若者に政治参加を

NHKジャーナル

放送日:2021/12/24

#インタビュー#政治#コロナウイルス

2021年を振り返ると、菅総理大臣の退陣から岸田政権発足、そして解散総選挙と、政治が大きく動きました。しかし、その衆議院選挙の投票率は、55.93%と戦後3番目の低さでした。なかでも20代は、30%台で、年代別で最も低く、18歳と19歳の投票率も40%にとどまりました。若い世代に投票に行ってもらうためには、何が必要なのか? 若者の政治参加を呼びかける団体「NO YOUTH NO JAPAN」代表で、23歳の大学院生、能條桃子(のうじょうももこ)さんに聞きました。(聞き手・岩本裕ニュースデスク)

【出演者】
能條:能條桃子さん(大学院生、「NO YOUTH NO JAPAN」代表)

活動のきっかけはデンマーク留学

――能條さん、よろしくお願いします。「NO YOUTH NO JAPAN」、活動しようと思ったきっかけはなんだったんでしょうか。

能條: 活動を始めたのが、2019年の7月に参議院選挙があったんですけど、当時私、デンマークに留学していて、2か月くらい前に国政選挙があって友達がすごく楽しそうに政治の話とか選挙の話をしているのを見て、日本もこういうふうになれば少しは変わってくること、あるんじゃないかなって思って、日本でできることはあるかなっていうふうに思って活動を始めました。

――デンマークといいますと、若者の投票率が80%を超えるっていう話ですもんね。一体なぜこんなに違いがあるんですか。

能條: 向こうで過ごす中で、歴史的に100年かけて民主主義を大切にする国を作っているっていう違いも感じました。教育の段階で、例えば選挙があるときは小学生の宿題で候補者に話を聞きにいくインタビューみたいなものをやっていたりとか、中学校の授業の中でディスカッションがあったりと、教育も全然違うなというふうにも思いました。

あとは、被選挙権、選挙に出られる年齢が、向こうは投票できる年齢と同じ18歳で、被選挙権の年齢も18歳なので同い年の子がこの選挙に出ている。(例えば)21歳の子が国会議員になっているみたいな状況があることも、若い人にとっては全然違うんじゃないかなと感じました。

なぜ低い? 若者の投票率

――それで(2021年)10月に衆議院選挙がありました。いろいろ活動をなさったと思いますけど、投票率の低さ、どの辺に感じていらっしゃいますか。

能條: 私たちのキャンペーンもそうですし、他にもいろんな動きがありましたけれど、選挙のときに広報的なアプローチで、選挙があるよ、投票に行こうだったりとか、投票する人を選びやすくするアプローチももちろん重要なんですけど、それでできることの限界もあるのかなと思っています。

やはり日常から社会のことを考える文化だったりとか、話す場所があるかどうかとか、まず選挙の前にちゃんと討論会が開かれているのかどうかとか、それこそ政治家の年齢だったり性別だったりが一部に集中してると、他の人たちにとってはなかなか自分と同じような人たちがやっているというふうに思えずに関心が遠のいてしまうというようなこともあると思うんですよね。なので多様な理由があるかなと。

選挙制度、投票制度の問題も含めて、若い世代の意識を変えようという動きがないとできないことがあって、意識を作っているような環境だったり社会の状況、政治の状況が変わっていかなきゃいけないよね、というふうにしていく必要があるねというように感じています。

コロナで政治意識は変わった?

――本当にコロナ禍というのが非常にみんな苦労したんだけれども、実は政治が身近であるということは感じられた分もありますよね。給付金も含めてまさにダイレクトに自分たちに響いてくるし、その辺りは今後何か影響はありそうですか。

能條: コロナがあって緊急事態宣言があって、学校にも行けない家からも出られないという状況になって、一時期政治への関心がすごく高まったと思うんですけど、今少し落ち着いている中で振り返ってみると、その関心は継続できているのかという問題であったりとか、政府だったり行政が出したりするメッセージが、私たちにちゃんと届いているのか、説明してくれて信頼してくれる相手とみなされているのかっていうと、なかなか難しいなと。政治にやっぱり頼れないからこそ、自分たちは自分たちで頑張らなきゃいけないみたいな方向に進んでしまっているんじゃないかなというふうにも感じたりしています。

なぜ政治に頼れない?

