「認知症とともに生きる」① ~認知症かも? と思ったら~

24/06/10まで

健康ライフ

放送日:2024/05/13

#医療・健康#カラダのハナシ

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【出演者】
新里:新里(にいざと)和弘さん(東京都立松沢病院 精神科 医長)
聞き手:田中孝宜 キャスター

物忘れと認知症は違うもの?

――東京都立松沢病院精神科医長で、認知症の診療がご専門の新里和弘さんにうかがいます。
今回のテーマ「認知症とともに生きる」、高齢化が進む社会にあって、認知症の方だけでなくわたしたちみんなが関係のあるテーマですよね。

新里:
認知症の一番のリスク要因は「加齢」ですので、超高齢化が進む日本では、社会全体で認知症の方をどう受け入れていくか、ということは非常に重要な課題となっています。

――1回目は「認知症かも? と思ったら」がテーマなんですが、年をとると誰もが、物忘れを不安に感じたりすることがあるんじゃないでしょうか。
新里さん、物忘れと認知症は違うものなんでしょうか。

新里:
ええ。高齢になればなるほど厳密な区別は難しくなってきますが、「物忘れと認知症は別物」です。
物忘れは年齢を重ねれば誰にでも起こりますが、「認知症」はさまざまな脳の病気や障害によって、記憶力や判断力、言語能力などが低下し、日常生活に支障をきたした状態をいいます。
多くの認知症は、脳に不溶性のたんぱく質がたまることが原因です。皆さんがご存じの「アルツハイマー型認知症」もそのひとつです。
ゆっくり時間をかけて発症するため、ほとんどの認知症は70代後半以降に起こります。ただ、少数ではありますけれど65歳未満で起こることもあり、「若年性認知症」と呼ばれています。

――不溶性のたんぱく質、ですか。たまることを自分で自覚することはできるんでしょうか。見つける方法は何かあるんですか。

新里:
たんぱく質のたまり具合を自分で感じる、ということはできません。

物忘れか認知症か、3つの項目チェック

新里:
診断の際には詳しい検査を受けますけれども、ちょっと気になって受診しようか迷っている場合、認知症の症状なのか、年齢相応の物忘れなのか、判別するには大きく3つの項目でチェックできると思います。

――3つの項目チェック、ぜひやってみたいと思います。
まず、1つ目は何でしょうか。

新里:
✓ 物事をエピソードごと忘れてしまう

――これは、具体的にはどういうことですか。

新里:
例えば、デパートで久しぶりに仲のよい親友と再会したけれども、電話をする約束を忘れてしまうことはちょっとした物忘れ、といえると思います。けれども会ったことそのものを忘れてしまうことは、認知症の物忘れです。
人によっては、忘れたことを指摘されると取り繕ってしまう場合もあります。

――そして、2つ目は。

新里:
✓ 同じ話を、あたかも初めてのように何度も繰り返す

――これは、話したことを忘れてしまっているからでしょうか。

新里:
ついさっき話をした、という記憶が不確かになり、同じ話を、あたかも初めて話すかのように繰り返してしまいます。例えば、お出かけはいつだったかしら、薬はのんだかしら、といったスケジュールの確認の質問のように、忘れてしまってはまずいな、と気持ちのどこかで思っていることなどが繰り返されることが多いと思います。

――そして、3つ目は。

新里:
✓ 幻が見えたり、大声で寝言を言う。手足の震えや、体の傾きがある

――これは、何を確認しているんでしょうか。

新里:
これは「レビー小体型認知症」というタイプに見られやすい症状です。レビー小体型では、動物や人がそこにいる、というようなリアルな幻が見えたり、寝ているときに、まるで演説をしているように大声で寝言を言ったり歌を歌うとか、体の動きにくさなどで気付けることが多々ありますので、大事なチェック事項です。

――認知症は前触れもなく起こるんでしょうか。何か、きっかけが分かる場合もあるんでしょうか。

新里:
「血管性認知症」というタイプは主に脳卒中が原因で起こり、認知症全体の1~2割を占めます。初めて脳卒中を起こした人の5人に1人、再発した場合には3人に1人の割合で、認知症と診断されます。脳卒中を繰り返すたびに、血管性認知症が起こるリスクが高くなります。

――その、血管性認知症の発見のポイントは何でしょうか。

新里:
脳卒中が起こってから3か月以内に、症状や行動の変化が表れやすいとされています。
認知症全般にいえますが、記憶障害が起こったり、感情のコントロールが難しくなったり、動作が難しくなるなど、以前と様子が違うな、と思った場合には受診をおすすめいたします。

認知症を疑ったら何科を受診?

――では、先ほどご紹介いただいたチェックなどをしてみて、疑いがあるなと自分で思った場合、どうしたらいいでしょう。

新里:
もし認知症だった場合、不調に気付くのはご本人自身、といわれています。
病院を受診することは誰しも抵抗がありますけれども、認知症が早く分かるということは「そのあとの心積もりができる」ということです。今は進行を遅らせる薬や、上手な対応の仕方もありますので、決して絶望することではありません。

――どんな診療科を探せばいいんでしょうか。

新里:
「もの忘れ外来」などという名前で設置されている医療機関も多いです。具体的には、精神科、脳神経内科、脳神経外科、老年科などいろいろな科が認知症を診ておりますので、事前に電話で、認知症かどうか診てもらえますか? と聞いてみてはいかがでしょうか。

――では、最後にきょうのポイントをお願いします。

新里:
認知症は診断が早いほど、心積もりができる。


【放送】
2024/05/13 「マイあさ!」

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24/06/10まで

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