コロナ禍でリスク増 帯状疱(ほう)疹は早期治療が肝心

NHKジャーナル

放送日:2021/10/20

#インタビュー#医療・健康#カラダのハナシ#コロナウイルス

帯状疱(ほう)疹は、痛みやかゆみを伴う発疹が胴体や顔などに帯のように集まって現れる病気です。コロナ禍の生活で患者が増えているとも言われています。この帯状疱疹の治療法や早期発見のための注意点などを、専門家に伺います。(聞き手・山崎淑行ニュースデスク、武田涼介キャスター、菅野真美恵キャスター)

【出演者】
渡辺:渡辺大輔さん(愛知医科大学皮膚科学講座教授)

強い痛みや後遺症もある

――帯状疱疹というのは、痛みが伴うなど症状もつらいということですが、合併症なども出ることがあるんですよね。これは甘く見てはいけない病気だと思うんですが、そもそもどんな病気なのかを教えてもらっていいですか。

渡辺: 症状は人によってだいぶ異なるんですけれど、例えばひどい場合は、わき腹から背中にかけて何十個もブツブツ、斑点とか水ぶくれが帯状に出てくるんですけれども、帯の大きさが幅10センチですとか、長さ30センチ以上というような、非常に広い範囲に症状が出ることもあります。皮膚に服が触れるだけでもすごく痛かったりして、夜もよく眠れないというような状態になる人もいます。

そして後遺症として、そういった痛みが1年以上も続くこともあります。また、例えば帯状疱疹が顔に出た場合には、目の近くに出ると、そんなに多くはないですけれども、視力低下とか失明するということもありますし、耳の近くに出ると、顔面神経まひですとか耳鳴り、めまい、難聴などを生じることも少なくありません。

3人に1人が発症する病気

――私も、これまで何人かから帯状疱疹になってつらかったという声を聞いたんですが、多くの人がなる病気なんでしょうか。

渡辺: そうですね。50歳を過ぎると発症率が上がる病気で、日本人が一生涯のうちで、大体3人に1人が経験するという非常に多くみられる疾患だと言われています。そして割合はそれほど高くないんですけれども、複数回、2回以上なる人もいらっしゃいます。

原因は水ぼうそうウイルス

渡辺: そもそも帯状疱疹の原因というのは、皆さん子どもの頃に感染したことがあると思うんですけれど、水ぼうそうという病気がありますけどそのウイルスが、体の中に(水ぼうそうが)治ったあとも、背骨に近い神経節という背骨の骨の近くにある神経のかたまりにずっと潜んで潜伏しているんですけれども、これが、年齢が上がったり疲れたりストレスなどで免疫力が低下すると、ウイルスが暴れ出して、神経にダメージを起こしながら皮膚に進んできて、皮膚に発疹を作って帯状疱疹として発症するんですね。

コロナ禍ストレスでリスク増

――「ストレス」というキーワードが出てきましたが、このコロナ禍で患者が増えているというのは、そのストレスが関係してきているんでしょうか。

渡辺: そのとおりですね。コロナ禍の中では、感染に対する不安ですとか収入減、こういったことがある人も多くて、不安になります。そして不安は、非常に大きなストレスになります。また以前のように自由に出かけたり飲み会をしたりするといったストレス解消も、なかなか今の時代はできません。そして緊急事態宣言に伴って、テレワークになったり出勤したりで、生活スタイルが激変することもストレスになりますし、生活リズムを崩して睡眠不足になったりしても、免疫力が低下します。

早期に抗ウイルス薬治療を

――いまリスクが増えているということで、私も50代なので帯状疱疹に注意したいんですが、もし発症した場合には、早めに治療を開始することが肝心だということですね。

渡辺: はい、そうなんです。帯状疱疹の治療の中心は、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬・特効薬があるわけなんですけれど、発疹が出てから2~3日以内に、飲み薬か点滴で全身治療を始めることが大切ですね。ウイルスが増えすぎる前、増殖する前に薬を使えば、重症化を防ぐことができて、皮膚の症状が広がるのをある程度抑えることもできるんですけれど、ウイルスが増えてしまってからですと薬の効果も悪くなりますし、ウイルスに神経がやられてしまって傷ついてしまうと、神経性の痛みが出ることになってしまって、それが後遺症として残りやすくなってしまうことがあります。

しかし、なかなか全ての人が早いタイミングで受診できるというわけではないので、もし帯状疱疹かもしれないと思ったら、すぐに皮膚科を受診していただきたいと思います。

注意すべき初期症状

――早いタイミングで気づくことが大切となりますと、どういった自覚症状に気をつければいいでしょうか。

渡辺: 皮膚の発疹が出る前に、神経に沿って皮膚の痛み、または違和感みたいなものが生じることが多いので、ふだんは感じたことのないような痛みや違和感が、体の左右どちらかに、あるいは一部の範囲に出てきたら、要注意ということになります。例えば、左のわき腹だけですとか、顔のおでこの右側だけなど、そういったところに出てきます。上半身に出ることが多いんですけれど、腕とか背中、目の周り、脚とかに出ることもあります。

痛みの出方は人それぞれで、「ピリピリ」「ジンジン」「ズキズキ」「やけどの焼けつくような」みたいな表現をされることもあります。例えば、おなかや背中などに痛みが出た場合に、腹痛とか胃腸の問題だと思う人もいますし、どこかにぶつけた打撲だと思って湿布を貼ってしまっていました、という方もいらっしゃいます。