――政治に頼れない。それは一体どういう点でそう感じていると思いますか。

能條: もちろん今回のコロナで、職を失ったりとか、厳しい状況に立たされたりした人たちは多かったと思いますし、そうした人たちに向けた政策っていうのは、足りないながらも一つ一つ行われていた。まだでも足りない分があったというのも、もちろん政治が十分なくらいにはしてくれないというのはあるのかなあと。

でも同時に今回のコロナを通じて、将来的な不安みたいなものもすごく増えたんじゃないかなというふうに思っていて、その将来の不安に対して、何か政党だったり政府から、こういうことしていくから私たちは大丈夫だよといったメッセージがあったかといえば、なかなかないのかなあと思っていて、そういうところを求めている人たちはいるんじゃないかなあと感じています。

――将来への不安とかそういうものをどうにか希望に変えるためには、やっぱり政治に変わってもらわなければいけない。だから参加しなければいけない。そういう方向に進んでないんですかね。

能條: 私たちのまわりではたくさん活動している人たちがいますし、今回のコロナだったりとかこの数年のいろんなことを契機に関心を持ち始めているという人もいると思います。

ただ、じゃあ全体を見たときにその余裕がどこまであるかというと、やはり現状今の生活だったりとか先のことを考えて自分のことを考えるので精いっぱいという状況の人が多くて、なかなかそれが政治までだったりちょっと広い社会だったり将来のことっていうふうに考える、時間的な余裕だったり精神的な余裕を持てる人がなかなかいないのかなと思っています。なのでその余裕を持てるためにも、労働時間が短くなるとか、給料が安定してどんな雇用体系でも保障されるとかそういうことが必要なのかなと思っています。

若者の声とは?

――「声が届いている」っていう実感がないということなんでしょうかね?

能條: それもあると思うんですけど、同時に「自分の声とは何なのか」っていうところにまだ気付いてない人もすごく多いんじゃないかなというふうに思っていて、その政治は誰かがやってくれるものっていうふうに今まで思ってきていると、じゃあ実際自分は何が好きなのか、何を求めたいのか、何がいやなのかっていう、その意見を持つのが結構難しい状況にあるのかなというふうに思っていて、これは長くかかってしまうことかもしれないけど、教育だったりとか、学校を卒業したあとの一つ一つの過程で、意見を持つ人が増えていくのが大事かなと思っています。

――根本的な教育だとかそういうところから一歩一歩を見つめ直していかないと、なかなか今の低い投票率は上がらない、それが実感ということでしょうか。

能條: そうですね。結構時間がかかるだろうなっていうふうには思っています。ただ、例えば被選挙権の年齢を下げて、20代前半とか18歳でも選挙に立候補できるようになったら、そこの年代の人たちは関心を持つかもしれないし、何かこう、いろいろ新しいことをチャレンジしてどういう反応になるのかという取り組みみたいなものは、やりようはいくらでもあるのかなというふうに思っていて、何かこう長くかかる問題だからこそ、一つ一つ、「いつかできればいいや」じゃなくて「じゃあ今何ができるのか」っていうので、何か新しい取り組みができていったらいいなというふうに思っています。

来年の参院選に向けて

――その地道な一歩、来年(2022年)には参議院選挙が控えています。来年夏です。こちらもやっぱりいろいろと活動をなさっていこうと思ってるんですね。

能條: はい。まだどういうことやりますというところまで決まっていないんですけど、ただやはり衆議院選挙の一つの反省は、コロナということもあって、SNS、オンラインを中心に活動をしていると、フィルターバブルといいますか、興味のある人たちはSNS上で興味がある情報に到達するので集まりやすいのかなというのはあるのかなと思っています。なので、じゃあ実際ふだん投票に行かない人たちに、なかなか政治との接点を持っていない人に、どう選挙の話だったり政治の話だったりを広げていくのかっていうところをアウトリーチできる方法を探していきたいし、そういうこともやっていきたいと思っています。

【放送】
2021/12/24 NHKジャーナル 「若者に政治参加を!」 能條桃子さん(大学院生、「NO YOUTH NO JAPAN」代表)

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