コロナ禍でのテレワークなど、心身のリズムの乱れから影響を受けやすい睡眠。「近頃ぐっすり眠れなくなったな……」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。睡眠コンサルティングやセミナー講師として活動されている依田恭平さんに、対策を伺います。

【出演者】
依田さん:依田恭平さん(睡眠栄養指導士協会理事)
森田デスク:森田智之ニュースデスク
武田キャスター:武田涼介キャスター
菅野キャスター:菅野真美恵キャスター


森田デスク: 今、睡眠をめぐる相談が増えているんですか?
依田さん: 今まではなんともなかった方が、コロナ禍で睡眠不足を訴えるなど、増えていると思っています。私自身のところへはもちろん、私が理事を務めている睡眠栄養指導士協会への相談も、1.5倍ほどに増えていると認識しています。
菅野キャスター: なぜ、睡眠の不調を訴える人が多くなったのでしょうか。
依田さん: 外出自粛やテレワークなどでオンとオフの切り替えがしづらいため、結果的に生活リズムや食習慣が乱れたことが主な原因だと考えられます。
武田キャスター: 睡眠の不調を改善するためには、まず、どんなことに気をつけると良いのでしょうか。
依田さん: 一番大事なことは、朝、日の光を浴びることです。そして、体内時計のスイッチを入れることが大切です。特に、生活のリズムが乱れてしまっている人は、きちんと朝の日を浴びて体内時計のスイッチを入れないと、夜になっても眠るためのスイッチに切り替わらないんです。お天気に関係なく、なるべく外に出て光に当たる。外に出るのが難しい場合も、カーテンを開け、明るい窓辺で光に当たる。カーテンも開けず、ずっと暗いところにいたのでは、体内時計は動き出しません。日の光に当たることができないときは、部屋を明るくするなど、光に当たる環境を作って体内時計のスイッチを入れるようにする対策が大切になります。
森田デスク: 体内時計のスイッチさえ入れれば、人はぐっすり眠れるようになるんでしょうか。
依田さん: 体内時計のスイッチを入れることは非常に大切ですけれども、もう1つとても大事なのは、朝食をしっかりとることです。ぐっすり眠るためには、メラトニンというホルモンが鍵を握るのですが、このメラトニンは、食べ物に含まれるたんぱく質の一種(トリプトファン)から生成されます。しかし体内でメラトニンとして分泌されるのは、朝起きて、食事をしてから大体14~16時間後、夜になってから分泌されるものですので、逆算して考えると、朝食のときにメラトニンの生成に必要な材料を摂取することが大切になってきます。
睡眠が悪い方は、朝食を食べていないために、メラトニンが作られていない方が多いです。寝るための準備は朝起きたときから始まっている、ということが言えると思います。
菅野キャスター: ぐっすり眠るための鍵になるメラトニンを作り出す材料は、朝食でとるのが良いということですね。具体的には、どのようなものを食べると良いんでしょうか。
依田さん: メラトニンを作り出す材料は、納豆や豆腐、みそなどの豆製品、ヨーグルトやチーズなどの乳製品、穀類、魚介類、肉類などに多く含まれています。また、ごま、アーモンド、バナナなどには、メラトニンの生成の助けになる成分(マグネシウムやビタミンB6)が含まれていますので、同時に摂取するとより効果的です。
武田キャスター: 朝食は人によって好みがあると思います。和食が好きな方、洋食が好きな方……。依田さんのオススメは、どのようなメニューでしょうか。
依田さん: 和食なら、個人的にオススメなのが豚汁です。豚肉とみそにはメラトニンを作る材料が含まれています。これに魚の干物、副菜にほうれん草のごまあえなどを付け合わせれば、よりバランスのとれた朝食になります。この中で何かが欠けても大丈夫なんですけれども、豚肉の効果が高いと思っています。
洋食なら、卵を使ったオムレツとツナサラダが良いと思います。これにバナナをプラスすれば、質の良い睡眠の準備をするための食事のメニューになります。
森田デスク: 仕事の関係などで、昼と夜で生活が逆転しているような人はどうすれば良いんでしょうか。
依田さん: こちらもたくさんいただく質問なんですけれども……。睡眠の質というのは、メラトニンというホルモンが鍵を握っています。メラトニンの分泌は、残念ながら光によって調節される部分が大きいため、食事に気を付けていても、昼夜逆転の生活の人はどうしてもメラトニンの分泌が不十分になってしまいます。ただ、“体内時計を整える”という意味で、遅い時間に起きられる方でも、最初の食事は目覚めてからなるべく早い段階で食べるようにしていただくと、昼夜逆転の人でも体内時計に関しては一定に保つことができますので、そこを意識していただくと良いと思います。
それを踏まえた上での対策としては、昼夜逆転の人は昼間に寝ることになると思うんですけれども、寝る前にはできるだけ強い光を浴びないようにする。例えば、通勤の帰りにはサングラスをしたり、家に帰ってからは遮光カーテンを使用して光を遮断するなど、時間帯は昼でも、夜のような環境を作った行動を心がけることが大切です。逆に夜起きたときは、昼夜逆転の人にとってはリズムが“朝”になる訳ですので、しっかり光を浴びて活動モードに切り替えるなど、なるべく昼間に近い環境を作ることがとても大切です。
武田キャスター: 夜に光を浴びるのは、普通の室内灯で良いんでしょうか。
依田さん: 室内灯でけっこうです。起きたときは、電気でもいいので必ず光を浴びることが大事です。