大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の出演者インタビュー2回目は、小栗旬さん演じる主人公・北条義時の姉で源頼朝の妻「北条政子」を演じる小池栄子さんです。特に思い入れの深い北条政子という人物を演じるにあたって、小池さんのかける思いとは。 (聞き手・岩本裕ニュースデスク)
【出演者】
小池:小池栄子さん(俳優)
大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の出演者インタビュー2回目は、小栗旬さん演じる主人公・北条義時の姉で源頼朝の妻「北条政子」を演じる小池栄子さんです。特に思い入れの深い北条政子という人物を演じるにあたって、小池さんのかける思いとは。 (聞き手・岩本裕ニュースデスク)
【出演者】
小池:小池栄子さん(俳優)
――北条政子。義時の姉であり、源頼朝の妻であり、さらには鎌倉幕府をある意味思いのままにしてしまった。こんな人、なかなか演じられませんよ。
小池: | 役者冥利(みょうり)に尽きるといいますか…。 このあいだ母親としゃべったら、「亡くなった祖母が北条政子のことをすごく好きだったって話を、私もあんたも聞いてたわよ」って言われて。 確かに、私が思う北条政子像って、すごく祖母に似ているんです。母と私にとっては一生超えられない憧れのような強い女性だったので、「生きてたら、喜んでいただろうね」って。 「北条政子役のオファーが来た」って報告したとき、母親は泣いて喜んでいましたね。「おばあちゃんが喜ぶ」って。 |
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――北条政子のイメージって、どんなものですか?
小池: | やっぱり「強い」。 後に政治の中心に行くわけですけれど、夫を支える姿であったり、その時々の立ち回りがすごくうまい女性だなって気はします。 |
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――きょう撮影していらしたところのセリフが耳に残っているんです。主役の義時に向かって、「あんたにしてはよくやったよ」みたいなことをおっしゃっていましたね。
小池: | 確かにね。義時も「結構ひどいこと言ってるよね」って(笑)。 でも、あそこのセリフって、兄弟っぽいですよね。ひと言「ありがとう」でいいのに、ひと言多いというか。結局関係性は崩れない感じ。 1歩間違えたらただキツイ、イヤな女になってしまう恐れがあるとは思っていたんですけれど、三谷(幸喜)さんが描く北条政子は今のところそうなっていないので、結構意外でした。とてもチャーミングなんですよ。 頼朝の浮気相手と会ったら、イメージだと「ガツッと言って追い返す」とか、バチバチ闘う印象を皆さんお持ちになっていて、「それが楽しみだ」っていう友達の意見も聞くんですけれど、意外にもそこでちょっとしたもろさや、かよわさが出たりするんです。 「ただ強いだけじゃない」って三谷さんが思っているんでしょうね。 |
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――映画『八日目の蝉』をはじめとして、癖のある役が多いですよね。今回も癖があるんですか?
小池: | 今のところはあまり感じてないです。私の中では意外にマイルド。 でも、まだ前半なので、頼朝亡き後ですよね。伝説の承久の乱の演説に至るまでの彼女の成長は、自分でつくっていかなきゃいけない。 幕府と朝廷に挟まれた武士たちを奮い立たせるじゃないですか。もしかしたら三谷さんはそこをすっ飛ばすかもしれませんけれど(笑)、政子っていうとみんな「そこが楽しみだ」って。歴代の岩下(志麻)さん(の『草燃える』)とか、私も拝見しました。 あそこに説得力を持たすためには、今の「意外にチャーミング」だけでは絶対にいけないので、肉づけをしていかなきゃいけないと思います。 |
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――お話を聞いていると、自信がありそうに見えます。
小池: | いやあ…私が見た岩下さんが、やっぱり…。 三谷さんにオファーをいただいたときに、「僕のすごく好きな作品だったから」って。DVDを購入して見たんですけれど…。 |
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――『草燃える』を?
小池: | はい。圧倒的だった。美しさも圧倒的だったし。 確実に美しさが足りないというのは、自分が二枚目やヒロインをやってきていないので…そこが自分の中であるんですよ。 |
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――そんなことはないでしょう。『グッドバイ〜嘘からはじまる人生喜劇〜』では、完全に“超美女”役で出ていらっしゃいました。
小池: | あのときはすごくイヤでした。あれは原作に「絶世の美女」みたいに書いてあるから。 絶世の美女扱いで芸能界を走ってきた瞬間は一度もないから、どちらかというと三枚目だったから…。 |
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――それは、バラエティーで結構やっていらしたから。
小池: | いや、ドラマもそうですよ。染みついているコンプレックスがあるんですよね。 でも、「ダメだ! そんなふうに言ってくれる人がいるんだから、そこは『ありがとうございます』で乗っかろう!」と。 岩下さんの(『草燃える』)を見たときに、「えっ!?」と思いました。 でも、「過去は過去。これから新しい政子をつくればいいんだ」っていうふうに…一瞬だけずいぶんと気落ちしたけれど、奮い立たせました。 親は無条件に「あんたが一番」って言ってくれるから、うちの親に何回も言ってもらいました(笑)。 |
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――家族みんながやってほしい役が来るというのは運命じゃないですか?
小池: | そう思います。いい報告をしたいですね。 私の中の北条政子は祖母そのままなんです。生きざまがカッコいい人だったから、「やりきったよ」って言いたいですね。 |
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――『鎌倉殿の13人』、大河ファンも含めてものすごく期待が大きいと思います。いい作品になりますか?
小池: | 絶対してみせます。期待してください。新しい「北条政子」を必ずつくります。 皆さんが思い描いている「北条政子」があると思いますが、自分がやるからには、新しい、みんなの記憶に残るような「政子」像をプラスできたらいいなと思っています。 |
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【放送】
2022/01/05 NHKジャーナル ジャーナル特集「鎌倉殿の13人 小池栄子さん語る」
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