痛みとか違和感が出たら、帯状疱疹ということも考えて皮膚の表面を見て、帯状疱疹でしたら、痛みが出てから数日から1週間以内に皮膚の症状が出てきます。最初から典型的な発疹が出るわけではなくて、細かい小さいブツブツですとか皮膚が赤くなったり、そういったことがありましたら、前駆症状、皮膚の最初の症状だと思って、それを見逃さないようにしていただきたいなと思います。

早めに皮膚科受診を

――そうした発疹が出たら、急いで皮膚科を受診するべきということなんですけれども、痛みだけ感じる段階で受診してもいいんですかね。

渡辺: はい、そうですね。やはり早期診断は大事です。その場合は、発疹が出ている状態よりもなかなか診断が難しくなるので、皮膚科の専門医がいる施設、診療所でも病院でもいいんですけれど、受診していただくのが望ましいと思います。痛みの出方などによっては、典型的な発疹が出る前に、先行して抗ウイルス薬・特効薬治療を開始してくれるところもあります。場合によっては、様子を見ましょうということもありますが、いずれにしても早いうちに皮膚科で診てもらっておくことが大切だと思います。

――例えば、発疹が出てきて急いで受診したいというときに土日などで病院が開いていない場合は、どうしたらよいでしょうか。

渡辺: そうですね。よくあるんですけれども、そういう場合は、休日の当番医の先生ですとか救急外来を受診してください。もしそこに皮膚科専門医がいなくても、明らかに帯状疱疹という場合には抗ウイルス薬ですとか痛み止めを出していただけると思います。

ワクチン接種で予防できる

――帯状疱疹はワクチンでも予防できると聞いたんですけど、どういうものか教えてもらってもいいですか。

渡辺: 50歳以上の人が対象となるんですけれど、2種類ありまして、1つは「生ワクチン」と呼ばれる、子どもの水ぼうそう予防ワクチンと一緒のもので、これは1回皮下注射を行います。予防効果は大体50%くらいで、5年を過ぎると有効性が落ちてきてしまうと言われています。ワクチンですので保険適用はなくて、費用は病院によって異なるんですけれども、1回接種で大体8000円ぐらいだと思います。

もう1つは、最近できた「不活化ワクチン」や「成分ワクチン」と呼ばれるワクチンで、これは筋肉注射を行うワクチンです。2か月間隔で2回接種しなければいけないんですけれども、予防効果は90%以上と高くて、最新の報告だと、9年後の時点でもまだ有効性が保たれていると言われております。費用は1回あたり大体2万円ぐらいで、2回打つので4万円ぐらいと少しお高くなっています。

ただ自治体によっては、まだあまり多くはないんですけれども、帯状疱疹ワクチン接種に助成金を出しているところもありますので、ホームページなどで調べていただくといいんじゃないかなと思います。

リスナーからの質問に渡辺先生がお答えくださいました。

広島県40代男性
<帯状疱疹の治療中に、新型コロナのワクチンの接種は可能ですか?>

渡辺: 帯状疱疹がある場合は、まずはその治療を、特に抗ウイルス薬の治療をしっかりしていただいて、ある程度落ち着いてから、治療が終わってから1週間くらいしてから打つのがいいんじゃないかなと思っております。

――新型コロナウイルスのワクチンは免疫にも作用するので、コロナのワクチンを受けると帯状疱疹が出やすくなるようなことを聞いたんですが、そのあたり、どう考えたらいいですか。

渡辺: そうですね。イスラエルから報告が出ているんですけれど、ファイザー社のワクチンを打った人と打っていない人のグループを、ワクチン接種後6週間ぐらい比較しますと、接種したグループの方が帯状疱疹になる人が少し多い。10万人あたりに換算すると大体16人くらい多いということなんですけれど、ワクチンを打ったあと、それがストレスになって帯状疱疹を発症することもありますので、先ほどお話ししたようなサインに注意して、もし帯状疱疹を疑ったら早めに医療を受診、ということが大事かなと思います。

――それって、ファイザーだけじゃなくて他のワクチンでもあり得るってことなんですかね。

渡辺: そうですね。報告は出ていないのですけれど、同じようなメッセンジャーRNAワクチンですので、可能性はあると思います。

東京都50代女性
<帯状疱疹は人から人に感染しますか?>

渡辺: 大人はほとんどの人が水ぼうそうの経験者ですので、水ぼうそうをやったことのある人は帯状疱疹の方と接触しても帯状疱疹になることはありません。ただ、ワクチンを打っていない方ですとか、子どもさん、それから水ぼうそうになったことがない方に帯状疱疹の方が近づくと、その人が水ぼうそうを発症する危険はあると思います。

静岡県40代女性
<4年前に患い、帯状疱疹後神経痛として、症状が重かった部分に痛みが残っています。痛みを感じるときに患部をさすっていますが、投薬治療のほかに痛みが治まる方法を教えてもらえると助かります。なお、精神的に追い込まれているときほど痛みを感じます>

渡辺: 慢性疼(とう)痛って、基本的には温めると楽になると思いますので、お風呂にゆっくり入るですとか、これから寒くなる時期には、患部に使い捨てカイロなどを当てていただくというのが良いのかなと思います。それから、やはり精神的に緊張とかストレスがあると痛みも増しますので、なるべく趣味ですとか楽しいことをやってもらうと、痛みを忘れる時間も増えるんじゃないかなと思っています。

【放送】
2021/10/20 NHKジャーナル ジャーナル医療健康 「コロナ禍でリスク増 帯状疱疹は早期治療が肝心」 渡辺大輔さん(愛知医科大学皮膚科学講座教授)

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