「声帯のケアで健康を保つ!」① ~のどの役割とは?~

24/04/01まで

健康ライフ

放送日:2023/11/27

#医療・健康#カラダのハナシ

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【出演者】
角田:角田晃一さん(国立病院機構東京医療センター 人工臓器・機器開発研究部長)
聞き手:福島佑理 キャスター

のどには大きく分けて3つの役割が

――声を出す声帯ですけれども、私も職業柄、のどの健康には気を配っているんですが、そもそも「声帯」にはどのような役割があるんでしょうか。

角田:
「声帯」は声を出すだけではなくて、食べ物や飲み物を飲み込むことと密接につながっております。よい声を維持することは生活の質の向上につながりますし、食べ物や飲み物を飲み込む機能がうまく働かなくなる「えん下障害」、さらに、命に関わる「誤えん性肺炎」などの病気を防ぐことにもつながっています。

――声帯は、誤えん性肺炎やえん下障害にも関わってくる器官、ということなんですね。
そして、今回のテーマは「のどの役割とは?」です。そもそも、のどにはどのような役割があるんでしょうか。

角田:
のどには、大きく分けて
● 物を飲み込む
● 空気を運ぶ
● 声を出す
という、3つの役割があります。

物を飲み込む役割、空気を運ぶ役割

――物を飲み込む、空気を運ぶ、声を出す、という3つの役割について教えてください。

角田:
まずは、「物を飲み込む」「空気を運ぶ」役割について。
のどには「咽頭(いんとう)」と「喉頭(こうとう)」があります。咽頭は、<空気や食べ物の通り道>として、口と鼻からつながって食道の入り口までの部分をいいます。
喉頭というのは咽頭のさらに奥のほうで、気管とつながっている<空気の通り道>で、ちょうど「のどぼとけ」、首の真ん中あたりにあります。

――空気や食べ物の通り道は咽頭、空気の通り道は喉頭。この2つの通り道があるということなんですね。

角田:
咽頭を通り過ぎた食べ物や空気は、その奥の喉頭で、食べ物は食道へ、空気は「気管」へとえり分ける作業をしています。このときに大事な役割をしてくれているのが、喉頭と、喉頭全体にふたをする、舌の根本にございます「喉頭蓋(こうとうがい)」です。

――喉頭蓋は、舌の根元、舌の奥の方にある、ということですね。

角田:
そういうことです。喉頭蓋は、水や食べ物を飲み込んで食道に送るとき、舌が倒れることによって喉頭蓋が後ろに倒れてふたをして、飲食物が気管やその下の肺に入らないようにふたをしてくれるんですね。

声を出す役割

――では、次に、声を出す役割について教えてください。

角田:
人間の特徴は音声言語コミュニケーション、つまり「お話をすること」です。言葉を出すために大切な器官が、喉頭の中にある「声帯」です。声帯という言葉は知っていると思いますが、声帯がどの辺りにあるか知らない人が多いと思います。

――声帯はのどの、どの辺りにあるんでしょうか。

角田:
声帯はちょうど「のどぼとけ」、のどの真ん中辺りにあります。

――皆さんも声帯の場所を確認してみましょう。

角田:
ちょっと唾(つば)を飲み込んでみてください。

――はい。あっ、つばを飲み込むと上下に動いているのが分かりますね。

角田:
はい。のどの真ん中辺りにあります。そこが喉頭です。喉頭の中に声帯がございまして、幅5㎜、長さ1.5㎝程度の、やわらかく伸縮性にとんだ粘膜と筋肉から構成されています。
男性は1秒間に100回から150回、女性は200回から300回、左右にぶつかり合って振動します。女性は回数が多いために、一般的に男性よりも高い声になります。

――女性は振動数が多いので、一般的に男性よりは高い声、ということなんですね。

声帯のもう1つの役割、誤えんを防ぐこと

角田:
実は、声帯には声を出す役割と、もう1つ、大切な役割もしていてくれるんですね。

――声を出すだけでなく、大切な役割、何でしょうか。

角田:
それは、「誤えんを防ぐ」ことです。

――誤えんを防ぐ。

角田:
「誤えん」とは、食べ物や飲み物が気管に入ってしまうことです。喉頭と、それにふたをする喉頭蓋は哺乳類にはみんな備わっているんですけれども、人間の特徴はその位置なんですね。
人間は言葉で会話をするために、喉頭と、それにふたをする喉頭蓋は首の真ん中の辺りまで下がってきちゃったんですね。このため、食事や水をとるときに誤えんを防ぐために、喉頭蓋でふたをするためにはいちいち喉頭を口のほうに持ち上げる必要があります。だから、先ほどのように唾を飲み込むと、喉頭が持ち上がってくるわけですね。

――では、もし喉頭蓋のふたがうまく機能しなくて、誤えんしてしまったらどうなっちゃうんですか。

角田:
喉頭蓋でふたができなかったときは、「せき反射」といって、声帯が左右ぶつかり合ってくれるんですね。
加齢や病気などで声帯の筋肉が衰えてしまうと、うまく飲み込むことができなくなることがあります。とにかく、声帯は声を出すことだけではなく、飲み込むことと密接なつながりがございます。

――では最後に、きょうのポイントをお願いします。

角田:
のどの仕組みを知って、誤えんを防ごう。


【放送】
2023/11/27 「マイあさ!」

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