ごみ問題をみんなでわかりやすく楽しく共有して、地球環境を守っていこう!

23/08/14まで
眠れない貴女へ
放送日:2023/08/06
#インタビュー#環境
「ごみの学校」を主宰している寺井正幸さんに、ごみ問題に興味を持ったきっかけ、ごみを捨てる側と受け取る側、処理する側では、ごみに対する意識や考え方が異なること、実際に現代のごみ問題がどういう状況なのか、今後どうしていったらいいのかなど、興味深いお話を伺いました。
【出演者】
寺井:寺井正幸さん(ゲスト)
村山:村山由佳さん(ご案内)
寺井正幸さん
【寺井正幸さんのプロフィール】
1990年、京都府出身。大阪の廃棄物処理会社で働きながら、オンラインコミュニティー「ごみの学校」を立ち上げ、ふだんなかなか知る事ができないごみの正しい知識を学ぶ場として、ごみにまつわるさまざまな情報を発信している。他にも、自治体や企業向けに廃棄物処理の提案やセミナーなどを実施したり、大学と連携してごみの研究を行ったりするなど、ごみのスペシャリストとして活躍中。
みんなで取り組まないと、もう解決できないごみ問題
村山由佳さん
村山:
寺井さんがごみに興味を持ったのは大学時代だったそうです。もともと環境に携わる仕事に就きたいと考えていたそうなんですけれども、「人が注目していないからこそ逆に面白そうだな」という気持ちでごみの仕事に興味を持ち、廃棄物処理会社に就職されたそうです。「あまのじゃくなんですよ」なんて言ってらっしゃいました。まずは、寺井さんが会社で働きながら、ごみの情報を発信したいと思ったきっかけについて伺いました。
寺井:
私たちが日々見ている日常があるんですけど、例えば、毎日毎日何トン何トンっていう単位で、食べられるはずの食べ物が送られてきたりとか、トラックいっぱいの着られる服がどんどんどんどん流れ着いてきたりとか、リサイクルできないようなプラスチックが山積みになっていてどうしようって嘆いている業者さんがいらっしゃったりとか、っていうのが私が見ている世界の日常なんですね。それがたぶん、ふだん生活されててごみを捨てる方とか、作って売っているメーカーさんからすると見えていない世界だと思っていて。ただそれを我々だけの問題にするんじゃなくて、いろんな方たちと一緒に考えないといけない問題だと思っているので、それをやっぱりできるだけリアルに、でもそんなに重たくなく、ワクワクするような世界を作れるような形で伝えられたらっていうことで、今発信をしようと思って動いているところですね。
私も最初は、廃棄物処理会社なので、「なんでこういうごみを捨てるんだよ」とか「なんでこういう捨て方するんだよ」っていう思いがあって、“捨てる側の方たちがどうにかならないかな”っていう思いはあったんですけど、でもいろいろ紐解いていくと、やっぱりいろんな方たちが絡みあったりとか、“いろんな問題があって、結果ごみが生まれている”ようなところがあるので、誰かのせいにするんじゃなくて、いろんな方たち、市民の方とか自治体とかメーカーとか、またそれを売る販売店の方たちも含めて、みんながごみの事を少し意識する、考えるっていう、みんなで考える体制がすごく大事かなっていうのを思い始めているので、そこをやっぱり皆さんと取り組むっていうのがすごく大事なんじゃないかなと思ってますね。
村山:
捨てて処理をする方たちだけではもう到底追いつかない、捨てる側の私たちの事もやっぱりすごく大きい問題だとは思うんだけれども、でもそれだけじゃない、みんなが一緒になって考えていかなくちゃいけないっていう事なんですね。
寺井さんは2021年2月に「ごみの学校」を設立。当初は「みんな、ごみに関して興味ないんじゃないか」っていう風に思っていたそうなんですけど、予想に反して、はじめ100人だった登録者数は現在2200人まで増え、皆さんの関心の高さを感じているそうです。
海に浮かぶプラスチックごみは、どこから流れてくるのか
村山:
そんな寺井さんに、ごみについて伺いたいと思います! 近年私たちの周りでは、レジ袋が有料になったり、ストローが紙製に変わったりと、プラスチックごみを減らす取り組みが行われていますが、その背景には、海に流れている「海洋プラスチックごみ」の問題があります。海の生物が餌と間違えて食べてしまい、生態系にも甚大な影響をもたらしていますが、なぜあんなに、海にプラスチックごみが増えてしまっているのでしょうか?
