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2020年9月7日(月)放送より

エスペラント語は、133年前に世界共通語となるように作られた言葉で、 現在、世界で100万人以上が使用しています。そのエスペラント語が、世界的なコロナ禍の中で再び注目を集めているということです。エスペラント語に詳しい、トニー・ラズロさんにお話を伺います。

【出演者】
トニーさん:トニー・ラズロさん(ジャーナリスト)
武田キャスター:武田涼介キャスター
菅野キャスター:菅野真美恵キャスター
岩本デスク:岩本裕ニュースデスク


菅野キャスター: トニーさんはアメリカ出身で、35年前に来日しました。日本人の奥さまは漫画家で、『ダーリンは外国人』という作品にはトニーさんの日常が描かれています。トニーさんは、いわゆる語学オタクで、さまざまな言葉を使いこなし、現在は大学の講師や、ジャーナリストとして、またエスペラント語を通じた活動も行なっていらっしゃいます。
岩本デスク: 私が若いころ、一時少女漫画とかであったような気がするんですけど、最近あまり聞かないような気がしたんですけど、そうでもないんですか。
トニーさん: やってみようという人が非常に増えていると思いますね。そしてインターネットがこれだけ発達しているので、勉強しやすくなったと思いますね。いろいろな教材が簡単に手に入るとか、簡単に世界のいろんな人とつながりやすくなったとかいう点で、一部で爆発的な人気が出たんですね。
岩本デスク: エスペラント語を簡単に覚えられるというのは、法則性があるからということなんですか。
トニーさん: 非常に整理されているので、1つ1つの構造を覚えれば、大体みんな分かってくるわけですね。
岩本デスク: なんとなく理系の言語な感じがしますね。
トニーさん: 確かに非常にロジカルで、エスペラント語にひかれて使っている人には、数学者とかプログラマーとか、そういう人が多いですね。
菅野キャスター: コロナ禍の中でエスペラント語が世界中で広がりつつある理由は、何なんでしょうね。
トニーさん: 最近エスペラント語を使う人たちが動画をアップしていますけれども、世界中からの97の報告を、6回に分けてアップしているんですね。そこで情報交換をして精神的な助け合いをしたりするわけですから、コロナ時代になってこそ、こういう役割が出てくるんですね。
岩本デスク: 世界でずいぶん役に立ってきているということですよね。
トニーさん: ヨーロッパで生まれた言語というのもあってですね、「EUの言語の1つにしようではないか」という動きがあるんですね。今、イギリスがEUを抜けるでしょう?
岩本デスク: ブレグジット、イギリスのEU離脱というのは今でも進んでいますけれども。
トニーさん: 英語といえばイギリスですね。イギリスが抜けるとなると、EUの中で英語を使う国は他にどこがあるか?
岩本デスク: 確かに、ほとんどないですよね。
トニーさん: 多分アイルランドとマルタだと思います。
岩本デスク: それくらいですかね。
トニーさん: 存在感のある国といえばフランスとドイツがまずあるわけですから、「フランス人とドイツ人がなぜ英語を使わなきゃいけないか」という議論になったりするんですね。じゃあ、「ヨーロッパの言語により近い、フランス人からしてみてもドイツ人からしてみても非常になじみやすい言語であるエスペラント語にしようではないか」という、政治的な動きもあるんですね。
岩本デスク: エスペラント語の特徴というか、エスペラント語を学んでいる人たち同士の精神的な結びつきとか、そういうことも重視されているんですよね。
トニーさん: そもそもエスペラント語が作られたとき、人々が争ったりけんかになったり、さらに戦争が始まるのはなぜかというのを、考えたらしいんです。これは「言葉の違いによるコミュニケーションの齟齬(そご)が問題なのではないか」と。
武田キャスター: コミュニケーションがうまくいかないことによって、違いが理解できなくて憎しみ合うということが、出てきますよね。
トニーさん: 「そうではないか」と思って、作ったらしいんですね。ちなみに「エスペラント」っていう言葉の意味は、分かります?
岩本デスク: 分かりません。
トニーさん: これは「希望する人」という意味なんですね。こういう言語を作れば、言い争いとか戦争を阻止することが、もしかしてできるかもしれないと、「希望します」、そういう気持ちを込めて作ったわけですから、エスペラントっていう名前になったんですね。
岩本デスク: 言葉の名前自体に、平和を希求する、平和を求める願いが、こもっているわけですね。
トニーさん: そうですね。
岩本デスク: 今、世界中で分断が叫ばれて憎しみが生まれてきたりしている状況の中で、さらに新型コロナウイルスのまん延によって助長されているとも言われていますよね。そういう時代だからこそ、これが必要だと考えているわけですか。
トニーさん: 人権保護を求める国連の報告書が、時折エスペラント語にも訳されて公開されるんですね。コロナ時代に入ってからのことですけれど、世界各地で移民が医療から排除されたり、少数言語を使う人が情報不足になったり、ヘイトスピーチや外国人嫌いが多発するなど、マイノリティーが攻撃されているというのが報告されているわけです。
これがエスペラント語で公開されているわけですから、やはり特別な意味を持つんですね。エスペラント語は、さっき言いましたように、「こういうような問題をどうにかしたいな」っていう気持ちを込めて作った言語なので、エスペラントの理念がもしかしてヒントになって、この問題を解決に導くのではないかと、“希望”します。
岩本デスク: エスペラント語という、平和を“希望”する人たちによって作られた言葉が、新型コロナウイルスで世界が分断されようとしている中で、1つの統合の象徴みたいになればいいですよね。
トニーさん: “希望”しましょう。
菅野キャスター: トニーさん、多くのメッセージや質問が寄せられていますのでお答えください。

Q <エスペラント語は、大学時代に専攻したポルトガル語と共通点があって学びやすかったです>

トニーさん: エスペラント語もポルトガル語も、ラテン語から来ている言葉ですね。ローマ帝国の時代のラテン語ですね。それが英語にもたくさん入ってきているので、日本人もいっぱい学んできてますね。

Q <われわれ日本人からしたら、世界共通語としてはどうしても英語のほうがなじみ深いです。英語ではダメなんでしょうか>

トニーさん: ダメではないんですけど、英語だけにしてしまうと、私みたいな人間は非常に得なんですね。私は英語母語話者で、日本語なんか覚えず、フランス語・ドイツ語・ロシア語も覚えず何もしないで、「はい皆さん、英語だけ覚えてください」と言えば良いことになりますが、そういうつきあいは、おもしろくないですね。
武田キャスター: エスペラント語のほうが、水平な関係が築けるということですね。

Q <エスペラント語と日本語の共通点はありますか>

トニーさん: 日本語というのは、語順の入れ替えができますよね。「私にそれをください」というのも言えるし、「それを私にください」とも言えるわけですよね。英語では、あまりそういうのはできないです。エスペラント語にもそれがあって、言葉の順番を入れ替えることができるので、日本人にとっては、なじみやすいと思いますね。あと音から考えても、英語などにある複雑な母音がないので、大体日本語の母音と同じだと考えでいいと思いますね。
岩本デスク: ということは、日本人にもとても学びやすい言語であると。
武田キャスター: ちょっと関心、出てきましたね。
菅野キャスター: トニーさん、ありがとうございました!

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2020年9月7日(月)放送より