動画サイトでも大活躍! 92歳で現役の逆さ歌シンガー

23/09/25まで

眠れない貴女へ

放送日:2023/09/17

#インタビュー#音楽#うた♪#SNS

92歳の今も現役で、「逆さ歌」を動画サイトにアップしたり、テレビなどでも披露したりしている中田芳子(なかだ・よしこ)さんに、逆さ歌を始めたきっかけと方法を発見した時の様子、初めは歌だけだったのが伴奏をつけるようになった経緯、92歳の今もポジティブでいられる秘けつなど、興味深いお話を伺いました。

【出演者】
中田:中田芳子さん(ゲスト)
和田:和田明日香さん(ご案内)

中田芳子さん

【中田芳子さんのプロフィール】
1931年、台北生まれ。1946年の終戦直後、15歳の時に日本に帰国。回文作りの趣味が高じて、50代の時、あるテレビのオーディション番組に出場。それがきっかけで「逆さ歌」を考案。以来、テレビや動画サイトなどで、有名曲や最新のヒットソングなどを「逆さ歌」にして披露。92歳の現在も「逆さ歌」を歌う「リヴァース・シンガー」として活躍中。

逆さ歌ってどんな歌?

和田明日香さん

和田:
中田さんは、上から読んでも下から読んでも同じ文章になる回文作りの趣味が高じて、2008年には回文の本を出版されています。皆さんよくご存じだと思いますが、「しんぶんし」とか「とまと」とか、上から読んでも下から読んでも同じってやつですね。さらに50代のころに逆さ歌を考案し、そのパフォーマンスで、テレビなどのメディアに多く取り上げられるようになって、およそ10年前から動画サイトで最新のヒットソングや外国曲などを逆さ歌にして披露し続けていらっしゃいます。というわけでまず、その逆さ歌とは何なのかを伺ってみました。

中田:
逆さ歌っていうのはね、歌をうしろから歌うんですよ。そしてそれを録音して、さらにそれを逆再生すると、 ちゃんと元の歌に聞こえる、そういうお遊びです。なんとかして自分のこの逆さ歌の楽しさを、皆さんに分かってもらいたくて、ずっと続けてきたんですけれども、いつまでも残したいなってふっと考えたんです。で、それをYouTubeにアップさせていただいてます。

和田:
92歳のYouTuberということで、動画を編集したり、サイトにアップするのは、さすがにパソコンの先生に手を貸してもらっているそうなのですが、でもご自身でスマートフォンを駆使して、自撮り棒を使って録画したり、録音したり、それから逆再生したり。電子機器に対してもちゅうちょなく好奇心を持って挑戦していらっしゃいます。
私が見た動画はですね、Official髭男dismの「Cry Baby」というね、本当にうちの子どもたちも大好きなアニメのテーマソングにもなっている曲ですけど、92歳のおばあちゃんが、その曲を知って歌えるということもすごいし、逆さなんですよ、本当に。あとで聞いていただきますが、なんか、どういう気持ちで動画を見たらいいんだろうって思うくらい、面白いんです。

テレビのオーディション番組がきっかけで「逆さ歌」を考案!

和田:
そもそも中田さんがその逆さ歌を始めるきっかけ、どんなことだったんでしょうか。

中田:
私、逆さ言葉、“たけやぶやけた”とか回文作るのが大好きな子どもだったんですよ。
しかも音楽大好きな子どもでした。それはずっと大人になってからも続けてね。あるきっかけで回文と音楽をミックスしたらどうかなっていうチャンスがあって、あるテレビ局で何か珍しいことをする女性ばかりのコンテストがあったんですよ。その時に回文を持ってオーディションを受けに行ったんです。その時は、20人くらい女性が集まってね、例えば女性アンパイアとかね、野球の。女性キックボクサーとかね。そういう派手派手な動きの方が多かったんです。で、結局、私は落っこちちゃったんです。

その審査委員長みたいな方が、「とても回文、立派だとは思うんですけれども、これはテレビ的にはあまり派手じゃないし、残念ですが落選です」と言われたんです。私、もう悔しくて悔しくて、半分泣き顔でそこを出ようとしてたら、その審査委員長みたいな方が、私の履歴書を見て、「あなたは音楽の先生みたいですね。じゃあ、今の回文と音楽をミックスして、歌を逆さに歌ったらどうですか?」っていうんです。「もし、それができるんなら落選を3日間だけ保留してあげますよ」、そうおっしゃったんです。で、私、本当に悔しかったんで、3日間一生懸命考えました。「茶摘み」の歌を選びました。これを絶対逆さに歌ってみようと。