寺井:
おおむね海洋ゴミが発生する原因って3つぐらいあるっていう風に言われてるんですけど、ひとつは街から流れ出てくるような物ですね。街から海に流れてるごみっていうのが意外と多いんですよね。それの原因が何かっていうと結構シンプルで、よく街中とかでもごみ箱からあふれ出てしまってて、ごみが外に出てきているようなものがあったりとか、あとはお祭りとかだと集積所があるんですけど、カラスが食い荒らしてすごい飛散しているようなものがあったりとか、ああいうものが下水とか川に流れて、雨が降って水が増えると、それがまた結局流れ流れて海に流れ着くみたいなものもあるので。よくごみを拾っていったりとか、ビーチクリーンとかして行くと、海岸のポイ捨てだという風に思われる方もいらっしゃるんですけど、実はそうじゃなくて、下水とか川を通って海に隣接していない県から流れているようなものも結構多かったりはしてるんですね。
あとは、漁網とか漁具みたいなものに関しては、漁業関係者の方たちが使い古したようなものが劣化したりとか、場合によっては国によっては、意図的に流して捨てているっていうケースもあるんですけど、それが2つ目。
意外と大きいのが、3つ目の、途上国の方々が海にごみを捨てるって事が当たり前になっているってとこだったりするんですけど。この途上国の方たちが捨てているごみっていうのは確かにすごく大きくて、中国だったり東南アジア諸国っていうのは、よくプラスチックごみを海に流している国だっていう風に言われてはいるんですが、実は日本も、中国だったりだとか東南アジアにプラスチックを大量に輸出している国の代表的なところがありまして。日本でそもそもリサイクルできなかったプラスチックっていうのは途上国に送られて、途上国で最低限使える物だけ使って、使えないものに関しては海に流すと。彼らも職種として、すごい裕福な方がやってるわけではなくて、貧困層の方々の仕事だったりはするので、コンプライアンスとかっていうことじゃなくて、生きるためにそうやらざるを得ないというような世界の悪い循環っていうのが今行われているので、なので“海ごみ”っていうのはなかなか減らなかったりもしているし、それがどんどんどんどん海に流れ出てしまっているっていう状態にあるという感じですね。
村山:
ある意味、私たちの目に入る全ての物は、最終的に海へ行っちゃうっていう感じですよね。そこでいくら「私は海に捨ててない」って言っても、それは全然何の解決にもならなくって。そうじゃなくって、やっぱり私たちが普段使っているプラスチックで「別にもうこれいらないや」って、「まだ使えるけどいらないや」みたいなものを捨てていったものが別の国へ行って、そこで使えるものだけ取って、使えないものは海へってなると、やっぱり私たちも加担してるっていう事になっちゃいますもんね。なんか、目の前から見えなくなれば、もうそれだけで「私は大丈夫」みたいな風にね、その問題について考えなくなっちゃうけど、それじゃ駄目なんだなっていうのがよくわかります。
私たちにできる事とは
村山:
こうした問題に対して、私たち一般市民ができる事はあるのでしょうか。
寺井:
勘違いしなくてもいいのは、ちゃんとしたルートでちゃんと捨てられているものに関しては、日本は特に法律もしっかりしているし、私のように廃棄物の処理をする側も、すごくしっかりした方たちがいらっしゃるので、ちゃんとしたやり方であれば問題はないんですけど。ただ一部で、例えばちゃんと捨てない、不法投棄をしているだったりとか、少し違う場所で捨ててしまう、ごみ箱じゃない所で捨てるとか、ああいったものが起こってしまうと、どうしてもちゃんとした捨てられ方はされていない事が起こってしまうので、それはやっぱりしないようにしていただくっていうのが一番いいのかなと思います。
あとは、当たり前の事でいくと、ちゃんと分別していただいて、ちゃんと洗って捨てる。それはいろんな企業が最近いろんな取り組みをしたりとか、自治体も力を入れてやられている部分があるので、そういうところのルールに従っていただくとか、新しい回収の取り組みがあれば、そこに参加していただく。そこをやっていただけると1番いい部分ではあるとは思ってるんですけど。
もう1つ、これ欲を言えば、できることならってことですけど、いろんな自治体とか企業もですね、今までやってたやり方から、結構大幅に変えないと、なかなかさっき言ってた途上国と先進国の関係みたいな重たい問題も解決していかないといけないので、今までのやり方から結構大幅に変えようという動きもあったりはするんですね。そうしたときに意外と大事なのが、市民の方々の新しいところに対してちゃんと乗っかってくれるかどうかっていう動きがすごく大事で。自治体の担当者やメーカーとかも、市民から反対の声があったりするとすごくやっぱり変えづらかったりしていて、それは意外とひとりの一意見が大きかったりとか、クレームが大きかったりとかっていうのもあって。そこは言われる気持ちはわかるんだけれども、みんなが未来のために変化しようとしてるんだっていうところで、そこは基本的に応援していただいたりとか、そういうチャレンジをしている企業だったり、地域自治体っていうのにパートナーとして参加してもらうっていうのが、すごくできることならやっていただきたいところだと思ってますね。
番組からのメッセージ
- ♪ 江戸時代の日本はみかんの皮で掃除するなど、物を無駄にせずに最後まで使い切っているところが、まさにエコで、原点回帰の方向に進むことを加速させていきたい、という寺井さん。きちんと捨てたごみがどのように処理されたりリサイクルされたりしているかフィードバックして、企業も含めてコミュニケーションをとることがごみ問題の解決や地球の環境を守るために必要なことではないかとおっしゃっていました。
- ♪ この番組は、らじる★らじるの聴き逃しでお楽しみいただけます!
放送後1週間お聴きいただけますので、ぜひご利用ください。
放送を聴く
23/08/14まで
- ♪ 番組では皆さんのおたよりをお待ちしています。
8月のテーマは「ちょっとしたぜいたく」です。頑張っている自分へのごほうびにこんなちょっとしたぜいたくをしてみました、またはしてみたい!というエピソードをリクエスト曲とともにお寄せください。
【放送】
2023/08/06 「眠れない貴女へ」