「尿路結石」③~まずは生活改善~

23/03/08まで

健康ライフ

放送日:2022/11/02

#医療・健康#カラダのハナシ

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【出演者】
荒川:荒川孝さん(新百合ヶ丘総合病院 センター長)
聞き手:大久保彰絵 キャスター

尿路結石は再発が非常に多い病気

――尿路結石は「尿の成分が固まって石のようになり、尿路に詰まってしまう病気」でした。荒川さん、この尿路結石という病気ならではの特徴というのは何かありますか。

荒川: はい。尿路結石は再発が非常に多く、治療して石が無くなっても、「5年で半数は再発する」という報告があります。これが特徴となってきます。

――半数以上の人が再発してしまうんですか。これ、どうしてなんでしょうか。

荒川: 例えば、痛かった結石が排出されて、痛みがなくなって、みんな忘れてしまう。救急外来で治療を受けて、石が無くなる。これを何回も何回も繰り返して、泌尿器科の治療を受けずに、十数回、尿路結石の発作を繰り返した患者さんもいるほどです。こうなってきますと、徐々に腎臓の機能が悪くなっていき、体にも負担が大きくなってきます。生活改善をして、石を大きくしない、また、小さいうちに排出するというサイクルをつくることが重要になってきます。

生活改善、1つ目は積極的な水分補給

――尿路結石は再発が多くて、だからそのとき治ればいいっていうわけじゃなくて、生活改善が必要なんですね。では、その生活改善、どのようなものでしょうか。

荒川: 1つが「積極的な水分補給」となります。「1日の水分摂取量を2リットルとる」ことを目標にしています。

――2リットルですか。2リットルといいますと、大きいペットボトル1本分ですよね。結構な量になりますね。

荒川: はい。積極的に水をとることで尿が薄まり、結果として、結石の成分となるシュウ酸やカルシウムの濃度が低くなります。すると、結石が出来にくくなります。また、尿量が増えれば、小さな結石は尿の流れに乗って排出されやすくなります。さらに女性では、水分摂取はぼうこう炎などの「尿路感染症」防止にも有効となってきます。

――尿管に石が詰まって痛みが出る、ということでしたが、尿が増えるとかえって痛みが強くなるんじゃないかという気もするんですが、そうではないんですか。

荒川: 中には痛みが強くなる人もいます。その場合は「鎮痛剤」や「尿管を拡張する薬」を併用するので、心配は要りません。

――そうですか。ただ、水を2リットルっていうのは大変そうな気がするんですが、何かこう、飲み方のコツってありますでしょうか。

荒川: 2リットルを1度にとろうとしますと大変かもしれませんけれども、コツは、500ミリリットルのペットボトルを使って、朝・昼・夕・晩と4つに分けて、こまめに飲むといいでしょう。

――2リットルを500ミリリットルずつに分けて、朝・昼・夕・晩と4つに分ける。そうしますと、確かに飲む量が分かりやすくなりますよね。

荒川: はい。常にバッグの中にペットボトルを携帯して、こまめに飲むのがいいでしょう。

――その2リットルなんですけれども、例えばコーヒーとか別の飲み物なんかでもいいんでしょうか。

荒川: コーヒー・紅茶・緑茶などはシュウ酸が多くて、カルシウムと結合して尿路結石の原因となってきます。また、甘いものを飲み過ぎますと、尿の中にカルシウムを増やしてしまい、やはり結石を作る原因となります。また、ビールやそのほかのアルコール類も尿酸を作り出すので、こうしたものを避けなければなりません。

――そうなんですか。コーヒー・紅茶・緑茶、アルコールも避けなければならないとなると、やはり、その2リットル分はお水しか飲めないということになりますか。

荒川: コーヒー・紅茶・緑茶などは全くダメというわけでありません。具体的に、患者さんにはですね、ストレートのブラックコーヒー、ストレートの紅茶など2~3杯程度はOKです、しかし、7~8杯はおやめください、とお話ししております。また、水のほかに、麦茶やほうじ茶は比較的シュウ酸の含有量が少ないお茶ですので、オススメとなってきます。

生活改善、2つ目は適度な運動

――麦茶やほうじ茶でしたらその2リットル分に入れてもいいわけですね。それから、生活改善といいますと運動することも大事ですよね。

荒川: 生活改善の2つ目は「適度な運動」となります。運動が少なくなってきますと、骨から血液にカルシウムが溶け出してしまい、尿の中に排出されるカルシウムが多くなってきます。実際に、運動不足の人が尿路結石になりやすいことが分かっています。また、適度な運動は肥満を解消し、生活習慣病の予防にも効果的です。

――そうですか。この場合、どのような運動がいいですか。

荒川: 運動としては、ウォーキングなどの有酸素運動がおすすめになってきます。縄跳びやジャンプなどの運動が、小さな結石を動かしやすくもなります。5㎜以下の結石だと、こうした生活改善で70%は排出できるという報告もあります。

――では、荒川さん、最後にきょうのポイントをお願いします。

荒川: まずは生活改善。積極的な水分補給と、適度な運動が重要。

【放送】
2022/11/02 マイあさ! 「健康ライフ」 荒川孝さん(新百合ヶ丘総合病院 センター長)

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