10代で出会ったJ-POPの魅力は日本人の心の美しさを映す鏡?

23/07/10まで
眠れない貴女へ
放送日:2023/07/02
#インタビュー#音楽#J-POP
音楽博士のドクター・キャピタルさんに、10代のころにJ-POPに出会って好きになったきっかけ、その後、日本と行き来しながら大学や大学院で音楽を学び博士号を取得したキャピタルさんが、J-POPを理論的に分析するとどんなところに魅力があるのかなど、興味深いお話を伺いました。
【出演者】
キャピタル:ドクター・キャピタルさん(ゲスト)
和田:和田明日香さん(ご案内)
ドクター・キャピタルさん
【ドクター・キャピタルさんのプロフィール】
1974年、アメリカ・オレゴン州出身。子どものころから音楽が好きで、10代でJ-POPに出会う。その後、音楽の道に進み、南カリフォルニア大学で音楽の博士号を取得し、現在は南カリフォルニア大学で音楽の講座を持つ。日本にもたびたび住み、アメリカでの大学時代には半年間、早稲田大学に留学。その後、福井を拠点に、福井のFMラジオで5年間パーソナリティを務めた。現在は日本を拠点にシンガーソングライターとしても活動し、SNSでは独自の視点による「J-POP講座」を関西弁で楽しく配信中。
日本人留学生を通して知ったJ-POP
和田明日香さん
和田:
少し前にうちの夫が「これめっちゃ面白いから見て」って言ったのが、このドクター・キャピタルさんの動画でした。もうすごい面白いから笑っちゃうんですけど、ただ音楽の知識が本当にハンパなくて、大学で教えていらっしゃる方なので当たり前なんですけど、感心するところはすごく感心するし、でもなんか笑っちゃうというか、もうなんとも言えない。大阪弁のイントネーションも癖になるので、ぜひ見ていただきたいなと思いますが、キャピタルさん、シンガーソングライターとしても活躍されているということで、なんとこのインタビューの時はギターを片手に登場してくださいました。
まずはJ-POPに出会ったきっかけについて伺いました。
キャピタル:
僕はアメリカの西海岸、カリフォルニアの北の方のオレゴン州の生まれ育ちで、そこに80年代と90年代にたくさんの日本人の留学生が来て、その日本人の留学生が僕の家にホームステイして、僕に日本のJ-POPの録音したカセットテープとかを届けてきたんで、日本人の留学生のおかげでJ-POPと出会ったんです。それがほんまにエエ曲がすごく多くて、歌も上手で、歌詞はもちろん当時はわからなかったんやけど、僕はギターを弾いてたから、日本にもこんなうまいミュージシャンがいるんやと思って、なんかすごいそこに興味を持ちました。その後に日本語の授業とかを高校でも大学でも受けて、今度は僕も、大学生の時に日本に留学しました。
僕が留学しに来て、レコードショップとかCD屋さんとかCDレンタル屋さんとか行って、またカラオケにも行って、もうめちゃめちゃ毎日新しいJ-POPとの出会いがすごい面白くて、それがまた95年、96年だったんで、ほんまにテレビを見てて、小室ファミリーとかスピッツ、Mr.Childrenとか、ほんまにすごいJ-POPが盛り上がってた時代。今もそうやけど、本当にすてきなタイミングで日本に来られてよかったです。
和田:
そうですよね、その時代はいろんなジャンルのJ-POPが盛り上がってたなと・・・はい。
いいですよね、独特な関西弁というかね。ドクター・キャピタルさんはですね、日本に来た理由について「漫画やアニメが好きで日本に興味を持つ外国人は多いけれど、僕はホームステイに来た日本人留学生のかっこいいお兄さん、お姉さんに憧れて、日本人そのものに興味を持って日本に来ました」とおっしゃっていました。確かに、最近メディアで見る日本好きの皆さんって、漫画とかアニメが日本の入口っておっしゃる方が本当に多いですけどね。そっかぁ、日本人留学生かっこよかったんだなぁ。
J-POPならではの魅力とは
和田:
つづいてドクター・キャピタルさんに、J-POPの魅力についてお話しいただきました。
キャピタル:
まず僕にとって一番のなんか衝撃的だったのは、歌詞が日本語っていうところ(笑)。ヨーロッパとか行くと、ドイツの人はもちろん英語をしゃべれるし、フランス語もしゃべれるし、いろんな言語がしゃべれる。いろんな言語の音楽を皆さんたぶん聞いてるけど、僕たちアメリカ人はだいたい英語の音楽しか聞かなくて。だから日本語になっているのがすごい新鮮で、「何言ってるんかな?」っていうのがものすごい気になって、そのために日本語の勉強を始めて。
また全体的に言うと、凝ってるなあっていう印象がすごい強くて。凝ってるってどういうことかっていうと、例えばこのキー、♪ドレミファソラシドの中で曲を作ろうとすると、アメリカでよくあるパターンとして例えばこういう曲が多くて(♪ギターで4つのコードを弾く)、この4つのコード、これで1曲が出来上がってしまう感じ。全然悪くはないけど、このコード進行をひたすら繰り返して、繰り返して、繰り返して、5分間繰り返して、いろんな歌い方でいろんな歌詞を載せて、1曲がまあまあ面白く出来上がるけども、J-POPやったら4つのコードどころじゃなくて、20個とか40個のコードを使ってる曲がいっぱいあって、このコード(♪ギターでコードを弾く)、もちろんいいんやけど、例えばこのジャズバージョンとか、こういうニュアンスを持ったコードとか・・・。まあなんか、コードが表現性豊かになるJ-POPの曲がすごく多くて、それがすごい良いなと思いました。