「気になるカラダの“におい”」① ~あなたはガスを出している!?~

23/11/20まで

健康ライフ

放送日:2023/07/03

#医療・健康#カラダのハナシ

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【出演者】
関根:関根嘉香さん(東海大学 理学部 化学科 教授)
聞き手:星川幸 キャスター

人が発するにおいについて研究するきっかけは

――関根さんは、「人が発するにおい」について研究されているということですが、その、人のにおいについて研究を始めたのはどうしてですか。

関根:
もともとは、環境中の微量な化学物質の研究を行っていました。で、19年前になるんですけれども、空気中の化学物質を測っていたんです。その中で、完全に対策したはずなので化学物質が少ないはずなんですけれども、なぜか出てきてしまうことがありまして。
それはなんでだろうと思ったら、実は、測定している自分たちの体から発しているということに気付きました。環境の測定器を自分たちの皮膚に当ててみましたら、そういう化学物質がいっぱい出てきたんですね。
これが、人の体から発する微量なガス、「皮膚ガス」という名称で呼んでおりますけれども、発見の1つのきっかけになりました。

――皮膚ガスって初めて聞きましたけれども、体から出ているということは、体臭と関係があるんでしょうか。

関根:
大いに関係があります。実は、この体臭のもとになるガスのことを「皮膚ガス」といいます。

誰でも発している、皮膚ガスの特徴

――関根さん、皮膚ガスは誰でも発しているんですか。

関根:
はい。これは、生きていれば誰しもが発するものです。皮膚ガスは、今分かっているだけでも大体300種類ぐらいあります。通常、それほどにおいのないものもあるんですけれども、その濃度が高まってきますと、体臭として感じてくるものもあるんですね。

――皮膚ガス、というだけあって、やはり皮膚から出ているんですか。

関根:
そうですね。この皮膚ガスの出方の経路には、主に3通りあると考えられています。
1つは、皮膚の表面で反応して、におい物質に変わってしまうルート。
それから2つ目が、皮膚内部の汗腺から発生してくるもの。
もう1つが、血液の中から直接揮発してくるような成分。
こういった経路の違いによりまして、作られ方、あるいは出てくる成分が変わってまいります。

――皮膚の表面、汗腺、そして血液と、3つの経路で作られるガスがあるということなんですね。では1つずつ伺います。まず、皮膚の表面から発生するガス、これはどんなものでしょうか。

関根:
皮膚の表面に「常在(じょうざい)菌」という菌がいるんですね。これがつくり出すものなんです。汗とか皮脂とか、こういったものを餌にいたしまして、菌がパクパク食べて分解しているものが、皮膚の表面から出るガスとなります。
このにおいの特徴ですけれども、「汗のにおい」、それから「足の裏のにおい」「わきが」、さらに「加齢臭」と呼ばれるにおいがあるんですけれども、こういったものです。
それぞれ、におい成分があるんですが、加齢臭の場合ですと「2(に)-ノネナール」、こんな成分があります。

――そして、汗腺から発生するガスですが、これはどんなにおいでしょうか。

関根:
汗は、もともと血液が原料になります。ですから、この血液が汗になって、さらに汗が発汗したときに出てくるようなガスです。
大体、においとしては「酸っぱいにおい」という特徴があります。
その中の成分なんですけれども、皆さんご存じの、お酢のにおいですね、「酢酸」というものが特徴的に出てまいります。

――ではもう1つ、血液から発生するガス、これはどんなにおいですか。

関根:
血液の中を流れている成分が皮膚の表面に染み出してくる、と言ったらいいでしょうか。例えば、食べ物やタバコ、アルコールなどが大きく関係しています。
酒を飲み過ぎますと、アルコールが分解されてできる「アセトアルデヒド」という成分が、やはり血液を介して、皮膚の表面に出てまいります。
それからタバコですね、喫煙されている方ですね、こういう方はタバコの煙成分が肺に入りまして、そこから血液に移行して全身を巡るんですけれども、例えば「ニコチン」、こういったような成分が、やっぱり皮膚ガスとして出てくるんですね。
さらには、疲れがたまってきますと「アンモニア」という成分が出てきまして、これ、本当に鼻にツーンとくるにおいなんですけれどね、体が疲れたり、あるいはちょっとメンタルが疲れている場合、こういう場合もアンモニアって出てきてしまうんですね。

自分のにおいを確認する方法

――そういった不快なにおいを自分も出しているのでは、と心配になりますけれども、これ、確認する方法はあるんでしょうか。

関根:
はい、あります。これはぜひね、皆さんも試していただきたいと思います。
自分が長い時間着ていたシャツとか、Tシャツとかですね、下着でもいいんですけれども、そういったものを用意いたしまして、それを袋の中に入れておきます。
そのあと、その中のにおいを嗅ぐんですけれども、このとき、ちょっと注意事項がありまして、自分の鼻は自分の体のにおいに慣れていますので、いったんリフレッシュしたいんですね。ですから、例えば外のきれいな空気をいったん鼻で嗅いで、鼻をリセットしてから、少し気合いを入れて袋の中のにおいを嗅いでみてください。

――今回は、体から出る皮膚ガスの特徴について、お聞きしました。次回以降は、気になるにおいの対処法など、詳しくお聞きします。
では最後に、きょうのポイントをお願いします。

関根:
誰でも、皮膚ガスは出しています。


【放送】
2023/07/03 「マイあさ!」

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23/11/20まで

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