「知っておきたい 甲状腺の病気」② ~甲状腺ホルモンが過剰「バセドウ病」~

24/05/28まで

健康ライフ

放送日:2024/04/30

#医療・健康#カラダのハナシ

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24/05/28まで

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【出演者】
荒田:荒田尚子(あらた・なおこ)さん(国立成育医療研究センター 診療部長)
聞き手:福島祐理 キャスター

実際の患者の症状から学ぶ

――日本甲状腺学会 監事で、国立成育医療研究センターの荒田尚子さんに伺います。
甲状腺は首の前側、のどぼとけの下にある臓器で、体を元気にするために不可欠な甲状腺ホルモンを作っています。今回お伝えするのは「バセドウ病」です。これはどんな病気なんでしょうか?

荒田:
甲状腺ホルモンが過剰に作られる病気はいくつかありますが、患者数が最も多いのがバセドウ病です。医師のバセドウさんにちなんだ病名で以前はバセドウ氏病と言われたこともあります。きちんと治療を受けていれば命に関わることはなく、健康な人と同じように過ごすことができます。

――荒田さんの患者さんの中にはどんな方がいらっしゃるのですか?

荒田:
たとえば35歳の女性の方です。冬でも暑がりで汗をたくさんかき、手がベタベタしていらっしゃる。3食しっかり食べてもすぐにお腹がすくので、いつも何か食べていらっしゃるんですが、半年で5kgも痩せてしまわれています。ちょっとしたことでイライラして感情的になってしまったり、運動をしているわけでもないのに“どうき”がしたり、指先が震え、医療機関で検査をしてやっとバセドウ病だとわかったという方がいらっしゃいます。

――「冬でも暑がり」「どうきがする」など、誰でも感じやすい症状といいますか、病気と感じにくいかもしれませんね。

荒田:
そうなんです。よくある症状なので放置して長く苦しんでいる方もいます。20~30歳代の女性に比較的多い病気ですが中高年の女性にもみられますし、男性に起こることもまれではありません。

そのとき体でなにがおきているか

――どうして甲状腺ホルモンが多くなってしまうのでしょうか?

荒田:
免疫機能の異常が原因で起こると考えられています。免疫は本来、体の外から入った異物を攻撃するものです。しかし、何らかの異常で自分の甲状腺を異物として認識し刺激して、甲状腺ホルモンが分泌されすぎてしまうんです。

――ではバセドウ病にはどんな症状があるのでしょうか。さきほどの患者さんの例で伺いますと、「暑がり」「汗をかく」という症状。これはどうしてでてしまうんでしょうか?

荒田:
代謝がよくなりすぎて体温が37度くらいの微熱になるために、真冬でも薄着でも大丈夫なほど暑がりになったりします。汗をかいて手が湿ることもあります。夏バテしたような症状が出るのが特徴的です。中高年の女性ですと、更年期障害だと勘違いされてしまうような場合もあります。

――「食欲が増加」するのに「体重は減少」してしまう、ちょっと不思議な症状ですね。

荒田:
そうですね。胃や腸などの消化管が過剰に働くためにすぐに空腹になりますが、食べても食べてもエネルギーが消費され、体重は逆に減っていくんです。

――イライラしてしまったり感情的になってしまったりなど、精神面に影響が及ぶこともあるのですか。

荒田:
はい。これは神経が高ぶり興奮して起こる症状で、「怒りっぽい」「よくしゃべる」「感情が不安定」になるという場合があります。一見元気そうなのですが実は“そううつ”の“そう”のような状態で、まわりから病気だと分かってもらえない場合もありますし、集中力がなくなる、落ち着きがなくなるということもあります。

――「どうき」が起こるのはどうしてですか?

荒田:
心臓が働きすぎるため脈拍が早くなり、いつも激しい運動をしている状態になるために疲れやすくなる場合もあります。なかには心房細動という不整脈になる場合もあります。

――ほかにはどんな症状がありますか?

荒田:
首の腫れも特徴的です。甲状腺が腫れて大きくなるため、首が太くなります。痛みはありません。
人によっては目が突出することもありますが、最近は治療で進行を抑えることができるようになっているので、ひどくなる人は少なくなっています。
これこそがバセドウ病という症状はありませんが、こういった症状がいくつか重なって長く続く場合はバセドウ病の可能性を疑ってほしいと思います。

――気になる症状があった場合は何科へ行けばよいですか?

荒田:
お近くの内科で、血液検査で甲状腺ホルモンの値や甲状腺を刺激している免疫の状態、抗体を調べることですぐに診断がつきます。基本的にどの医療機関でも受けられる検査です。必要に応じて内分泌や甲状腺の専門施設を訪ねてもいいと思います。

――バセドウ病はどう治療していくのでしょうか。

荒田:
9割以上が薬で治療を始めます。主に使われるのは抗甲状腺薬です。甲状腺ホルモンが作られるのを抑える作用があります。再発した場合はもう一度薬を使うか、放射性ヨウ素の入ったカプセルをのむアイソトープ治療を行います。もしくは甲状腺を全部摘出する手術で治療することもあります。患者さんの希望状況・治療期間などを考慮して治療を選択していきます。

――荒田さん、最後に今日のポイントをお願いします。

荒田:
サインとなる症状に気がついたら、血液検査で甲状腺ホルモンの値を調べましょう。


【放送】
2024/04/30 「マイあさ!」

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24/05/28まで

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