですと、例えば敵方のところに政略結婚で女性が行く時には、あいくちを父上が授けて、「何かあったら、これで自害せよ」みたいな事をよく言いますよね。それがないんです。この当時はそういう事ほとんどない。女性はわりと強くて、戦国時代とか江戸時代に比べてはるかに女性の地位が高いんですよ。武士団同士のつながりをつけるために、それは戦国時代の政略結婚とちょっと違いまして、もっと日常的に平和を維持するために結婚するものですから、ちょっと扱いが違うんですよね。それが言葉にも表れているんじゃないかと思っております。
吾妻アナ: 三谷さんの大河ドラマは3作目ということで、最初が『新選組!』でしたから幕末、そして『真田丸』が戦国、今回が鎌倉時代。三谷さんも歴史に詳しくなっているところですけど、先生もやっぱり日本の中世というところで、これまでのNHKの番組だけでも『英雄たちの選択』『歴史秘話ヒストリア』などにご出演いただいていますが、大河の時代考証をお願いしますと依頼された、しかも三谷作品で、となったときはどんなお気持ちだったのですか。
坂井さん: これは大変なご依頼が来たなっていうのが率直な感想です。その時は具体的に時代考証で何をすればいいのかっていうのがよく分かっていなかったんですけれども、とりあえず仕事量はとてつもなく多いだろうと。それから責任が重大ですし、場合によっては視聴者の皆様からご批判もあるのではないかっていう懸念もございました。ただ、NHKの大河ドラマの時代考証というのに選ばれるっていうのは大変名誉なことでありまして、それに加えて自分の学説を、ドラマを通じて日本全国の方にお伝えできるという、そういうメリットもあるなと思いました。

三谷さん脚本の魅力をそのままに

ここで、1月3日に総合テレビで放送した大河ドラマ直前スペシャルの音声がスタジオに流れます。『鎌倉殿の13人』の出演者が三谷さんの脚本と時代考証について語り、源頼朝の「ごめん、ちょっといいかな」というセリフが話題にのぼります。

吾妻アナ: 頼朝さんのセリフで「ごめん、ちょっといいかな」というのは、冒頭で先生もおしゃっていた、言い回しをどうするかっていう部分ですね。
坂井さん: そうですね。これも完全な現代語訳じゃないですか。じゃあどうしようかという話になるんですけれども、三谷さんの脚本の魅力なんですよね。頼朝は言わなかったに違いないのですが(笑)、これを大泉さんがセリフとしておっしゃってるっていうところを想像するだけで、このドラマは面白いだろうなって、時代考証陣の我々もみんな思うんですよ。したがって、ここは三谷さんのセリフ回しそのままでいこうっていう、そういうふうに考えますね。
吾妻アナ: そのあたり、視聴者から批判を受けることもあるだろうという不安があるとおしゃっていた部分が、歴史上そんなことはないだろうっていう指摘と、ドラマとしてのエンターテインメントっていう、それは時代考証の専門家が入っていることによる葛藤っていうのが…。
坂井さん: ありますね。ただドラマなので、三谷さんもおっしゃっていますけれども、歴史の教科書みたいなものだとちっとも面白くないと。ですから、研究上こういうことは分かっていますよということを羅列するのではなくて、やっぱり先ほど出演者の方々がおっしゃっていたように、ハラハラドキドキ、歴史を知らない人が見ても面白いって思えるドラマにしたいという三谷さんの思いを受け止めて、そういう形に我々も協力していこうと思っておりますね。
吾妻アナ: 三谷さんも、「今回は『吾妻鏡』という歴史を原作にするつもりで、どんなに細かい出来事でもそこに書いてあるものに反するような描写をしないようにしています。一方で、史実に忠実になればなるほど歴史書に書かれなかった部分に思いをはせることにもなるので、その部分は自由に膨らませています」。三谷さん、それは違うよっておさえなきゃいけない場面というのはありましたか。
坂井さん: もちろん。『吾妻鏡』は非常に便利な、詳しく書いてある歴史書なんですけれども、かなり北条氏の側から改編なされているので、必ずしもそれにばっかりよっかかってる訳にはいかないんですよね。違う文書、貴族の日記であるとか、他の編纂物、歴史書とかそういうものから批判的に『吾妻鏡』を見て、それで時代考証を進めています。


このほかにも、女性の地位が高かったという鎌倉時代に生き、“強くて冷たい女性”のイメージがある「北条政子」という人物を坂井さんはどう見ているのか、また『鎌倉殿の13人』撮影現場での出演者との貴重なエピソードなどを伺いました。
詳しくは、9時台の「聴き逃し」で!

鎌倉殿の13人

2022年1月9日(日)放送開始予定!
日曜日 総合 午後8時/BSP BS4K 午後6時

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22/01/13まで

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22/01/13まで

さまざまな家族の悩みに答えました!

週替わりで登場する各界のエキスパートと一緒に、リスナーのみなさんの悩みや相談に答える「どうしたの?~木曜相談室~」。第1木曜の相談員は、残間里江子さんです。

~お答えしたお悩みの一部をご紹介~

<ことしの正月もコロナを言い訳に実家に帰らず、81歳になる年老いた父が一人で正月を迎えたと思うと申し訳ない気持ちでいっぱいです。昔から頑固な父ですが、最近さらに頑固になり近くに住む兄も寄りつきません。さらに最近、父が父の姉と一緒に生前葬をしたいと言いだして親戚一同ドン引きしています。>

残間さん: 多分、年をとると、やっぱりなんとなく不安と恐怖にさいなまれるんですよね。それが頑固の源なんですよ。否定されたり拒絶されたりすることが何より怖いのね。ただ頑固は仕方がないので、そこにはまともに向かっていかないで、かわすすべが必要。
生前葬をしたいっていうのは、なかなかこれいいアイデアだと思うんです。生前葬をしてあげて、どんなに肯定されてすばらしい人かってことをお父様に指し示してさしあげるのがいいんじゃないかしら。明るく、お家で家庭料理を作ったりして、ホームパーティーのつもりでやればいいんですよ。

<遠くにいる妹は、当然里帰り出産するものと思っていたのですが、旦那さんが最初から育児に関わりたいと強く希望し、里帰りしないでほしいと言うのです。(妹の)旦那さんも育児休暇を取ると言っていますが、二人にとって初めての育児なのでこちらは心配でたまりません。>

残間さん: 妹さんと旦那さんがそうしたいって言っているのなら、ここはそれを尊重して。助けてあげたいと思っていらっしゃるのであれば、産後に様子を見がてら行ってあげた方が良いかもしれない。妹さんが住み慣れている家の側でお姉さんが来てくれたらすごく助かると思う。

詳しくは、10時台「聴き逃し」で♪

10時台を聴く
22/01/13まで

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「どうしたの?~木曜相談室~」は、週ごとに相談員が変わります!

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【放送】
2022/01/06 「らじるラボ」

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