「知って防ごう! 食中毒」③ ~予防の3原則~

23/12/20まで

健康ライフ

放送日:2023/09/21

#医療・健康#カラダのハナシ

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【出演者】
平山:平山和宏さん(東京大学大学院農学生命科学研究科 教授 附属食の安全研究センター センター長)
聞き手:星川幸 キャスター

3原則の1つ目「つけない」

――食中毒の原因にはさまざまな菌やウイルスがある、ということでしたね。

平山:
はい。予防の基本として大事なことは、食材の肉や野菜、冷蔵庫や食品売り場、それから調理器具、調理する方、どんな所にでも食中毒菌やウイルスが存在していると考える、ということが大事です。そのためには「つけない」「増やさない」「やっつける」の3原則が大事です。

――つけない・増やさない・やっつける、の3原則ということで、これはどういうことでしょうか。

平山:
ポイントの1つ目は
◆ 菌をつけない

「つけない」というのは、肉や魚はもちろんですが、野菜にも土やいろいろな菌がついているという可能性がありますので、野菜はきれいに洗う、ということが大事です。
それから、ジャガイモ・ネギなどの土のついた野菜類と、レタスなどの生で食べる野菜類は、同じ冷蔵庫の中でもそれぞれ違う袋に入れて、接触しないように分けて入れたほうがいいと思います。

――お肉には注意していましたが、野菜にも注意が必要なんですね。

平山:
土の中には、カレーなどで食中毒が起こりやすい「ウェルシュ菌」ですとか、時には命に関わるような重い食中毒を起こす「ボツリヌス菌」、日本では“ごはん”などで食中毒が起こりやすい「セレウス菌」など、食中毒を起こす菌が存在する可能性があります。土が家畜やペットのフンで汚染されてはなおさらで、そういう場合には「病原性大腸菌」のような他の菌も入っているという可能性があります。

――菌をつけないためには、調理器具にも注意が必要ですか。

平山:
調理器具は消毒して乾燥させて、いつも清潔なものを使っていただきたいと思います。それから大事なことは、できれば用途別に分けていただくということだと思います。
魚や肉を扱うまな板や包丁は、こまめに洗っていただきたいと思います。特にまな板は、包丁の傷の所に細菌が残って増殖してしまう、ということが起こりやすいので、熱湯などできちんと消毒をしてください。そのあと、よく乾かしてください。
手をしっかり洗う、というのも大事です。

――手を洗う。基本ですけれども、やはり大事なんですね。

平山:
菌やウイルスは目に見えませんので、きれいに見えても手についている場合があります。きちんと洗わないと、菌やウイルスを他の食材にくっつけてしまって、食中毒を起こすことがあります。せっけんを使ってよく手を洗って、ウイルスや菌をしっかりと剥がすというのが大事です。

――料理をする前にさっと洗うのではなくて、しっかり洗うのが大事ですね。

3原則の2つ目「増やさない」

――では、次のポイントは。

平山:
ポイントの2つ目は
◆ 菌を増やさない

食事に菌をつけない、というのは、どんなところにも菌はいるので難しいことなんですけれども、食中毒を起こすまでにはある程度菌が増える必要がありますので、増えなければ食中毒になりません。
菌は時間の経過とともに増えていきますので、調理をしたあとすぐ食べることが大事です。
カレーやスープなどの煮込み料理の場合には、食中毒を起こしやすいウェルシュ菌とかセレウス菌などが熱に強い菌なので生き残っていて、保存中に増えてしまうということがあります。調理のあとは小分けして、すぐに粗熱を取って冷まして、そのあと冷蔵庫や冷凍庫で保存してください。

――作ったら早めに食べる、そして、残ってしまったら冷蔵庫や冷凍庫に保存すると。これが大切なんですね。菌を増やさないために、調理器具などの注意点はありますか。

平山:
調理器具や食器などはできるだけ時間を置かないで洗って、調理台、三角コーナー、シンクなども毎日きれいに洗って、キッチンを清潔な状態に保っていただきたいと思います。
古い食材や料理に関しては、諦めも肝心です。人間の感覚は思ったより鋭いものなので、ちょっとでもおかしいなと思ったときには諦めてください。食中毒になってしまってからでは遅いので。

――洗い物などもためないで、すぐに片づけるのがいいですね。そして、菌を増やさないためには買い物でも工夫できることはあるでしょうか。

平山:
はい。実践されている方も多いとは思いますが、肉や魚の汁がほかの食品につかないように、ポリ袋に入れるということが大事です。冷凍食品などは気をつけている方が多いと思いますが、肉や魚などの生鮮食品も最後に買うようにしてください。買ったあとは寄り道をしないで、すぐに帰ってください。

――買い物をしたあとは、寄り道しないようにします。

3原則の3つ目「やっつける」

――では、最後のポイントは。

平山:
ポイントの3つ目は
◆ 菌をやっつける

一般的に、食中毒を起こす細菌やウイルスは熱に弱いので、食品にくっついていたとしても、加熱すれば死んでしまいます。加熱というのは、菌を殺す最も簡単で有効な方法です。加熱が不十分で食中毒菌が生き残ると、食中毒を発生させてしまうという例が多いので注意が必要です。保存したカレーなども、食べる前にもう1度、十分に再加熱するというのが大事です。

――加熱の目安はありますか。

平山:
多くの細菌やウイルスは、中心の部分の温度が75℃、1分以上の加熱で大体死にますので、しっかり加熱してください。
調理器具の場合には、洗うだけじゃなくて、熱湯をかけるとか消毒することが大事です。

――では最後に、きょうのポイントをお願いします。

平山:
予防の3原則。菌をつけない、増やさない、やっつける。


【放送】
2023/09/21 「マイあさ!」

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23/12/20まで

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