【出演者】
山田:山田昌和さん(杏林大学 医学部 教授)
聞き手:福島佑理 キャスター
自分に合ったメガネを作るには
――メガネは、コンタクトレンズとともに身近なものですが、最近は安い値段で作ることもできるようになっていますよね。選び方に注意が必要、ということでしょうか。
山田:
令和4年に消費者庁から、「メガネの不都合による体調不良に注意」という発表がありました。メガネは本来、視力をサポートするものですが、令和4年までの約10年間に、メガネによる体調不良の相談が消費者庁に238件寄せられました。自分の目に合わないメガネをかけることで、頭痛、吐き気やめまい、目の不調、肩こり、しびれなどが生じたという報告でした。
――不調になってしまう原因は何でしょうか。
山田:
多くの原因は、レンズの度数が用途と合っていないためです。また、メガネのサイズや、フィッティングが合っていない場合もあります。目の不調を訴える方が多く、幅広い年代で体調不良が見られました。
――では、自分に合ったメガネを作るには、どのようにすればよいんでしょうか。
山田:
「眼科医を受診して、よく相談して、処方箋を作ってもらう」のがおすすめです。
――今の時代ですと、メガネ店で作る人がほとんどではないのかな、と思うんですけれども。
山田:
確かに今の時代、メガネ店で作る方がほとんどかもしれません。しかし、眼科医を受診して、処方箋を作ってもらってからメガネ店に行くことをおすすめします。特に、見え方が悪いだけでなく、まぶしい、かすむなどの症状がある方や、目の疲れがひどい方などは思わぬ目の病気が隠れていることがあります。
――処方箋でメガネを作るよさは、どんなところにあるんでしょうか。
山田:
やはり「自分の目に合うメガネを作ることができること」「目の病気の早期発見につながること」です。
特にお子さんは、正確な度数や視力を測るためには、眼科医の受診が必要です。メガネの問題以外に、目の病気、弱視や斜視の可能性があります。
また、子どもの近視のメガネは「過矯正」といって、度数が強すぎるメガネになりやすいので、やはり眼科医が関わるのがよいと思います。
――手間であっても眼科医に受診をして、処方箋を持っていって自分に合うメガネを作りたいですね。また、この他にメガネを作る際に気をつけること、どんなことでしょうか。
山田:
「自分がメガネをどんな目的で使いたいか」です。車の運転に使うのか、ふだんかけるのか、読書など手元の細かいものを見るのか。コンピューター作業用には「中近」メガネといったものもあります。ご自分の目的に合わせたメガネを作ってもらうことが大事です。
また、ふだんかけるメガネでは、度数が強すぎる過矯正を避けることも大切になります。メガネをかけて両目で1.0見える、1~2メートル先がよく見える程度が一番いいと思います。
――度が強すぎるメガネを作ると、目にはどのような症状が現れるんでしょうか。
山田:
度が強すぎるメガネを作りますと、眼精疲労や肩こり、頭痛の原因にもなります。
サングラスを選ぶときの注意点
――メガネといえば、サングラスをかける人もいるかと思いますが、専門家の立場から、サングラスをかけるうえでの注意点はありますか。
山田:
紫外線は目の角膜を傷つけますので、サングラスは予防のために有効です。サングラスを選ぶときは、レンズの大きなものを選んだほうがよいでしょう。
しかし、色がついていればいい、というものではありません。重要なのは、レンズの色や濃さではなく「紫外線カット率」です。色が薄いようでも、紫外線カット率が高いものを選びましょう。レンズの色が濃すぎますと、光を集めようとして瞳孔が大きくなって、紫外線が目の中に入りやすくなります。
また、紫外線はサングラスだけでは防ぎきれませんので、帽子なども大事です。つばの幅が広いものを選ぶとよいと思います。
――最後に、きょうのポイントをお願いします。
山田:
よく見えるメガネが、よいメガネとは限りません。ご自分の用途に合わせたメガネ選びが大切です。
【放送】
2023/06/23 「マイあさ!」
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