メロディーはね、楽譜を逆さに書けばいいので、簡単なんです。だけど、言葉を全部逆から書いたわけですよね。「なつもちかづく」だったら「くづかちもつな」。これで良いじゃないかと思って、テープに入れて逆回転しても「うにゃうにゃにゃんにゃん」って全然違う音が入ってるの。もう夜中の2時3時まで考えて、「あぁ、これはもうしかたない。明日ごめんなさいの電話しましょ」って思ってたわけ。

で、「つぅーかぁーれぇーたぁー!」って叫んだんですよ。すっごくひらめいたの、その時。「あれ? 私、疲れたって言ってる時、“ツ”っていうその子音はほんの瞬間で、あとは“ウ”じゃないか? “カ”はKAでほとんど“ア”だなぁ」って。そこに気がついて、「そうか! ローマ字を逆さに読めばいいんだ!」ってひらめいたわけ。で、やってみたら本当に「クヅカチモツナ」でなくて、ちょっと入れてみるね。「うくざきちょむすたん」(→逆再生「なつもちかづく」)。ことば通りに入れるとしたら、「くずかちもつな」(→再生「#$%&‘=~」)。ね、そこに気がついて、あっという間にできちゃったわけ。で、すぐ電話して、当日8人ぐらいでした、出たのはね。なんと、パンパカパーンって、紙吹雪がぱらぱらと落ちて、私の上に。「おめでとうございます! 中田さん、優勝です!」って言って、なんとハワイ旅行! すごいでしょ! そういう思い出があるんです。

和田:
何よりその審査員の方の見る目がすごかったなって思ったんですけど。
このオーディションを中田さんが受けたのは50歳を過ぎたころだったそうで、息子さんのお友達がテレビ局に就職し、ADでついた番組が出演者を募集していた時に、ユニークなお母さんを思い出して出演を勧め、中田さんは、ハワイ旅行につられて出場したということでした。
ということは、逆さ歌を始められる前から、息子さんのお友達かいわいでは、なんか面白いお母さんだっていう評判だったっていうことかもしれないですよね。

「できる!」と言ってしまったからには、頑張る!

和田:
一度は落選してしまったものの、3日間という期間を与えられ、やったことのない「逆さ歌」を考案して、ものにして、めでたくハワイ旅行を手にされた中田さん。自称負けず嫌いの中田さんは、さらにどんどんスキルアップしてレパートリーを増やして、「逆さ歌」を極めていきます。

中田:
そのテレビ出演がきっかけで、どんどんテレビ局からオファーが来まして、で、向こうからこの歌やってくれとか、それでだんだんこうやってきて、2年か3年たったときに、「中田さん、伴奏つけられませんか?」っていうの。「そんなバカなことできっこない!」って、私は思ったけど、いつもそうなんだけど、私、審査委員長のおじさまに「中田さん、できませんか?」って言われたら、心の中では「そんなこと、できるわけないじゃない!」って思っても、私の性格として、にっこり笑って「はい、できます!」って言っちゃうの。その時もそう。テレビ局の人が「伴奏つけられませんか?」って言ったら、「できるわよ」って言っちゃって。それからもう一生懸命、努力。私はだから、ほらを先に吹いちゃうわけ。そして、そこに向かって、もう絶対やらないわけにいかないじゃない? ほら吹いた以上。それで頑張るわけ。それが中田ってものなの。

番組からのメッセージ

  •  ♪ 毎朝15分間、自ら考案した“ゴキブリ体操”で健康を保っているという中田さん。数年前までは三点倒立もやっていて、逆立ちをすると嫌なことがあっても発想の転換ができて、「なんだ、どうってことないじゃない」と思えるのが、ひとつの健康の秘けつだそうです。将来の夢は、海外の逆さ歌シンガーを見つけて、逆さ歌の国際コンテストをやって「優勝したいの!」とおっしゃっていました。
  •  ♪ この番組は、らじる★らじるの聴き逃しでお楽しみいただけます!
    放送後1週間お聴きいただけますので、ぜひご利用ください。

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23/09/25まで

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  •  ♪ 番組では皆さんのおたよりをお待ちしています。
    9月のテーマは「ちょっとしたぜいたく」です。頑張っている自分へのごほうびにこんなちょっとしたぜいたくをしてみました、またはしてみたい! というエピソ-ドをリクエスト曲とともにお寄せください。

眠れない貴女へ

NHK-FM 毎週日曜 午後11時30分

おたよりはこちらから


【放送】
2023/09/17 「眠れない貴女へ」

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