「気になる汗の悩み」③ ~多汗症の治療~

24/06/26まで

健康ライフ

放送日:2024/04/03

#医療・健康#カラダのハナシ

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24/06/26まで

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【出演者】
藤本:藤本智子さん(池袋西口ふくろう皮膚科クリニック 院長)
聞き手:星川幸 キャスター

汗で困っているとき、どこを受診したらいい?

――汗の病気を専門に研究・治療されている、池袋西口ふくろう皮膚科クリニック院長の藤本智子さんに伺います。
今回は「多汗症の治療」というテーマで伺います。
まず、汗で困っているというときは、どこを受診したらいいんでしょうか。

藤本:
更年期症状や、何らかの病気が原因と考えられる場合には婦人科や内科を受診されると思いますが、多汗症かもしれないな、と思ったら皮膚科を受診してみてください。

治療 わきの汗の悩み

――多汗症と診断されたら、どんな治療を行うんですか。

藤本:
多汗症は、汗が出ている部位によって、治療の選択肢が異なってきます。
まず「わき汗」で悩んでいる場合ですが、発汗量を抑える「抗コリン薬の外用薬」、現在2種類の薬が選べます。塗り薬と、シート状のものがありまして、どちらも保険適用になっています。
ほかに「塩化アルミニウム製剤の塗り薬」もあります。塩化アルミニウムは市販の制汗剤にも使われている成分ですが、処方薬は市販のものより効果が高いです。
抗コリン薬の外用薬も塩化アルミニウムの外用薬も、継続して使うことで効果を持続できる薬ですが、塩化アルミニウム製剤は副作用で肌がかぶれる人もいますので、ご自身の肌に合うものを選んでいただきたいと思います。
あと、わき汗の程度がひどい重症の場合には、「ボツリヌス毒素製剤の注射」が保険でできる場合もあります。

――ボツリヌス毒素製剤、とは何ですか。

藤本:
顔面まひの治療などいろんな分野で使われている薬なんですけれども、ボツリヌス菌という毒素の、筋肉を緩める作用を利用した薬です。毒素と聞くと怖いと思うかもしれませんが、毒素を分解・精製していて、毒はありませんのでご安心ください。
ボツリヌス毒素製剤は汗を抑える作用が強いので、1度注射すると、大体半年ほど効果が持続します。

治療 手足や頭部・顔面の汗の悩み

――「手足や、頭部・顔面の汗」にはどんな治療法があるんでしょうか。

藤本:
手の多汗症には現在、先ほどの抗コリン薬の外用薬も日本で使えるものになります。
また、手足の場合も塩化アルミニウム製剤の塗り薬を使うことが多いですが、ほかに「水道水イオントフォレーシス」といって、水をためた容器に手のひらや足の裏を入れてもらって、そこに微弱な電流を流す、という治療もあります。これも保険の治療で、大体週に1回、10分から15分程度行いますと、1か月から2か月で汗が抑制されてくるというものです。
あとは、「抗コリン薬の飲み薬」というものもあります。脳からの指令を抑制して、汗を出にくくするのですが、夏に汗を止めてしまうと熱中症などの危険も出てきますので、使用の際は医師とよく相談してください。
頭部や顔面の場合も、塩化アルミニウム製剤の塗り薬や、抗コリン薬の内服の治療があります。

手術、という選択肢もあるが……

――いろんな治療の選択肢があるんですね。

藤本:
そうですね。
あと、今紹介した治療法ではどうにもならない、という重度の方も実際にはいらっしゃいますが、その場合は最後の手段として「手術」という選択肢もあります。主に手のひらの多汗症、重度の方に行われるものになります。交感神経を遮断することで、汗を出さなくするという方法です。
効果は期待できますが、高い確率で、ほかの場所から大量の汗が出てくる、という症状も同時に起こりますので、医師とよく相談して行うことが大切です。

多汗症は治せる? 気をつけたほうがいいことは?

――多汗症は、完全に治すことはできるんですか。

藤本:
現在、完全に治るというものではありません。ただ、年齢とともに汗が少なくなっていく、という「年齢の変化」もあるものなんですね。ライフスタイルに合った治療法を選んで、上手につきあっていくというのが大切です。

――自分で気をつけたほうがいい、ということはありますか。

藤本:
原因が分からず起こる多汗症ではありますけれども、体の負担になる生活習慣を改善することで、ある程度汗をかきにくくすることはできる、と思います。例えば嗜好品なんですが、カフェインは中枢神経を刺激するので、とりすぎると汗の量が増える原因にもなりますのでご注意ください。コーヒーや紅茶だけではなく、エナジードリンクなどにもカフェインが多く含まれている製品がありますので、お気をつけください。

――多汗症は緊張などで汗が出やすくなる、ということでしたが、リラックスすることは効果はありますか。

藤本:
はい。ストレスを感じると交感神経の働きが活発になって、汗を誘発しやすくなる、といわれています。ご自分なりのリラックス方法を見つけて、ストレスをためないようにしましょう。
ちなみに、汗が多くて恥ずかしい、といったご自身の体験自体がストレスになったり、周囲の目や言動で傷ついてストレスになって、また症状が悪化するといったこともあります。生活に困るほどの汗は多汗症という病気で起こっている、という診断がつくだけでも、症状が軽減されることもよくあります。
ですのでまずは、多汗症という病気があって、治療で改善できるんだ、と知っていただきたいと思っています。

――では、最後に今回のポイントをお願いします。

藤本:
多汗症は、治療で改善できます。


【放送】
2024/04/03 「マイあさ!」

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