【出演者】
大矢:大矢幸弘さん(国立成育医療研究センター アレルギーセンター センター長)
聞き手:星川幸 キャスター
アレルギーとはどういうもの?
――「アレルギー」という言葉はとても身近ですけれども、改めて、アレルギーとはどういうものと捉えたらいいでしょうか。
大矢:
私たちの体には「免疫」という、細菌やウイルスを含むさまざまな異物から体を守る仕組みがあります。この働きに異常が起こって炎症が起きたり、ある特定の物質や状況に対して、過剰に反応して起こる病気をまとめて「アレルギー疾患」といいます。
――免疫の働きに異常が起こっていると。一体どんなことが起こっているんですか。
大矢:
免疫の異常には、いくつかのパターンがあります。
「アトピー性皮膚炎」や「ぜんそく」は、皮膚や気道に慢性的な炎症が起こっている状態です。ぜんそくは、かぜや冷たい空気など、刺激が当たったときに発作が起こるという現象があります。
「食物アレルギー」や「花粉症」などでは特定の物質が「アレルゲン」となって、過剰な免疫反応を起こす仕組みがあります。最初にその物質を取り込んだときに、その物質に対する抗体が作られて、次の侵入に備えようとします。次にその物質が体に侵入しようとしたときには、それを取り除こうと反応します。
発達の段階別 注意する症状チェック
――子どもにアレルギー疾患があるかどうか見極めるために、注意する症状などはあるんでしょうか。
大矢:
次のチェックに当てはまる症状があれば、何らかのアレルギーがある可能性があります。発症しやすい年齢の低い順に見ていきましょう。
――それでは伺います。まず、1つ目は。
大矢:
✓ 皮膚の乾燥や湿疹がなかなか治らず、かゆがる
――これは、どんな病気の症状なんでしょうか。
大矢:
「アトピー性皮膚炎」の可能性があります。乳児期のお子さんに起こりやすく、まず最初に出るアレルギー疾患のことが多いです。
✓ 食事の途中や食事後、1時間から2時間以内に、かゆみや発疹が出る
――これは……。
大矢:
「食物アレルギー」を起こしている可能性が高いです。離乳食の時期に起こりやすく、初めて食べるものは少量から食べさせるようにして、症状が出たら受診をしましょう。
✓ 食事後、3~4時間後におう吐を繰り返す
――これも食物アレルギーですか。
大矢:
これは「消化管アレルギー」といって、普通の食物アレルギーとは別の仕組みで起こります。主に乳児期に起こり、鶏卵や牛乳で起こることが多いですが、最近は卵黄が多いですね。
消化管アレルギーにはいくつもの種類があり、2週間以上下痢が続く場合も、この消化管アレルギーのことがあります。
✓ かぜをひくたびにゼエゼエする
――これはどうですか。
大矢:
これは「小児ぜんそく」の症状であることが多いですね。大体1~2歳から小学校入学前ぐらいに発症します。
――小学校入学前まで来ました。では、続いては。
大矢:
✓ 春先に透明な鼻水が出たり、目がかゆくなったりする
――これは花粉症ですか。
大矢:
はい。スギによる「花粉症」は、最近では幼児も発症し、小学校ぐらいで増えてきます。
✓ 果物やエビを食べたときに、唇が腫れたり、口の中をかゆがる
――これも食物アレルギーではないですか。
大矢:
そうですね、これは、別のアレルギーとの「交差反応」で起こる、一種の食物アレルギーですね。特に、花粉症と食べ物との関係がよく知られています。
✓ 食事後に運動するとゼエゼエせきこんだり、じんましんが出る。
――そういうことがあるんですか。
大矢:
激しい運動で誘発されるぜんそくや、食物アレルギーの症状が出ることがあります。小学校高学年や思春期など、結果を出そうと運動に打ち込み始める時期に起こりやすいです。
――発症しやすい年齢の低い順に伺ってきましたが、こうしたチェックで、心配だな、と思った場合にはどうすればいいでしょうか。
大矢:
かかりつけの小児科でも相談に乗ってもらえると思います。症状の重さによっては、アレルギー科のある小児科を受診して、しっかり検査・治療したほうがいいこともあります。
アレルギー症状をひどくしないためには、実はスキンケアがとても重要なポイントです。
――なぜスキンケアが大事なのかは、次回、詳しく伺います。最後に、きょうのポイントをお願いします。
大矢:
アレルギーの発症、年齢ごとに注意を。
【放送】
2023/07/10 「マイあさ!」
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