間違いだらけの“プロテイン”摂取!?

NHKジャーナル

放送日:2023/10/11

#医療・健康#カラダのハナシ

ジャーナル医療健康、今回のテーマは注目されている「プロテイン」についてです。
民間の調査会社によると、プロテイン食品の市場規模は、2022年は2,549億円と予測。
10年前のおよそ5倍、そしてこの市場規模は今後さらに伸びるとみられています。
これまでアスリートや筋骨隆々のマッチョな男性が飲むイメージがありましたが、いまは美容や健康のために取り入れる人も増えているようです。
効果的な取り方や注意点について専門家に聞きます。(聞き手:山崎淑行ニュースデスク・打越裕樹アナウンサー・堤千春キャスター)

【出演者】
鈴木:鈴木志保子(すずき・しほこ)さん(神奈川県立保健福祉大学大学院 研究科長)

プロテインブーム とりすぎが問題に

――プロテインブームとも言われています。食事の代わりに摂取する人もいると思いますが、このブーム、専門家としてはどう受け止めていますか?

鈴木:
SNSとかで「タンパク質が重要です」という情報がどんどん皆さんのところへ届けられて、それによって補助食としてたんぱく質が含まれたプロテイン剤をはじめ食品をとってもいいのかなと思ったりとか、自分の食べているものに自信がなくて、心配だからとっておこうかなっていう方はすごく増えていると思うんですよね。

でも問題点として、必要のない人が、必要以上にとっている、「過剰」というんですけど、とりすぎが問題になっているというのが現状になります。

プロテイン(たんぱく質)の働きとは?

――まずプロテイン、いわゆるたんぱく質ですよね。そもそも体にはどういう効果があるものなんでしょうか。

鈴木:
体には、タンパク質がないと生きていけないんですよね。そして必ず食べないと作れない。体の中のたんぱく質には、ふたつの種類があって、筋肉とか骨の緩衝材になるコラーゲンなどの「構造たんぱく質」と呼ばれるものと、酸素を運んでくれるヘモグロビンだったり、ホルモン、酵素の構成材料になる「機能たんぱく質」があります。

――先ほど過剰とおっしゃっていましたけど、たくさんとればいいというものでもないんですね?

鈴木:
“いいものいっぱい”みたいによく言われるんですけど、そんな簡単じゃなくて、すべての私たちの体に必要な栄養素って、適正な必要量というのがあって、必要量以下でも体が困っちゃうし、以上でも困っちゃうっていう、そういう特性を持っているんですよね。
必要量というと、食べ物をとったものをイメージされるかもしれないんですけど、消化して吸収されたときに自分の適性量に当てはまっているということをいっている。消化しないかぎり吸収されないので。
消化して吸収された量ということになります。その吸収された量が必要量以上だったら、過剰摂取になるし、必要量以下だったら低栄養の状態という言い方をするんですよね。

過剰摂取は肝臓の病気の落とし穴!?

――とりすぎるとどういう影響が?

鈴木:
たんぱく質の処理は肝臓でしかできないんですが、いっぱい食べれば肝臓がその分の処理をしないといけないので、即座に処理して排せつしたりとか、一部分は脂肪になって蓄えられて太っちゃうということにもなります。

――肝臓が疲れちゃうということなんでしょうか。「肝機能値」という言葉を聞いたことがありますけど、異常に上がりすぎると病気になったりするんでしょうか?

鈴木:
肝臓は沈黙の臓器と言われるくらい、黙って働いてくれるんですよね。本当に疲れちゃったというときには、肝機能値が上がり始めて、それを放置して肝臓をいたわってあげないと、肝臓病といわれている、脂肪肝、肝炎、ひどい場合には肝臓がんだったりとか、肝硬変などに進んでいくことになります。長期間かけてですけどね。長期間だまって働いていても、いうこと聞いてもらえない場合には体はいろいろ起こしてくる。

――過剰摂取してしまって思わぬ結果になってしまったという具体例はありますか?

鈴木:
例えば今ジムに通う方が多くなっていて、今まで運動していなかった方がジムに通って、トレーナーさんに、たんぱく質が必要だからとったほうがいいよって言われて、プロテイン剤をとり始めて、それでその年の健康診断に行ったらドクターから肝機能値上がっているよと言われて、「あなた、ご飯ちゃんと食べているんだから、プロテイン剤必要ないんだから」って言われて、やめたら、もとに戻ったとかですね、そういうことが起こったり。あとは筋肉をつけるために、アスリートを中心にたんぱく質をとるんですけど、いいトレーニングがあって初めて、どれくらいたんぱく質をとるかを考えるのであって、ただたんぱく質をとってマッチョになるんだったら、私とかでもマッチョになっているかもしれない。たんぱく質をとるからマッチョになるっていうのは間違った考え方なんですよね。

一日のたんぱく質の適量とは?

――気になるのは、適切な量ですよね?

鈴木:
適切な量に関しては、トレーニングをしていない方で、体重1㎏あたり1g、そうすると、60㎏なら一日60gとればよくて、三食だったら一食で20gぐらい。

――三食で割ればいいわけですね。うまい具合に一食に20gだと考えて、それぐらいとろうとするならば、例えば食事メニューはどんなものがありますか?

鈴木:
例えば朝ごはんだったら、食パン6枚切り1枚(たんぱく質6.2g)、卵1個(たんぱく質7.3g)、牛乳1杯(たんぱく質6.6g)で、全部足すと20.1gでこれでとれちゃうんですよね。ミートソースパスタでも20gをとれちゃうんです。

――それでもプロテイン剤に頼っている人もいますよね?

鈴木:
プロテイン剤全部が悪いと言っているわけではなくて、例えば昼ご飯におにぎりだけになってしまうひとであれば、おにぎりに、おかずのかわりとしてプロテイン剤飲んでもらうとか。野菜も欲しいですけどね。

――なるほど。

鈴木:
そういうとり方。逆に食事をプロテイン剤だけで済ませている人は、ぜひ炭水化物を摂取するために、おにぎりや野菜などを食べてもらうっていうのがとても重要なポイントになります。

――バランスが大事ですね。

鈴木:
そうですね。

【エンド質問コーナー】
リスナーから、放送中に多くの感想や質問を送っていただきました。
ありがとうございました。

静岡県40代男性
たんぱく質20gがパンと牛乳とたまごで賄えるのには驚きました。それで充分なのですね。プロテインをとるとしたらやっぱり朝にとるのがいいのでしょうか、動くお昼のほうがいいですか?

鈴木:
食事を食べているんだったら、いらないんですね。プロテインをとりたいときに食事の中におかずがないとか、なにかそういう時にはプロテインを活用してもらいたくて、そうじゃなければわざわざとらなくてもいい。
それで、運動するときとか、皆さん思っているみたいなんですけど、3回ちゃんとたんぱく質入っているものを食べていただきさえすれば、まったく運動後にプロテインはいらないです。昔は言っていたんですけど、今はエビデンス上なくなっているので、「しっかり三食とる」で大丈夫だと思います。

――SNSです。
もともと食べ物からとってたんだもんね。

鈴木:
そうなんです。プロテイン剤をはじめサプリメントとかエネルギーの補給食品といわれているものとか、簡単に栄養素がいろいろとれるようになったんですよね。だからこそ、自分のライフスタイルに合わせて、食生活にあわせて賢く利用しないと、過剰摂取に結びつくことがあります。簡単にとれるからこそ、ちゃんとした知識を持って活用してほしいと思います。


【放送】
2023/10/11 「NHKジャーナル」

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